赤ちゃんのでべそはどうやって治せばいいの?
赤ちゃんの「でべそ」になってしまう原因や「でべそ」の治し方、予防法などについて確認していきましょう。
おむつ替えやお風呂など、赤ちゃんのお世話をしているときに気になる赤ちゃんの「おへそ」。どんなおへそでも可愛いのですが、へその緒が取れてしばらくすると、「あれ?でべそかも?」と特徴的な形に気づくことがあるのです。
赤ちゃんのでべそは2種類ある
赤ちゃんのでべそには、皮膚が少し伸びてプクっと膨らんでいるいわゆる「でべそ」と、そうでない「臍ヘルニア」の2種類があります。ともに、おへその機能には問題がありません。
赤ちゃんはママのお腹の中で、へその緒を通じて酸素や栄養をもらっていました。そして、出産によって外の世界へ生まれ出たことで、へその緒の役目は終わります。通常はへその緒が切られると、おへその穴(臍輪さいりん)が小さくなっていくと同時に、切られたへその緒が縮んで収まってゆくのです。
赤ちゃんがでべそになる原因は?
通常、赤ちゃんのおへそは、切られたへその緒が縮んでおへその穴が小さくなっていくのですが、おへその穴が小さくなっていく過程で何かが起こることで「でべそ」になります。しかし、現在の医学ではその原因が分かっていません。でべそであってもおへその機能に問題がないため、「なるときはなる」と考えておけばいいでしょう。
赤ちゃんのでべそ・臍ヘルニアとは?
生まれたばかりの赤ちゃんは、おへその真下の筋肉が完全に閉じていません。そのため、筋肉のすきまから腸が飛び出してしまうことでおへそがポコっと出てしまいます。これを「臍(さい)ヘルニア」と呼びます。いわゆる「でべそ」とは違う臍ヘルニアの場合、おへそが出ている部分に触れると、プニプニと柔らかく、指で少し押してみると簡単にお腹に戻っていくという特長があります。
「腸が飛び出している」と聞くと心配になってしまいますが、実は赤ちゃんがこの臍ヘルニアになる割合は、日本で産まれた赤ちゃんの約4%しかありません。そして、1歳までに約80%、2歳までに約90%の赤ちゃんが自然に治ると言われています(注1)。
そのため、でべそを普通のおへそに治す外科手術を急ぐ必要はありません。ただ、見た目の問題がありますので、どうしてもでべそが気になる場合は、手術に耐えられる体力がつくのを待って、かかりつけ医とよく相談したうえで行うようにしましょう。
赤ちゃんのでべそ・臍ヘルニアを治すには?
赤ちゃんのでべそは自然治癒する可能性が高いと分かっていても、「そうは言ってももねぇ」と赤ちゃんの将来を心配するのは親として当然のことでしょう。赤ちゃんのでべそである臍ヘルニアを治すにはどうしたらいいのでしょうか。
赤ちゃんのでべそに負荷をかける圧迫療法
臍ヘルニアは、高い確率で自然治癒が望めるのですが、自然治癒だと飛び出した部分の皮膚が伸びてしまうというデメリットがあります。「皮膚が伸びてしまっただけ」という事であれば、身体的に問題はありませんが、やっぱり見た目が気になります。また、赤ちゃんが成長し、皮膚が伸びてしまっていることに対して本人がストレス感じてしまうこともあるでしょう。
それでは、皮膚が伸びてしまう事を防ぐ意味も含め、臍ヘルニアを放置せず治療する場合はどのような治療方法があるのでしょうか。臍ヘルニアの赤ちゃんに対し、多くの病院で実施され注目されている「圧迫療法」という処置があります。圧迫療法とは、医療用のテープでおへそを圧迫する方法です。
圧迫するテープの種類によってかぶれにくいものや、強力に固定できるものなど、さまざまな種類があります。臍ヘルニアが大きい場合は、テープとおへその間に、綿球やガーゼなどを挟んで圧迫する場合もあります。テープの交換時期は、短い場合は2~3日、長い場合は14日と医院により異なりますが、7日間が最も一般的です。
圧迫療法は、とても高い割合ででべそがへこむ効果が認められています。治療期間も数か月である事から望む方も多いのですが、誰でもすぐにできるわけではありません。以下のように適さない場合もあるので注意が必要です。
- 治療開始時期が生後6か月を超える場合
- 皮膚のかぶれにより、度々治療が中断してしまう場合
- 臍輪が6~10cm以上ある場合など
医院によっては圧迫療法などの処置は行わず、経過をみることが最善であると判断する医師もいます。臍ヘルニアの治療方針について不安がある場合は、医師と相談してみるとよいでしょう。圧迫療法を開始して1歳を過ぎても臍ヘルニアが治らない場合は、手術で臍輪を閉じる場合があることも覚えておいてください。
赤ちゃんのでべそには10円玉を貼る?テープを張るだけなら家でもできる?
「赤ちゃんのおへそが日に日に突出している気がするな」と気になりだしてからは、毎日チェックして心配してしまうママが多くいます。近くに頼れるおばあちゃんがいると心強いですが、おばあちゃん世代にでべそについて聞いた際、「10円玉を貼っておけば治るよ」や「テープを貼っておけば治るよ」と教えてもらった人もいるかもしれません。
しかし、硬貨を貼ったり、家庭にあるテープを張るといった行為は絶対にやってはいけません。赤ちゃんの肌は大人と違い、とても繊細で傷つきやすいです。ただ傷つきやすいだけではなく、抵抗力も低いため、テープのかぶれや硬貨の雑菌などで炎症を起こしてしまう可能性があります。赤ちゃんのでべそに関して治療を希望する場合は、自己判断はせずに、必ず小児科医や小児外科医に相談しましょう。
でべそを予防するには?3つのポイント
生まれたばかりの赤ちゃんは、臍輪がしっかり閉じていないため、誰でもでべそになってしまう可能性があります。普段から気を付けることで、でべそを予防することができますので、一つずつ確認してみましょう。
1.なるべく腹圧がかからないようにする
臍輪がしっかり閉じるまでは、お腹に力が入ると、おへその部分に腸が出てきてしまいます。お腹に力が入る行動は、大きく分けて2つあります。
泣いている時
「赤ちゃんは泣くことが仕事」と言われるほど、お腹がすいたとき、おむつを替えてほしい時、機嫌が悪い時に泣きます。大きな声で泣くとお腹にかなりの圧がかかるため、臍ヘルニアになりやすくなってしまいます。しかし、赤ちゃんに「泣かないで!」という事はできません。臍ヘルニアが気になる場合は、なるべく泣く時間が短くなるようにしてあげることも、臍ヘルニアの予防に役立ちます。
例えば、室温が快適になるよう調整してあげることで、赤ちゃんが不快に感じて泣き出してしまう回数を減らすことができます。また、泣き出してしまった場合、できるだけ早く要求に応えてあげることで、泣いている時間を短くすることもできます。
ただし、なぜか夕方に理由もなく泣き始める「黄昏泣き」のように、原因となるものがない場合は、泣き止ませるのが容易ではないでしょう。その場合は、あまり気負いせずに外の風に当ててあげたり、一緒に遊んであげたり、ママがリラックスするよう心がけてください。
きばっている時
赤ちゃんは、泣いている時だけではなく、うんちをする時にきばることで、お腹に圧がかかります。スムーズにうんちが出るようであれば問題ではありませんが、便秘気味の赤ちゃんの場合は、きばる頻度や時間が長くなってしまいますので、その分、臍ヘルニアになる可能性が高くなります。うんちが出なくて苦しそうだなと気づいたら、お腹を「の」の字にさすってあげて排便を促してあげたり、医師に相談するなどで、対処してあげてください。
2.お風呂の時に赤ちゃんのおへそをチェック!
生まれたばかりの赤ちゃんの場合は、授乳やおむつ替えの頻度が高いため、なかなか赤ちゃんの体をじっくり観察する時間が取れません。おむつ替えの度におへそやお尻に異常がないかを見るママもいますが、なかなか時間が取れないママは、お風呂の時にチェックしてあげましょう。
お風呂の時間は、おへそだけではなく全身をチェックするのに最適な時間です。毎日のお風呂でしっかりチェックしてあげることで、でべそも早めに発見することができます。今日からでもいいので、しっかりチェックしてみてください。
3.こんな時は病院に相談しよう!
臍ヘルニアは、自然治癒も目指せる病気ですが、ひどい場合はピンポン玉くらいの大きさになってしまう場合があります。さすがに大きくなりすぎると、ママも心配になってしまいます。また、赤ちゃんのおへそのトラブルは臍ヘルニアだけではありません。
へその緒が取れた後、へその緒の一部が肉の塊となってしまう「臍肉芽腫(さいにくげしゅ)」や、へその緒が取れた後の傷口から細菌が入ってしまい、おへその周りが赤く腫れ、膿が出てくる「臍炎(さいえん)」という症状もあります。
少しでも「変だな」と感じたり心配な事があった場合は、迷わず小児科や小児外科の医師に相談してみましょう。
赤ちゃんのでべそは、心配しすぎず様子を見てあげましょう
「生後1か月頃は赤ちゃんのでべそを気にしていた」というママでも、気づくと気にならなくなっていたという声をよく聞きます。「でべそかな?」と気になった場合でも、しばらく様子を見てあげましょう。「日に日に突出してくるな」と感じた場合は、パパや他の家族にも一緒にチェックしてもらい、経過を見てもよいですね。
ママがあまり心配しすぎてしまうと、その気持ちが赤ちゃんに伝わってしまい、赤ちゃんの気持ちが不安定になってしまいます。毎日のお風呂やおむつ替えなど、お世話の合間にしっかり観察したり、予防したりしつつ、おへその様子を見てあげてください。心配な場合はすぐに受診しても良いですし、1か月健診や予防接種のタイミングで受診し、医師に相談してみてもよいでしょう。