赤ちゃんのバビンスキー反射
バビンスキー反射とは?反射チェック方法や消失時期
バビンスキー反射は赤ちゃんの原始反射の1つで、成長していくことには欠かせない反射です。バビンスキー反射はいつから見られいつまでに消失するのか、バビンスキー反射と密接な関係がある錐体路障害についても詳しく解説、その他にもモロー反射や吸啜反射など赤ちゃんの反射を紹介します。
バビンスキー反射ってなに?赤ちゃんの可愛い反射まとめ
「バビンスキー反射ってなに?仰々しい名前だけど何か大変なことなの?」と思われるママもいるかもしれませんね。
まだ言葉を話すことができず、ママとの意思の疎通も難しい赤ちゃんにとって、バビンスキー反射を用いた発育状況の反応をテストするのはとても大切なことです。
神経伝達の発育を調べる際に中枢神経系異常を調べる時には足の裏が最も有効な部位だとされています。
バビンスキー反射の運動機能がみられるかを調べることによって、中枢神経が正常に発達しているかを調べることができ、正常か・経過観察が必要かの判定がつけやすいため、赤ちゃんの乳児健診の際にも検査項目に組み込まれています。
また、バビンスキー反射は、人間が遡ることサルの時代に木上生活をしていた頃のなごりだとも言われ、他の動物などから攻撃を受けたときに木をつかんで逃げるために人間が生まれながらにもっている本能的反射だともいわれています。
とはいえ、あまりにも過敏になる必要はありません。
一歳になるまでには公的に乳幼児健診を受けますが、検査項目にも組み込まれていますので保健師さんへの相談や、公的健診を担当している医師へも気軽に相談できる機会があると思いますので、気になることがあれば相談してみましょう。
錐体路障害とは
・皮質脊髄路(ひしつせきずいろ)のことを指します。皮質脊髄路とは大脳皮質から脊髄にかけて通っている神経線維が大きな束になっており、これを錐体路と言います。
・錐体路は、筋肉の緊張を調整したり姿勢を調整したりする働きを持っています。
・錐体路が異常をきたすことで運動機能が正常に機能せず、弛緩性麻痺や痙攣性麻痺が起こる場合があります。
・赤ちゃんの場合、神経の発育を調べるために、バビンスキー反射を用いて反射について検査が行われます。
バビンスキー反射とは
バビンスキー反射の始まりは、人間がサルの時代までさかのぼり、木の上で生活していた時代のなごりであると言われています。
サルを見たことがないという方はあまりいらっしゃらないと思いますが、サルは発達した足と手を持っていますよね。
人間が驚くほど器用に足と手を使って生活しています。人間とサルとは密接な関係があることは、みなさんご存知の方も多いと思います。
サルが生活しているのはどこ?と聞かれたら大半の人が「木の上」と答えるのではないでしょうか?
はるか昔、人間がまだ誕生する前のサルの時代、木の上で生活していたころに、敵から身を守るために枝を掴んで逃げる際に手と足が著しい発達をとげました。手と足の発達にともない、人間となった現在になっても生まれもっている反射運動がバビンスキー反射です。
バビンスキー反射は、生まれて間もない時期から出現しはじめ、遅くとも2歳までには消失すると言われています。バビンスキー反射は中枢神経と密接な関係があると言われ、中枢神経の発達とともに消えていく反射です。
中枢神経が正常であるかどうかを調べるための検査にもバビンスキー反射の確認が用いられています。
バビンスキー反射はいつからいつまで?出現時期と消失時期
赤ちゃんがママのお腹の中にいる妊娠20周の頃から2歳になるまでの頃に見られます。
バビンスキー反射は通常2歳までには消失するといわれていますが、2歳半までにこの反射運動が消失してないと思われる場合、錐体路に障害ある可能性が第一に考えられます。
身体的に軽度の麻痺が起こっているも可能性も十分に考えられますので、医師への受診および相談をお勧めします。
バビンスキー反応を見る必要があるケース
バビンスキー反射には状態によって反応を見なければならないケースがあります。
赤ちゃんだけではなく大人にも見られるバビンスキー反射。どんな時に反応を見たほうが良いのか解説します。
赤ちゃんのバビンスキー反射は通常2歳までには消失するとご説明しましたが、2歳半を過ぎてもなおバビンスキー反射が見られる場合、錐体路障害が考えられるので医師への受診および相談の上で観察してください。
バビンスキー反射は大人になって突然現れることもあります。
事故やケガなどにより外部から強い刺激を受けた場合、赤ちゃんと同じようにバビンスキー反射が起こる場合があります。
2歳で一旦消失したバビンスキー反射が再び現れる症状に関しては明らかな錐体路障害がみられるので、自分の意思とは関係なく、足の裏をくすぐるなどの刺激を与えても足の指が曲がらずに開いてしまう場合は、早急に医師の診察を受けてください。
赤ちゃんの場合はバビンスキー反射で錐体路障害を確認する
中枢神経の発達に密接に関係しているバビンスキー反射。赤ちゃんが歩くことと大きなかかわりのある反射運動です。
一般的に2歳までには消失しますが、3歳近くになっても消失しない場合は「錐体路障害」が考えられますので、かかりつけの医師へ相談してください。
事故や病気の後遺症でもバビンスキー反射が見られることがある
事故や病気など、外的な要因でバビンスキー反射が現れた場合は、明らかな錐体路障害と思われますので、早急に医師へ受診しましょう。
足底反射とバビンスキー反射の違い
一見するとバビンスキー反射との見分けがつきにくいのですが、足の裏を刺激することによっておこる反射運動です。
赤ちゃんの足の裏を刺激すると、足の裏側に向けて指を丸めます。一般的に、生後9ヶ月頃までには消失します。消失しない場合転びやすいなどの傾向がみられるため、心配であれば保健師などへ相談してください。
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バビンスキー反射のチェック方法と反応
赤ちゃんの神経経路の発達をみるために、バビンスキー反射運動を調べることで神経の発育が正常に行われているかを調べることが出来ます。
チェック方法
赤ちゃんの足の裏をとがったもので踵からつま先へ向けて刺激する。
正常な反応
足の親指は足の甲に向けて曲がり、他の4本の指は外側に開けば反射運動が行われています。
バビンスキー反射が陽性の反応
二歳を超えてもバビンスキー反射が消失しない場合、神経伝導路に何らかの異常がみられる場合がありますが赤ちゃんによっても発育や表面に出る反応は様々ですので、医師へ相談してみましょう。
その他、生まれた直後に見られる赤ちゃんの原始反射
バビンスキー反射のほかにも、赤ちゃんが胎児の時代からもって生まれた反射運動を原始反射と呼びます。
モロー反射
赤ちゃんが時折、手をビクッとさせ、体を痙攣させることがあります。
初めて見たママなどは「ひきつけなのではないか?」など心配される方もいらっしゃるかもしれません。
けれど、生またばかりの赤ちゃんにとっては、生活音でさえ初めて聞く音であり、特に新生児期は一日の大半を寝て過ごす赤ちゃんは、私たちにとってさほど大きく感じない音であってもとても大きな音に聞こえます。
音に反応して手をビクッとさせ、何かにしがみつこうする反応をモロー反射といいます。
夜なきや寝ぐずりがひどい赤ちゃんは、モロー反射が密接に関係しているとも言われています。
赤ちゃんが泣き通すのは、ママにはとても辛いことですよね。けれど、眠りたいのに眠れない赤ちゃんはもっと辛いはずです。そんな時には、おくるみで赤ちゃんを包んだ状態で寝かせてあげると、耳に聞こえる音の刺激が小さくなり、手をビクッとさせる際の振動も少なくなるので寝つきが良くなることも多いようです。
赤ちゃんの寝ぐずりがひどい時などにぜひ一度試してみてくださいね。モロー反射は生後間もない時期から生後4ヶ月ほどまでの間に消失します。
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テスト方法と赤ちゃんの反応
赤ちゃんの顔を正面に向かせて頭を支え、少し上に上げたあと支えている腕の力を緩めると赤ちゃんが何かにしがみつこうとする動きが見られれば大丈夫です。
モロー反射における異常反応
モロー反射の反応が全く見られない場合は、核黄疸などが疑われます。
また、生後半年を過ぎてもモロー反射の反応が見られる場合は脳の異常が考えられますので医師へ相談しましょう。
吸啜(きゅうてつ)反射
ママの乳首や哺乳瓶の乳首など口に入ってきたものを唇と舌を使くわえて吸う反射のことをいいます。
いつから出現していつ消失するの?
産まれて間もない時期から出現し、6ヶ月頃には弱くなっていきます。離乳食を始めて断乳する1歳過ぎには消失するといわれています。
テスト方法と赤ちゃんの反応
赤ちゃんの口に哺乳瓶の乳首や、清潔に洗ったママの指をあてて吸ってくれれば大丈夫です。
吸啜反射における異常反応
吸啜反射がみられないと心配されるママもいるかもしれません。
反射運動は出現すべき時に出現し消失すべき時に消失しない場合、脳などに異常が見られることもありますが、大半の場合ママが感じられないほどに赤ちゃんの反応が弱いだけということも少なくはありません。
1ヶ月健診または3ヶ月健診時の健診項目にも含まれているため、反射については健診時にテストもしてもらえますので心配であれば保健師や医師へ個別に相談しましょう。
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探索反射
唇や唇周辺に何かが触れると、触れたものの方へ向いて口を開く反射のことをいいます。
ママのおっぱいや哺乳瓶の乳首に反応できるのは探索反射が備わっているからこそと言えますね。
いつから出現していつ消失するの?
産まれて間もない時期から出現し遅くとも4ヶ月頃には消失します。
テスト方法と赤ちゃんの反応
赤ちゃんのほっぺを「ツンツン」とそっと指で押してみて、こちらを向けば大丈夫です。
捕捉反射(ルーティング反射)
誰かが教えたわけではないのに、おっぱいや哺乳瓶の乳首を上手にくわえますよね。唇や口の近くにものが触れると、触れたものの方を向いて唇や舌でくわえようとするのは本能的なもので、この動きを捕捉反射といい、別名でルーティング反射とも呼ばれています。
いつから出現していつ消失するの?
産まれて間もない時期から出現し、遅くとも4ヶ月頃には消失します。
テスト方法と赤ちゃんの反応
指や物を赤ちゃんの口に近づけてみることで咥えようとすれば大丈夫です。
捕捉反射における異常反応
捕捉反射とは、唇の近くに物が触れるとその方向に向いて口を開く反射とご説明しました。捕捉反射はまれに非対称(右の頬に触れ赤ちゃんが左を向くなど)で現れる場合もあります。
捕捉反射が見られない、または何度試してみても非対称に現れるときには運動神経などの中枢神経か脳の機能に異常がみられる可能性があります。
しばらく様子を見て「うちの子供には反応が見られない」など心配な場合は、医師や1ヶ月健診時に来訪してくれる保健師への相談をお勧めいたします。とはいえ、赤ちゃんによって反応も様々で、ママが見分けられないほど弱い反応を示すことも珍しくはないため、あまり深刻にならずに気軽に相談してみましょうね。
嚥下(えんげ)反射
口の中に入ってきた液体を飲み込む反射のことをいいます。
嚥下反射の弱い赤ちゃんは飲み込む力も弱く、ミルクなどの吐き戻しが多い傾向があります。
とはいえ、そもそも生まれたばかりの赤ちゃんと3ヶ月頃の赤ちゃんでは飲み込む力も全く違うので、ミルクの吐き戻しについては「大半を吐いてしまう、またはいつも吐き戻してほとんど飲めない」このような状態でない限りはあまり心配する必要はありません。
いつから出現していつ消失するの?
産まれて間もない時期から出現し6ヶ月頃には消失します。のどが発達し人間本来の飲み込む力が備わり、固形物を食べられる準備が始まります。
テスト方法と赤ちゃんの反応
赤ちゃんの口に指を持っていき、吸う反応が見られれば吸てつ反射運動が行われています。
吸う力は赤ちゃんによっても違います。
嚥下反射における異常反応
嚥下反射は吸てつ反射と密接な関係があります。
吸てつ反射は吸い込む力、嚥下反射は飲み込む力のため、両方の反射運動が弱い・もしくはない場合赤ちゃんは栄養を取ることが出来ません。健診項目に入っていますが、産院から退院後、急に反射が弱くなった場合は脳に障害が疑われますので早急に医師の診察を受けましょう。
手掌把握反射
赤ちゃんの手のひらに物や指を当てるなど刺激を与えると指を曲げて握ろうとする動きを手掌把握反射といいます。一説には赤ちゃんがママにしがみつき、落ちないために備えられた反射運動ともいわれています。
いつから出現していつ消失するの?
産まれて間もない時期から出現し遅くとも6ヶ月頃には消失します。
テスト方法と赤ちゃんの反応
赤ちゃんの手のひらに指をあて、赤ちゃんが握り返してくれれば大丈夫です。
手掌把握反射における異常反応
手掌把握反射が見られない場合、脳の障害や上部脊椎に異常が見られる可能性があります。
様子を見て心配であれば医師への相談をお勧めしますが、1ヶ月健診及び3ヶ月健診の健診項目に入っておりますのでその際相談しても良いと思います。
- 把握反射って知っていますか?生まれたばかりの赤ちゃんでも手のひらに指で刺激を与えると、ぎゅっと握り返してくれるのは実は無意識の反射運動です。この時期にしか見られない把握反射の特徴をご紹介します。
赤ちゃんの反射について気になることは保健師さんに相談しよう
バビンスキー反射は、大半の赤ちゃんが2歳までに消失します。
錐体路障害の可能性など、あまり聞きなれない言葉もあったため不安を持たせてしまったかもしれません。
しかし大人であっても同じ人が2人はいないように、個性は人それぞれです。
言葉を話すことが出来ない赤ちゃんだからこそ、反応もそれぞれ。一般的な解説をしてきましたが、「反応が見られない」のではなく「反応が弱い」ことは十分考えられます。
大人の2年間は身体機能の発達はそれほどみられませんが、赤ちゃんは著しく成長していきます。
歩き始め、楽しいおしゃべりをして、歌を歌って、無限の可能性をもって生まれてきた赤ちゃんは日々、ママとの関係が強くなっていくことでしょう。
日々成長を見守りながら育児を頑張っているママだからこそ、医師にも気づけない些細な変化に気づけます。不安に思うことがあれば、保健師さんなどに相談してアドバイスをもらうことで、ママと赤ちゃんにとってより良い環境を築いて行けることと思います。
今しか見られない赤ちゃんのかわいい仕草を一つ一つ大切に育児を楽しみましょう。