授乳中のアルコールはOK?NG

授乳中のアルコールが赤ちゃんに与える影響・飲んでもOK?

授乳中にアルコールを飲んでも良いと、病院の助産師さんから言われたというママも少なくありません。母乳はママが口にした物の影響を少なからず受けると言われますが、授乳中に飲酒をして本当に良いのでしょうか。今回は、授乳中のアルコールが与える赤ちゃんへの影響について詳しくご説明します。

授乳中のアルコールが赤ちゃんに与える影響・飲んでもOK?

授乳中にアルコールはOK?赤ちゃんに影響はあるの?

妊娠中はお腹の赤ちゃんのために、栄養バランスを考えて食事をしたり、無事に出産できるようにと大好きなタバコやアルコールを控えて過ごしたママもいることでしょう。

妊娠高血圧症のママはラーメンのスープを残したり、お漬物を控えるでしょうし、妊娠糖尿病のママは甘いものを食べないようにしてきたはずです。無事に出産を終えて「これで、思いっきり好きなものを食べることが出来る!」と思っていても、母乳育児のママは思うように食べることが出来ません。

よく「自分が口にしたものが、母乳の味や質に影響を与える」と言われますが本当なのでしょうか。今回は、【授乳中にアルコールはOKなの?】というテーマでその真相に迫っていきます。

母乳とアルコールの関係・母乳はどうやって作られる?

母乳は食べたものから作られる

「授乳中は、食べるものに気を付けて」「授乳中のママは栄養バランスを考えて」と、育児雑誌や市区町村から配布される育児ブックに書いてあります。ママなら、母乳はママが食べたものや飲んだものから、少なからず影響を受けることは知っているはず。しかしながら、どうやって母乳が作られるのかはよく分からない・・・というママが少なくありません。母乳はどのようにして作られるのかを一緒に確認していきましょう。

母乳はママの血液から作られる

女性のおっぱいの中には、乳腺がたくさん張り巡らされていて、周囲を血管が取り囲んでいます。乳腺を取り囲んでいる血管中の血液が、産後のママから出される母乳ホルモンによって、母乳に変化するというわけです。血液=赤色というイメージが定着していますが、血液中にはさまざまな成分があり、母乳の生成に使われるのは赤くないタンパク質や白血球などの成分になります。そのため、母乳は血液の色とは違って、白いのです。

血液は食べたもの、飲んだものから作られる

私達が口にした食べ物、飲み物の栄養素は、血液中に移行されます。その血液によって、赤ちゃんにあげる母乳が生成されるわけですから、ママが食べた食事内容が母乳の味や質に影響を与えるのは間違いありません。

カレー・フライドポテト・コロッケなどの脂っこい料理を食べると、ドロドロでやや黄色がかった母乳になり、焼き魚や煮物などのあっさりとした料理を食べると、サラサラで乳白色の美味しいおっぱいになるというわけです。

授乳中の飲酒はアルコールによる赤ちゃんへの影響が心配

赤ワインで乾杯しているママ

「母子ともに無事に出産を終えて良かった。カンパーイ!」といきたいところですが、母乳育児をしているママは残念ながら、ジュースで乾杯になってしまうことでしょう。

妊娠中にアルコール摂取を我慢する日々が続いたのに、出産後も禁酒状態が続くなんて、お酒好きのママにとってはつらいですよね。

アルコールも少量であれば、授乳中でも大丈夫と言われることもありますが、大量にアルコールを飲んだり、アルコール摂取後の授乳タイミングを間違えてしまうと、赤ちゃんに影響が及びます。大切な我が子の将来に関わるような悪影響が出てしまってからでは遅いので、こちらでしっかりと確認していきましょう。

不安要素はたっぷりある

授乳中に大量のアルコールを摂取することによって、赤ちゃんに良くない影響を与えることは、研究によって分かっています。だからといって、ごく少量のアルコールなら赤ちゃんに大きな影響を与えることはないとは言いきれません。「少量のアルコールであれば、おそらく大丈夫であろう」「多分、ビールを少し飲むくらいなら問題がないだろう」という曖昧な表現からもお分かりのように、影響がないから安心だと断言できないのです。

飲酒1時間後は授乳してはいけない!

アルコールを摂取すると、血液中のアルコール濃度が急上昇し、飲酒後30~60分でアルコール濃度が90~95%まで到達します。そしてそのうちの2%前後が赤ちゃんに移行します。また、飲酒の習慣が長く、飲酒量が多いママは、母乳の分泌量が少ない傾向が見られることから、赤ちゃんの成長に影響を及ぼすことが分かっています。(注1)

アルコール濃度の高い母乳は、赤ちゃんの発達を阻害する

ママがアルコールを摂取した状態で、授乳をするということは、アルコール成分が含まれた母乳を赤ちゃんがゴクゴクと飲むことになります。アルコールを摂取したあとに出した母乳も、見た目は普通の母乳と変わりありません。しかしながら、アルコールが含まれた母乳を赤ちゃんが飲むことで、赤ちゃんの発達にトラブルが起きてしまう可能性は否めません。

脳や身体の成長が遅れる

アルコール成分を含んだ母乳を飲むことによって、赤ちゃんの成長や発達に遅れが生じてしまう可能性が高くなります。以下のような症状が出てしまうとので、きちんと覚えておきましょう。

  • 身長が伸びない
  • 体重が増えない
  • 記憶力がよくない
  • 同年代の子と同じことができない
  • うまく話せない。

このように、身体の発育の遅れだけではなく、脳にも深刻な影響を及ぼすことが分かっています。ママがお酒を飲んでリフレッシュしたいという気持ちは分かりますが、子供の成長に何かしらの影響があるのですから、アルコール摂取は我慢するのが賢明です。(注2)

アルコールによるママへの影響

アルコールは赤ちゃんだけではなく、ママにも影響を与えることがわかっています。さて、どのような影響があるのでしょうか。

アルコールが止められなくなってしまう危険性も!?

お酒を飲みすぎて酔いつぶれたママ

子育てにイライラしたら、お酒を飲む。ストレス解消のために、お酒を飲むという習慣が当たり前になってしまうのは危険です。情緒不安定になったときに、お酒が安定剤の役割を果たしてしまうようになると、お酒にのめり込んでアルコール依存症になってしまうかもしれません。

「授乳中だから、お酒は飲んではいけない!」と思うほどに我慢が効かなくなって、アルコールに手を出して止まらなくなってしまうケースがあるのです。授乳中・子育て中は、ママ達のストレスの度合いも大きくなっている時期ですから、アルコール以外のストレス解消法を見つけるようにして下さい。

母乳が出にくくなる

母乳の生成には、ホルモンの働きが関係しています。「プロラクチン」と「オキシトシン」というホルモンが相互に働くことによって母乳が作られるのですが、実はアルコール摂取によって「プロラクチン」の分泌が抑えられてしまうのです。

アルコールを摂取すると、せっかく出ていた母乳の分泌が抑えられてしまうことになり、赤ちゃんが欲しがっても母乳が出にくくなってしまいます。母乳育児で頑張って育てていこうと思っていても、アルコールによって母乳が出にくくなってしまうのですから、非常に残念なことですよね。

世の中には母乳で育てたくても出が悪く、諦めざるを得ない人もいるわけですから、母乳がしっかりと出ている状態のときは、できるだけその状態をキープするようにしましょう。

お酒が飲みたくなるとき、飲んでしまったとき

とはいえ、授乳中にお酒を飲みたくなるママ達はたくさんいますし、それは決してよくない感情でもないのです。筆者も子育て中は、ストレスが溜まったなぁと感じるたびに、アルコール摂取ができたらなぁと考えていました。では、どんな時にお酒がのみたくなるのでしょうか。

授乳中のママがお酒を飲みたくなる時

  • 子育てでイライラしたとき
  • パパと喧嘩したとき
  • どこにも出掛けられないとき
  • SNSの投稿で友達が飲みに出掛けていると分かったとき
  • パパが目の前で晩酌をしているとき
  • 暑い夏の日
  • 家事と子育てで疲れ切っているとき

妊娠前に仕事帰りや休日に飲みに出かけることが多かったママにとって、アルコールが飲めないということは、ストレス解消法を1つ失ってしまったと同然です。お酒をゴクゴク飲んで、すぐに忘れたいようなイライラをアルコールで解消していた人にとっては、お酒を飲めないという状況が、とてもストレスに感じることでしょう。

飲みたい衝動の抑え方

炭酸水のレモン割

0歳と4歳の子供を子育て中の筆者も、授乳を理由に禁酒しているママの1人です。けれども、本当はビールもワインも大好きなので、禁酒生活は結構ストレスが溜まります。そこで、私が「お酒を飲みたい!」という感情を抑えた方法を、ご紹介していきます。

  • ノンアルコールビールで我慢した(アルコール1%未満なだけで、アルコール成分が含まれている商品もあるので、注意してください)
  • 強炭酸のジンジャーエール辛口(お酒が飲みたいのは、炭酸が飲みたいからだと暗示をかける)
  • ノンアルコールカクテル(甘みがあるので、飲んでいて満足する)
  • 無糖の強炭酸にレモン汁をプラス(とてもスッキリとした味わいで、真夏のビール代わりに最適)

ビールが大好きな私は、とりあえず強めの炭酸を飲むことで、湧き上がってくる「お酒を飲みたい」という感情を抑えることが出来ました。強炭酸は、いくつかの商品を飲み比べて、よりシュワシュワ感の強いものを選ぶようにしました。あとは、お酒と同じくらい好きなスイーツを食べて、気を紛らわせるようにしました。

お酒を飲んでしまった!いつから母乳をあげていいの?

「友達の結婚式で、お酒を飲んでしまった」「我慢しきれずに、お酒を飲んでしまった」というママもいるはずです。お酒を飲んでしまった場合、いつから赤ちゃんに母乳をあげて良いのでしょうか。

血液中のアルコール濃度は、飲酒後1時間でピークになり、その後時間をかけてゆっくりとなくなっていきます。大体2時間で、血中のアルコール濃度は通常値に近くなります。

しかし、1人1人アルコール分解速度も違いますので、飲酒後何時間で授乳に影響がないとは言い切れません。授乳中にたまに飲む程度ではなく、明らかに大量摂取の場合は、赤ちゃんの成長に悪影響を及ぼす可能性があることを、忘れないようにしましょう。

アルコールは卒乳後に楽しもう

今回は【授乳中のアルコール摂取】について、お話しました。授乳中は絶対にお酒を飲んではいけないという決まりはありませんが、授乳間隔が4時間以内の間は、飲酒後の授乳のタイミングの見極めなども難しいので控えるべきでしょう。

離乳食を良く食べるので1日に1度だけの授乳になった、夜間授乳のみになったなど、状況が変わった段階で、たしなむ程度に飲んでみてはいかがでしょうか。授乳中にアルコールを飲むことはあまり良くありません。卒乳後に思いっ切り楽しんだ方がいいでしょう。