蒙古斑はいつ消える?
蒙古斑はいつ消える?生まれつきの青あざができる理由
蒙古斑はなぜできるの?赤ちゃんの生まれつきの青あざは蒙古斑?赤ちゃんのお尻から背中にかけてできる蒙古斑はモンゴロイドの赤ちゃんに多く見られる特徴でもありますが、蒙古斑ができる原因、蒙古斑の種類や消える時期、どうしても消えない蒙古斑の治療法について詳しくご紹介します。
蒙古斑の不思議!なぜできる?いつ消える?
生まれたばかりの赤ちゃんのお尻に青いあざ「蒙古斑」は日本では特に珍しい光景ではありません。しかし、生まれたばかりの赤ちゃんに青あざがあるのはなぜなのでしょうか?お腹の中にいるときに何かがあったのかな?など、よくよく考えてみると不思議な現象ですよね。
生まれつきの青あざはどうして出来る?蒙古斑が出来る理由
蒙古斑とは先天的に見られるお尻や腰、背中などにみられる青いのあざのような母斑で、多くの日本人の赤ちゃんにみられますが、なぜ体中にこのような蒙古斑ができるのでしょうか?蒙古斑ができる理由を探ってみると・・・。
蒙古斑ができる原因はメラニン色素がカギ?
日本人の赤ちゃんに多くみられる蒙古斑ですが、生まれつきお尻や腰、背中などになぜ青いあざが現れるのかはまだはっきりと分かっていません。しかし、医学的にはメラノサイトとメラニンがそのカギを握っていると考えられています。
メラノサイトは人の皮膚や髪の毛、目などに色を付けるメラニン色素を作り出す色素細胞のこと。メラノサイトからつくられるメラニン色素は黒色の色素と黄色の色素があり、2つのメラニンの比率により人の肌の色の違いが左右されます。
太陽光から人の肌を守ってくれる働きをするメラニンは通常は表皮内に分布しますが、日本人の赤ちゃんの多くにはより深層の真皮にもメラノサイトが残ることが多いそう。赤ちゃんが胎児のときにはメラノサイトは深層の真皮から表皮に徐々移行していきますが、一部真皮に残るために肌の深層部分に残ったメラノサイトが青いあざのようにみえる・・・というのが蒙古斑の正体と考えられています。
個人差はありますが、主にお尻から背中にかけての表皮に集中して見られるのも、メラノサイトは神経堤(幹細胞)に由来するものであるために、腰やお尻を中心に蒙古斑が現れるのでないかとも考えられます。
脳や脊髄になる部分と皮膚になる部分の境界にある細胞の集団で神経や筋肉となる組織。脊椎動物の発生初期にのみ現れる。
蒙古斑はいつできる?
蒙古斑は通常は生まれつきに確認できますが、生まれたときに蒙古斑がなかった赤ちゃんでも後に出てくることもあります。現れる時期には多少のばらつきがありますが、多くは生まれたとき、生後1週間から生後1ヶ月頃までの新生児期のうちに確認できます。
青いあざに見える理由
蒙古斑が青く見えるのはメラニンは皮膚の深層部にあるため。表皮よりも深い真皮にメラノサイトが集った結果、一部分に増えたメラニンが表皮を通して青いあざのように見えます。
白人は東洋人と違って蒙古斑が現れる確率はとても低いために、蒙古斑を知らない人は少なくありません。特にアメリカでは、蒙古斑を「赤ちゃんの体に叩かれたような青あざがある!」と勘違して通報されてしまったり、海外に滞在する日本人の親が日本では当たり前の蒙古斑をどのように説明するべきか悩んでしまうこともあるのだとか。
肌の色で変わる?「蒙古斑」と呼ばれる訳
蒙古斑は一般的な呼称で、医学的には「先天性真皮メラノサイトーシス」と呼ばれています。なぜ「蒙古班」と呼ばれるようになったのでしょうか?
「蒙古」とはモンゴルという意味を持っていて、蒙古斑は英語で「mongolian spot」と呼ばれ、モンゴロイド(黄色人種)に多いという意味を持っています。蒙古斑は明治時代に日本にお雇い外国人して招かれたドイツ人の医師、エルビン・フォン・ベルツが1885年に「mongolian spot(蒙古斑)」と名付けたといわれています。
人種別、蒙古斑の出現率
人種によって蒙古斑の出現率には差があり、黄色人種のうちモンゴロイド(中国人・モンゴル人・日本人)で90%超、ほかのアジア人種で80%、ヒスパニック系で50%、ネグロイド(黒人)では80%から90%、コーカソイド(白人)は20%以下で、数値からも分かるように、蒙古斑はネグロイドとモンゴロイドの赤ちゃんに多くみられます(※ただしネグロイドの赤ちゃんは蒙古斑があっても不明瞭)。モンゴロイドの蒙古斑発生率も高いのですが、そもそも目立ちやすくもあるようです。
蒙古斑の種類とは?お尻以外の生まれつきの青あざ…これも蒙古斑?
蒙古斑といえば赤ちゃんのかわいいお尻にある青あざ・・・と言うのが一般的に知られているので、逆に赤ちゃんの尻から背中にかけての青あざなら「あ、コレ蒙古斑ね!」と素直に思えるのですが、お尻や腰以外で青いあざを見つけてしまうと、「これも蒙古斑かしら?」と心配になってしまうこともあります。蒙古斑はお尻や腰以外にもできるものなのでしょうか?
異所性蒙古斑
蒙古斑は赤ちゃんによって現れる場所や大きさはさまざま。腰やお尻に現れるものが一般的ですがそうでないものもあり、腰やお尻ではなく背中の上部や顔や手足などにあらわれる蒙古斑を【異所性蒙古斑】と呼びます。
濃色型蒙古斑
蒙古斑は通常、中心部の青色が強く出ても周辺に向かってぼんやりと薄くなり通常の青あざほど境界線がはっきりせず、また蒙古斑は凹凸がないのが特徴です。色が濃く境界線がはっきりした蒙古斑は【濃色型蒙古斑】と区別されます。
蒙古斑の中では境界線がはっきりしていて、色が濃く大きなほくろのように見える蒙古斑です。
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ほとんどの赤ちゃんにみられる蒙古斑ですがない子もいます!
蒙古斑は赤ちゃんにあって当たり前と思われがちなほど日本人の赤ちゃんにはみられる蒙古斑ですが、人種によってはある方が珍しくもあるものであり、日本人だからといっても出現率は100%ではありません。蒙古斑がないからと言ってこれといった心配はなく、健康上も何の問題もありません。
蒙古斑自体は蒙古斑自体は病気でもなく、体に影響を与えるものではありません。あってもなくてもどこに蒙古斑が現れてしまっても、ほとんどが心配のないものなので焦らなくても大丈夫。
青あざが残ってしまわないか心配…いつ頃消えるの?
赤ちゃんの体の蒙古斑は生まれたときは赤ちゃんらしくて可愛いとも思えるかもしれませんが、あまりに蒙古斑が濃かったり、いくつになっても残っている要な場合は「本当に消えるのかな?消えなかったらどうしよう…」と不安を感じてしまうこともあるかもしれません。
蒙古斑が消える時期
赤ちゃんらしい蒙古斑ですが、あざのようにみえることからない、もしくは早く消えるにこしたことはありません。蒙古斑がいつ消えるのかは気になるところですが、消える時期にも個人差があり、一概にいつ消えるとは言えません。2歳頃までは青みが強くなったりするケースもあるようですが、徐々に薄く小さくなって、3歳から5歳頃にはそのほとんどが、遅くても10歳頃には自然消えるといわれています。
しかし、お尻や背中以外の「異所性蒙古斑」や色味の強い「濃色型蒙古斑」は通常の蒙古斑よりも消えにくい傾向があり、わずかですが大人になっても消えずに残ってしまうケースもあるようです。
蒙古斑が自然に消える理由
「蒙古斑は大きくなったら消えるから心配いらないよ」蒙古斑が消えるのかどうか心配しているとそういわれることもあるでしょう。蒙古斑が成長とともに消えていくのには「メラノサイトは脊椎動物の発生初期だけにある神経堤と呼ばれる組織からつくられるもので、以降メラノサイト数は増えないため体が大きくなる成長に伴い目立たなくなる」「真皮のメラニンの生成がなくなる」などいくつか説がありますが、蒙古斑が自然に消える確かな理由はまだ分かっていないようです。
蒙古斑自体にはに色素細胞が大きく関わっていそうですが、自然に現れ自然に消えていく蒙古斑は不思議な青あざですね。
蒙古斑は病院で治療するべき?
蒙古斑は悪性化する心配はないため、早急な治療は必要なく子供が10歳前後になるまでには自然に消えていくものがほとんどなので家庭での経過観察で良いといわれています。
しかし、子供が小学校に上がると衣類で覆いきれずに見える場所、目立つ場所に現れてしまった異所性蒙古斑が残っている場合、それが原因でからかわれてしまったり、コンプレックスになってしまうのではないかといった心配が出てくることもあるでしょう。
なかなか消えない蒙古斑、病院で治療できる?
蒙古斑が消える時期には個人差がありますが、10歳になっても大人になっても消えないケースは3%から4%あるそうです。そのような蒙古斑を「持続性蒙古斑」といいその多くは直径2cm程度の円形の青色斑です(注1)。
蒙古斑であれば悪性化する心配はないので治療する必要はありませんが、10歳を過ぎても蒙古斑が消えないとなると子供本人も気にし出すケースは少なくありません。異所性蒙古斑などの見た目のコンプレックスなどを抱えるようであれば治療を検討してみましょう。
レーザー治療が一般的
普通の蒙古斑は10歳前後で消える可能性もおおいにあるため基本的に治療は必要ないとされていますが、目立つ場所のあざがどうしても気になってしまう、10歳を過ぎても蒙古斑が改善されない、蒙古斑の治療を考えるのであれば専門医に相談してみましょう。
蒙古斑の治療には切除手術やレーザー治療、冷凍凝固療法などがありますが、体に負担が少なく、安全性の高いQスイッチレーザーというメラニンに反応する医療用のレーザーで真皮にあるメラノサイトを破壊する治療法が一般的です。異所性蒙古斑など完全には消えない蒙古斑に対してはレーザー治療も保険適応となります。
ただし、レ-ザー治療は痛みを伴うので、治療を怖がったり痛みに弱い小さな子は誤って目にレーザーが入ってしまうと失明の恐れがあるために全身麻酔が必要になります。レーザー治療は一度ではなく何回か繰り返す必要性があるため、麻酔の副作用を考慮するとある程度成長してからの治療が望ましいと言えます(注2)。
治療が必要かも?気をつけたい赤ちゃんの青あざ
赤ちゃんの青あざは全てが蒙古斑とは限りません。中には蒙古斑でないものもあルノで気をつけてみて上げる必要があります。
太田母斑・伊藤母斑
「太田母斑」は頬や目の周囲にかけて現れ、「伊藤母斑」は肩から肩甲骨にかけて現れます。青色や、やや褐色のあざで境界線がわかりにくく、顔や肩の片側だけに現れやすいと言われていますが、稀に両側に現れるケースもあります。太田母斑や伊藤母斑は通常の蒙古斑とは違い、だんだんと濃くなっていくのが特徴です。
男の子よりも女の子の発現率が高く、個人差はありますが顔全体などに広がってしまうケースもあるようです。
痛みなどはなく蒙古斑と同じく治療をしなくても体に悪影響はありませんが、顔に出ると非常に目立つうえ自然に消えることはないため、除去を洗濯する人は多いです。
青色母斑
蒙古斑と間違えられる青あざに「青色母斑」あります。
顔面や手足の甲に多く現れます。見た目はほくろよりも青みが強く、通常直径1cm以下で少し皮膚が盛り上がり硬い感触があります。1cm以下のもので気にならないものであれば治療は必要ありませんが、やや大きいものは悪性化する可能性があるので注意が必要になります(注1)。
あまりに大きな蒙古斑、異所性蒙古斑は一度診察を
蒙古斑は大きさや濃さなどが極端でなければ多くは特に心配の必要もなく、様子をみても良いでしょう。しかし青あざに心配があるときや、目立つ場所で子供の精神的負担が大きいと考えられるときは専門医に相談してみましょう。
異所性蒙古斑の場合、濃さや消えない可能性から治療を進められるケースや注意が必要な青あざもあります。また、赤ちゃんのあざには蒙古斑のような青あざだけではなく、赤、茶、黒、白あざなどいろいろなあざがあります。自然に消えるもの、消えないもの、中には病気が隠れているものもありますので、気になったら自己判断せずに病院で診てもらうことが大切です。
生まれながらの「蒙古斑」は赤ちゃんらしさが際立つ、かわいいシンボル
生まれたばかりのかわいい赤ちゃんにみられる蒙古斑。なぜできるのか、なぜ黄色人種特有のものなのか、蒙古斑はなぞも多くてちょっぴり不思議な存在ですよね。蒙古斑がどんなものなのか知らずに赤ちゃんの体の青あざを見てしまったら、何?どこかにぶつけたの?病気なの?ママはとても責任を感じて不安になってしまうと思います。しかし、蒙古斑は日本人のほとんどの赤ちゃんにみられるもので、体に害のあるものでもなく、自然に消えていくものがほとんどなので心配し過ぎる必要はありませんし、ないからといって心配する必要もありません。蒙古斑が現れているのなら、赤ちゃんのかわいい蒙古斑の様子を見守りながら対処してあげましょう!