生ワクチンの効果&副作用
生ワクチンの効果や副作用|生きたウイルス接種に影響は?
生ワクチンはウイルスの毒性を弱め作られるワクチン!完全に毒性を失った不活化ワクチンとは違って生きたウイルスを接種する効果や心配な副作用について解説していきます!また生ワクチンの接種間隔をあける理由、同時接種のリスクとメリットについてもしっかりわかりやすくご説明しますよ!
ウイルスの毒性を弱めた「生ワクチン」接種で気を付けたいこと
予防接種の時に耳にする「生ワクチン」と「不活性ワクチン」って何でしょうか?またその2種の差は何でしょうか?今回は生ワクチンについてを深く掘り下げてみましょう!
「生ワクチン」と「不活化ワクチン」の違いはココ!
生ワクチンとは生きたワクチン。病気の原因となるウイルスや細菌は生きたまま、もともと持つ毒性を弱くしたもののことです。
通常のウイルスが持つ毒性を弱められているとはいえ、毒性は保持したままのウイルスをワクチンとして体内に入れ、敢えて体内で増殖させて免疫を作ります。効果が不活性ワクチンより高く1回か2回の接種で済みます。
体にウイルスを入れると思うとちょっとドキッとしますが、接種後に発熱や発疹が時折みられる程度で、重度の副作用などの報告は極低確率のため、そんなに心配する必要はありません。
対して不活性ワクチンとは死んだワクチン。免疫を作るのに必要な成分だけを残しウイルスや細菌は完全に毒性を失っているため、1回の接種では効果が薄く免疫を定着させるためには複数回に分けて接種する必要があります。
「生ワクチン」を起用している予防接種一覧
生ワクチンにはいくつかの種類があります。名前だけではわかりにくい生ワクチンの効果も確認してみましょう!
一歳までに接種したい生ワクチン
定期接種、任意接種を問わず、12ヶ月までに接種したいワクチンは以下の通りです。命に関わったり、感染力が強く流行すると大変な病気もありますから、忘れずに接種してください。
BCG(結核)
昔でいうハンコ注射で結核を予防します。標準接種時期は生後5ヶ月~8ヶ月の期間、生後11か月までに必ず接種しましょう。
ロタ
ロタウイルス胃腸炎をよぼうします。子供の嘔吐下痢や胃腸炎のほとんどがこのウイルスが原因とされており、感染力が強いためすぐに流行します。予防することで重症化を防ぐことができます。
一歳から受ける生ワクチン
1歳を過ぎると0歳の頃ほど定期接種は頻繁ではなくなりますが、やはり接種した方がよいワクチンはあります。保育園入園を検討しているのなら、集団生活に入る前の接種が望ましいです。
麻疹風疹混合(MR)
麻疹、風疹を予防します。標準接種時期は1歳からですが、任意で生後6カ月からでも接種可能です。
水痘ワクチン
みずぼうそうを予防します。1歳から接種可能で2回接種する必要があります。感染力が強い病気なので早めのワクチン接種がおすすめです。
ムンプスワクチン
おたふく風邪を予防します。1歳から接種可能です。保育園に入園予定がある場合は早めに打っておきたいワクチンです。
その他の生ワクチン
ポリオは、2012年以降は四種混合の不活化ワクチンに切り替わりましたが、それ以前の接種は生ワクチンが一般的でした。
ポリオワクチン
ポリオウイルスの感染を防ぎます。生後3ヵ月から接種可能です。ポリオは風邪の症状のようなものしか出ないので病気に気付きにくく感染が広まりやすい病気ですが、重症化すると手足に麻痺がでたり、運動障害がおこることがあります。
日本では30年前からポリオ感染者は確認されていませんが、世界的に見てまだ撲滅されていないウイルスなので接種が続けられています。
ポリオワクチンは平成26年現在では不活化ワクチンを使用し、四種混合に組み込まれています。
不活化ワクチン一覧
せっかくなので不活化ワクチンもチェックしておきましょう。生ワクチンとは違う、「不活性ワクチン」の種類は・・・?
四種混合
ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオの4つの予防をまとめたワクチンです。生後3カ月から接種可能で3回目の接種後、1年たってから4回目を接種する必要があります。
中でも百日咳は成人には咳くらいの症状がなく広まりやすいのですが、月齢が小さい赤ちゃんほど症状が重くなり感染によるリスクも大きい病気なので早めに接種したいワクチンです。
小児用肺炎球菌
細菌性髄膜炎や肺炎を予防します。生後2ヵ月から接種可能ですが、初回接種時期によって全接種回数が変化します。生後6カ月以降の赤ちゃんに肺炎球菌が原因の発病がみられやすいため、6カ月までに免疫を付けましょう。
ヒブワクチン
細菌性髄膜炎、喉頭蓋炎を引き起こすヘモフィルス・インフルエンザ菌b型感染症の予防ワクチンです。
インフルエンザという名前から紛らわしいのですが、冬に流行するインフルエンザの原因ウイルスとは違います。保育園などに通う子供のヒブ感染症のリスクはそうでない子の2~3倍とも言われます。初回接種時期により全接種回数が変動します。生後2ヵ月になったら小児肺炎球菌と同時に接種を進めていきましょう。
日本脳炎
日本脳炎の予防ワクチンです。生後6カ月から接種かのうですが大体の地域では3歳から接種することが多くあるようです。かかりつけ医と相談の上で接種日を決めましょう。
B型肝炎
生後すぐに接種可能なワクチン。母親が妊娠中にB型肝炎キャリアがあるとわかった場合は健康保険での接種が可能です。WHO(世界保健機関)でも産後すぐに打ったほうがいいワクチンとされています。2016年10月より定期接種に組み込まれます。
インフルエンザ
任意接種です。妊娠中でも接種可能で、妊娠中接種した場合は赤ちゃんが生まれたときにそのまま抗体が体に残るとされています。
ワクチン接種後の経過観察のポイント
ワクチンの接種後は基本的に、病院内で30分~1時間くらいほど経過観察を指示されることがあります。経過観察をする場合には子供の元気の有無、接種部位の腫れ具合、発熱の有無、顔色、倦怠感、機嫌のいい悪いをチェックします。
接種後自宅に戻ってからも、24時間はなるべくなら安静に過ごし様子を見ていてあげましょう。
特に自分から具合の悪さを伝えられない0~1歳の赤ちゃん、言葉がはっきり出にくい2歳まではしっかりと観察する必要があります。異常があればワクチンを接種した医院、かかりつけの病院に連絡しましょう。
ワクチンと生ワクチンの接種間隔
生ワクチンの接種前は前回の予防接種より6日、接種後は次の接種まで27日の間隔をあけます。
しかし、現在では定期接種の種類の多さから実際に単独接種で期間を開けているうちに予防できるはずだった病気にかかってしまうというリスクを避けるため、同時接種が勧められています。
同時接種はOKで単独接種は一定期間をあけているのには、理由があります。
接種間隔の理由…同時接種はOKでも単独接種は期間をあけるのはナゼ?
もともと接種間隔はワクチン接種後の副反応を確認するためにありました。というのも、極低確率で副反応が現れるとはいえゼロではないから。
つまり生ワクチンや他のワクチンの接種後の発疹や発熱などが、どのワクチンで起こったのか?を判断するべく一定の間隔をあけるように決められたようです。
ですが近年では、定期接種の種類が増えタイトな接種スケジュールをこなす必要が生じたことから、同時接種が推奨されていますよね。単独接種でひとつずつ反応を確認するのが望ましいのかも知れませんが、危険性は極めて低いとされている同時接種のメリットが優先されているわけですが、このためワクチンの接種間隔の見直しも提唱されているようです。
生ワクチンの副作用…本当に安心?!
免疫を作るために毒性を弱められた生ワクチンとはいえ、体内に毒性が低いウイルスや細菌を入れるのですから、詳しい知識もないと漠然とした不安は残りますよね。生ワクチン接種後に重大な副作用が出るということは極低確率で、これまでに報告されている副作用の原因がワクチンという報告はありません。
しかし、多少の副反応がみられることがあります。確認されやすい副反応は…。
接種した部分が赤くなる
どのワクチンでも起こる反応です。よほどの腫れでなければ治療せずに治ります。腫れがひどく、肘まで腫れが広がる場合はすぐに病院に連れていきましょう。
熱が出る
ウイルスや細菌は弱めてあっても多少の反応が出るということで若干の発熱がみられる場合があります。2~3日で治り、発熱中も本人が元気であれば問題はありません。熱が38度を超えてくるようであれば病院に連絡をしましょう。
各ワクチンの病気症状
実際にかかった病気よりも弱い反応として、熱・咳・鼻水や倦怠感がでることがあります。
例としておたふくかぜ等のワクチンを接種後に無菌性髄膜炎を発症するリスクは0ではありませんが、実際に野生菌に感染して髄膜炎を発症したときよりも短期間の治療か入院で済みます。
生ワクチンの同時接種のリスク&安全性
生ワクチンは「毒性を弱めたウイルスや細菌を接種する」わけですが、毒性を弱めてもウイルスや細菌は活動しているため、副反応や何かしらの症状の発症がゼロということはありません。このため、医学界では生ワクチンの同時接種に否定的な意見もあります。
実際、小児科医のなかには生ワクチンの同時接種などに否定的で単独接種を進めている方もいますが、その場合はあくまで小児科医の個人的見解によるものと言えます。
WHO(世界保健機関)や日本小児科学会では、生ワクチンの同時接種をした場合も副反応が起きる確率は上がらず、また同時接種でワクチンの免疫効果が薄くなる作用はない―――という見解を示しています。
国際的に見ると、日本の子供たちのワクチン同時接種は比較的最近始まったばかりで医師個人や親が不安に思うことが多いというのも仕方ありませんが、世界的な目で見たときにやはり体力が弱く免疫も持たないため重症化のリスクの高い小さな子供を感染症のリスクから守るためには早期に必要な免疫を獲得する同時接種を進めるメリットは大きいと言われています。
なんにせよ、ワクチンは免疫がつくまでに時間がかかるので、早め早めに予防接種を終わらせてあげることを第一に考えましょう。
予防接種スケジュール 一般的な同時接種の組み合わせ
実際にワクチンを接種する時期になると、小児科で医師と相談がはじまるのですが基本は同時接種を中心にワクチン接種を進めていきます。
現在ではワクチンの接種間隔は一定期間を設けなければいけませんので、生ワクチンは接種後約4週間、不活性ワクチンは約1週間程度次回の接種までのお休み期間を加味してスケジュールを決定していきますが、基本は接種回数が多いヒブワクチン・小児肺炎球菌・四種混合ワクチンなどを同時接種ですすめていくようです。
生ワクチンのナゾQ&A
予定通りに予防接種が出来なかったときはどうしよう…実際にワクチン接種を進めていこうと思った矢先のQ&Aや知っておくとへぇ~!となる生ワクチン豆知識をご紹介します。
ワクチン接種の時に風邪…その後の予防接種は大丈夫?!
予防接種は健康体でないと進めることができません。予防接種を受けるときに風邪症状がみられた場合は、医師の判断でスケジュールをずらす場合があります。
熱が38度以上あったり、何か薬を継続して飲んでいるといった場合には次回に延期ということがあります。風邪でも鼻水だけ、軽い咳だけの場合はスケジュール通りに進めることもあります。
ワクチン接種のときに発疹やひどい肌荒れ…接種して大丈夫?
ワクチンは基本腕に接種するのですが、二の腕付近がひどい肌荒れで軟膏などを塗っている場合や接種予定日に発疹がひどくみられる場合は延期するか場合によっては足から打つ場合があるようです。これも医師の判断によるので、当日どうかな?と思うことがあればすぐに聞いてみましょう。
ポリオワクチンは生ワクチンだったような気がするけど…
ポリオワクチンは2012年8月までは生ワクチンでの接種(経口型)が行われていました。しかし同年不活性ワクチンに変更され四種混合に組み込まれました。
実は生ワクチンのポリオはそれまでに重大な副作用を引き起こしたことがあります(日本国外)。
当時のポリオワクチンは口から飲む経口型が多く、この生ワクチンが腸の中で増え毒性を強めてしまった結果、接種した人や周囲の人への感染で小児麻痺が確認される事故がありました。この事故の発生を受け、日本国内では30年以上ポリオ感染者は見られていないものの、危険性があると判断されポリオワクチンは生ワクチンから毒性のない不活性ワクチンへと切り替えが進められました。
妊婦だけど生ワクチンは接種していいの?
妊娠中にインフルエンザの予防接種をしたことがある方、いらっしゃるのではないでしょうか?実際妊娠中の不活化ワクチン投与は有益であるといわれています。
実際、先に述べたインフルエンザワクチンは妊娠中でも接種可能な不活性ワクチンとされ、流行する時期には妊娠中でも接種する方が多くいらっしゃいます。
ならば、生ワクチンもいいのでは?と思いますが、生ワクチンは妊娠中接種してはいけない「禁忌」とされています。
生ワクチンで予防する、はしか・おたふくかぜ・風疹などは妊婦さんがかかるとおなかの赤ちゃんに危険が及び、妊婦さんも重症化しやすいという傾向があります。このため、生きたウイルスや菌を接種する生ワクチンは妊婦さんに使用不可とされているのです。
任意接種「ロタウイルス」の接種の必要性は?
生ワクチンのなかでも定期接種と任意接種があります。定期と任意の違いは国や自治体が指定し、接種を強く勧めているものかそうでないかの違いです。
かといって、任意接種のワクチンのほうは重要ではないかといえばそうでもなく、生まれてすぐ接種可能なら早めに接種しておいたほうがいいものもあります。
例としてロタウイルスは特に赤ちゃんがかかりやすく、感染力も強いウイルスなので早めの接種がお勧めです。
任意のワクチンは健康保険が適用されないため自費での接種になりますが、地域によっては助成が受けられるので事前にチェックしておくといいでしょう。
- 予防接種の任意は受けるべき?予防接種のうち任意接種の必要性を病気のリスクやワクチンの効果の観点から見ていきながら任意接種と定期接種の違いや現在の定期、任意の予防接種についてもご紹介します。
ワクチン接種はお早めに!
ワクチン接種はスケジュール管理や同時接種か単独接種かなどの兼ね合いを考えるのも、病院に連れていくのも大変。注射嫌いな子供を連れていくだけでもパパママは疲れてしまいますが、どんなに泣かれても我が子のため。
予防接種してもすぐに免疫がつくわけではありませんから、どんなワクチンでも早め早めの予防接種を心がけましょう。