育児・お世話

把握反射と赤ちゃんの発達

把握反射はいつまで見られる?消失しない場合は異常?

「把握反射」とは、生まれたばかりの赤ちゃんの手のひらに指で刺激を与えると、握り返してくる原始反射のことです。とても可愛らしい反射運動ですが、実はこの把握反射は赤ちゃんの発達や前頭葉の異常を知らせる大事なサインでもあるのです。把握反射が見られる時期や異常反応を解説します。

ママやパパの手をぎゅっ!可愛い「把握反射」とは?

生まれたばかりの赤ちゃんの手のひらに指をあてると、握り返してくれることに気がつきましたか?手指をぎゅっとしがみつくように握り返してくる仕草は本当に可愛らしいですね。実はこれ、赤ちゃんが生まれながらにして持っている原始反射のひとつ「手掌把握反射」と呼ばれるものです。
これらの原始反射は赤ちゃんがお腹の外で生きていくために必要な動きとされています。把握反射は赤ちゃんがお母さんの腕の中から落ちないように、人間の祖先に備わっていた反射の名残だとも言われています。
赤ちゃんの把握反射を見ていき、赤ちゃんの発達との関わりを解説します。

新生児の反射運動には様々な種類があり、初めて子育てをされるお母さんは「これ正常なの?」など戸惑うことも多いはずです。そんなお母さんに向けて赤ちゃんの反射の種類や消失時期、異常反応について解説します。

「手掌把握反射」「足底把握反射」とは?

生後間もない赤ちゃんには、原始反射と呼ばれる赤ちゃん特有の動きが見られます。原始反射は、特有の刺激に対して反応を示す中枢神経系由来の反射行動とされます。

原始反射のひとつである把握反射とは、赤ちゃんの手のひらに物や手指が触れた時に強く握り返してくるといった動きを指します。また、足の裏でも同じような動きが見られるので足にも把握反射があります。足の裏の指に近い場所に何か触れると足の指を曲げて握ろうとします。この把握反射は脊髄レベルで起こる反射とされて原始反射の代表的な反射の動きです。

手のひらを握るのを「握り反射」「手掌把握反射」といい、足の裏や足の親指の付け根を刺激すると指が5本ともぎゅっと丸まる反射を「足底把握反射」と言います。

把握反射が見られる時期や異常反応とは?

把握反射とはいつから、いつまでに現れるものなのでしょうか?また、把握反射の異常とはどのような状態なのか確認しましょう。

把握反射が見られる時期と消失時期

把握反射が見られる時期と消失時期ですが、だいたい生後まもなくに反射が見られて、生後5~6ヶ月には消失します。足の裏の把握反射は、さらに1~2ヶ月長く続いて、その後消失します。個人差がありますが、赤ちゃんの脳が発達してくることで原始的反射が必要なくなり、消失していくのが正常な発達とされています。
生後6ヶ月以前の赤ちゃんには正常と認められる把握反射ですが、成人に症状が現れる際には対する側の前頭葉損傷の疑いが生じます。生まれたばかりの赤ちゃんの脳と成人の脳にはたくさんの違いがあるようです。

実はママたちが反射を見られるのは生後まもなくですが、赤ちゃんはお腹の中にいる妊娠28週頃には把握反射が出現し、その後32週頃には反射が成熟しているそうです。エコー写真で赤ちゃんがへその緒などをぎゅっと握っている姿を見たことのあるママもいるのではないでしょうか?これも把握反射による行動のひとつです。

把握反射が見られない赤ちゃん

ここでいう把握反射が見られない赤ちゃんとは、そういった反射が消失していった赤ちゃんではなく、生後6ヶ月以前にもかかわらず、把握反射の動きが一切みられない赤ちゃんや把握反射の動きが弱い赤ちゃんのことです。

多くの場合は反射が見られないというよりは動きが弱く外部に分かりづらいというケースが多いのですが、場合によっては重度の脳障害や上部脊髄などの障害、また先天性脳障害などのことがあります。同様に足の把握反射がないといった異常時は、頭蓋内出血や重度の脳障害、上部脊髄障害の場合があります。

把握反射が消失しない赤ちゃん

また、把握反射が見られた赤ちゃんが消失すべき時期に消失しない時にも注意して見る必要があります。消失すべき時に消失しない赤ちゃんは、脳障害の疑いがあります。乳児健診ではこの赤ちゃんの原始反射の有無などを診ますので少しでも気になるというママは、乳児1ヶ月健診や3~4ヶ月健診で必ず専門医師に相談しましょう。
赤ちゃんの反射の動きで、赤ちゃんの脳機能や中枢神経の発達や成熟度などをチェックできます。発達の異常などは、自己判断が非常に難しいので専門機関に相談しながら様子をみることが大事です。

赤ちゃんの脳性麻痺

脳性麻痺とは、脳の一部の障害が認められることで赤ちゃんの発達や成長の過程において主に運動や知能などの発達の遅れとして顕著に現れます。重度であればあるほど、早期にそしてはっきりした症状として現れますが、生後6ヶ月まではなかなか気付くことが容易ではなく発見が遅れてしまいがちです。
また子どもの成長に応じて症状も変化していきますが、手足が突っ張る、硬くなる、意志と無関係に手足が動く、身体に力が入らなくなるなどの症状として固定化され、いつまでも残るということがあります。

6ヶ月の赤ちゃんの成長の様子や、夜泣きや生活リズムの乱れ、離乳食を食べないなどのお悩みの対処法や時短テクについて解説します。赤ちゃんの発達を促す関わり方、遊び、おもちゃについても紹介しています。
生後間もない赤ちゃんの症状としては
生後6ヶ月から1歳前後の赤ちゃんの症状は

などといった症状が目立ちます。運動発達の遅れとは、生後4ヶ月頃から順を追って現れる寝返りやお座り、ずりばい、ハイハイ、つかまり立ち、あんよなどといった乳幼児に見られる発達が健常児よりもはるかに遅く現れます。
生後6ヶ月以降になると赤ちゃんにはっきりと脳性麻痺が原因となる症状が現れ始めます。乳児健診の6ヶ月健診などで発見出来たリ、診断されることが多いです。
気になることがあれば早めに小児科専門医師を受診することをおすすめします。

把握反射でスキンシップ&発達の確認を!

把握反射は睡眠時間が長く、視力も発達していない新生児期の赤ちゃんとママたちのスキンシップとしても活躍していますよね。そして把握反射は赤ちゃんの発達の異常を知らせるためにも重要な役割を果たすということが分かりました。
把握反射が弱く、外部からは感じられないということがほとんどなので、過敏に心配しすぎる必要はありませんが、ママやパパが「なにかおかしい」と感じた時のチェック項目として、「把握反射」の特徴を覚えておいても損はないでしょう。気になるようなことがあったら専門医師に相談しながら、赤ちゃんの発達を見守っていきましょう。