赤ちゃんの気になる舌の色!ピンク色以外の色が付く理由
健康な赤ちゃんはほっぺやおててだけでなく、舌の色もピンク色です。ですが、赤ちゃんの舌が白や黒、紫色になったり、模様がついたりすることがあります。
これはどのような状況なのか、どのような理由で色が変わるのか見ていきましょう。
健康な赤ちゃんの舌はピンク色
生まれたての赤ちゃんの舌の色は、ほとんどの場合ピンクです。もちろん、ピンク色の舌は健康な証拠でもありますので赤ちゃんだけでなく大人でも、舌がピンク色なら体調が良いことを示しています。栄養状態や体調によってはっきりとしたピンクというよりは薄い赤~薄いピンクに変わることもありますが、いずれにしてもピンク系統の色や赤い色なら特に問題はないと判断できますよ。
舌がピンク色でない場合は注意して観察
舌がピンク色なら特に問題はありませんが、白くなっているときや緑っぽい色のとき、黒いときはちょっと気をつけて様子を観察する必要があります。
舌が白いとき
舌のざらざらした部分にミルクや母乳がついてしまって、舌全体が白っぽく見えるときがあります。飲んでから少し時間が経過すると、自然に白色が消えますが、なかなか消えないときや、白色が層状に蓄積しているときは、ガーゼなどで軽く拭いて取ってあげるようにしましょう。
舌が黄色~茶色のとき
ミルクや母乳が舌に付着して、取れないまま時間が経つと、色が黄色から茶色に変色してしまうことがあります。このように変色してしまうと、ガーゼで軽く拭いた程度では取れなくなってしまいます。
一気に全部取ろうとするのではなく、濡らしたガーゼで色が変色した部分をふやかしながら、何回にも分けて取るようにしましょう。
黄色や茶色の苔状の汚れが、濡らしたガーゼでもふやけて柔らかくならないときは『口腔カンジダ症』や『溶連菌感染症』にかかっている可能性があります。『口腔カンジダ症』は、口の中に生えるカビによる病気です。鵞口瘡(がこうそう)とも呼ばれます。
口腔カンジダ症の病原菌は健康な人でも唾液1ml辺り10~100個ほど存在していますが、通常は発症することはありません。
ただし、免疫力が弱くなっているときや免疫力が弱い乳幼児や高齢者は口腔カンジダ症の病原菌により症状が発生し、舌にカビが付着したりカビの舌に赤いただれが見られたり、口腔内に痛みを感じたりすることがあります。
『溶連菌感染症』は、12月~3月の空気が乾燥しやすい時期にかかりやすい感染症です。罹患すると発熱やのどの痛みだけでなく、白や赤のぶつぶつが舌にできたり(イチゴ舌)、全身に発疹ができたりすることもあります。
『口腔カンジダ症』の病気も『溶連菌感染症』の病気も専門の処置が必要となりますので、疑わしい症状が見られたときは、すぐに病院に行くようにしましょう。
舌が緑色~黒色のとき
内服薬の色が付着して、舌が緑色や黒色に見えているときは心配する必要はありません。ですが、雑菌が繁殖して緑色~黒色の汚れが発生しているときは、赤ちゃんの舌や頬の裏、歯茎などの汚れが付いている部分をガーゼや綿棒等を使ってキレイに拭いてあげましょう。
赤ちゃんが普段使用している哺乳瓶やマグなどの汚れやカビが原因かもしれませんので、今一度、哺乳瓶の乳首部分やマグなどの赤ちゃんが口にするものを確認し、消毒・殺菌するようにしてください。
赤ちゃんの舌は汚れがつきやすい
初めは鼻で呼吸をしていた赤ちゃんも、1歳くらいになると鼻呼吸と口呼吸の両方を使い分けるようになります。
赤ちゃんが口呼吸をするようになると、口の中が乾燥しやすくなってしまい、雑菌が繁殖して色が付きやすい状態になってしまいます。
口呼吸をする理由
鼻で呼吸をすると、鼻の穴は小さく、鼻毛などのフィルターを通して空気を吸い込みますので、病原菌は体内に入りにくいのですが口で呼吸をすると、フィルターなしに空気を吸い込みますので病原菌が体内に入りやすくなってしまいます。
そのため、口呼吸の割合が多い人は、風邪などのウイルス性の病気にかかりやすくなってしまいます。
舌に色が付着しないためにも、また、感染性の病気から体を守るためにも、なるべくなら生まれたときと同様、鼻呼吸で生活していくことが勧められます。
ですが、鼻が詰まっているときや前歯が出ているときなど鼻呼吸が難しい状態や口が開いてしまう状況のときは自然と口呼吸をするようになり、口呼吸が習慣化することで鼻呼吸をしないようになってしまいます。
- 赤ちゃんの口臭が気になる!考えられる原因と対処法
赤ちゃんの口臭の原因はミルクや母乳、離乳食などが該当します。その他もの口の乾燥や病気の可能性もあるのでできる限りのケアをしてあげましょう。赤ちゃんの口臭が酸っぱい・チーズの臭いがする原因と対処法です。
口呼吸を予防する方法
一度、口呼吸を覚えてしまうと、鼻呼吸の割合が減り、感染症に罹患する確率が上がり、口臭や舌の汚れが増える可能性も大きくなります。
赤ちゃんが口呼吸をしないためには、次の4つのことに気を配ることが大切です。
口呼吸予防のための注意点
1.前歯が生えてきたとき、歯が反っていないか確認します。反っていると思えるときは、歯科医師に見せて相談するようにしましょう。
2.鼻が詰まっていないか、毎日何度も確認します。汚れや鼻水が詰まっているときは綿棒や吸引機で適時取ってやり、風邪の症状で鼻づまりを起こしているときは、早めに病院に受診して、症状を長引かせないようにします。
3.指しゃぶりやおしゃぶりを加えるくせを長引かせないようにします。指しゃぶりやおしゃぶりを長時間行うと、前歯が反ってしまい、口が開きやすくなってしまいます。
4.口をしっかりと閉めるように赤ちゃんに指導します。あまりに小さいときは難しいですが、2~3歳になったら「お口はしっかり閉めようね」とこまめに注意を促すことで、口内乾燥と口呼吸を予防することができます。
赤ちゃんの舌に模様ができたとき
赤ちゃんの舌に、白い円形やまだらの模様が見られることがあります。これは地図状舌と呼ばれる症状で赤ちゃんによく見られるものです。地図状舌の症状と治療について見ていきましょう。
地図状舌の症状
地図状舌は、正式には『剥離性限局性舌炎』と呼ばれる口腔内の粘膜疾患です。初めは舌の表面に白いまだら模様が見られ、その白い模様が剥離すると赤いまだら模様になります。
剥離するスピードは部位によって異なりますので、一日に何度も模様が変わったり赤や白の模様の位置が変わったりします。
舌は炎症状態にありますが、口腔内カンジダ症とは異なり痛みを感じることはほとんどありません。ただし、刺激の強い食べ物や味の濃い食べ物・飲み物を口にすると舌にしみるように感じることがあります。
地図状舌になりやすい人とは
乳幼児の15%は地図状舌にかかります。また大人でも1~2%はかかると言われていますが、特に女性がかかることが多いため、妊娠中の女性がかかることも少なくありません。
症状は人によっては数日で見られなくなることがありますが長引くと数週間も症状が続くこともあります。
地図状舌の治療
地図状舌は痛みもないので、時間が経てば自然治癒します。そのため、地図状舌のための特別な治療を行うことはありません。
ですが、舌の溝やしわが多かったり深かったりする『溝状舌』の場合は、溝に汚れや細菌がたまりやすく、炎症が起こりやすくなります。
『溝状舌』は先天的な遺伝によるものと、やけどによって、もしくは感染症にかかって、免疫力が低下してなってしまう後天的なものがあります。
いずれの場合も『溝状舌』を直接治療することはできませんので、舌にブラシを当てるなどして、常に口腔内を清潔に保つことで地図状舌になったり、その他の感染症に罹患したりすることを防ぐことができます。
赤ちゃんの舌の健康を保つ!舌ケアの方法
赤ちゃんの舌の健康を保ち、いつでもピンクのキレイな舌でいられるために、普段から舌をケアする習慣をつけるようにしましょう。
舌をキレイにする方法
清潔なガーゼを人差し指に巻き、優しくなでるように舌の汚れや苔状物を取り除きます。汚れがひどいときは、ガーゼを予め濡らしてから、指に巻いて汚れの部分をこする方が良いでしょう。
ガーゼではどうしても力の入れ加減が分からないという方は、赤ちゃんでも使用できる専門の舌クリーナー(舌用ブラシ)を使ってこすります。
ガーゼを使う場合でも舌クリーナーを使う場合でも、赤ちゃんが嫌がらないように短時間かつ強すぎない力でこすることがポイントです。赤ちゃんは皮膚が薄いので、舌の皮も大人よりは薄くなっています。力が強すぎると出血してしまいますので、軽くなでるようにケアしてあげましょう。
いつから舌の掃除は歯が生えてきてから
舌の掃除は、乳歯が生えてきてからするお母さんが多いです。もちろん、乳歯が生える前でも、舌の白さが気になるときは清潔なガーゼで拭いてあげても良いですが、唾液が天然の感染症予防の薬になりますので、あまり神経質になる必要はありません。
ですが、ミルクや母乳に含まれている糖分が口腔内にいつまでも残っていると、生えてきたばかりの乳歯が虫歯になってしまう可能性もありますので、食後に歯をガーゼで拭くついでに舌もガーゼでやさしく拭いてあげるようにしましょう。
ちなみに舌だしは大丈夫?舌ペロの理由は?
赤ちゃんを見ると、かなり頻繁に舌が出てることがありますよね。舌をペロっと出しているのは確かにかわいいのですが、いつも出すと言うことは何か特別な理由でもあるのでしょうか。
舌が良く出るのは生後3~5ヶ月頃
早い赤ちゃんでは生後1ヶ月頃から、遅い赤ちゃんでも生後3ヶ月頃になると、頻繁に舌を出すしぐさをするようになります。これは、まだ舌の動きを自分でコントロールできないためと言われていますので、舌を出していることが多いからと言って、即病気だと判断することはできません。
生後3ヶ月を過ぎ、自分で舌の動きをコントロールできるようになると、次のような理由で舌を出すようになります。
生後3ヶ月過ぎの赤ちゃんが舌を出す理由
・乳歯が生える時期なので歯茎がむずがゆく、舌でかゆみを取り除こうとしているから。
・お腹が空いたから。
・舌を動かすのが楽しいから。
・舌が唇に当たったり歯茎に当たったりする感触が楽しいから。
舌を出している時間が長いときは病気の可能性も
舌を出している時間があまりにも長いときは、病気にかかっていたり、何らかの障害があったりする可能性もあります。
口呼吸になっているために舌を出している
鼻が詰まっていて、口呼吸になっているために舌を出していることもあります。鼻が詰まっていないかチェックするだけでなく、ミルクや母乳を飲むときに、乳首を離して口で息継ぎをしていないかチェックしてみてください。
風邪などの感染症にかかっていたり、アデノイド肥大になっていたりすることもありますよ。
クレチン症のために舌を出している
先天性の障害のために甲状腺が分泌されにくくなる『クレチン症(甲状腺機能低下症)』のために舌が肥大し、長い舌が口の中に収まりきらずにいつも出ているということもあります。
クレチン症の場合は、生後すぐ~1ヶ月健診(新生児健診)の間に気付くことがほとんどですが、稀に見過ごされてしまうことがありますので、泣き声がかすれていたり手足が冷たかったりといった他の症状も見られるかどうかチェックしてみましょう。
舌が全く出ない場合は病気?
反対に、赤ちゃんの舌がまったく出ない場合も、何らかの病気なのでしょうか。可能性としては、『舌小帯短縮症(舌と下あごを結ぶヒダが先天的に短い病気)』がありますが、この場合は、舌がまったく出ないだけでなく「母乳をうまく飲めない」「よだれが上手に飲み込めない」「舌先が割れてる」などの様子も観察されます。
『舌小帯短縮症』は、外科的手術等で治療することができますので、早めに発見することが大切です。気付かずに放っておくと、正しい発音ができなくなったり歯並びが悪くなったりしますので気になる場合は小児科を受診して見ましょう。
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東洋医学では『舌診』という見立てがあるほど、舌は体の様子を如実に反映しています。乳歯が生えると、歯のケアのために自然と舌を見る機会も増えますが、乳歯が生える前もこまめに赤ちゃんの舌を見て異変が起こっていないか問題となる症状はないかチェックするようにしましょう。