育休明けの仕事復帰のポイント
育休明けの仕事復帰は不安?社会保険料や住民税はどうなる
育休明けの仕事復帰を控えた方へ。育休明けの仕事復帰での挨拶のポイントや社会保険料・住民税の措置についてご紹介します。育休明けは短時間勤務をすることが可能ですので、無理せずにスタートしてください。
育休明けの仕事復帰!社会保険料や住民税はどうなる?
育休明けで仕事復帰を考えている方は、子供を預ける保育園探しや自分の仕事の準備など色々と大変でしょう。子育てしながら仕事をすることは、今までと違う気遣いが必要になります。育休明けで仕事復帰を予定している方のために、育休明けの時短勤務・挨拶・社会保険料や住民税などについて詳しくご説明していきます。育休明けの生活をスムーズにするために、仕事復帰前から少しずつ準備をしておくとよいでしょう。
育休と法改正
育休の正式名称は、「育児休業」といい、「育児・介護休業法」という法律で定められています。平成29年10月1日より育児休業法が改正されました。今後も時代の流れとともに法律が改正されることがありますので、情報収集につとめてください。
育休とは?
育休(育児休業)とは、「育児・介護休業法」という法律により定められた制度です。産休は、出産する女性のみに与えられる権利ですが、育休は、男女ともに取得することができます。ただ、育休を取得するには、会社へ自ら申請を行う必要があります。
育休中の給与については、特に法律で定められておらず、会社により異なります。会社からは無給となる場合でも、会社で加入している雇用保険から育児休業給付金が支払われます。ただ、就業状況などにより育児休業給付金が支払われないケースもあります。
育児・介護休業法の改正
「育児・介護休業法」が改正され、平成29年10月1日より施行されます。主な改正点についてご説明していきます。
1.育児休業期間が延長された
育児休業期間は、基本子供が1歳になるまででしたが、保育所に入れないなど特別な時魚がある場合には、今までは1歳6ヶ月まで延長が可能でした。今回の改正により、1歳6ヶ月の時点で再申請することにより、最長子供が2歳になるまで延長可能になりました。育休期間の延長に伴い育児休業給付金の支払い期間も延長されます。
2.育児休業制度などを労働者に周知するよう努めなければならない
会社側は、子供を出産予定の労働者やその配偶者に対して、育休など子育てに関する制度について周知するよう努める規定が新たに設けられました。今までの制度では、会社に育休制度はあるものの取得しにくい雰囲気であるため、取得を断念したという労働者が多いため、今回の法改正により、男女ともに育児休業の取得率が上がることが期待したいものです。
3.育休を目的とした休暇が新設された
小学校入学前の子供がいる労働者が、育児目的で取得できる休暇制度を新たに設けるよう努めるように定められました。子供の入園式・卒園式などの行事に出席するために休暇を取得したい時に利用することができます。
育休明けは短時間勤務が可能
育休明けにいきなり出産前と同じように仕事をするのは、かなり厳しいでしょう。育休明けは、まず短時間勤務からスタートすることができます。短時間勤務制度を利用することで、子供と過ごす時間を多く確保することができます。ただ、給与は減額される場合が殆どですので、減額ベースでの家計管理をしておきましょう。
短時間勤務制度とは?
短時間勤務制度とは、「育児・介護休業法」により定められた制度で、「子供が3歳になるまで、1日6時間の短時間勤務ができる」というものです。ただ、労働形態により短時間勤務制度が利用できない場合があります。
育休明けに備えた保育園探し
育休明けに仕事復帰をする時に一番大変なのが子供を預ける保育園探しです。地域により違いはありますが、認可保育園に入園するのはまだまだ競争が激しいですので、情報収集をしっかりしながら保活を行う必要があります。
保育園は4月入園が多くなっています。育児・介護休業法が改正され、育休期間が2歳までに延長することができるようになりましたので、4月入園に合わせて育休を取得することができやすくなりました。
仕事復帰してからの保育園送迎を考えると、自宅近くの保育園に通えるのがよいでしょうが、希望通りにいかな場合もあるので、色々な保育園に通うことを想定して育休明けの生活をイメージしておきましょう。
育休明けの仕事復帰での挨拶のポイント
産休・育休と合わせて多くの人は、1年以上職場を離れていることになるでしょう。久々に職場に出勤する時は、かなり緊張するのではないでしょうか。育休明けで仕事復帰する時には、職場の方への挨拶をきちんとしておくことで、今後の仕事がよりスムーズになるでしょう。
育休明けの仕事復帰の挨拶のポイント
- 無事出産を終えたこと・子供の近況の報告
- 育休中にお世話になったことへのお礼
- 仕事復帰後の仕事に対する意気込み
- 短時間勤務制度を利用することの報告(利用する場合)
直属の上司や一緒の仕事をする同僚には、直接口頭で挨拶するのが基本です。同じ部署に多くの人がいるような会社では、一斉メールを利用すると一度に全員に挨拶をすることができます。
育休明けに退職したい場合
出産する時には、育休を取得して時期をみて仕事復帰する予定であっても、育休中に退職しようかと考える方もいます。
育休明けに退職する方の事情は様々です。子供と過ごす時間を優先するために自宅近くに新たに仕事を見つける人もいれば、旦那さんなどの協力が得られずあえなく仕事復帰を断念する人もいます。
どんな理由にしても育休明けに退職することにした場合には、できるだけ早めに会社に連絡してください。会社側も仕事に支障がないように人員を確保する必要があります。
育休明けの社会保険料
育児休暇を取得している期間は、社会保険料の支払いは免除されます。では、育休明けに、出産前と給がに変わった場合、社会保険料はどうなるのでしょうか。
社会保険料の月額が決まる仕組み
社会保険料は、毎月給与から天引きされることにより支払われています。社会保険料の月額は、それぞれの給与の金額により決定されるため、収入により異なります。支払う社会保険料の額により将来の年金額が決まります。ただ、育児休暇を取得して社会保険料の支払いを免除されている期間は保険料を支払ったと見なされるため、育休取得により将来もらえる年金額が減額されることはありません。
育休明けで短時間勤務を利用した場合の社会保険料
育休明けに短時間勤務制度を利用して給与が減額された場合、それに合わせて社会保険料も減額してもらうことが可能です。また、短時間勤務制度利用により支払う社会保険料が減額された場合でも、将来受給される年金額は産休前の社会保険料を元に計算されます。これを「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」といい、申し出ることで利用することができます。
短時間勤務制度利用による社会保険料の減額手続きを利用するには、会社を通じて日本年金機構に「育児休業等終了時報酬月額変更届」と「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書」を提出する必要があります。
育休明けに短時間勤務制度を利用すると、殆どの場合給料が減ってしまいます。通常のルールですと育休明けの社会保険料は、産休前の給与を元に算出されますので、短時間勤務制度を利用して給与が減額されても、社会保険料は産休前と同じということになります。それでは、手取りが大きく減ってしまいますので、必ず「育児休業等終了時報酬月額変更届」と「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書」を提出して申請してもらうようにしましょう。
育休明けの住民税
給与明細を見ると、給与から社会保険料以外にも色々なものが天引きされているのが判ります。住民税もその一つです。育児休業中および育児休業明けは、住民税の金額や納付方法に変化がありますので、気をつけて見ておきましょう。
住民税の算定と納付方法
住民税の金額は、所得により決められ、毎月の給与より天引きされることで支払われています。前年の1月1日~12月31日までの1年間の所得に対する住民税を、今年の6月~翌年の5月までの12ヶ月に支払います。
育休中の住民税
育児休業制度を利用している間に給与所得がない場合でも、前年に収入があった場合には、住民税を支払わなければいけません。ただ、給与をもらっていないと会社で給与天引きすることにより住民税を納付できないので、個人で納付することになります。
自宅に納付書が郵送されてきますので、納付金額と納付期限を確認して忘れずに納付するようにしましょう。出産直後は何かとお金が必要な時期ではありますが、住民税の支払いを滞りなくできるように、準備しておきましょう。
育休明けの住民税
育休明けは、前年の年収が産休前より減っているので、支払う住民税の金額は前年より減額されます。短時間勤務制度を利用して給与が産休前より減ることになる人は、翌年の住民税も産休前の水準よりは低くなります。
育休明けの生活をスムーズにするためのコツ
育休明けに仕事復帰してしばらくは、育児と仕事を両立させるのに苦労することになるでしょう。育児休暇中に仕事復帰を想定して様々な準備をしておくと、いざ仕事復帰した時にスムーズに過ごすことができます。
一時保育を活用して保育慣れ
仕事復帰すると子供も保育園に通うようになります。今まで、自宅でお母さんやお父さんと過ごしていた子供が急に親と長時間離れて保育園で過ごすことは、大人が思っている以上に大変です。最初のうちは、毎朝保育園に送っていっても親と離れる時に号泣する子供もいます。
仕事復帰をして子供が保育園に通園する前に、親から離れて過ごすことに慣れておくと楽です。近くに一時保育を受け入れてくれる保育園や託児施設があれば、何度か利用してみると良いでしょう。子供も保育慣れができますし、親も子供を預けている間に仕事復帰前の準備をすることができます。
子供の生活リズムを整える
保育園入園に向けて子供の生活リズムを整えましょう。特に、朝は保育園の通園時間に合わせて起きるようにしていきましょう。子供が保育園に通うようになると、朝早く家を出なくてはなりません。朝、子供が機嫌良く起きて朝食を食べてくれると親は助かります。保育園に入園すると、風邪や感染症などをもらう可能性も高くなります。生活リズムを整えておくことが体調管理の第一歩です。
効率よく家事をこなす
育休明けに仕事復帰すると、どうしても家事に割く時間が少なくなってしまいます。育休中に短時間で家事をすませる方法を身につけておきましょう。
- 夜のうちに洗濯する
仕事復帰すると朝はとてもバタバタします。洗濯は夜のうちに済ませておくと、朝の家事が少なくなります。洗濯ついでのお風呂掃除も夜にしてしまうと、翌日帰宅後にすぐに入浴することができます。
- 食材の宅配サービスを利用
仕事を始めるとスーパーに行く時間がなくなります。平日保育園にお迎えに行ってから買い物に行くと、夕食の時間が遅くなるので、週末まとめ買いをする方が多いです。ただ、せっかくの週末を買い出しに時間を取られるのはもったいないです。
生協など宅配サービスを利用して週に1回食材を届けてもらうと、買い出しをする頻度を少なくすることができます。中には、食材だけでなく、オムツ・ティッシュ・洗剤など日用品も購入することができる宅配サービスもあります。
- 料理の作り置きをする
平日、仕事を終えて保育園へ子供を迎えに行ってから、夕食の支度を一から始めるのは大変です。週末や時間があるときに、料理の作り置きをしておくと、平日の食事の支度時間を短縮することができます。常備菜や冷凍できる料理のレパートリーを増やしてみましょう。
おすすめ作り置きおかず
<常備菜>
- ひじきの煮物
- きんぴらレンコン
- きんぴらゴボウ
- 千切り大根の煮物
- カボチャの煮物
<冷凍おかず>
- 肉団子
- 鶏そぼろ
- ハンバーグ
- チャーハン
- ミートソース
- トンカツ(衣を付けて冷凍)
パパの協力
育休明けに仕事復帰してからは、今まで以上にパパに家事や子育てに協力してもらいましょう。初めから家事の分担を決めておいてもよいですし、育休明けからお互いに調整しながら役割を決めておくのもよいでしょう。
パパに協力してもらいやすい家事・子育て
- 朝のゴミ出し
- 食器洗い
- 風呂掃除
- 洗濯たたみ
- 子供の保育園送迎
- 子供の寝かしつけ
育休明けはママも子供も頑張り時
育休明けは、久々の仕事・子供の保育園の送迎・家事とかなりハードな生活になるでしょう。特に初めのうちは子供が保育園に行きたがらず、ママが後ろ髪を引かれながら会社に行くという姿もよく見られます。育休明けすぐは、パパママも子供も頑張り時ですが、仕事を始めることで子供にもまた新鮮な気持ちで接することができるという方も多いですので、初めは大変でしょうが、頑張って乗り切ってください。