育児・お世話

自閉症の赤ちゃんの特徴

自閉症の赤ちゃんの特徴は?0~2歳の頃の発達と所見

自閉症は赤ちゃんの頃から診断できるのでしょうか。赤ちゃんと目が合わないなど「あれ?」と感じる所見を年齢別に挙げてみましょう。もちろん、発達の個人差があるのであくまでも例としています。自閉症とはそもそも何なのか、どんな障害なのかについても解説します。

うちの子もしかして自閉症?自閉症の知識と赤ちゃん時代の発達の様子

自閉症は赤ちゃんの頃には気づきにくいものです。自分の子供の発達について「あれ?」と思うことは、きっとどの家庭にも一度はあるでしょう。発達や成長には個人差がありますから、その時々でできないことがあったとしても、月齢や年齢が解決してくれるのがほとんどです。しかし、その「あれ?」がいくつも重なると、次第に違和感は不安へと変わってしまいます。

自閉症は、小さい頃から親御さんが「あれ?」と思うことの多い障害の一つです。今いろいろとネットで情報を集めているママに、必要な情報をまとめました。

自閉症は発達障害の一種

自閉症とは発達障害の一種、脳機能障害に起因するものだと言われています。

発達障害とは

先天性の脳機能障害。乳幼児期から発達の遅れや特徴的な行為がみられます。主に対人関係に困難があり、その症状や特徴によって、細かく分類される。

中でも自閉症は、次の3つの特徴に集約できるでしょう。

対人関係(社会性)の障害

自閉症の一つ目の特徴は、対人関係がうまくいかないことが挙げられます。周囲の人への関心が薄かったり、逆に相手との距離感がわかりづらかったりします。乳幼児期では、異常に人見知りをしない、お友達と上手に遊べないなどの特徴が見られます。

コミュニケーションの障害

二つ目の特徴として、他者との円滑なコミュニケーションが取りづらい点が挙げられます。相手と目が合うことは、赤ちゃんのコミュニケーションの萌芽と言えます。自閉症の子どもは幼少期から相手との目が合わず、また相手と目が合うことを恐れる子もいます。

限定した常同的な興味・行動及び活動

いわゆる「こだわりの強い子」が特徴です。日々のルーティンを好み、いつもとは違う状況にひどく戸惑います。パニック状態になる場合もあります。

興味の範囲が狭く、逆に興味を持ったことに対しては、尋常ではないほどのエネルギーと能力を発揮します。芸能や研究の分野においては、発達障害の人の能力が生かされている場面も多くあります。

自閉症の傾向が赤ちゃん時代にすでに現れている子もいる:0〜2歳の様子

自閉症の赤ちゃんは、赤ちゃんの頃からその特徴が現れる子もいます。年齢別の発達所見を挙げてみました。

ただし、赤ちゃんの頃の発達の個人差は、かなり大きいことを前提としておきましょう。例えば発語などは、たとえ何も問題がなくとも遅れることはよくあります。所見をチェックして引っかかったとしても、成長とともに自然に解消される場合があることを念頭に置いておきましょう。

0歳児の所見

自閉症の診断は0歳ではかなり難しく、疑いがあっても結論を出すには早急すぎます。しかし、赤ちゃんの頃から両親が違和感を覚えるような言動が見られるケースは珍しありません。

目が合わない

生後3ヶ月頃になると視野も随分クリアになり、人の顔や周りの物などをはっきり認識できるようになります。赤ちゃんをあやすと、目があってにっこりしあうシーンも増えていきます。

自閉症の赤ちゃんは、まず人への興味が薄い場合が多いので、なかなか目が合いません。目を見て笑い合うという、赤ちゃんと周りの大人との基本的なコミュニケーションに、課題が見えてきます。

異常に人見知りをしない

生後6ヶ月を過ぎる頃には、多くの赤ちゃんがママやパパと他の人との区別がつくようになっていきます。その結果、知らない人に抱かれると不安を感じて泣いてしまうのです。いわゆる「人見知り」です。

人見知りの程度には個人差が大きく、物怖じしない性格の赤ちゃんや好奇心旺盛な赤ちゃんは、人見知りをしない傾向にあります。

自閉症の赤ちゃんも、人見知りをしない傾向にあります。しかし、自閉症の赤ちゃんの場合は堂々としているというよりも、抱かれている人自体に関心がないのです。ママなのか他の人なのかということについてすら興味を持たないので、人見知りが起きないのだと考えられています。

笑ったり泣いたりが明らかに少ない

月齢が進むにつれて、赤ちゃんはどんどん感情豊かになっていきます。生まれたばかりの頃は、泣くか寝るか無表情しかなかった赤ちゃんも、生後3ヶ月頃にはニコニコと頻繁に笑うようになり、生後半年を過ぎるとケラケラと大きな声で喜ぶようにまでなります。

しかし、自閉症の赤ちゃんは笑ったり泣いたりという、感情の豊かさに欠けるところがあります。小さなうちはあまり手のかからない、大人しい赤ちゃんだったという声も聞かれます。

気になるようなら、生後半年を過ぎた頃に「いないいないばあ」をしてみましょう。だいたいの赤ちゃんは、ママの顔が見えたり隠れたりするのが楽しく、大喜びするはずです。

人の顔より幾何学的なものを好んで見る

赤ちゃんは人の顔をよく見る生き物です。追視ができるようになれば、ママ達の顔をよく見るようになりますし、絵本なども顔のついた絵を好んで見ていることがわかっています。

自閉症の赤ちゃんは、人の顔よりも、規則的なものや幾何学模様を好んで見ます。じっと凝視している場面もしばしばです。

1歳児の所見

1歳代の定期健診とし唯一1歳半健診がありますが、その際に発達の遅れを指摘される子も出てきます。

指差しをしない・意味を理解していない

指さしというのは、簡単なようで実は難易度の高いコミュニケーションです。まず、指さしは相手が居て初めて成り立ちます。相手の気をひいて共感を求めるのですから、指さしは赤ちゃんが他者とのコミュニケーションを始めた証なのです。

また、大人の指さしした方を見られるというのは、相手の立場に立って物事を見られるようになってきている証拠です。これは赤ちゃんの心の発達として、かなり大きな進歩なのです。

自閉症の子供はこの指さしがなかなかできないのが特徴です。4〜5歳になって初めてできる子もいるほど高度な心の働きなのです。

真似っこをしない

1歳児の赤ちゃんは真似っこが大好きです。ママやパパの真似はもちろんのこと、テレビに出てくるダンスを真似てみたり、お兄ちゃんお姉ちゃんのする遊びを同じように真似してみたりと、日頃からたくさんの真似をしています。

「学ぶ」という言葉が「真似ぶ」からきているように、人間がいろいろなことを真似て覚えていきます。自閉症の赤ちゃんは自分の世界でマイペースに生きているので、あまり真似っこ遊びをしようとしません。

クレーン現象がみられる

人の手を掴んでクレーンのように扱うのも、自閉症の子供の大きな特徴です。指さしや言葉の代わりにパパやママの手を掴んで物を取らせようとします。

偏食が異常に多い

自閉症の子供の中には、感覚過敏の子がいます。そう言った子は、食べ物の好き嫌いが激しく、偏食です。しかし、この年齢の子どもは、だいたいの子が偏食の傾向にあります。自我の芽生えなのか、感覚過敏による偏食なのか、この段階ではほとんど分かりません。単に、神経質な性格の子供なのかもしれません。

一般的に偏食は徐々になくすように努力するものですが、あまりにも偏食がひどい場合は親としても栄養面が気になりますし、親子共に食事の時間が憂鬱なものになります。

夜になっても寝ない

自閉症の症状の一つに、睡眠障害があります。赤ちゃんは1歳くらいから徐々に寝るのがうまくなっていくものですが、睡眠障害のせいで月齢が進んでも眠るのが下手だと言います。

2歳児の所見

「魔の2歳児」「イヤイヤ期」などと評される時期ですが、自閉症児の親の苦労は特に大きいものです。はっきりとした診断が下りなくても療育は可能ですので、一人で背負い込まないようにしましょう。

言葉の発達が遅れている・喃語が出ない

遅くても2歳を過ぎれば徐々に言葉が出てくるようになります。発達障害に限りませんが、何か障害や病気などの問題がある場合、発話の遅れに現れやすいとされています。
しかし、言葉の発達は本当に個人差が大きい項目でもありますから、個人の性格や周囲の環境によってなかなか言葉が出ない場合もあります。

発話が大幅に遅れているときには、自治体の保健師さんに相談を持ちかけてみると、親身になって相談に乗ってくれます。

クーイングという言葉を聞いたけどどんなものなのか詳しく知りたい方やクーイングが遅くて悩んでいるという方のために、喃語との違いやクーイングが遅い理由、言葉を発達させるための遊びなどをご紹介します。

同じ遊びばかり繰り返している

こだわりが強いので、同じ遊びをひたすら続ける傾向にあります。ただし、これも幼児期の遊びの特徴の一つとも言えるので、これだけでははっきりと断言できません。

ルーティンでないことを嫌う

夕ご飯を食べて、お風呂に入って、少し遊んだ後お片づけをして、寝床にいく。このルーティンの順番が狂うと、パニックになったり、落ち着きがなくなったりします。

例えばお風呂に入る行為の中でも彼らの中の順序は決まっているようで、体を洗ってから頭を洗う、頭を洗ったらこのおもちゃを片付けるなど、細かい手順を得意気げにこなします。

ルーティンに沿って生活させてあげれば非常に落ち着いて、率先して生活することができます。しかしこの部分に関しても、小さい子は程度の差こそあれ、そういう部分があります。

同年代とのコミュニケーションに違和感

同じ空間で遊んでいると、まだ一緒に楽しく遊ぶことはできないながらも他の子を意識したり、真似をしてみたり、その子が持っているおもちゃを欲しがったりと、自分以外の他人を意識した行動が見られるようになっていきます。

自閉症の赤ちゃんは、他人への関心が薄く、離れて遊んでいたり、他の子の遊んでいることに関心を示さなかったりします。

診断後の早期療育がその後の鍵:自閉症の療育について

障害は、幼少期の早期発見と早期の療育が鍵となることが知られていますが、発達障害もそれは同じです。

4〜5歳で幼稚園に行くようになってから発見し、その時点から療育を始めるよりも、2〜3歳から療育を始めた方が、効果はより高くなります。

自閉症の原因やデータ

自閉症の原因や発症確率を紹介します。特に原因については無責任・無理解な周囲の言葉を真に受ける必要はありません。

自閉症の原因

これだと断言できるような原因は、未だ解明されていません。生まれつきの脳の一部分が傷ついているのでは?という説や、脳の神経同士の情報交換がうまくやり取りされないからでは?といった説が出ていますが、原因ははっきりとはわかっていないのです。

しかし、医学的にも断言できるのは、自閉症が親の育て方のせいではないということです。自閉症は、親のせいでも、本人のせいでもなく、生まれ持った機能障害なのです。

発症率は1,000人に1〜2人

自閉症は1,000人に1〜2人の割合で見られます。軽度を含めると、100人に1人くらい、小学校であれば学年に1人くらいはいる計算です。女性よりも男性に多く、男性は女性に比べて4倍の発症率があると言われています。程度は生活に少し困難がある程度の軽度から、積極的介入が必要な重度まで、その人それぞれです。

知的障害との関連性

自閉症の子供の約50%以上は知的障害を伴っていると言われています。知的障害を伴わない自閉症のことを一般に「アスペルガー症候群」や「高機能自閉症」と呼ぶこともあります。この場合は、言葉の遅れがみられない傾向にあります。

自閉症は個性?障害?

誰にでも性格に個性があるように、脳にも個性があります。「走る」を例にとってみても、かなり早く走れる人から、マラソン大会では毎回ビリだという人まで様々です。

ここで、それを自閉症に当てはめて考えてみましょう。自閉症の人が苦手なコミュニケーション。自閉症でない人の中にも、コミュニケーションに長けた人から、人と話すと緊張して話せなくなる人までいろいろですよ。

おそらく、コミュニケーション能力という物差しに当てはめてみるならば、自閉症の人はかなり苦手とするところでしょう。では、その物差しの、どこからが障害というのでしょうか。何が健常と障害の間をわけるのでしょうか。

最近は、障害も個性の一つだと捉える見方が強くなってきました。我が子が障害児だとわかったとき、それをずっと障害だとレッテルを貼って育てていく親はいるでしょうか。育てていくうちに、それはよくも悪くも個性と捉えることができるでしょう。自閉症も、対人スキルに問題はありますが、それも一つの脳の個性かもしれないのです。

赤ちゃんの性格、遺伝や環境はどのように影響していくのでしょうか?よく笑う子、泣く子、扱いやすい子・扱い難い子、出だしの遅い子など赤ちゃんの気質と、性格に大きな影響を及ぼす親の関り方を紹介します。

なぜ早期療育に効果が期待できるのか

ある研究調査によれば、1歳半から3歳までの早期の介入により、自閉症児の言語発達や社会性、適応力などに改善や成長が見られることがわかってきています。

しかし、1歳半から3歳といえばまだまだ発達の個人差が大きく、またきちんと会話もできない段階ですので、はっきりとした診断や判断は難しいところはあります。

判断が難しいとはいえども、専門の機関で療育を視野にいれながら支援していくことも可能ですので、「あれ?」がいくつか出てきたら、まずは医療機関などに相談してみるべきでしょう。

療育とは

発達障害などの障害を持つ子どもに対して、生活のしにくさを減らし、自立を進めるために、医療面や教育面から様々なトレーニングを行っていくこと。

どれくらい療育に期待できるか

個人差がありますので、どれくらい療育に期待できるかという明確な指標はありません。しかし、療育の効果が全くないということはありません。

その子に合ったコミュニケーショントレーニングやソーシャルスキルトレーニングをすることで、お友達との付き合いかたや距離の取り方を学んでいきます。

自閉症は、他人とのコミュニケーションに大きなハードルがある障害ですので、他者との関わりを学ぶことで、生きにくさを緩和できる可能性は十分にあります。

自閉症?と気になったときの相談先

相談先は専門機関だけではありません。気になる所見が多くて悩んでいる方は、まず相談しやすいところに問い合わせてみてください。

かかりつけ小児科

かかりつけの小児科は頼れる存在です。小児科医は子どもの身体についてのエキスパートですので、病気や怪我だけではなく、発達に関しても長けています。

日々の診察の中で、少し気になることがあれば指摘してくれるでしょうし、こちらも気になることは気軽に聞いてみると良いでしょう。もし小児科医の所見があった場合、適切な病院を院に紹介してもらえます。

赤ちゃんの定期健診

定期健診は発達の状況をしっかりと観察するところです。小児科で聞きにくいようであれば、定期健診の方が、質問しやすい場合もあります。問診票の質問欄に書いておくと、後でお医者さんや保健師さんに対応してもらえます。

自治体の子ども課

自治体の子ども課には必ず保健師さんがいます。保健師さんは診断などを下せませんが、専門機関との橋渡しをしてくれ、その自治体でどういった支援があるのかを詳しく教えてくれます。

療育機関

療育機関や発達障害者支援センターなどに直接問い合わせる方法もあります。療育機関には公的なものから民間のものまであり、NPOや一般社団法人など様々な団体が設立しています。

定型発達か自閉症なのかは赤ちゃんだとわかりづらい時期

自閉症は3歳頃から診断しやすくなると言われています。その時期までは発達の個人差の範囲かどうかわかりづらいからです。

早くに診断ができるかどうかはその子の状態によって変わってくるようですが、もし診断が下りた場合、親として診断名に嘆くより、これからその子のためにできることを考える方が大切です。

一般の子供に比べて大変なことが多いでしょう。ですが、近年の発達支援は目覚ましく発展してきています。多くの人の手を借りながら、その子にとっての最善の策を考えていけると良いでしょう。