アンガーマネジメント×子育て

アンガーマネジメント×子育て~怒ってばかりの日常を変える

怒ってばかりの毎日にうんざり…アンガーマネジメントを取り入れたならイライラしがちな子育てに大きな変化が!なぜ子育ては怒りの悪循環に陥りやすいのか、アンガーマネジメントとはどんなものか、アンガーマネジメントを怒らない子育てに活用するべく、日常的に取り入れていく具体的な方法をご紹介。

アンガーマネジメント×子育て~怒ってばかりの日常を変える

子育てに日々イライラ&怒りが噴火!もぅ怒りたくない…そう思ったら

子供が小さいうちは日々、家事に仕事に育児にと目が回りそうなくらいに忙しい毎日ですが、子供はそんなことはお構いなし。支度が遅くなって仕事に遅れそうなときに、「ママトイレ~!」と言われたら「なんで今?どうしてもっと早く言わないの!」と怒ってしまいそうになりますよね。

特に働くお父さんお母さんなら、こっちは早く起きて準備して、スムーズに支度ができるように努力しているのに…と恨み言も言いたくなってしまいますよね。
忙しい現代の子育てはイライラの連続であるといっても過言ではないでしょう。ですが、だからと言って怒ってばかりの子育ては『質の良い育児』とは程遠いものが…。

第一『イライラが募り募って怒!怒!!!怒!!!!!』といった日々の感情には、我ながら活火山のようで疲れてしまいますよね。それなら、『つい、怒ってしまう』が癖になりそうな人もくせになってしまった人も、『アンガーマネジメント』と呼ばれる『怒りの感情のコントロール術』を子育てに取り入れてみませんか?

アンガーマネジメントで感情の起伏を穏やかに

アンガーマネジメントを育児に取り入れるママ

「アンガーマネジメント」という言葉、最近はテレビなどメディアで取り上げられることも多いので、聞いたことがあるのではないでしょうか?アンガーマネジメントとは、1970年代にアメリカで始まった、怒りの感情やイライラ(アンガー)を自ら管理(マネジメント)し、適切な問題解決やコミュニケーションに結び付けるための心理技術のこと。

『怒りの感情』自体は悪いこととは限らず、ときには怒ってきちんと自分の感情を伝えることも必要です。ただ、怒りに任せて反射的にひどいことを言ったり、モノにあたったり、人を傷つけたりするのは、もちろんいいことではありません。この怒りの感情を単に押さえつけるのではなく、上手にコントロールするための技術が、アンガーマネジメントなのです。

また、アンガーマネジメントを学んで取り入れることにより、ネガティブな感情である怒りをコントロールするだけでなく、モチベーションに変換させることもできるようにも。近年、アンガーマネジメントに関する書籍がベストセラーになっていたり、企業の研修やセミナーでも扱われています。スポーツ界でも、トップ選手はほとんどの人が取り入れていると言われているアンガーマネジメント、子育てにも活用しない手はありません。

有意義な躾のためにアンガーサイクルを抜け出そう

子育てでは、子供が悪いことをしたときにはきちんと叱って『それはいけないよ!』と教える躾は大切です。しかし、『叱る』と『怒る』はイコールではなく、なるべく怒らないようにしようと思っているにも関わらず、ついカッとなって感情的に怒ってしまったり、怒りを子供にぶつけてしまって後悔したことがあるのでは?

怒りを子供にぶつける→罪悪感→後悔する→自責の念にかられる→怒りを我慢→イライラする→怒りが爆発・・・という『アンガーサイクル』(怒りの悪循環)に一度陥ってしまったなら、抜け出すのも一苦労で、実際に悩んでいる人も少なくありません。
感情的に怒らない子育てを目指すアンガーマネジメントで『怒りを上手にコントロールする方法』を身に付けていきましょう。

怒ってばっかりの子育てを変える!アンガーマネジメントを日常に取り入れるには

双子の赤ちゃんにも冷静に対処するママ

それでは、アンガーマネジメントで使われる手法を、子育てへの応用という観点から一つずつ見ていきましょう。

6秒待つ

子育てでやってしまいがちなのが、反射的に怒鳴りつけてしまうこと。忙しい朝の食卓で牛乳をこぼされたら、つい「何やってるの!」「この忙しいのに!」と言ってしまいがちですよね。そして怒りの頂点が過ぎると、また瞬間的に怒ってしまったことへの自己嫌悪の繰り返し・・・。

この最初の『怒りのピーク』については、諸説ありますが、一般的に約6秒間と言われています。
アンガーマネジメントの第一歩として、この6秒間の間だけは感情をこらえ、反射的に何かを言ったりやったりしないようにしましょう。

怒りのピークにあたる最初の6秒間は冷静な対応ができず、『反射的な言動』が事態の悪化させることが多いからです。後から「いくら何でも言いすぎた…」「なんであんなこと言ってしまったんだろう」と後悔することになりかねません。
また、瞬間的に怒ると、そのときには直接関係ないことまでもついガミガミと言ってしまいやすくなる傾向にあります。これが続くと子供の行動に制限をかけてしまい、自由な発想ができない子供になってしまう危険性も…。

6秒間、とにかく時間を稼ぐ方法3つ

でも、カーっと怒っているときに6秒待つなんて、簡単そうでなかなかできないことですよね。
この最初の6秒間をやり過ごすために、以下のような方法を試してみてはいかがでしょうか?

イライラする出来事を手のひらに書いて時間稼ぎ

子供が怒らせるような事態が発生したら、何か言ってしまう前に、その出来事を手のひらに書いてみましょう。「ジュースこぼした!忙しいのに・・・」「宿題終わってないって、なんで今になって!?」書く内容はなんでもいいのです。書いている間に6秒なんてあっという間に過ぎてしまいます。

ただし、相手が小さな子供なら気にしないかもしれませんが、思春期の子供や他人が相手の場合は、怒っている人の目の前でやると余計に事態が悪化してしまう可能性も。その場合は、後ろ手で書いたり腿に書いたり、脳内でイメージしたりといった工夫をしましょう。要は6秒間の時間稼ぎができればいいのです。

怒り度合を数値化

怒り出したらやかんのように怒りが沸騰してしまう人もいますよね。そんな方には、自分の怒りの度合いを、気温のように数値化してみるのがおすすめです。まったくイライラしていない穏やかで落ち着いた状態を0、人生最大の怒りの大噴火を10として、0~10の間で自分の現在の怒り度合を数値化してみるのです。
子供のいたずらでついカーッと怒っているようでも、数値化してみたら意外と『2』だったりして、なんだ、大したことなかった、と思えるかもしれません。

魔法の言葉を唱える

もう一つの時間をやりすごす方法として、イラっときたら魔法の言葉を唱えるというのもあります。魔法の呪文、または『コーピングマントラ』とも呼ばれる手法で、何度も繰り返すうちに、この言葉を唱えると怒りの感情がスーッと収まっていくようになることもあるのだとか。

魔法の言葉も、自分のオリジナルで構いません。自分が楽しくなったり考えると幸せになるような言葉でもいいですし、幼児の子育て中なら、「あと1年、あと1年・・・」と唱えて自分を奮い立たせるのもいいですね。

怒りをやり過ごし、感情に左右されずにしつける

6秒待つことにより怒りのピークをやり過ごす目的には、感情的にがなりつけるのを防ぐ他に、『感情的に怒っている自分をいったん受け止め、子供を叱るべきか叱らないでもよいことかしつけの行き先を仕分ける』というのもあります。自分は何に対して怒っているのか、この怒りは子供に向けるべきことか?を冷静に考えて仕分けできるようになりましょう。

仕分けの基準は家庭によっても多少は異なると思いますが、例えば、いたずらをした理由が『好奇心』や『幼さ』によるものなら叱らない、本人や他の人に危険を及ぼす可能性のあることならもれなく叱る、など、基準をしっかりと持ち、ぶれないようにすることが大切です。

感情自体は時間が経てば収まるものです。瞬間的に怒鳴りつけるより、怒った顔で沈黙するほうが、かえって子供も考える時間が持てて効果がある場合も。6秒間の沈黙を有効に利用してみましょう。

怒りの内容を記録する

アンガーマネジメントを学ぶ新米ママ

子育てをしていると毎日何かしら怒っているので、「私はいつも子供に怒ってばかりで嫌だワ・・・」と落ち込んでいる人も多いと思います。そんな人は、意外と自分が何に対して怒りやすいのか理解していないことが多いのではないでしょうか?そこでおすすめしたいのが、『アンガーログ』をつけることです。

『アンガーログ』とは怒りを記録する日記のようなもの。イラっとしたときに、その場で、手帳やスマホなどに記録します。
内容は、イラっとすることが起こった日時、場所、何があったか(事実)、そのときどう感じたか、怒りの度合い(0~10『怒り度合いを数値化』の章参照)です。その場で記録することが難しければ、覚えているうちに、覚えている内容だけを記録するのでも構いません。

アンガーログの利点その1◆怒りの傾向がわかれば対策もできる

アンガーログをしばらく続けることにより、自分はどういうときに何に対して腹を立てやすいのか、自分の怒りの傾向が分かるようになります。それが分かれば、そのような状況を作らないように、またその状況になったときにはどういう対応をしたらいいか対策を立てることもできます。

例えば、自分は朝の時間がないときに子供に対してイライラしやすいということが分かれば、明日からは20分行動開始を早めて時間に余裕を持てたなら、余計なイライラを回避するという対策をとることができますね。

アンガーログの利点その2◆コアビリーフと現実に折り合いをつけられる

怒りという感情は、自分が『こうあるべき』と信じている理想や願望が裏切られたときに起こりやすいと言われています。こういった、自分自身の中での『こうあるべき』を『コアビリーフ』とも呼んでいますが、アンガーログをつけることにより自分のコアビリーフが分かるようになります。
例えば、『待たされる』とイライラすることが多いのなら、自分のコアビリーフは『時間は守るべき』…つまり、『人を待たせてはいけない』だということが分かります。

子育てにおいては、待たされる状況は避けて通ることはできませんが、自分のコアビリーフを理解した上で、子供に対しては『待たされる』のは仕方のないこと、と意識しておくだけでも毎日のイライラが解消できるのではないでしょうか?

怒る場面を発生させない

誰だって怒りたいと思って怒っているわけではありません。それが自分のかわいい子供が相手ならなおさらです。なるべく怒らない育児を実践するためには、自分が怒りやすいシチュエーションを作り出さないような工夫が重要となります。
上述のアンガーログで自分のコアビリーフを確認したら、そのコアビリーフを裏切られてもダメージが最小限で済むような方法を考えてみましょう。

例えば、家は常にキレイにしておきたいという人なら、食事の際はテーブルの下に新聞紙を敷いて、子供が食べこぼしても食事後は新聞紙ごと丸めてゴミ箱へ、というようにしておけば、子供がこぼしてもいちいちガミガミと叱らなくてもよくなるはず。工夫次第で日々のイライラはもっと減らせるのです。

『思い通りにいかない』と思うようにする

考え方を変えて子育てに励むママ

子育ては自分の思い通りにはいかない―――これは子育てにおける大前提ですよね。そう頭ではわかっていても、『子供が思い通りに行動してくれない』→『予定が狂う』→『イライラする』のパターンに陥るのはよくあること。

だからこそ、何度も何度も基本に立ち戻って、大前提を思い出すようにしましょう。
子供が生まれたばかりのときは、とにかく無事に生まれてきてくれて元気に育ってくれればそれで充分、と思っていたはず。自分の思い通りになる子供を生んだのではありませんよね

叱るときは自己肯定感上昇ワードを

最初のイラっから6秒間待って、怒りの仕分けをした結果これは叱るべきことだと決定したら、次は怒り方にも注意を払う必要があります。怒りをコントロールできずに感情的になったまま、子供の存在を否定するような言葉は絶対にダメ。「あなたのことが大事だから叱っている」ということが伝わるような怒り方をしなければ、どんなにエネルギー満点に叱っても意味がなくなってしまいます。

帰りが遅かった子供には、「何時だと思ってるの!」と頭ごなしに怒鳴るのではなく、「帰りが遅いからすごく心配したんだよ」と自分の気持ちを入れることで、子供は親の愛情を感じることができ、自己肯定感を高めることができます。叱ると決めたら、叱ることがプラスになるような怒り方をしたいものですね。

原因追及せず、解決思考で

真面目で理屈っぽいお父さん・お母さんに多くみられる特徴として、子供が悪いこと(親にとって)したときにしつこく原因を追及してしまうことが挙げられます。もちろん、なぜそんなことをしたのか理由を知ることは大切ですが、それ以上原因に対して感情移入はしないこと。

「なんで○○したの!?」と必要以上に追及することにより、自分の怒りもどんどんエスカレートしてコントロール不能に陥ります。その代わりに、「○○するにはどうしたらいいか」と解決思考で問題に向かったほうが、よい循環が生まれるでしょう。

気持ちの切り替え

以上の点に注意していったん怒りが収まったら、いつまでも引きずらずにさっと気持ちを切り替えることが重要。

「よし!終わり!」と声に出すのも良し、音楽をかけるのもよし、楽しい話題に切り替えるのもよし。自分の子供が、これなら不機嫌なときでも絶対にノッてくる、というトピックや事柄をいくつか用意しておくといいでしょう。小さい子ならくすぐりっこなどで子供の気持ちも切り替えてあげるのも手です。

穏やかな人を演じる日を持つ

怒らない子育てを実践する穏やかな家庭

子供が3人もいるのにいつもニコニコしていて怒っているところなんて見たことがないお母さん、そんな憧れの人が、周りにいませんか?もしくは本や映画に出てきた架空の人物でも、芸能人でも構いません。自分が、「こんな穏やかな人になれたら…」と思う菩薩のような人を探して、ときには一日、その人になりきったつもりで演じてみましょう。
あなたが形から入るタイプなら、服装やメイクもその人に近づけてみると、自然と話し方や周りへの接し方もいつもとは違ってくるかもしれません。

あなたから徹底的に穏やかにふるまうことで、子供や家族、周りの人の反応も変わってくることもあります。イライラすることがあると、人は周りの人に対して『行動を変えてほしい』と思うものですが、まずは自分が変わってみることにより日常のイライラの多くは回避することができるかもしれません。

アンガーマネジメントでイライラしない子育てを実現しよう!

子育て中はイライラの原因が次から次へと雪のように降ってくるもの。でもそれでいちいち怒りを爆発させていたら、子供も自分も家族も、ほとほと疲れてしまいますよね。子供の成長にもいい影響を与えるとは思えません。

そんな日々のイライラを上手に解消する方法が身につけば、毎日をニコニコで過ごせてみんながよりハッピーに暮らせるはず。アンガーマネジメントの手法を上手に取り入れて、イライラのない子育てをぜひ実践してみてください!