おすわり後、いつまでもハイハイしない娘
赤ちゃんが6か月頃でおすわりを始めたら、次はずりばい、ハイハイかな?と親は待ち遠しく思いますよね。でも、うちの子はハイハイをしませんでした。
おすわりの時期は早く、5か月頃でおすわりができるようになりました。
自分で座っていろいろと物を触って遊んでくれるので、楽だな~と思っていたら、一向にずりばいしない。
1か月待てど座ったまま。周囲の赤ちゃんは、お座りができるようになると、ずりばいや早い子はハイハイを始めるというのに!
座ったまま移動する方法を身につける!
そんなある日、
えっ 座ったまま動いた!?
なんと娘は、座ったまま足を器用に動かし、移動したのです。お姉さん座りのように正座した足をくずしたような形で座り、膝裏を床に擦り付けるように移動するのです。
その時は驚いたのですが、娘は座って遊ぶのが大好きで、ひとりで長時間おすわりして遊んでいました。なので、たまたま座ったまま移動できたけど、そのうちハイハイするだろうと思っていました。
おすわりで移動ってひょっとしておかしい?
生後7,8か月ごろ、元気いっぱい娘はおすわりのまま移動。
当時赤ちゃんの体操教室に通っていて、座ったままかなりの高速で移動する娘に、数名のお父さんお母さんが驚いた顔をするのです。
「あんな動き方あるんだ」「すごい技だね…」
とヒソヒソお話しているのも耳にして「あ、この動き方は奇異にうつるのか」とはじめて実感しました。
私にはもはや普通の光景だったのですが、その体教室の周囲の目によって、「これってまずいのかな?」「変なのかな?」と心配になり、気になりだしました。
ハイハイは四肢を鍛えられる!?
娘のおしり歩きが気になったので、まずは体操教室の先生に相談してみました。
すると、
おしり歩きの子たまにいますよ。でもハイハイすると手も足も鍛えられるので、ハイハイの姿勢をとらせて教えてあげてくださいね。
との答えが返ってきました。
他にも娘のような動きをする赤ちゃんがいることに一安心。
その一方で、私に「ハイハイ=体が鍛えられる・四肢が強くなる」の図式が刷り込まれた瞬間でもあります。
ハイハイの練習をさせてみるも挫折
赤ちゃんの体に良いことはできるだけしてあげたい。母親なら誰しも思うことなので、私も我が子にハイハイの練習をさせてみることにします。
早速娘に手を床につくようにさせてみて、
「ほら、こうやって手をついてハイハイするんだよ~」
と部屋中をハイハイで歩き回り、見本を見せます。
しかし、娘はまったく床に手をつこうとしません。手を引っ張って、床につけると猛然と怒り出します。
おすわりからハイハイになると視線も低くなるうえ、手が使えません。
既におすわりでどこにでも高速で移動できるようになった娘は、あえてハイハイする意味がわからなかったのでしょう。
シャフリングベビーは歩き出すのが遅い?
ネットで調べてみると「シャッフラー」「シャフリングベビー」という言葉に遭遇。おしりをずらして動いたり、座った姿勢で手で床をこいでジャンピングするように動く子のことを言うそうです。少数派だけれど、娘のほかにもいたことに安堵。
しかし、「歩き出すのが遅い傾向にある」「大きくなって歩き出してこけた時に、とっさに手が出ず顔を打つ子が多い」なんて情報も目にします。
逆に、ハイハイは「四肢が鍛えられる」「全身運動」「体幹トレーニングになる」と良いことづくめの情報ばかり。
やっぱりハイハイしないと成長によくないのでは…とさらに心配が募る結果となりました。
ハイハイしない原因は、私の育て方のせい?
思い返すと、娘はうつぶせの態勢でいた時期がほぼありません。
寝返り打ち始めたな、と思ったらすぐにおすわりができるようになり、うつぶせの態勢をあまり見たことがありません。うつぶせは肺が強くなるという話も聞いたので、私がたまに転がしてうつぶせ姿勢をとらせたこともありますが、嫌がっていました。
そして、歩行器にもよく乗せていました。
6か月くらいから歩行器に乗せると、1時間ほども自分で好きに動いて遊んでくれるので家事ができて、とっても助かったのです。
しかし、シャフリングベビーになる原因のひとつに歩行器があると聞いたときは、ショックでした。
早くから歩行器に頼りすぎた、もっとうつぶせにさせておくのだった、と後悔が押し寄せます。
「いざりっこだね!」安心感を与えてくれた祖母の一言
ある日、義父母の家に行くと、祖母が娘の動き方を見て
「いざりっこだね~」と言います。
初めて聞く言葉だったのですが、おしりで動くことを「いざる」「いざり這い」というそうです。
祖母の頃は「シャフリングベビー」なんて言葉はなかったので、昔は娘のような赤ちゃんは「いざりっこ」と呼ばれていたようです。
祖母が言うには「次男がこういう動き方だった」とのこと。
身近にいたのかと思い、驚きと安心感がありました。
「特になんの問題もなかったよ~」という祖母の言葉に、そんなに珍しいことじゃないんだ。昔からあることなんだ。よかった!という気持ちでいっぱいになりました。
育児経験豊富な祖母に見てもらったことで、胸のもやもやが少しととれました。
「この子は歩くのが遅いかもな」という覚悟はしつつ、かなりのスピード移動する娘を見守ることにしました。
そして、「いざりっこ」という言葉がとても気に入りました。「シャフリングベビー」というとなんだか聞きなれない、特別な存在を連想しますが、「いざりっこ」は「あまえっこ」「おばあちゃんこ」みたいな言葉の仲間の気がしませんか?
いざりっこの娘が歩き出した時期は?
「歩くのが遅いかも」と思っていた娘ですが、結局1歳2か月で歩き出したので特別遅いこともありませんでした。一度もハイハイをせず、0歳時代を終えたわけです。
気になっていた「四肢が弱い」のではないか、こけた時手が出ないのではないか、という心配も7歳まで育った今見てもまったくそんな兆候ありません。
元気いっぱい飛び跳ね、こけた時は手をつきます。運動が苦手な様子は見えません。
娘が「いざりっこ」だからこそ得た教訓
結局、娘がいざりっこだったのは「早いおすわり」「歩行器」のせいなのか、はたまたそういう気質の子だったのかはわかりません。
他の子と違うこと
育児書通りではないこと
ネットや無責任な周囲からネガティブな情報を得てしまうこと
さまざまな要因から心配を駆り立てられましたが、今思うと「おもしろい動きしてたな~」という良い想い出です。
はじめてお尻あるきする赤ちゃんを見た方は、びっくりするかもしれませんが、「あっ!いざりっこだ~!」と暖かく見守っていただけると、私と同じ立場のお母さんの気持ちも楽になります。
赤ちゃんの数だけ個性がある。
おしりで歩き続けた娘が教えてくれたことのひとつです。
編集部より補足
「シャフリングベビー」「いざりっこ」は、そのほとんどがその子特有の発達の仕方に過ぎません。
- 母乳やミルクの飲みが悪い
- 手や指先の使い方が発達しない
- ママやパパと目を合わせようとしない
しかし、お尻歩きをする以外にも、上記のような気になる所作が見られるようなら、念のため小児科や地域の保健センターで相談することをおすすめします。