赤ちゃんが乗っています!の意味
「赤ちゃんが乗っています」「だから何」ステッカーの意味と目的
「赤ちゃんが乗っています」に対する「だから何?」「うざい」の声。赤ちゃんが車に同乗していることをステッカーで周囲に知らせる本来の意味、また赤ちゃんが乗っていますステッカーが周囲のドライバーの反発心を煽る理由もご紹介。かわいいデザインのステッカーやマグネットは必要ない?
「赤ちゃんが乗っています」に対する「だから何」という声!セーフティサインの役割とは?
「赤ちゃんが乗っています」「BABY IN CAR」という字が書いたステッカーやマグネットを貼り付けている車を時折見かけます。赤ちゃんが車に乗っていることを後続車に知らせるマークですが、妊娠中や産後に車に乗る機会が多いママやパパは「付けた方がいいのかな?」と迷ったり、必要なのか疑問に思ったことはないですか?
「赤ちゃんが乗っています」マークは、ステッカー、吸盤、マグネットで簡単に車体に貼れるだけでなく、道交法などに取り決めのあるマークではないので、デザインが自由でキャラクターものやファッションブランドが手掛ける可愛いステッカーも多く、子育て世代のドライバーなら自主的に気軽に貼る人も少なくありません。
しかし、実はこの「赤ちゃんが乗っています」マーク、つけているだけでブーイングを受けてしまうこともあるのです。
賛否両論ある「赤ちゃんが乗っています」マーク…あなたはどう思う?
「赤ちゃんが乗っています」というステッカーは、車を運転するときに車内に赤ちゃんを乗せていることを、後続車をはじめ周囲へ知らせるセーフティーサイン。初心運転者マークのように道路交通法などで義務付けられたものではなく、身体障害者マークや高齢者運転者マークのように努力義務として規定されるものでもなく、完全に任意で、貼りたい人が貼るステッカーです。
この「赤ちゃんが乗っています」ステッカーは「マタニティマーク」同様、主にインターネット上で賛否両論さまざまな意見が展開されています。
なぜ、こんなにも議論されるほど話題にのぼり、賛成派・反対派と分かれてしまうのでしょうか?
「赤ちゃんが乗っています」ステッカーにはどんな意味があるのか?
多くの方が、本来の目的通り後続車や周囲に赤ちゃんが同乗していることを知らせるために必要と捉えているよう。どうして赤ちゃんが同乗していることを周囲に伝える必要があるのか?その意味はふたつあります。
1.赤ちゃんの命を守る「セーフティサイン」!万が一の事故のときに同乗を知らせる
安全運転を心がけていても「もしも」があり、車の事故による破壊力、ダメージは軽視することは出来ません。「赤ちゃんが乗っています」マークを貼っておくことで、「もしも」の事故のとき、真っ先に助けたい弱い存在がいるということを周囲へ知らせられるのです。
ステッカーにはハガキが同封されていることもあり、これを送ると自動車搭乗中の傷害保険に1年間加入できるものもあります。
車が事故に巻き込まれました。事故直後に、チャイルドシートに乗っていた赤ちゃんを、後続の運転手の方に救出していただきました。赤ちゃんが乗っていると気付けたのは、このステッカーが目に入ったからだそうです。(東京都・ゆみ・36歳)
2.赤ちゃんを乗せている条件下での運転を知らせるため
普段から安全運転を心がけるのはもちろんですが、赤ちゃんを乗せていると、右折や左折時、カーブ前などではいつもより減速し、ゆっくりとした運転になるという方は多いはずです。
『赤ちゃんが乗っています』ステッカーを付ける方は、事故を避けるためにも、以下のようなことを周囲の人に知ってほしいと思っているのです。
- ゆっくり走行します。追い越してもらっても構いません。
- 車間距離を詰めすぎないようにお願いします
- 追突事故にお互い気を付けましょう
しかし、こうした運転する側の気持ちや考えが「赤ちゃんが乗っています」という言葉だけでは伝わらないことも多く、批判や否定的な感情を抱く人もいるようです。
「赤ちゃんが乗っています」ステッカーが批判される理由
「赤ちゃんが乗っています」に対する「だから何?」
赤ちゃんの安全を守るはずのステッカーを貼っていることで、「後続車に煽られた」など怖い体験をし、逆に危険を感じてステッカーを外してました…という方も実際にいらっしゃいます。
このような「赤ちゃんが乗っています」マークへの否定・批判的な感情が生まれる理由としてどのような背景があるのでしょうか?
ステッカーを貼っているのに危険な運転やマナー違反をしている人への不快感
「赤ちゃんが乗っています」ステッカーは、そもそも初心者マークなどのように規定されたステッカーではありません。デザインも自由で可愛いものも多いために、残念ながら「貼りたい」という感覚だけでそもそもの意味もおざなりに安易にステッカーを使用し、挙句にマナー違反をしてしまう一部のドライバーさんがいるのも事実です。
そうした一部のマナー違反を平然としてしまうドライバーに対する不快感が、「赤ちゃんが乗っています」マークへの反発心を煽る結果になってしまっているのです。
無理な割り込みや信号無視、危険な運転をしている車には、「子どもが乗っているなら、安全運転するのが筋じゃないか?」と思う。(千葉県・崇之・25歳)
運転中の車内で、子供が飛び跳ねたり動き回ったり…。義務付けられているチャイルドシートをしっかり着用していればわざわざ赤ちゃんが乗っています!と誇示する必要ないのでは?(神奈川県・かずこ・30歳)
「これを貼っていれば、優先的に渋滞の列に入れてもらえるんでしょ?」なんて身勝手な考えで運転はしてはいけません!「赤ちゃんが乗っています」のステッカーを貼っていれば、横暴な運転やマナー違反が許されるというわけではないのです。
幸せアピールに見える・「(赤ちゃんがいるから)察して」という態度が嫌い
さらには、「赤ちゃんが乗っています」のステッカーの本来の意味が思った以上に分かりにくいことが感じ取れる意見もあります。
赤ちゃんがいる・いないに関わらず安全運転をするのはドライバーの義務なのに、これ以上どうしろというのか?「ゆっくり走ります」とかならわかるけど、「赤ちゃんが乗っています」というのは、他の車に「察して」という一方的な欲求に思えるなどの声もあります。
安全運転は赤ちゃんがいるいないに関係なく車を運転する人の一番基本的な義務。結局赤ちゃんが乗っていますマークは幸せアピールでしかなく不愉快。(北海道・幸・32歳)
「ゆっくり走ります」「早めにブレーキをかけます」という意味は想像できますが、赤ちゃんが乗っている事実だけを伝えて、「察してください」という態度にモヤモヤを感じます!(埼玉県・リョウ・24歳)
周囲の「だから何?」という反発心を煽ってしまう背景には、赤ちゃんが乗っていることを伝える役割以上に可愛さや趣向を凝らしたデザインに重点を置いたことにより、そもそものセーフティーサインとしての意味や意図の分かりにくくしてしまっていることも考えられます。
しかし、セーフティーサインに対して批判的な気持ちがあっても、それがステッカーを付けた車やドライバーへの攻撃という形で現れてしまうことは、絶対にあってはなりません!
「赤ちゃんが乗っています」と道交法に定められる標識との違い
「赤ちゃんが乗っています」には「ご迷惑をお掛けします」という気持ちと「事故のときは赤ちゃんを優先して!」という赤ちゃんの安全への願いが込められていることが分かります。
しかし、「赤ちゃんが乗っています」という言葉からは、「この車には赤ちゃんが乗っています」という事実しか伝わらない!と思う人も少なくありません。
加えて一部のドライバーによるマナー違反に幸せいっぱいの可愛いデザイン…周囲のドライバーに「だから何?」と言う反発心を抱かせてしまっても仕方ないのでは…と思ってしまいます。
同じセーフティーサインといえる初心者マークや高齢運転者マークとはどのような違いがあるのでしょうか?
道路交通法で定められている標識「初心者マーク」「高齢者マーク」「障害者マーク」との違い
「赤ちゃんが乗っています」に否定的な意見を持つ人にも「同じセーフティ・サインでも、初心者マークなら許せる」という声も多くあります。
「初心者マーク(初心運転者標識)」と「高齢運転者マーク(高齢運転者標識)」は道路交通法で定められている標識で、これらは「赤ちゃんが乗っています」とは違い、つける定義や規格がしっかりと決められています。
「赤ちゃんが乗っています」ステッカーは完璧な任意で規定がない
「赤ちゃんが乗っています」マークをつけるかつけないかはドライバーの完全な任意です。自動車学校でも特に習いませんので、つける・つけないはドライバー次第です。
こういってはなんですが、最近では「釣り好きが乗ってます」「沖縄生まれが乗っています」などのパロディステッカーや好きなアーティストのステッカーを貼っている方もいますが、道路交通法としての扱いとしてはすべて同様です。
初心者マークは義務であり、違反者は行政処分となる
初心者マークは、免許証取得後1年間は初心者マークを付けることを義務付けられています。違反すると、「初心者運転者表示義務違反」として、「反則金4,000円・行政処分点数1点」の罰則を受けることになります。つけていたくない人もつけていないといけないマークなので、こうした点からも反発を招く機会が少ないのでしょう。
高齢者マーク・障害者マーク(聴覚障害マーク除く)は努力義務
高齢運転者マークは初心者マークとは違い、「努力義務」ですので「70歳以上で加齢に伴う身体機能の低下が自動車の運転に影響を及ぼす可能性のある」人が表示するように努めるものです。つけなくても特に罰則はありません。
「身体障害者マーク(身体障害者標識)」もよく見かける標識で同様に努力義務の扱いです。「聴覚障害者マーク(聴覚障害者標識)」だけは初心者マークと同様に、表示していないと道路交通法違反となります。
その他「大きさ」「規格の統一」「マークの持つ意味」などに明確な違いがある
上記の道路交通法で定められたマークは、赤ちゃんが車に乗っていることを周囲に知らせるセーフティーサインと比べると、義務か完全な任意かだけではなく明確な違いがあることは否めません。
道交法で定められる標識と赤ちゃんが乗っていますの違い
・規格が統一されている
・車間距離があっても見える
・マークの持つ意味が分かりやすい
規格やデザインが特に統一されているわけではないため、赤ちゃんが乗っていることを伝えるべき理由が曖昧になる部分にも問題があるといえるのではないでしょうか?
「赤ちゃんが乗っています」ステッカーをつけるならシンプルなデザインが無難!
上記のように「赤ちゃんが乗っています」ステッカーは本来の意味が伝わりにくいという難点があります。しかし、赤ちゃんを守る意味合いを考えたとき、やはり重要な役割を持ちます。
あまりにデザイン重視の可愛いステッカーを選んでしまうことにより本来の意味が見えなくなってしまうよりは、「周囲に分かりやすく、なるべく反発心を煽らないシンプルなデザイン」を選ぶのがおすすめです。
「赤ちゃんが乗っています」の発祥エピソード
日本国内で賛否両論ある「赤ちゃんが乗っています」ですが、このセーフティーサインが生まれたきっかけはどのようなものだったのでしょうか?
ステッカー発祥のエピソード
赤ちゃんを乗せた車が事故に遭い、両親は意識不明で病院へ運ばれ一命を取り止めましたが、同乗していた赤ちゃんは事故の衝撃で座席の下に入り込んでしまったため、存在を気付いてもらえずに命を落としてしまいました―――
その後両親は、自分たちのような悲劇が繰り返されないよう、赤ちゃんが乗っていることを知らせるステッカーを広めました。「赤ちゃんが乗っています」のメッセージは、レスキュー隊に対して赤ちゃんの存在を伝えるという意味を持っているとされています。
しかし発祥エピソードは発祥都市伝説だった!
このエピソードは「赤ちゃんが乗っています」の発祥として有名なものなのですが、実は作り話であったと証明されています。
しかし、実際に「事故のときにステッカーがあったから、他の人に赤ちゃんがいると気付いてもらえた」という声もあるため、発祥が何であれ、「もしものときに、レスキュー隊や周りに赤ちゃんの存在を伝える」という意味として重要な役割を持ったセーフティ・サインであることには違いありませんね。
本当の発祥はアメリカの育児メーカーの「追突事故防止」プレート
1984年9月に、アメリカの育児メーカーであるSafety 1st社が、「Baby On Board」と書かれた吸盤付プレートを、追突事故防止の目的で販売し始めたのが最初といわれています。すぐに、このプレートは、アメリカ全土でブームとなり日本にも持ち込まれ、ステッカーとして販売され始めたのです。
その後アメリカでは、「Baby I’m Bored(赤ちゃんが退屈しています)」「Pit Bull on Board(猛犬を乗せています)」など、交通安全を促すものからパロディーグッズに変わっていき2年ほどでブームは去ってしまったとされています。
しかし、交通事故は自分だけが気を付けていても防げるものではないので、赤ちゃんを乗せているときの「追突事故は避けたい」という親御さんたちの心理があったからこそ、「Baby On Board」はアメリカ全土でブームとなったのでしょう。現在の日本で「赤ちゃんが乗っています」ステッカーを付けている人たちの心理も、同様のものといえるのではないでしょうか。
「赤ちゃんが乗っています」は英語で「BABY ON BOARD」
「赤ちゃんが乗っています」には、「BABY IN CAR」と英語表記されたタイプもよく見かけます。
実は、この「BABY IN CAR」は和製英語。英語では「BABY ON BOARD」というのが正解です。
■「BABY IN CAR」は間違い!
「BABY IN CAR」の方が、日本人にとっては分かりやすいかもしれませんが、「BABY IN CAR」っは訳すと「赤ちゃんが車の部品の一部として載っています」となってしまいます…。子の間違いを「ちょっと恥ずかしい…」と感じる人もいるでしょう…。
しかし、正しい英語表記を使って周囲に伝わりにくくなるのなら、周囲に知らせることが目的のセーフティサインの役割を考えると「英語ではなく日本語表記のもの」を選ぶときのポイントにすると良いかも知れませんね。
「赤ちゃんが乗っています」を貼るかはドライバーの自由!マナーを守り、ゆずり合いの気持ちで運転を!
「赤ちゃんが乗っています」ステッカーは、妊婦マークと同様に賛否両輪あり、ステッカーをつける意味が周囲の車に正確に伝わらないことはドライバーも考慮しなければならないでしょう。そのうえで、貼るメリットがあると思うのならつければ良く、違反しているわけではないのならステッカーひとつについて他人にとやかく言われる筋合いもないはずです。
しかし、「赤ちゃんが乗っています」が多くの反対派を生み出しているのは、意味の曖昧さに加え、マナーの問題も大きなポイントとなっているという点は忘れないでください。セーフティーサインは、自分勝手な運転やマナー違反が許されるという免罪符になってはなりません。
大切な赤ちゃんを守れるのは赤ちゃんが乗る車のドライバーでもあるパパやママであり、お互いに優しい気持ちをもって運転できる車社会をつくるのは、全ドライバー一人一人にかかっています。公道を車で走ることは、赤ちゃんが乗っていてもいなくても、みんなが同じルールの下にいるということを忘れずに、その上での配慮やゆずり合いの気持ちで運転するように心掛けましょう。