赤ちゃんの性格の作られ方
赤ちゃんの性格、遺伝や環境の影響は?親の関わり4タイプ
赤ちゃんの性格はいつごろ決まるでしょうか?性格の作られ方は先天的要因(遺伝)と後天的要因(環境)が大きく関わっているのは広く知られていますよね。育てやすい子・育てにくい子の特徴、性格に大きく関わる親の関り方の見本となるサイモンズ式分類法を紹介。赤ちゃんとあなたはどのタイプ?
赤ちゃんが持つ個性!赤ちゃんの性格はいつどうやって作られる?
生まれたばかりの赤ちゃん。「○ヶ月したらよく寝てくれる」「○ヶ月でよく笑うようになる」など、育児書にはそれぞれの月齢での赤ちゃんの特徴が書かれていますよね。また、他の赤ちゃんの様子を聞くと「いないいないばあが好き」「お歌を歌うと嬉しそうにする」など、自分の子と全然違うと思ったことはないでしょうか?
時には肉親から「あなたは赤ちゃんの頃、○○で~」と言われたりもしますが、これもまた自分の兄弟ともまったく様子が違うんですよね。
なぜ生まれたばかりの赤ちゃんのなのにこんなに違うのでしょう?赤ちゃんの個性や性格はいつどうやって作られていくのでしょう?
まずは、赤ちゃんの個性にはどんなものがあるかを見ていきましょう。
赤ちゃんの性格チェックをしてみよう!
赤ちゃんの個性をよく観察し、赤ちゃんの性格が分かれば育て方のヒントになるかもしれません。
よく泣く性格の赤ちゃん、どうして泣くの?
赤ちゃんの中にはとてもよく泣く赤ちゃんがいます。ちょっとしたことでも泣いて、時にその泣き声がストレスになったりもします。赤ちゃんのどういう性格と関係があるのでしょうか。
ストレスが多い(感じやすい性格)
赤ちゃんは性格に関係なく泣くことは多いですよね。何か伝えたいことがある時に泣くわけですが、赤ちゃんですので、性格に関係なく、ストレスや体調不良であれば泣くのは当たり前です。
環境が変化したり、不安に感じたりすればそれで泣くことがあります。ただ、そのストレスを感じやすいかどうかは性格に由来します。
感受性が強い
よく泣く赤ちゃんは感受性が強いと言われています。感受性が強い赤ちゃんは些細なことですぐに泣いてしまったり、抱っこを求めたり、すぐにおっぱいを欲しがります。こうした性格は赤ちゃんによってかなり違い、兄弟間でも大きな差があります。
これは成長しても同じで、例えば保育園に預ける際、最初はならし保育が行われますが、子供によってはいつまでも慣れないで、何ヶ月も泣いてしまう子供がいて、その性格の差がよく分かります。
対処法:泣く子は放置しない
泣く子の相手をするのは大変つらいものですが、こうした性格の子供を放置してはいけません。泣いている赤ちゃんを放置するとコミュニケーション能力が発達しなくなったり、性格も内向的になる傾向があります。赤ちゃんにとっての自己主張である「泣く」という行為を無視される状態が続くと今後の成長にも悪影響を及ぼしかねません。
最近ではサイレントベビーという言葉が出てきています。サイレントベビーとは障害や病気を持っているわけではないのに、嬉しくても笑わないし、悲しくても泣かない赤ちゃんのことです。こうした赤ちゃんは一見すると育てやすいように見えるのですが、後に友達に対して暴力をふるうなど社会的な問題行動へ発展する恐れもあります。
一昔前の日本では、抱き癖がつくと言われ、泣いていてすぐに抱くのはよくないと言われていましたが、抱き癖よりもサイレントベビーにならないようにする方が大切です。赤ちゃんが泣いているときは放置しないようにしましょう。
よく笑う性格の赤ちゃんの特徴
よく笑う赤ちゃんはいろいろな人に愛されますし、育てているママも笑顔で育児がしやすいです。自分の子供が、よく笑う赤ちゃんになってくれればと思うのは当然でしょう。よく笑う赤ちゃんはどのような赤ちゃんなのでしょうか。これも性格が関係しているのでしょうか。
社会的微笑
最初に赤ちゃんが笑うのは「社会的微笑」と言われています。生後2ヶ月ぐらいに始まり、身近な人と他人とを区別するサインであると言われています。笑顔でいることで相手も笑顔になってくれるというコミュニケーションの道具として認識しているのです。
親の真似?
よく笑う赤ちゃんの母親はよく笑うという説もあります。母親など身近にいる人が赤ちゃんに笑いかける回数が多ければ多いほど、赤ちゃんも笑い返してくれます。ただこれも個人差があって、同じように笑いかけてくれる赤ちゃんと笑わない赤ちゃんがいるようです。
トマスとチェスの「乳児の気質」
よく笑う赤ちゃん、よく泣く赤ちゃんというのは実感として存在していて、これが赤ちゃんの性格によって違うというのは何となくわかるのですが、発達心理学ではトマスとチェスが3つの「乳児の気質」という分類をしています。よく笑う赤ちゃん、よく泣く赤ちゃんもこれらの気質に関係があると言えるでしょう。
後述しますが、この気質がすべてではありませんので、自分の赤ちゃんがどの気質に当たるのかどうかを考えて育てていけば、今後の環境によって性格が変わることは考えられます。そのため、この気質に関しては赤ちゃんについて理解するひとつのツールとして考えた方が良いでしょう。
扱いやすい子
およそ40%の赤ちゃんが該当し、機嫌が良い時が多くて機嫌が悪くなったとしてもすぐに切り替えることができます。生活リズムも安定しているので、育てやすい赤ちゃんと言えるでしょう。
このような赤ちゃんを育てている方にとって育児は楽しく充実したものになりやすい傾向があります。
扱いにくい子
およそ10%の赤ちゃんが該当し、気難しくて、機嫌が悪い時間が多く、一度機嫌が悪くなるとそのままの感情を引きずります。新しい環境になれるのにも時間がかかり、生活リズムが不安定になりがちです。
このような赤ちゃんを育てていると、養育者のストレスや疲労がたまってしまい、育児を「たいへんなもの」と認識しがちです。また、他の赤ちゃんとの違いに、「なぜ私の赤ちゃんは違うの?」と理不尽さを感じるケースも多いようです。
赤ちゃんの気質だと思っても、その大変さは軽減されないので、育児ストレスを感じた時には一時保育などを活用して、ストレスをため込まないようにしましょう。
出だしの遅い子
およそ15%の赤ちゃんに該当するのですが、反応がおだやかで環境の変化に対応しにくい赤ちゃんです。反応は穏やかなので、育児が辛いということはありませんが、「このままで大丈夫?」と心配することは多いでしょう。
その他
残りの35%は3つのタイプを併せ持った赤ちゃんになります。どれかに当てはまるわけではないので、はっきりとした育児のヒントにはならないかもしれませんが、3つのタイプの気質があると理解していると、どのタイプの方に近いかは理解できるでしょう。
赤ちゃんの性格はいつ決まる?
さて、生まれた赤ちゃんによって性格が違うのは前述した通りなのですが、この赤ちゃんの時の性格はずっと変わらないものなのでしょうか?もし変わるとしたらどのように、そして、いつまでに変わるのでしょうか?
赤ちゃんの性格は変わらない?
実は赤ちゃんの性格には先天的な要因と後天的な要因があります。先天的な要因というのは先ほど見てきた赤ちゃんの生まれ持った「気質」、これには「遺伝」的な要素が関係しているのは有名ですよね。
それに対して後天的な要因とは「環境」です。脳の80%が3歳ごろまでに形作られるため、後天的な要因としては3歳までの環境がとても重要だと言えるでしょう。その後、6歳までに脳の90%が、12歳までに脳が完成すると言われています。
先天的な要因
先天的な要因は前述した通り、生まれながらの気質です。これは遺伝によるものだと言えるでしょう。遺伝的要素は変えることはできませんが、遺伝によって性格すべて決まるわけではなく、後天的な要因が大きく影響してきます。
自分自身のことを考えても、自分の両親と似ている部分と違う部分があるのではないでしょうか。また、一見似ているように見えるとしても、成長する環境が同じのため、同じように見えているだけということもあります。
後天的な要因
環境によって性格は変わるのですが、3歳までというとほとんどが親の影響であると考えても良いかもしれません。子供の環境は大切だというのは良く分かるのですが、どのような環境にすればよいのか、またどのように育てれば良いのでしょうか。それは次で説明しましょう。
親の役割と子供の性格の関係は?~サイモンズ式分類~
後天的な要因が子供の性格に影響を与えると聞いて、さてどのように育てれば良いのかと考えてしまう方もいるでしょう。そこでここでは、サイモンズ式分類を紹介します。こちらの分類は親の役割を重視しすぎているという批判もあるのですが、育児の仕方として参考にすべき内容が含まれていますので、こちらを見ながら自分の育児を振り返ってみるとよいでしょう。
4タイプの分類
サイモンズ式分類とは親の態度と子供の性格との関連性について調べて法則化し、分類したものです。サイモンズ式分類では4つのタイプ、「支配型」、「服従型」、「保護型」、「拒否型」に分かれ、さらにそれを組み合わせた4つのパターン「支配型+保護型」、「保護型+服従型」、「服従型+拒否型」、「支配型+拒否型」に分けることができます。まずは4つのタイプを紹介しますので、自分の育児を振り返ってみましょう。
1.支配型
子供を自分の思った通りに動かそうとして強制したり、威圧したりするやり方です。
確かに強制したり、威圧したりすれば子供は言うことを聞くようにはなりますが、親のことばかりを気にするようになり、自分から動けなくなります。消極的な子供になりやすいと言われています。確かに言うことを聞かない子供に対して、こうした態度を取ってしまうことはあるかと思いますが、こうしたやり方を継続的にしている方はデメリットも併せて考えてみましょう。
2.服従型
支配型とは逆に親の方が子供の言うことを聞いて育児をするやり方です。親が子供がほしいものは何でも買い与えたり、子供がやりたいことを自由にやらせてしまったりします。
結果として、子供は人の言うことを聞かなくなり、自己中心的な子供になりやすいと言われています。確かに子供の自主性に任せるのは重要ですが、自主性を尊重することと自由放任は違います。その違いは理解しておいた方が良さそうです。
3.保護型
必要以上に子供を守って育児をするやり方です。保護をされて育つので、危険に対処する方法を身につけることができない場合もあるのですが、保護されている安心感があるので、精神的に安定しているとも言われています。保護も行きすぎると「過保護」と言われてしまいます。子供に任せるところは任せていく必要があるでしょう。
4.拒否型
保護型とは逆に親が子供を無視する育児のやり方です。親から拒否されるわけですから、不安や劣等感を抱くようになり、神経質な性格の子供になります。また、親の気を引くためにわざと乱暴なことをしたり、反社会的な行動を起こしたりします。
育児ストレスがたまり、子供の相手をしたくないこともあるかもしれませんが、それが行きすぎると子供に悪影響が及びます。うまくストレスを発散して、子供と向き合える時間を作る必要があるでしょう。
4タイプが組み合わされた時の性格
子供の性格としては上記の4つのタイプが組み合わされた場合が多いと思います。どのタイプにもそれぞれプラスとマイナスの面がありますので、どのタイプであるとしてもバランスが必要だと言えるでしょう。
1.支配型+保護型
子供の世話をしすぎるあまり、子供は自分では動けなくなってしまいます。子供は親に対して依存しているため、いつまでも幼児のようなふるまいが抜けません。少し子供から距離を置く必要があるでしょう。
2.保護型+服従型
子供を甘やかしてしまうため、子供は自分の言うことを何でも親が聞いてくれると思い、自己中心的で反抗的な子供になってしまいます。子供にやらせるべきことはやらせるようにしていった方が良いでしょう。
3.服従型+拒否型
親に無視されて育っているので、常に寂しいと感じ、他人に対しては警戒心が抜けない子供になってしまいます。子供と向き合う時間を作ってあげる必要があります。
4.支配型+拒否型
親は無視しているのですが、その支配から抜け出せないので、強情な性格の子供になります。親の支配から逃れるため、逃避的な性格を見せることもあります。子供と向き合う時間を作るためにも、育児のストレスがあれば、そのストレスを発散する手段を見つける必要があります。
バランスをとった育児で子供を育てる
性格には先天的な要因と後天的な要因があるというのは、今までも見てきた通りです。先天的な要因は変えることができませんが、後天的な要因は変えることが可能です。
サイモンズ式分類の4つのパターンを見るとどれもマイナス面がありますよね。要するにその子の先天的気質を見極めながら、親は4つのパターンをバランスよく組み合わせて育児するのが理想です。
育児はたいへんなことの連続ですので、ついつい感情的になってしまうこともあるでしょう。しかし、「さっき自分は支配型の関わりをした」「ついつい服従型になってしまう」と自分の子供への関わり方を客観視することで、少しずつ良い方向に向くのではないでしょうか?まだ言葉をしゃべらない赤ちゃんであっても、親の関わり方で、今後の性格は大きく左右されると肝に銘じておきましょう。