離乳食の青のりレシピ
離乳食に青のりを加えて栄養アップ!あおさとの違いは?
離乳食に青のりはいつから使えるのか、アレルギーのリスクや1回に与えて良い量、鉄分・ヨウ素などの栄養素を解説。お粥に混ぜるだけでもOKですが、離乳食中期・後期・完了期の青のりを使ったおすすめレシピも紹介します。あおさ粉との違いや保存のコツを覚えて、離乳食に青のりを取り入れましょう。
離乳食に青のりはいつから?栄養価が高い青のりをトッピング!
離乳食に青のりは味付けや風味付けに積極活用したい食材です。青のりとは、糸状の海藻で、一般的には天日干しの後、粉末状にされたものを指します。スジアオノリ、ウスバアオノリ、ヒラアオノリといった種類がありますが、特にスジアオノリは香りがよいとされています。
青のりを使った料理の例を挙げてみると、お好み焼き、たこ焼き、焼きそばのトッピングとして風味と彩り添えに使われていることが多く脇役のイメージが強いのではないでしょうか?
しかし、青のりは少量でもとても鉄分などの含有量が豊富で栄養価が高く、食べる量の少ない赤ちゃんの離乳食にはぜひ取り入れたい食品・海藻です。そんな青のりをどのように離乳食で活用していくのかご紹介します。
青のりは中期ごろ(月齢7ヶ月・8カ月)からお粥などに混ぜて使おう!
青のりはごく少量であれば消化の負担にもなりにくいため、離乳食を開始した1~2ヶ月後、月齢7~8カ月頃から使うことができます。
ただし、青のりは乾燥した粉末状なので、誤って気管などに入ると赤ちゃんがむせてしまうこともあり得ます。乳幼児の場合、「苦しい思いをした」などの嫌な記憶があるとその後青のりが嫌になることもあり得ますから、飲み込みやすくするためお粥などに混ぜて与えるのが基本です。
また、市販の青のりは加工工程においては加熱処理がされておらず、そのまま素干ししたり、熱風にあてて粉末状にされています。
衛生管理された工場で加工されるので、お粥にそのまま乗せても大きな問題はありませんが、心配なママはお粥にふりかけて混ぜてからレンジ等で軽く温め、加熱して使うようにしましょう。
青のり自体のアレルギーリスクは低いがエビ・カニの混入に注意!
青のりそのものにはアレルギーの心配は少ないのですが、青のりは網を使って漁が行われるため、エビやカニといったアレルギーを引き起こしやすい食材が混じっている可能性もあります。
エビやカニは、アレルギーを重篤な症例の多いため、食品衛生法において特定原材料の7つの中に指定されています。このため、青のりのパッケージには、「エビやカニが混入している可能性がある」といった旨のアレルギーに関する注意喚起が記載されていることがあります。
エビやカニは1歳未満の赤ちゃんに与えたことのある人は少ないでしょうから、アレルギーの有無がわからない人が大半なはずです。
少量の青のりに含まれる微量のエビやカニでアレルギー反応が起こることは稀ですが、食べさせる際には念のため赤ちゃんの様子に変化がないか観察しましょう。
青のりに含まれる栄養素
青のりには赤ちゃんに必要な養素がたっぷり含まれています。使う量こそ少量ですが、お粥などにふりかけるだけでも良いので、手軽に栄養価をアップできるのは大きなメリットです。
赤ちゃんの貧血予防に欠かせない「鉄分」
貧血予防に欠かせない鉄分が青のりにはたっぷり含まれています。厚生労働省が策定した日本人の食事摂取基準2015によると離乳食期の赤ちゃんが1日に摂りたい鉄分の量は3.5㎎程度です。
青のりはひとつまみ0.1g程度には約0.07㎎の鉄分が含まれるので、少し風味づけに使うだけでも鉄分を補うことができます。
緑黄色野菜に含まれる「βカロテン」も含まれる!
免疫力を高める効果が期待できるβカロテンは、緑黄色野菜に特に多く含まれている栄養素ですが、青のりを構成する色素の成分にも含まれています。
その量は緑黄色野菜かどうかの判断基準となる100gあたりの含有量600μgの3倍以上である21000μgという多さです。
栄養素をエネルギーに変換するための「ビタミンB群」も豊富
青のりには体内で栄養素をエネルギーに変える際に必要となるビタミンB群が多く含まれており、特に貧血予防に必要なビタミンB12の含有量が突出しています。
青のりひとつまみで0.03μg含まれていて、これは離乳食期の赤ちゃんが1日に摂取するべき目安量の6%に相当します。
神経細胞の発達に必要な海藻類に多く含まれる「ヨウ素」
神経細胞の発達やエネルギーの代謝に必要な甲状腺ホルモンのもととなる栄養素がヨウ素です。ヨウ素は青のりを含めて海藻類には特に多く含まれています。
離乳食期の赤ちゃんが1日に摂取する目安量は100μgで、青のりひとつまみでその3%程度を摂取できます。
ヨウ素の摂りすぎには注意!
ヨウ素は世界的には不足が問題となりがちな栄養素ですが、日本人は海藻類を食べる習慣があるため、不足よりも過剰摂取の方が心配されています。
ヨウ素は健康な人であれば摂取量がオーバーしてしまっても排泄によって調節されますが、長期間の過剰摂取は健康を害する恐れがあります(注1)。
日本人は伝統的な食生活によりヨウ素の過剰摂取による影響を受けにくいと考えられていますが、日本でも過剰摂取によって健康に害が生じた例が報告されています。
ヨウ素の上限摂取量は青のり9gに相当
厚生労働省が定める日本人の食事摂取基準2015においても、ヨウ素は摂取上限量が定められていて、生後6か月~2歳までの摂取上限量は250μg/日です。
この量は青のりで換算すると約9gに相当し、青のりだけで摂取することは難しい量です。
しかしながら、ヨウ素はそのほかの海藻や動物性食品、例えば肉、牛乳、あじやさばなどの青魚にも含まれています。これらの食材に加えて青のりをたくさん使いすぎてしまうと、上限を超えてしまう可能性もでてくるので注意しましょう。
離乳食での青のりの使い方
青のりは栄養たっぷりなので離乳食にぜひ取り入れたい食材ですが、市販のものを選ぶ際にチェックすべきポイントがあります。
青のりの選び方~あおさ混合タイプもあるので原材料をチェック!
市販の青のりとして販売されているものの中には、あおさが混じっているものがあります。
これは、あおさの方が安価であることやあおさのことを青のりと呼ぶ地域があることなどが関係しています。
青のりとあおさの違い
青のりとあおさは同じ海藻ではありますが、品種分類や栄養素には違いがあり、栄養価が高いのは青のりの方です。両者の違いをご説明します。
青のりは「アオノリ属」・あおさは「アオサ属」に属し、見た目も異なる
青のりとあおさは、緑藻(りょくそう)アオサ目までは同じですが、青のりは「アオノリ属」に、あおさは「アオサ属」の海藻です。
わかりやすい見分け方としては、青のりが糸状の海藻で乾燥すると粉末状になるのに対し、あおさは葉っぱの形をした海藻なので乾燥させるとフレーク状になるといった点が挙げられます。
また、青のりの方がくちどけや香りが良く、あおさよりも値段が高いことが多いので、スーパーでなんとなく購入した商品は「あおさ」だったという方もいるのではないでしょうか。
栄養価の高さでは「あおさ」より「青のり」に軍配が上がる
青のりとあおさは、栄養価も大きく異なります。
あおさは青のりに比べて鉄分は約6%、βカロテンは約13%、ビタミンB12は約0.4%しか含まれていません。
青のりではなく、あおさを使用すると栄養価が大幅にダウンしてしまうので注意しましょう。離乳食には、青のりを使用することをおすすめします。
青のりを与える量は1回にひとつまみ程度
青のりは粉末なので大量に使うと飲み込みにくくなる恐れがあります。
離乳食1回あたりに使う青のりの目安の量は、風味づけ程度のひとつまみ(約0.1g程度)です。
青のりは冷凍保存がおすすめ!
青のりは高温多湿に弱く、紫外線に当たるとすぐに茶色く変色してしまうデリケートな食材です。
元々乾燥している食材なので水分量も少なく、凍り付く心配も少ないので、開封したら冷凍保存がおすすめです。冷蔵庫や冷暗所でも保存できますが、その場合もしっかり密封しましょう。
青のり使用の離乳食のレシピ
青のりは風味づけ程度に使うだけで栄養価をUPさせられますが、赤ちゃんにとっては粉末で食べにくさもあります。食べにくさをカバーし、栄養を効率よくとれる離乳食のレシピをご紹介します。
中期(7カ月・8カ月)の青のりレシピ|お粥や豆腐などにトッピング!
最初はお粥に混ぜてひとさじからスタートがおすすめです。
慣れてきたら食べ慣れている食材に風味付けで混ぜていきましょう。
青のりのお粥
材料
- お粥 50g
- 青のり ひとつまみ
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お粥に青のりをかけて電子レンジ600Wで20秒加熱します。
青のりと納豆の豆腐和え
材料
- ひきわり納豆 小さじ1
- 豆腐 大さじ1
- 青のり ひとつまみ
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すり鉢に材料をすべて入れてすりつぶします。
後期(9カ月~11ヶ月)の青のりレシピ|貧血が気になる時期は風味付けに積極利用
生後9カ月を過ぎたら、赤ちゃんの貧血予防にも気を配りましょう。
鉄分強化のために動物性のたんぱく質との組み合わせや、鉄分の吸収率をUPさせるビタミンCをたっぷり含み青のりの食べにくさもカバーする芋類に混ぜてみましょう。
じゃがいもの青のりボール
材料
- じゃがいも 30g
- 青のり ひとつまみ
- お好みで塩やバター少量
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じゃがいもは皮をむき、水に浸してあくをぬいたらラップに包んで電子レンジ600Wで1分加熱してラップの上からつぶします。
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じゃがいもに青のりを混ぜて赤ちゃんの一口大に成型します。少量のバターや塩を混ぜても大丈夫です。
しらす・にんじん・青のりの軟飯おにぎり
材料
- しらす 小さじ1
- にんじん 10g
- 青のり ひとつまみ
- 軟飯 80g
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しらすは熱湯をかけて塩抜きし、にんじんはみじん切りにしてラップに包んで電子レンジ600Wで30秒加熱します。
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ボウルに温かい軟飯としらす、にんじん、青のりを入れて混ぜ合わせ、赤ちゃんの一口大のおにぎりを作ります。
完了期(1歳以降)の青のりレシピ|お好み焼き・おやきなどに多めに混ぜて!
1歳を過ぎると、お好み焼程度の固さも食べられるようになってきますが、誤嚥防止のために青のりは生地の中に混ぜてあげましょう。
また、市販のお菓子でも青のり味があるように、手作りおやつにも青のりは利用できます。えびは1歳以降から赤ちゃんに与えて構いませんが、はじめて食べさせるときは少量からにしてください。
ベビーお好み焼き
材料
- 豚ミンチ(赤身) 15g
- キャベツ 30g
- たまねぎ 10g
- あおのり ひとつまみ
- かつおぶし ひとつまみ
- 小麦粉 大さじ2
- 卵 大さじ1/2
- 水 大さじ2
- サラダ油 少々
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たまねぎはみじん切り、キャベツはみじん切りにしてラップに包んで電子レンジ600Wで20秒加熱します。
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ボウルにサラダ油以外の材料をすべて入れて混ぜ合わせます。
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フライパンを熱してサラダ油を薄く敷き、生地を赤ちゃんが食べやすいサイズに流し入れて、両面をしっかり焼きます。
桜えびと青のりのクラッカー
材料
- 桜えび(乾燥) 大さじ1
- 青のり 小さじ1
- 薄力粉 50g(1/2カップ)
- アルミ不使用ベーキングパウダー 小さじ1/4
- オリーブオイル 大さじ1
- 水 大さじ1と1/2
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ボウルに薄力粉とベーキングパウダーを入れて混ぜ合わせ、さらに桜えびと青のりを加えて混ぜます。
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1にオリーブオイルと水を加えて混ぜあわせ、一つに丸めてラップに包み、冷蔵庫で1時間程度寝かせます。
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2を平らに薄く伸ばし、包丁かスケッパーで切り分け、フォークで穴を開け、オーブンを180℃に温めて10分程度焼きます。
離乳食に青のりは栄養価が高くて味付けにも便利な食材
青のりは、離乳食では風味付けや味付けに活用できる便利な食材です。赤ちゃんのご飯は薄味が基本で、塩や砂糖、醤油などの調味料は控えめにする必要がありますが、青のりの香りは赤ちゃんの食欲を刺激してくれます。
また、青のりはほんの少しだけ取り入れるだけでも栄養価がUPします。青のりはあおさに比べるとやや高価ですが、1度に使う量は少量です。下ごしらえが不要なので手軽に使えて、保存も冷凍すれば湿気や変色も防げます。
効率的な栄養摂取のためにも、離乳食にはあおさではなく、青のりを使うことをおすすめします!
参考文献