人見知りの原因は?子供の性格や育った環境の影響
生後6ヶ月ごろの子供に多く見られる『人見知り』。0歳~2歳くらいの赤ちゃんが人見知りして泣いたりうつむいたりしているのはかわいいものですが、幼稚園や小学校に入る年齢になっても人見知りが激しいと、「何か特別な理由があるのかも」「もしかしたら問題を抱えているのかしら・・・」と、親は不安に感じるようになるかもしれません。
人見知りはその子その子の性格がもたらす結果でもありますし、大人になっても人見知りする人はいますので、成長しても人見知り気味だからというだけで心配する必要はモチロンありません。
ですが、人見知りが激しい子を抱える親としては、人見知りする子しない子の違いを見たときには特に「子供の人見知りにはどんな原因があるのかしら?」と考えてしまいますよね。
今回は子供が人見知りになる要因や人見知りを助長する要因として考えられる事柄について探っていきましょう。
子供の個性・性格起因
人には生まれついての性質というものがありますので、同じ環境で育ったとしても同じ性格になるわけではありません。人見知りの原因は、その人が生まれ持った性質であることが多いと考えられます。
内向的な性格だから人見知りをする
どちらかというと内向的な人や人と雑談するよりは一人でいる方が気が楽でいいわ、という人は一定数いますよね。小学校や中学校でも、休み時間におしゃべりしないで、自分の机で本を読んでいたり、ひとりストイックに鉄棒で逆上がりの練習をしていたりする人がクラスに何人かいたのではないでしょうか?自分が「楽しい」と感じることが何かは人によってまちまちですので、みんなと騒ぐことに価値を見出す人もいれば、一人でいる時間がかけがえのないものである人だっています。子供のころから一人で過ごす傾向があれば、社会性を保つ面でもその人にとっては一人の時間は貴重なものと考えられます。
年齢が進むにつれ、本当は一人でいる方が好きなのに、無理をして人と話すようにしたり、なるべく他人と一緒に行動したりと、自分で自分を変えていこうと努力する人もいますが、自分で自分を変えようと言う意識のない幼いころは、かなりの人見知りであったのかもしれませんね。
恥ずかしがり屋だから人見知りをする
元来恥ずかしがり屋の性格で、人前に出るだけで顔が赤くなったり、声が急に小さくなったり、緊張して声や体が震えたりしてしまう人もいます。幼少時にとくに恥ずかしい経験をしたわけでなくても、性格的に恥ずかしがり屋、という人も少なくありません。
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不安を感じやすい性格だから人見知りをする
初めて挑戦することに対して、「とりあえず何でもやってみよう」と前向きに失敗を恐れず考えられる人もいれば、「失敗したらどうしよう」「重大なミスをしてしまったらどうしよう」とただただ不安になってしまって尻込みする人もいます。
不安を感じやすい性格の人は、知らない人と最初に話すことも苦手であることが多いです。「何を考えているか分からない」と相手の気持ちが分からず不安を感じたり、自分が引っ込み思案であることを自覚して「イヤな思いをさせてしまうかも…」とネガティブに考えてしまったり…。
子供が石橋を叩きまくって渡れない…というタイプだと、なんにでも積極的かつ意欲的に取り組んでほしい!と考える親にはマイナス思考に映ってイライラさせられることもありますが、克服という名のもとに元来の性格を曲げさせるのではなく、良いところを引き出し上手く付き合ってけるようにサポートしてあげたいですね。
自分自身に自信を持てないから人見知りをする
自分や自分の行動に自信を持てない子の中には、人と接すること自体にも自信が持てなくなって人見知りをしてしまう場合もあります。元々の性格もあれど、小さい頃からあまり褒められてきていないのならば、必要な自尊心が育たない可能性が十分に考えられ、それが人見知りの原因となってしまっていることがあります。
育ってきた環境に原因がある場合
子供が育ってきた環境によっても、人見知りにしてしまう原因が隠れていることがあります。
親戚や親の友人知人とのかかわりがあまりなかった
おじいちゃんの家で親戚皆が集まったり、気軽に叔父・叔母や従兄弟たちと交流したりしない家庭も増えていますが、こういったケースではどの程度の距離感を保てばよいのか、親や兄弟姉妹以外の人との人間付き合いの感覚が育ちにくいと言えます。
幼いころから親戚づきあいが頻繁でないなら、親以外の大人とは話すこと自体も苦手に感じたり、慣れないことからの不安を大きく感じたりすることもあるでしょう。
同年代の子どもとのかかわりが少なかった
子供が家の近くの同年代の子と話したり遊んだりが全くない環境にいる場合や、兄弟姉妹がいない子どもも増えていますよね。
このように同年代の子どもとの関わりが少ない状態で幼稚園や保育園に入園、小学校に入学していくと、自分と同じ年頃の子どもとのテンションに壁を感じたり、先生にべったりとくっついたり、一人遊びばかりしたりすることがあります。
人間関係にトラブルが多くあった
親の転勤などで引越しがあまりに多く、人と関わってもすぐに別れが訪れるような環境が、子供心に「仲良くなっても仕方がない」というバリケードを作ってしまうことも。結果、人と話すことを億劫がるようになり、人見知りのような言動を見せる子もいます。
ですが、親の転勤は仕方のない面もあり、心にバリケードを作ってしまう子もいる反面で引越しが多いからこそすぐに誰とでも打ち解けて仲良くなれるスキルを身に付ける子もいることから、やはり同じでも元々の性質にも左右される面は大きいと言えるでしょう。
また、幼少時に何か人間関係のトラブルを経験したケースでは、人と関わることに恐怖感を覚えたり、人と仲良くなることを避けるようになったりすることも。こちらは少々深刻です。
親も人見知りだった
親が極端な人見知りで、一日中、他人と話したり目を合わしたりしない生活になってしまっている場合は、その子どもも人見知りになることがあります。ですが、これも引越しと同じく、親の人見知りに関わらず積極的に他人とかかわりたいと思える子どももいますので、環境だけでなく元々も性質にも因ると言えるでしょう。
子供の成長と人見知りの原因の変化
子供自身の元々の性格やそれぞれが育ってきた環境によって人見知りはしますが、人が成長していく段階において誰しもが人見知りになる可能性があるのです。
赤ちゃんの人見知り
生後6ヶ月ごろになると、知らない人が近づいてきたり抱っこしたりしようとすると、大きな声で泣いて全力で拒否したり、うつむいてしまったり、固まってしまったりすることがあります。早い赤ちゃんでは生後5ヶ月ごろからこのような人見知りが見られるようになりますが、1歳ごろになると大半は徐々に治まってくるようです。ですが、子供によっては2~3歳頃まで人見知りが続くこともあります。
赤ちゃんの頃の人見知りは、いわゆる成長の証。ほとんどの子に見られる現象であり何の心配もする必要はありません。赤ちゃんの人見知りにも程度があって、中にはほぼ人見知りをしない赤ちゃんもいますが、この場合も多くは元々の性質や家庭環境(人の出入りが多い家庭であったり、幼いころから保育園に預けられていたり等)によるものですので、子供が人見知りをしないからと心配する必要もありません。
生後6ヶ月ごろから人見知りをする赤ちゃんが増える理由として、次のような事柄を挙げることができます。
視力が良くなってくるため
赤ちゃんは生まれたときは視力が弱く、また、視界も広くはありませんので、ほとんどのものをぼんやりとしか把握していません。ですが、生後6ヶ月位になると視力も0.1くらいになり、視界も徐々に広くなっていきますので、匂いや雰囲気だけでなく、視覚による顔の判別もできるようになります。
そのため、赤ちゃんを抱っこしようとお母さんやお父さん以外の人がすると、「この人じゃない!」「誰なの?」と、赤ちゃんが大泣きしてしまうことがあるのです。また、視野の広がりから、普段、あまり見たことがない人が部屋の中にいたり自分の近くにいたりすると、普段とは違うという『違和感』が不安となり、固まったり、その人の様子ばかり凝視したりすることもあるのです。
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親に特別な愛着を持つため
生後6ヶ月ごろになると、いつも一緒にいる人に特別に愛着するようになってきます。多くがママパパであるため、ママパパがごく近くにいたり抱っこしてくれたりしていないと、その人を探す行動をとるようになります。
家では後追いとなってママを困らせることもありますが、子供にとって慣れない人がいるときは、この様子が人見知りをしているように見えることもあります。
不安な気持ち等が芽生えるため
赤ちゃんの成長は、体の大きさや視力だけに見られるのではありません。脳も成長し、感情面も徐々に複雑になっていきます。初めのころは誰を見てもにっこりスマイルを返していた赤ちゃんでも、だんだんと『不安』や『期待』、『興味』といった感情も芽生え始め、それらの感情にのまれてしまうと、つい、大声で泣いてしまったり、体が急に動かなくなって固まってしまったりするのです。
いつもは無差別に抱っこを喜んでいた赤ちゃんも、「お母さんの抱っこじゃないとイヤ!」「知らないおじさんが抱っこするのは絶対にイヤ!」と、全力で拒否するようになってしまうこともあるでしょう。
たまにしか会わない人にとっては、赤ちゃんに泣かれてしまうと情けなく感じたり居たたまれなく感じたりしますが、もちろん、これは一過性のもので赤ちゃんに嫌われているわけではありませんので、赤ちゃんの人見知りなんだと捉えて気落ちすることなく成長を見守ってあげてくださいね。
2~3歳頃までの幼児の人見知り
視力の向上や感情面の発達によって人見知りになる生後6ヶ月ごろとは異なり、2~3歳ごろの人見知りは、本人の性格面の要素が人見知りの原因の大部分を占めます。今まで誰にでもにこにこしていた赤ちゃんでも、2~3歳になって人見知りが始まり急にお母さんの陰に隠れるようになったり、知らない人が来ると急に動きが固まったりすることもあるかも知れませんね。
人間の性格は環境によって作られる部分もありますが、元々持っている性質にも大いに影響を受けますので、元々持っている性質が発揮される2~3歳の『人見知り』は子供なりの自己主張の1つとして捉えることができます。
思春期~青年期(大人)の人見知り
小学校低学年の頃は、まだ自分と他人をあまり比べず、自分に対して不満を持ったり他人をうらやましく思ったりすることも少ない(個人差もありますが)のですが、小学校高学年~中学生ごろになると、「自分中心の目線」だけに重きを置かないようになり、「他人からどう見られているか」も強く意識するようになります。
「他人から見た自分」を意識するあまり、他人との接触に強い恐怖や恐怖を感じたりするケースも少なくありません。また、特に明らかな理由がなく、自分自身に自信を持てなくなってくるのも思春期の特徴。そのため、他人からの評価が絶対的な意味を持つようになり、極端に引っ込み思案になってしまうこともあるのです。
子供の人見知りは直すべき?改善のコツ
子供の人見知りが気になるとき、親が積極的に関わって克服させるべきなのでしょうか?
子供の人見知りの多くは、「個性よ、あまり気にすることないわ!」と接してあげても良いのですが、で人見知りが高じてあがり症に…など影響が出てしまうのなら、多少の克服は考えるべきかもしれませんね。
その場合、無理やりに挨拶させたりなど、人見知りしてしまう性格を封じ込めて克服するのではなく、個性と受け止めてどう対処していくかを探すことが大切です。
『人見知り』を意識しないことで克服できる!
人見知りは、「私は人見知りだから…」と意識すると、もっと程度がひどい人見知りになることがあります。例えば、幼いころに人見知りをする度に、親が、「この子は人見知りが激しくて」といつもいつも言っていたとすると、子どもは自分自身に「私は人見知り」とある種の暗示を掛けられてしまったようになり、『自分は人見知り』という意識が根底にあることが他人と打ち解けられなくなってしまう状況を生み出しかねません。
このように、人見知りというものは、周りが意識すればするほど、そして本人が意識すればするほど、程度がひどくなってしまう面を有していて、反対に、大人になってからでも「私は本当の意味では人見知りではない」と自分に暗示をかけることで克服できるケースもあるのです。
人と会うハードルを下げる3ヶ条
子供の人見知りがあまりにも激しい場合、親は我が子の人見知り改善にどのような手段を講じていけばよいのでしょうか?
1.興味や好奇心を促す
「あの人、何しているんだろうねえ」「こっちを見ているよ。手を振って見ようか?」などと、子どもに他人に対する興味や好奇心を促し、普段から、『見ず知らずの他人がたくさんいる環境』に慣れさせることも大切です。
2.同年代の子供がいる公園に散歩にいく
同年代の子供たちがいる環境に自然に馴染んで行けるように、自分以外の子どもと接することを『いつもと違う特別な状況』にしてしまわないことが大切です。普段から、親自身も、自然な口調で他の子どもや親に話しかけて、率先してお手本を見せていきましょう。
3.子供が安心するまでそばにいる
「ママもパパもいつでもそばにいるし、何かあったらお話聞くよ」と不安がる子どもに声をかけるだけでも子供は安心します。とはいっても、口だけだったら子供の信用を失いますので、本当にそばにいて、しっかり見ていてあげること。子どもが不安を強く感じて戻ってきたときには、「もっと子どもたちと遊んできたら」と突き放すのではなく、まずは抱きとめてあげることも必要でしょう。
親も子供ものんびり構えましょう
人見知りの原因でもある不安感や恐怖は、意識をすればするほど高まる感情です。
「この子はちょっと人見知り気味かも」「もうちょっと子どもたちと楽しく過ごしてくれたらいいのに」と心配に思うと、子どもも親の思いを敏感に察知して、人と接することに構えてしまうようになるかもしれません。
内向的な性格等、元々の性質によって人見知りをしてしまう場合も、極端に心配する必要はありません。人見知りをするということは、慎重であるということでもありますし、リスクに敏感なゆえ思慮深い態度に移行する面もあるのです。
子どもの持って生まれた良い性質の一つと考え、「人見知りであってもなくても、うちの子はうちの子、そのままでもいいんだよ」と、いっぱい褒めていっぱい抱きしめてあげましょう。