授乳服は必要?購入前のチェックポイント
服を着たまま授乳することができる「授乳服」。最近では、授乳服とわからないおしゃれなデザインも増えており、母乳育児を行う予定の方や実際に母乳育児を行っている方にとっては、必要性が高いアイテムの1つと考えられています。
ですが、本当に授乳服を買う必要があるのでしょうか?
授乳服を着用する機会を考慮することで、授乳服の必要性を探っていきましょう。
外で授乳する機会はどの程度ある?
授乳服は胸元が見えないように授乳するための洋服ですから、外出先などで授乳する機会がないお母さんには、あまり必要性がない洋服です。
授乳服を購入する前に、外出先でもミルクではなく母乳を飲ませるのか、そもそも赤ちゃんを連れて長時間外出することが多いのか想像してみましょう。
自宅で授乳するときに使う?
授乳服を着ていると、服をまくり上げて手で押さえる必要がなく、赤ちゃんにすぐに母乳を飲ませられるので楽です。そのため、自宅でも授乳服を着用する方もいます。
しかし、授乳服は乳房の出しやすさと胸元の見えにくさを兼ねているために2~3枚重ねた生地になっているものもあり、他の洋服と比べると、室内干しでは乾きにくいというデメリットがあります。
外出着ではなく、普段着としても購入する場合は、3枚以上は購入しておいた方がよいでしょう。
授乳服を買うタイミングは出産後!
「赤ちゃんが生まれると、ショッピングに行きづらくなるから」と考え、出産前にさまざまな育児用品を買いそろえる妊婦さんもいるでしょう。
しかし、次の3つの理由から、授乳服はなるべく出産後に購入することをおすすめします。
母乳の出は出産後じゃないとわからない
母乳育児を予定していても、十分な量の母乳が出ない可能性もあります。母乳の出は出産後でないと分かりませんので、生まれる前に授乳服を用意してしまうと、まったく利用しない可能性もあるので注意しましょう。
授乳室や授乳スペースは意外に多い
普段よく出かける外出先に授乳室や授乳スペースが完備されているなら、わざわざ授乳服を着なくても気兼ねなく授乳できます。
ただし、「授乳室があるから不要!」と思っていたのに、授乳室が個室ではなく、設備に不安を感じる際には授乳服が欲しくなるケースも考えられます。
季節感も考慮しよう
授乳服も季節によって変わります。ほとんどの授乳服は2~3枚の布が重なっていますので、特に夏は通気性の良い素材のものを着た方がよいでしょう。
赤ちゃんとの外出は、1カ月健診後から可能ですが、まずは30分程度近所を散歩するだけです。電車やバスに乗って外出するのは、首が座った生後4~5か月以降という方が多いですが、個人差もあります。
おでかけが多くなる時期の季節・気候が不確定ですので、「せっかく買ったのに着る機会がない」といった事態を回避するためにも、あまり早くに買わないようにしておきましょう。
授乳服の仕組み
一言に「授乳服」といっても、デザインは様々です。授乳服の仕組みとして代表的なものを4つ紹介します。
カシュクール型
前身ごろが大きな2枚の布でできており、裾部分は1つにまとめられているタイプを、カシュクール型と呼びます。着物の襟元をくつろげる感じで左右に開くだけで、そのまま授乳できます。
授乳服以外にもカシュクール型の服は多くありますが、授乳服のカシュクール型は、襟をくつろげたときに胸元が見えないように裏地がついていることが多いです。そのため、実際の前身ごろは3枚重ねとなります。
ワキ下スリット型
ワキ下に大きなスリット(切れ込み)が入っており、そのスリットから授乳できるタイプです。もちろん、授乳していない時はスリットから胸元が見えないように、インナーとしてもう1枚の布が縫い込まれています。
ワキ下のスリットから授乳しますので、寝転がった姿勢で授乳する「添い乳」にも適しています。
アンサンブル型
被り型のトップス(ワンピースなど)とカーディガンのアンサンブルタイプの授乳服です。トップスの胸元には大きなスリットが入っています。
アンサンブルタイプですので、きちんとした感じに見えることも特徴です。お宮参りなどの行事、赤ちゃんを連れて学校行事やランチ会に行くときにも適したアイテムと言えるでしょう。
また、カーディガンは、授乳期間が終わったあとも着用でき、お洒落に着回すことも可能です。
二重カーテン型
襟元が2枚の布でできているカシュクール型の真逆タイプが、二重カーテン型です。襟元は1つにまとまっていますが、裾が2枚の布を合わせるデザインになっており、裾側から開けて授乳を行います。
何かの拍子で2枚の布が開いてしまったときに備えて、チューブトップタイプのインナーがセットになっていることもあります。
授乳服の代用品は?クローゼットを要チェック!
使いやすく、しかも可愛いデザインの授乳服が見つかるなら良いのですが、思ったような授乳服が見つからないときもあります。そんな時は、次のようなアイテムを利用して授乳服の代わりにしてみましょう。
カシュクール
カシュクール型の授乳服は、通常のカシュクールの洋服に胸元を隠すチューブトップのインナーが内蔵されています。つまり、通常のカシュクールの洋服は、授乳服の代わりになるのです。
ただし、カシュクール型の授乳服は、胸元をくつろげやすいようにカシュクール部分の布地の分量がたっぷりとしています。
通常のカシュクールの洋服だと何度も胸元をくつろげていると布地が伸びてしまって、型崩れしてしまう可能性があります。大きめのカシュクールの洋服を買うか、布地が伸びても構わない洋服のみを着るようにしましょう。
シャツワンピース
ワンピースは、裾下から赤ちゃんを胸元に入れるしかないため、授乳には不向きです。しかし、前にボタンのついたシャツワンピースなら、ボタンを1,2個外せば授乳できます。
カーディガン・ポンチョ・ストール
大きめで前身ごろがたっぷりとしたカーディガン、厚い生地のストールやポンチョがあれば、授乳しているときも胸元を上手に隠せます。寒い時期は、防寒着としても活躍するでしょう。
授乳服は冬こそ必要?お腹を冷やさない方法
寒い季節は、授乳時にお母さんの腹部が冷えてしまう恐れがあります。授乳服なら、腹部を冷やさずに授乳できますので、外出時はもちろん、普段着としても活躍の機会は多いでしょう。
ただし、室内着として大きめのセーターなどをよく着る方なら、インナーを工夫すればお腹が冷えることはありません。
「チューブトップ」「ブラトップ」が使いやすい
チューブトップとは、肩ひものない、筒状のトップスです。
ブラトップとは、キャミソールやタンクトップの内側に、ブラジャー代わりのカップがついている商品を指します。多くのメーカーから販売されていますが、特にユニクロが有名です。ユニクロのブラトップは、ヒートテックタイプもあります。
冬の授乳の際には、衣類のはだけを最小限にとどめるのが寒さ対策になります。チューブトップ、ブラトップをインナーとして着用すれば、胸元を少しずり下げるだけで授乳が可能です。
「授乳口つきパジャマ」は買って損なし
授乳服がなくても寒さ対策は可能です。しかし、パジャマに関しては着心地や寝冷えのリスクを考えると、普通の衣類で代用するよりも、授乳口がついている専用のものが買うのがオススメです。
「マタニティパジャマ」として妊娠中から冷え予防に着られるものも多いですし、値段も手ごろ。パジャマなら多少よれても気にせずに、長く着られるはずです。
授乳服を着るときに知っておきたいこと
授乳服は、洋服をまくり上げずに済みますし、肌の露出を最小限に抑えられます。機能性が高いものなら、一見すると赤ちゃんを抱っこしているようにしか見えないものもあります。
しかし、「授乳服を着用すれば、いつでもどこでも授乳ができる」というわけではなく、場所によっては、授乳に賛否両論があるのも事実です。
授乳NGという意見が多い場所
特に次の場所での授乳は、「抵抗を感じる」という意見が多いということは知っておきましょう。
飲食店の個室以外
レストランやカフェなどの飲食店では、授乳服を着ていてもできるだけ授乳は避けましょう。「見える」「見えない」という問題ではなく、飲食スペースでは周囲の人たちは戸惑ってしまい、奇異の目で見られてしまう可能性もあります。
公共の場所
駅や電車内、公園などでの授乳も避けた方が良いでしょう。居心地悪く感じる人や興味本位にのぞきこもうとする人がいないとは言い切れません。
ママ友以外の人がいるところ
ママ友の家でママ友と一緒にいるときなら、お互いの同意を得た上で授乳することは可能です。ですが、ママ友以外の人と一緒にいるときに、「ちょっとおっぱい飲ませるね」と授乳を始めるなら、育児の経験のない人や男性は、居心地悪く感じる可能性もあります。
気心が知れた人だけで集まるときであっても、相手がどのように感じるかを察して行動するようにしてください。
授乳服は意外と見えている?
「授乳服=胸元が見えない洋服」というものではありません。布を開くときに下着が周りから見えてしまったり、赤ちゃんが乳房に吸いつく瞬間に胸元が見えてしまうこともあります。
一言に「授乳服」と言っても、デザインは多様です。赤ちゃんに飲ませやすければ良いのか、できるだけ見えにくいデザインが良いのか、購入時にはよく確認しましょう。
授乳ケープという選択肢もある
授乳ケープとは、授乳時にお母さんの上半身と赤ちゃんを巻く布です。ポンチョタイプ、エプロンタイプなど、いくつかのデザインがありますが、隠したい部分をしっかりと覆えます。また、厚すぎない素材を選べば1年中使うことができるでしょう。
「何枚も授乳服を買うのはイヤ」という方は、授乳ケープを利用することを検討してみてもよいでしょう。
「着たい」「着たくない」で考えるのもあり!
授乳服は、あると便利なのは間違いありません。しかし、わざわざ買う必要があるのか、何枚ぐらい必要かは、赤ちゃん連れでの外出の頻度や場所、持っている洋服の種類によっても異なります。心惹かれる授乳服がないのなら、今ある洋服で代用するのも1つの方法です。
一方で、デザインが好きで「着たい!」と思える授乳服に出会えたなら、それはラッキーな出来事。産後の楽しみとしての購入も悪くないでしょう。