引きこもり育児とは?幼児期におでかけ・外遊びが少ないのは問題?
引きこもり育児とは、母親と子供がほぼ自宅で過ごし、外遊びや家族以外の人との関わりが少ない育児の状態を指します。日本では3歳を過ぎると幼稚園や保育園に入園する子が大半ですから、引きこもり育児は主に0歳の赤ちゃんから入園前の3歳児を育児中の家庭に多いのが特徴です。
子供は外で遊んだり、色々な場所に出掛けることで、たくさんの刺激を受けるのはご存知の通りです。ですが、わかってはいても、外に出るのがどうしても苦手なママもいますよね。
ママ友とお付き合いするよりも一人のほうが好きだったり、子供を連れて出掛けるのが億劫に感じたり、筆者もそうですが、今までずっと出不精として生きてきたのに子供が生まれたからといって180度変わるなんて難しいですよね。
引きこもり育児がダメといわれる理由、引きこもってしまうママの心理や原因、出不精ママは無理にでも外出するべきなのか、一緒に考えていきましょう。
引きこもり育児は発達に影響する?外出や外遊びの効果とは?
世の中には、毎日のように子供を児童館に連れていき、商店街で一緒に買い物をし、ママ友と食事会をするようなアクティブなママもいます。
引きこもり育児とは対極に位置する行動力ですが、実はアクティブに見えるママの中にも、「本当は家が好きだけど、頑張って外出している」と答える人がいます。
なぜ、そうまでして外出をするのか。それは、外出や外遊びが子供の脳へ良質な刺激を与え、成長に良い影響を与えるといわれているからです。
子供が外出すること、外で遊ぶことで得られる力とはどのようなものがあるのでしょうか?
同年代とのコミュニケーションにより他者への好奇心が育つ
同年代とのコミュニケーションは、親とは違う刺激を幼児にもたらします。
子供がまだ保育園・幼稚園に入園していない年齢だと、同じくらいの年齢のお友達と関わる機会は意識しないと持てません。入園前の2歳、3歳ぐらいの子供でも、歳の近い子供の行動を見て真似をしたり、興味を示して近づいたりといった行動はよく見かけます。
子供同士の関わりは、ごく自然な形で他者への興味を引き出す方法といえます。
自然を五感で体感し、感性が育つ
外に出ると太陽がまぶしかったり、風が吹いていたり、子供が視覚・嗅覚・触覚・聴覚・味覚などの五感を使って感じられる出来事が数多くあります。お花の香り、小鳥の姿、歩きはじめた子供なら、興味のある対象に近づこうとします。
小石を触る、虫を見つけるなど、外遊びは子供の脳の刺激にとても良く、子供は自然から多くのことを学び、影響を受けます。また、歩く、走る、跳ぶなど、1歳、2歳代の子供たちは自分自身の本格的な身体の使い方を学んでいる最中でもあります。
環境への適応能力が上がる
赤ちゃんの頃から外出先でたくさんの人と接するかどうかは、子供が人見知りしやすい子になるかどうかにも影響します。
もちろん、人見知りをしてしまうのは年齢や時期、生まれ持っての性格もあるのですが、外出先でたくさんの人に会うと、少しずつママの後ろに隠れなくなってきます。
ママと二人きりで過ごすよりも、できるだけ多くの場所で色々な人や動物と触れ合うことで環境に応じた行動が自然と身につきます。
生活のメリハリができ、体力がつく
一日に1回太陽の光を浴びることは、生活リズムを整えるために大切です。また、ビタミンDは日の光を浴びることで作り出されますが、乳幼児はビタミンDが欠乏するとくる病などの病気の原因になりますので、予防の観点からも適度な日光浴は重要です。
少し近所を散歩するだけでも、子供の運動不足解消や肥満予防に大きな効果が期待できますし、体力もつくので、健康的な生活習慣を幼児期から見に着けておくメリットは大きいでしょう。
引きこもり育児中のママは自分でどう感じている?
子供への発達の影響は気がかりですが、核家族化が進み、地域社会との繋がりも薄い現代では、引きこもり育児は珍しいものではありません。しかし、実際に引きこもり育児をしているママ自身はやはり罪悪感を覚えている方が大半です
引きこもり育児中のママたちの本音をご紹介します。
一人で連れて外出するのが怖い
1歳9ヶ月の男の子のママ
やんちゃな男の子なのでいつも騒いでばかり。パパが一緒のときは車でお出掛けなので騒いでもなんとかなりますが、自分1人で連れて行くのはバスや電車でのお出掛けになるので、騒いでまわりの人に迷惑を掛けたり、白い目で見られるのかと思うと、どうしても気が重くなってしまいます。
私が人見知りで家が好き
2歳6ヶ月の女の子のママ
私自身が性格的に人見知り。知らない人と話すのが苦手で、ママ友の付き合いが面倒に感じてママ友と呼べる友達はいません。
夏はマンションのすぐそばの公園などで遊ばせますが(あまり他の方は利用しないようです)、雪国なので冬が困りもの。本当は児童館などに連れて行ってあげた方が良いとは思うのですが、既に出来上がっているママ友グループが常時いるのでハードルが高いです…。
結局家にいるばかりで子供に申し訳ない
1歳才8ヶ月の男の子のママ
基本的に出不精なので、買い出し等の用事がない限り、家にいることが多いです。でも、子供は私とだけの遊びに少しマンネリ気味で、最近ストレスを感じている様子。
もっと身体を動かして遊ばせてあげたいと思い、「今日こそ公園に行こう!」「児童館へ連れて行こう」と朝は意気込むのですが、そういう日に限って、子供のお昼寝が長かったり、お絵描きに夢中になったりして、「まぁいいか」と1日が終わります。
「こんなママでごめんね」と心の中いつも謝っています。
このままで良いとは思ってないのに焦る…
2歳11ヶ月の男の子のママ
子供はたくさんの人と関わることで刺激を受け、発達に良い影響があるのは分かっています。でも、下の子をもうすぐ出産予定で、今回の妊娠は体調が優れない日が多く、気づけばここ数ヶ月引きこもり育児になってしまいました。
出産したら、新生児のうちは外出できないので、せめて今のうちにと思うけれど、普段の家事と育児で精いっぱいで、身体がついていきません。
もうすぐ3歳。幼稚園に入って「他の子と成長に差があったらどうしよう」と不安です。
引きこもり育児の原因とは?ママ1人の負担の大きさも無視できない!
健全な発達のためにも、「子供は外に連れ出したほうが良い」と多くのママは考えています。それでも引きこもり育児からなかなか脱せられないのはなぜでしょうか?
先ほどのママたちの体験談も踏まえつつ、引きこもり育児の原因をご紹介します。
子供を連れて出掛けるのが大変
子供を連れてのお出掛けは荷物も増えるし、思い通りの行動ができません。しかも、子供は公共の場でも時に騒いだり、泣いたりしますので、周りに気を遣ったママはクタクタになってしまいます。
公共の場に行くのはなるべく避けたいので、公園で思いっきり外遊びをと思って連れて行くと、子供は喜んでくれます。「連れてきてよかったな」とママも思うのですが、問題となるのが帰り際です。
赤ちゃんやよちよち歩きの1歳代の子供ならそこまで苦労はありませんが、イヤイヤ期真っ盛りの2歳ぐらいの子供が「イヤ!」「帰らない!」と駄々をこねる光景はよく見かけますよね。最後は泣きながら、時にママは子供を抱えて帰ります。
こうした繰り返しにより、お出掛けは面倒、苦痛と感じてしまうのです。
安心して外遊びできる場所が少ない
公園が徒歩圏内にない。あっても自分の子供より大きい子供がたくさん遊んでいて、安心して遊ばせられない。家の前や近所に空き地などのスペースもない。
地域環境的に子供を思いっきり遊ばせられる場所が少ないと、どうしても外遊びは控えめになってしまいます。
児童館など気軽に行けるところが近くにあるとよいのですが、住んでいる場所によっては児童館は幼児連れの徒歩では厳しいケースも。スイミングなどに通わせるという方法もありますが、習い事となるとお金の問題や時間の兼ね合いもあり、難しい家庭もあるでしょう。
人と会うのが性格的に苦手
自分の昔からの友人ならともかく、新しくママ友を作ったり、親子で約束をして会うのは気が進まないという方は多いです。無理にママグループに入っても、人間関係で疲れてストレスが溜まるという意見もあります。
特に児童館や子育てサロンは、冬の遊び場としてはもってこいなのですが、常連のママ友グループがいて、居心地の悪さを感じる、ハードルが高いという声が聞かれます。
外に出掛けるとお金を使ってしまい節約できない
子供が大きくなると何かとお金が掛かるので、小さいうちは少しでも節約したいと考えるパパやママもいます。
しかし、外に出ると色々な食べ物の誘惑があり、ママ友数名でお出掛けをして自分だけファミレスに入らないわけにも行きませんよね。
「外出=余計な出費が増える」と考えると、ついつい引きこもってしまいます。
引きこもり育児からの脱出方法
引きこもり育児といっても、ママ自身が罪悪感を覚えて本心ではなんとかしたいと思っているのか、妊娠や病気などで出たくても出られないかによって、対処方法は異なります。
出不精ママは少しだけ頑張ってみよう~まずははじめの一歩から!
引きこもり育児になるのは、自分の出不精や人見知りの性格が原因。でも、本当は自分でも引きこもり育児は良くないと感じているママは、少しだけ頑張ってみましょう。
ただ、もともと外出が好きではないママが「子供のためだから」と無理をすると、神経をすり減らし、家に帰ってきた時にはへとへとになって夕食の支度すらできないことも。
頑張るのはあくまで「少しだけ」で、ストレスを溜めないようにしましょう。
近所を散歩するだけでOK
外出・おでかけと考えると、荷物を用意して、電車に乗ってなど、ハードルが高くなります。まずは、10~20分程度の近所の散歩や小さな公園での外遊びから始めましょう。スーパーへの買い出しの前に、軽く散策するだけでも十分です。
「子供を遊ばせるため」と割り切って振る舞う
引きこもり育児の原因として挙げられるのがママ友との人間関係。ですが、幼稚園などと違い、未就園児のママ友関係は、別になくても良いものです。入園すればまたメンツが変わりますので、焦る必要もありません。
「輪に入らなくちゃ」「子供同士で遊ばせなくちゃ」と考えず、公園や児童館で会った時には明るく挨拶だけして、後は子供を遊ばせることだけに集中しましょう。
週末はパパと一緒にお出掛け
子育てはママが一人でするものではないので、みんなに協力してもらいましょう。子供にとっても良い刺激になります。
週末にパパやおじいちゃん、おばあちゃんに代わりに連れて行ってもらいましょう。パパと一緒のときは身体を使った遊びでボールや探検ごっこなどをしてもらい、おじいちゃんやおばあちゃんには昔の遊びを教えてもらえるチャンスです。
外に出られない事情がある&ストレスや負担が大きいママは無理しない
妊娠している、低月齢の赤ちゃんがいて連れ出すのが難しい、病気で外出が辛い、という事情を抱え、やむを得ず引きこもり育児をしている方もいるでしょう。
ですが、他のママと比べて子供に申し訳ないと思う必要はありません。週末はパパに連れ出してもらっって、普段はママにしかできない遊びを家の中でしてあげれば子供との絆がより強いものになり、その子なりのペースでちゃんと成長していきます。
実は引きこもり育児が良くないとされるのは、子供の発達だけでなく、母親の産後鬱や育児ノイローゼに発展しやすいという問題点があります。上記のような事情があっても、ママ自身は出かけないことへのストレスは少なく、子供に愛情を持って接していられるなら、心配はいらないでしょう。
室内遊びを工夫しよう
外に出られないからと、テレビやDVDを見せているだけの状態はおすすめできません。家の中でも工夫次第で十分に遊べますので、室内遊びのアイデアを集めて実践していきましょう。
風船をボール代わりにして遊んだり、いらないダンボールや牛乳パックを集めてダンボールハウスを作ったり、新聞紙のプールを作ったりなどもおすすめです。
赤ちゃんや1歳ぐらいの子供なら、夏はお風呂で水遊びをさせても良いですね!
日光浴をさせ、室内運動を取りいれましょう
家の中にいることで心配になるのが、日光浴不足・運動不足です。
乳幼児期の日光浴不足はビタミンD欠乏型のくる病の原因になるので、ベランダやお庭に少しだけでも出て、太陽の光を浴びるようにしましょう。シャボン玉で遊ばせるなどすれば子供も気分転換になります。
運動不足の解消としては、ダンスやキッズヨガなど室内でできる運動を遊びとして取りいれましょう。滑り台やブランコがついた室内ジャングルもおすすめです。
お出掛けしなくても、遅寝遅起きはダメ
未就園児だとパパの帰ってくる時間に合わせて、ついつい夜が遅くなることがあります。お出掛けの予定がなくても、早寝早起きで規則正しく過ごすことが子供の成長には不可欠です
お昼寝のさせすぎは寝る時間が遅くなりがちなので気をつけましょう。
幼稚園や保育園への入園を楽しみにしましょう
たしかに子供を外に連れ出すことで人見知りをしなくなったり、お友達ができます。けれど3歳になり、幼稚園に入ったらお友達は自然にできるので安心してください。
小さいときは家の中でママとだけ過ごしても、幼稚園で子供は色々な刺激を受けて子供の世界が広がっていくのであまり心配し過ぎないことが一番です。
引きこもり育児を悩むより、毎日を楽しく過ごせているかが重要
性格的に外に出ることを負担に感じたり、妊娠や持病などの事情があって、思い通りに子供と出掛けられない家庭もあります。
ですが、パパママ大好きな子供にとっては、外遊びでも、室内遊びでも、一緒に遊んでくれれば楽しくて仕方がないのです。
「外遊びももっとさせて体力をつけなきゃ!」「色々な場所に出かけて刺激を…」と悩むよりも、小さな公園でも、限られた時間でも、親も子供との時間を思いっきり楽しめるかどうかが大切です。