赤ちゃんは肌荒れになりやすい!考えられる原因について
赤ちゃんといえば、お肌がつるつるツヤツヤのイメージがありますが、実際はそうではありません。大人よりも肌荒れしやすく、すぐにガサガサになったり、吹き出物が出てしまったりするのです。赤ちゃんが肌荒れしやすい理由として、次の6つを挙げることができます。
肌が薄い
赤ちゃんの肌の厚さは、成人の約半分の薄さとなっています。そのため、ちょっとした刺激にも敏感に反応しやすくなります。
皮脂が多い
赤ちゃんは、胎内にいるときはお母さんの黄体ホルモンの影響を受けて皮脂を活発に分泌していました。生まれた後も数か月間くらいは、赤ちゃんは黄体ホルモンの影響を受け続けますので、皮脂を活発に分泌します。そのため、ニキビのような皮脂由来の吹き出物などが出やすくなるのです。
急激に乾燥する
生後数か月ほどは皮脂を活発に分泌している赤ちゃんですが、その後、急激に皮脂の分泌量が減り、成人の2分の1~3分の1ほどしか皮脂が出なくなってしまいます。
皮脂分泌量が少ない状態が長く続くと、それはそれで安定しますので、思春期までの幼児期はつるんとした皮膚になることが多いです。ですが、生後数か月後の頃は今まで過剰に出ていた皮脂が急激に出にくくなってしまう時期ですので、肌の油分バランスが激しく乱れてしまいます。
そのため、局部的に乾燥してカサカサしたり、部分的には皮脂が過剰に分泌してニキビのような吹き出物が出たりと、肌の調子が不安定になってしまうのです。
汗をかきやすい
汗が分泌される汗腺の数は、赤ちゃんも成人もほぼ変わりありません。ですが、赤ちゃんの表面積は大人と比べて数分の1しかありませんから、表面積当たりの汗の量が多いと言えるのです。また、平熱が大人と比べて高いですので、汗の量もさらに増えてしまいます。
汗には塩分や尿素、乳酸などの成分も微量含まれていますので、汗をかいてそのまま放置しておくと皮膚に刺激を与えてしまうことになります。とはいえ、赤ちゃんは1日中汗をかいています。たとえ、こまめにお母さんやお父さんが拭いたとしても、少量は塩分などの刺激成分が肌に残ってしまうことになり、肌荒れを引き起こしてしまうのです。
よだれやミルクなどがつきやすい
赤ちゃんはよだれがたくさん出ますので、顔や首などの皮膚について、かぶれの原因になってしまうことがあります。また、げっぷをした拍子にミルクなどが口からこぼれたり、ちょっとしたことで吐いてしまったりしますので、顔の周りにミルクやおっぱいがついてしまうこともあります。その他にも、くしゃみをした瞬間に出た鼻汁が、そのまま顔や手などについてしまうこともあるでしょう。
赤ちゃんですから、よだれやミルクなどで顔周りが汚れてしまうのは仕方のないことです。ですが、なるべくすぐに気付いてこまめに拭いて、かぶれる回数を少なくするようにしたいものです。
肌表面に細菌が繁殖しやすい
肌表面が弱酸性に保たれると細菌が繁殖しにくくなりますので、肌は丈夫にかぶれにくくなります。成人の肌は弱酸性であることが多いですので、アトピー性皮膚炎などの特定の肌疾患がある人を除けば、安定した状態をキープしている人が多いと言えます。
ですが、赤ちゃんの肌はほぼ中性であることが多いです。そのため、容易に細菌が繁殖し、湿疹などの肌荒れ状態になってしまうのです。
赤ちゃんの肌荒れ対策
皮脂が過剰に分泌されたり、急激に乾燥したりと、赤ちゃんは肌荒れになりやすい条件をいくつも備えています。ですから、現在、赤ちゃんがつるんとキレイな肌をしていても、いつ何時かぶれてしまったり湿疹やニキビができてしまったりするか分かりません。赤ちゃんの肌荒れ対策をしておくことは大切なことだと言えるのです。
よだれやミルクはこまめに拭く
汗の成分の99%以上は水分です。もちろん、その残りの1%に入っている塩分などで肌荒れを促進してしまうことがありますが、よだれやミルクなどに含まれる刺激成分と比べるとごくわずかだと言えます。すでにかぶれてしまっている赤ちゃんや吐きやすい赤ちゃん、歯が生え始めてよだれの分泌量が増えている赤ちゃんは、特に意識してよだれやミルクなどをこまめに拭くようにしてください。
清潔なタオルで押さえるように汗を拭く
よだれやミルクと比べると、汗に含まれる水分以外の成分量は少ないです。ですが、赤ちゃんは大量に汗をかきますので、放っておくと汗に含まれる微量の塩分が蓄積してしまうことになり、肌に強い刺激を与えかねません。こまめにタオルで汗を拭くようにしましょう。
しかし、「しっかり汗を拭かなきゃ」と、ごしごしと赤ちゃんの肌をこするのはNGです。赤ちゃんは肌が薄く刺激にも弱いですので、肌をこすってしまうと摩擦によって肌荒れが促進してしまう可能性があります。清潔なタオルで押さえるように汗を拭きましょう。
柔軟剤を避ける
赤ちゃんによっては柔軟剤などの化学成分も刺激になってしまうことがあります。赤ちゃんの衣類や赤ちゃんが使用するリネン類はふんわりさせてあげたいですが、柔軟剤を使用することで赤ちゃんの肌を刺激してしまっては意味がありません。特にかぶれやすい赤ちゃんや湿疹が出やすい赤ちゃんには、柔軟剤を使用しないで洗濯してあげるようにしましょう。
使うときは天然由来の成分や着色料不使用のものを
赤ちゃんに触れる下着やシーツ、タオル類があまりにもガサガサの生地では、赤ちゃんの肌に刺激を与えてしまうことがあります。「やっぱり柔軟剤を使ってふんわりとさせた方が良いのでは?」と考えるお母さん・お父さんは、赤ちゃんにも使用できると記載されている柔軟剤を選んだり、香料などが天然由来のものを使用している柔軟剤や着色料不使用の柔軟剤を選択したりすることができるでしょう。また、柔軟剤の使用量を推奨使用量よりちょっと減らしたりすることでも、赤ちゃんの肌への負担を軽くすることができます。
ボディーシャンプーでしっかりと洗おう
お湯だけでは赤ちゃんの皮脂をしっかりと落とすことができません。皮脂はほこりなどの汚れと混ざるとさらに落ちにくくなることもありますので、入浴の際にはかならず赤ちゃん用のボディーシャンプーを使って、しっかりと皮脂を落とすようにしてください。
かぶれている部分やニキビが出来ている部分も、医師からの特別な指示がない限りは、ボディーシャンプーをつけてしっかりと汚れを落として下さい。かぶれた部分に皮脂や汚れが残ってしまうと、さらに症状が悪化してしまうことがあります。
入浴後はしっかりと保湿しよう
お風呂でキレイに赤ちゃんを洗ったら、しっかりと水気を拭いてから保湿をするようにしてください。皮脂は本来肌を守るために分泌されるものですから、肌に充分な油分や水分がなくなってしまうと、分泌が促進されてしまうことがあるのです。
「赤ちゃんは皮脂が多いから、ボディークリームとかは塗らなくても大丈夫でしょ?」と自己判断で放置してしまうことは、赤ちゃんの皮脂分泌量を増やすことにもなりかねません。かならず適度に保湿するようにしてください。
紫外線対策もしっかりと
赤ちゃんは皮膚が薄いですので、紫外線などの外的刺激にも敏感に反応します。外に出かけるときは、紫外線対策をしっかりとするようにしてください。ベビーカーにシェードを取り付けたり、紫外線を遮断する素材でできたカーディガンなどをはおらせたり、帽子をかぶせたりしましょう。
ただし、赤ちゃんは普通にしていても汗をかきやすいですので、紫外線を避けるために過剰に覆ってしまうと、あせもやかぶれが悪化する可能性があります。通気性にも配慮したウエアを選択したり、あまりにも暑い日は外に出かけないようにしたり等、配慮するようにしてください。
背中のあせも対策
赤ちゃんは体温が高いですので、じっと座っていると座面や背中に汗をかき、あせもが大量にできてしまうことがあります。特に熱がこもりやすいのがベビーカーの背面です。背面部だけメッシュ素材になったベビーカーもありますが、それでも赤ちゃんにとっては暑くて苦しい状況になってしまうことがあります。
暑いときは長時間じっとベビーカーに座らせないようにし、数分おきに抱っこをしたり、こまめに冷房の利いた室内に入ったりするようにしましょう。また、汗がついた下着を長時間着ていると、汗で肌がかぶれてしまう原因になります。こまめに着替えさせることが難しい外出先では、赤ちゃんの背中と下着の間にガーゼのハンカチを広げて入れ、30分~1時間ごとに交換するなどの汗対策を実施して下さい。
こんなときはアレルギーかも!赤ちゃんの肌荒れによくある主な症状
肌荒れ対策をしっかりと実施しても、赤ちゃんの肌が荒れてしまうことはあります。赤ちゃんは肌が弱く、また、よだれや汗、ミルク、鼻汁等でかぶれることもありますので、ある程度は仕方のないこととも言えるでしょう。ですが、赤ちゃんの肌荒れが深刻な場合や肌荒れ部分から分泌物が出ている場合は、赤ちゃんがひっかいて跡が残ってしまう前に病院で適切な治療を行うことが勧められます。
一過性の症状
新生児期から乳児期にかけて見られる湿疹を総称して「乳児湿疹」と呼ぶことがあります。皮脂分泌が活発に行われるために起こる「乳児脂漏性湿疹」や「新生児ニキビ」、反対に皮脂分泌が極端に減ってしまうことでも誘発される「乾燥性皮膚炎」、通気性の悪さや汗がこもることで起こるかぶれやただれなどの症状も、すべて「乳児湿疹」とまとめてしまうこともあります。
これらの症状はすべて一過性の症状です。衛生管理を丁寧に行い、適度に保湿クリームを塗ることなどで症状を改善させていくことができます。自宅ではなかなか症状が良くならない場合でも、病院で適切な外用薬を処方してもらって塗布することで、症状を改善させることが可能です。
治療を継続しても肌荒れが良くならないとき
乳児湿疹や乳児湿疹に分類されるさまざまな肌荒れは、治療をすれば治ります。ですが、治療をしても症状が良くならないときは、次の可能性が考えられます。
アトピー性皮膚炎
かゆみがあり、なおかつ湿疹が見られる場合、アトピー性皮膚炎の可能性が疑われます。乳児の場合は、頭や顔から湿疹が始まり、しばしば体幹部や四肢にも広がることがあります。幼小児期は、頸部や足の付け根、ひざ裏・ひじ裏などの関節部にも見られることがあります。
このような症状が乳児の場合は2ヶ月以上、幼小児期や成人の場合は6ヶ月以上続くと「慢性症状」と判断し、症状の重さに関わらず「アトピー性皮膚炎」と診断します。アトピー性皮膚炎は、家族にもアトピー性皮膚炎の患者や気管支喘息やアレルギー性鼻炎、結膜炎の患者がいる場合や、アトピー性皮膚炎の患者自身に気管支喘息やアレルギー性鼻炎、結膜炎が見られることが少なくありません(注1)。
2000年~2002年にかけて厚生労働科学研究で実施された調査では、4ヶ月児の12.8%、1歳6ヶ月児の9.8%、3歳児の13.2%がアトピー性皮膚炎に罹患していると報告されています(注2)。
ダニやハウスダストなどのアレルギー
ダニやハウスダストなどに対するアレルギー反応として湿疹が出ている可能性もあります。病院でダニアレルギーやハウスダストアレルギーの疑いを示唆されたら、ベッド回りや赤ちゃんが過ごす空間を丁寧に掃除し、アレルギーを引き起こす元となるものを除去していくことから治療を開始していきましょう。
赤ちゃんの肌荒れ対ケアは丁寧に!
肌荒れを起こしやすい要素をたくさん抱えている赤ちゃん。お母さんやお父さんが丁寧にスキンケアをしてあげることで、ある程度症状を緩和したり、湿疹やかぶれが出る回数を減らしたりすることができます。赤ちゃんが気持ちよく生活できるためにも、こまめに汗やよだれを拭いたり、赤ちゃんの肌に触れる衣類や寝具を清潔に保っていきましょう。
また、ホームケアでは症状が良くならない場合は、病院で薬を処方してもらうこともできます。かゆみや痛みが長引かないように、赤ちゃんの肌をしっかりと観察していきましょう。