妊婦さんの逆マタハラの実態
逆マタハラに注意!職場が困惑してしまう妊婦様の言動
逆マタハラという言葉を聞いたことはありますか?働く妊婦さんやママが周りの配慮に欠けた言動をすることでそのフォローに追われた周りの社員が不満を抱えてしまうことも。逆マタハラを引き起こす原因となる仕事と妊婦さんを取り巻く環境を知り、ともに働く上司や同僚に逆マタハラをしないように対策を
逆マタハラ…職場のみんなが迷惑している妊婦さんの困った言動
逆マタハラはなにが原因で、悪いのは本当に妊婦様なのか?
同僚や上司が出産・育児を理由に妊婦やママに不利益な扱いをする「マタニティハラスメント」が社会問題として大きく取り上げられていますが、実はその影で「逆マタハラ」という問題も発生しています。
逆マタハラは、働く妊婦さんや働くママが周りへの影響を考えない自分勝手で無神経な言動をとってしまうことで、周りの同僚や上司に仕事のしわ寄せがいってしまうこと。そうした言動をする妊娠中の女性や子持ち女性を揶揄して「妊婦様」「子持ち様」ということもあります。職場の迷惑を考えない妊婦様がいると、職場の同僚たちは精神的にも体力的にも疲弊してしまいます。
これから育休や産休を控えている妊婦&ママに向けて、逆マタハラの問題点や実例をご紹介します。
逆マタハラはなぜ起こるのか、「出産で周りに迷惑をかけたくない」と感じている女性、「職場にいる妊婦のせいで迷惑をこうむっている」といお怒りの方、立場は違えと逆マタハラの原因と対策について一度考えてみませんか?
逆マタハラとは?「妊婦だから仕事しない」「フォローするのが当然」はNGです!
妊娠や出産をきっかけに、会社の同僚や先輩に配慮をしない「逆マタハラ」と呼ばれる言動をとり、周りの人に肉体的や精神的に負担をかけてしまう人がいます。
逆マタハラは、働く妊婦さんやママが妊娠、育児の制度や権利を最大限に利用することではなく、妊娠していることを逆手にとって傍若無人に振る舞う態度や行為が問題となります。
妊娠・出産は歓迎されるべきこと!しかし子供のいない社員へのしわ寄せは現実に起こっている
妊娠・出産は歓迎されるべきことですし、そうした選択は最大限尊重されるべきです。しかし、現在の日本は労働力不足が深刻で、職場に妊娠中や子育て中の女性社員の穴を埋めるために、職場の社員は消化できなくなった分の業務のサポートをする必要が出てきて、言葉は悪いですが「しわ寄せ」が起こっていることも珍しくありません。
特に社員数30人から300人ほどの中小企業の現場では、人材の配置に苦労するケースも少なくない実態があります。
悪いのは女性個人ではありませんが、「自分は妊娠中・子育て中だからみんなにフォローしてもらうのは当たり前」と思っているかのように振る舞う妊婦やママの姿は、やはり思いやりに欠け「逆マタハラ」と見なされる恐れがあるのではないでしょうか?周囲が抱えている問題を妊婦やママも認識しておく必要があるでしょう。
逆マタハラの意識が広がったきっかけは「資生堂ショック」子供のいるいないで待遇に深刻な格差
「資生堂ショック」とは20年以上も前から「女性が働きやすい会社」として制度を構築していた資生堂が、ある年から1万人の美容部員を対象に、育児中でも夜間までの遅番や土日勤務に入ってもらうという働き方の改革を行ったものです。
その背景を覗いてみると・・・育児中で時短勤務制度を利用している美容部員は5時頃に帰宅しますが、化粧品販売の繁忙時間はこの5時を過ぎてから。改革の根底にあったのは、若手やベテランスタッフにばかり負担が大きくなっていくことで、子どもがいる女性といない女性間に生まれた摩擦があげられます。
2015年にNHKの番組が「資生堂ショック」として特集したことで、この美容部員の働き方をめぐる資生堂の改革は女性支援に逆行する、マタハラにつながるのではと批判が広がり、ネット上では資生堂に対する批判が殺到。不買運動にまで発展したのですが、このことをきっかけに背景にあった「逆マタハラ」も社会問題として浮き彫りになりました。
実際に起きた!逆マタハラ事例
妊娠出産育児に携わる女性社員を取り囲む同じ職場のスタッフは、実際にどのような状況に不満を抱え「逆マタハラ」と感じているのでしょうか?つわり中の妊婦や育児中のママから被害を受けた逆マタハラの事例をご紹介します。
大変なのは覚悟の上では!?
まゆまゆ(販売・20代)
妊娠や育児が大変なことは事前に分かっているのでは?その覚悟を決めて妊娠したはずなのに「大変大変」って連呼されると気が滅入っちゃいます。職場のためにフォローはするけど、正直アンタの体調不良とか知ったこっちゃないです。自分で選択した妊娠や育児なのだから、大変なことを前提にして事前に対策を考えてほしかったです。
ミスをしても妊娠のせいに…
マリ(医療事務・20代)
ミスをしても反省する態度が見られず、妊娠で体調がどうのこうのと言われても問題の改善に繋がらないためどう対処すればいいか困ってしまいます。それに加えてミスのフォローがこちらに降りかかることも。良い印象を持っていない相手に対してのフォローはストレスを感じてしまいます。
責任感が強すぎるもの困りもの…
玲ちゃん(接客販売・30代)
女性社員が担当している仕事は妊娠中の女性にとってはハードな仕事だったので、部署移動を進めたら「妊娠前と変わらずに働けます!」と言い張るので部署移動を行いませんでした。しかし、いざ仕事を続けてみると仕事中に体調を崩すこともしばしば。結局急に休むような日が続いて、その影響で接客業で人手が足りなくてクレームにつながってしまいました。仕事に責任感を持つのはいいことだけど、自分の状況をきちんと把握して冷静な判断をしてほしいです。
仕事よりも家庭に意識が向いていて注意力散漫!
りす子(事務職・30代)
勤務時間中に自宅に電話をかけて子どもと話す…ちょっと抜け出して保育園に必要なものを買い出しに行く…常にここは家か!のような自由な振る舞いで、仕事は全然進まない…さすがにイラッとしました。在宅にしたら?と喉から出かけたところで耐えた私をだれか褒めてください…。
子どもの熱で急に何日も休んだのにお礼もない
律(広告制作・30代)
子どもの急な発熱は仕方のないことだと思います。しかし急に1週間も休むことになって、何が終わっていて何が終わっていないのかから把握することから始めなければなりませんでした。余計な仕事がどっと押し寄せたのに、休んだ本人が出社してもお礼のひとことさえなかったので驚きました…。
逆マタハラが起きてしまう原因
逆マタハラが起きてしまう原因は、女性社員の妊娠出産を巡って業務が負担にならないように周囲に配慮をさせたり仕事のフォローをしてもらっているにもかかわらず、当の妊婦さんやママ本人がそれを当然かのように振舞う態度が、周りのスタッフに対してストレスを感じさせることにあります。
「妊婦様」という揶揄からも分かるとおり、仕事のしわ寄せがきている社員にとっては「自分の都合で妊娠したのに正直迷惑」「妊娠は仕事をしない原因にならないでしょ!」と、傍若無人へ振る舞う個人へ攻撃の矛先が向きがちです。
しかし、実は、逆マタハラの根本的な原因は会社の制度や日本全体の職場環境にあります。そもそも妊婦さんやママの仕事のしわ寄せが他のスタッフに行くということは人員が足りていない証拠であり、不満はしわ寄せが正当な評価として反映されていないから生み出されていると考えられます。逆マタハラが起きる原因を詳しくチェックしていきましょう。
会社の管理力不足!妊娠中や育児中の女性をどう扱うべきか手探りな企業が多い
まず、はっきりさせるべきなのが妊娠や子育て中の女性によって職場の人間にしわ寄せがいっている場合はもちろん、逆マタハラを行う妊婦さんの言動に問題がある場合でも1番に対処するべきは会社側だということです。
しかし、日本で妊娠し、子供を産んだ女性が大勢活躍するようになったのはここ数十年の話です。企業側も社会の変化にどう対応していいかわからず、手探りの状態が続いているのが本音なのではないでしょうか。
言動に問題のある社会人は、例え妊婦であろうとも指導すべき
妊娠を理由に仕事をしない、無許可で他の社員に仕事を押し付けている、このような逆マタハラがまかり通っている場合は上司が妊婦本人に指導するべきです。
しかし、実際は「マタハラ」と呼ばれるのを恐れて適切に対応しない上司、見て見ぬふりをする人も少なくありません。妊婦自身も問題ですが、職場の上司の管理能力に問題があり、そうした人間を役職につけている会社側も大いに問題ありです。
妊婦様の無責任な態度にカチンと来ても人手不足に対処すべきは会社側
妊娠出産育児のための人材不足に職場が対応できていないと、仕事のしわ寄せが他のスタッフに回ります。これはそもそも人員が足りていない証拠でもあると先にも触れましたが、近年では正社員の数を減らし、少ない人員で効率的な利益を求める会社も増えています。
そのため部署の人数が減っているにもかかわらず、全体の仕事量は増えている状況はよくある話。そんな部署では急な抜けにだけ人員を補充することも困難であり、育休あけの小さな子どもを持つママが仕事復帰しても人員を増やすといったフォローが行われないことがほとんどです。
どんなに妊婦自身が悪びれなく仕事を途中でほっぽり出して「お先に失礼しま~す♪」とやっているとしても、指導すべきは上司ですし、人手が足りないのなら欠員を補充するのは会社の仕事。悪いのは休む個人ではなく、そうした労働環境しか維持できない企業側だと心得ましょう。
人材を確保できないのなら、せめてフォローにまわる社員の評価・待遇を上げれば不満を和らぐはず
妊娠・出産・育児で休む社員がいる場合、会社側は欠員を補充すべきですが、それが難しいのならフォローする人間の待遇を上げるなどの対策がとることを検討しなくてはなりません。3人の部署で1人が産休に入り仕事量が1.5倍に増えたのに、給料が同じ、残業もさせてもらえないというのはあきらかにオーバーワークで、残された社員の健康面も心配です。
積極的に妊婦やママのフォローをしても評価されない風潮や人事制度が不満・不公平感を生み、「逆マタハラ」を受けていると考える社員が増え、職場内の不要な人間トラブルを作り出しているとも言えます。
企業は子育てをする女性には気を遣っても、彼女たちを応援しようとするスタッフを正当に評価できるよう人事評価の精度が追いついていないのなら、マタハラや逆マタハラは起こるべくして起きてしまうでしょう。
日本の労働環境は厳しい!妊娠・出産をしない人たちへの支援の遅れ
「妊婦が職場にいるせいで自分は休めない」「仕事のしわ寄せで迷惑をこうむっている」口には出さなくてもこのように自分は逆マタハラ被害を被っていると感じる人は多く、こうした意見はまさに日本の労働環境の問題点を表しています。
日本の有給休暇取得率や男性の育児休暇取得率は先進国では最低レベルです。中には「会社・同僚に迷惑をかけるから休めない」という声も聞きますが、一人が数日休んだだけで回らなくなるような職場環境が慢性的に続いているのはやはり問題なのではないでしょか。
マタハラが社会問題として取り上げられて以来、妊婦やママを守るための法整備や支援が進められました。しかし、過酷な労働環境で体力的に負荷がかかり、精神をすり減らしている人たちは妊婦・育児中の女性に限りません。もっと根本的な改革・働く人みんなが個人としての幸せを追求できる環境が必要です。
「妊婦さんや子育て女性ばかりが優遇されている」という歪んだ認識は両者の間に深刻な溝をつくり、かえって逆マタハラやマタハラを招くことになりかねません。
許せるかどうかは人柄の問題?妊婦・ママに周囲への配慮が足りていない
育休や産休、時短勤務など出産や育児に関する制度は、妊婦さんやママにとって活用する権利があります。しかし妊婦さんやママが業務のフォローを行ってくれている同僚や先輩に対し、さも当然かのような態度をとってしまうと、やはり周りの人の気分は良くありません。
権利を行使しているだけ、日本の労働環境が悪いと言ったところで、今日明日に改善するものではありませんから、周囲の人たちには謙虚が姿勢で接した方が良いでしょう。妊婦さんやママでも安心して働ける環境は周りが保ってくれているわけですから、感謝の気持ちを忘れない言葉や態度を示していきたいですね。
妊娠中や産後も仕事を続けるならコミュニケーションが大事
妊娠中や育児中は「つわりで体調が悪い」「子どもが急に発熱した」など、急に会社を休まなければならない場面は多くあり、働く妊婦さんやママの多くが心苦しく感じるところでもあります。
このとき重要なのが周りの人と密にコミュニケーションをとっていること。自分の仕事を周りの人にお願いしなければならない状況であるのなら、自分が抱えている仕事の内容や進捗をこまめに伝えておけば、急に休みを取っても周りの人も慌てずに対処できますよね。
スタッフが何人もいる現場では、しばしば全体のためにチームで乗り越えるべき課題は生じるものですが、あなたが大変なとき代わりに仕事を請け負ってくれている職場の人たちへは誠実に接していく気持ちを持つべきです。
妊娠や子育ての状況も話しておけば、辛い時間帯や子どもが体調を崩す周期なども把握してもらえるため、みんなで乗り切る体制を整えることが出来るかもしれません。
妊婦&ママの主張…逆マタハラの本音はこうなのです!
妊娠をしてから傍若無人に他人に仕事を押し付け、あきらかに態度に問題のある「妊婦様」も存在します。もともとの人間性の問題もありますが、もしかしたら彼女もまた追い詰められているのかもしれません。
妊娠に伴うホルモンバランスの変動が体調の悪化だけでなくメンタルに影響することもあります。「周囲の人は私の気持ちをわかってくれない」と感じてしまうなら、普段より感情的にイライラしたり攻撃的になってしまって思いがけない形で逆マタハラを引き起こすことも。
逆マタハラをしてしまう妊婦さんやママの心理を追ってみましょう。
マタニティハイで周りのことが見えなくなりがち
マタニティハイとは出産に伴い、ホルモンのバランスが崩れることが影響して嬉しさや喜びの感情が湧き出し、テンションが上がってしまう状態のことを指します。ついつい妊娠した嬉しさのあまり、周りのことが見えなくなって「同僚にいかに妊娠が素敵なことかアピールする」「望んでいない人にやたらと妊娠を進める」「妊娠したことをべらべら周囲に話す」「妊娠中の体調不良アピールがすごい」といった行動はマタニティハイ状態によるものかもしれません。
ですが、あとあと冷静になってみたときこれらの振る舞いを後悔する妊婦さんも…。ホルモンバランスが影響しているため仕方のないことではありますが、職場では常に冷静な目で自分を見つめていたいですね。
妊娠中のつわりで仕事に集中できない…注意されて孤立感を深める
つわりは人それぞれで様々な症状があります。特に吐きづわりになってしまった方は吐き気をこらえるので必死。仕事なんて手につかず、進捗が遅れてしまったりミスを繰り返してしまったりすることは実際にあります。
そんなつわりのつらさはなかなか周囲には理解してもらえないもの。つわりで気分や体調がすぐれないときにきつい注意を受けてしまうと、「この辛さをわかってくれない」と悲観的になり、自分の殻に閉じこもってしまう方もいます。
しかし、自分の仕事の進捗の遅れやミスをフォローしてくれるのは周囲のスタッフです。いくらつわりで辛くても感謝の気持ちだけは忘れずにいたいですね。
やっと授かった子供…この子を守りたいと責任感でいっぱいだった
赤ちゃんができたとわかったとき、ママは嬉しい気持ちでいっぱいになりますよね。同時に「無事、生まれてきてくれるかな」といった心配も出てくるかもしれません。「重たいものを持つのは心配…」「遅い時間まで仕事をしても大丈夫かな…」様々なことが不安になってしまい、おなかの赤ちゃんを守らなければならない!という意識が働いてしまうため周囲に攻撃的になってしまうことも。
出産してからイライラがおさまったあとに反省するママもいます。
再就職や再雇用が厳しい時代だから、絶対にこの職場に残りたい!
育児や出産を機に退職を選んだ人(選ばされてきた人)を見ているなら、女性は再就職や再雇用が難しいことを肌身に感じていることでしょう。
今後の生活を守っていくため、自分の理想の職場であるといった理由から、育休明けは復帰したいと願うママは多いです。
その思いが強すぎて、無理をしてでも今までと同じ仕事をしなければならない!と意気込んでしまいがちですが、つわりや育児で思いだけが空回りすることも…。先程にもあったエピソードのように結局周りの人に迷惑をかけてしまいかねません。
妊娠出産を機に自身の働き方が今までのように行かない部分が生じることなどを冷静に把握して、対策を練る、職場に相談する、などの対応が必要になります。
- 職場復帰をスムーズに行なうために、復帰後の人間関係を円滑にする挨拶の内容や手土産、保育園関係までしっかり準備。不安なことは尽きませんが先輩ワーキングママ達の知恵や便利な各種サービスを使って乗り切ろう!
想像以上に育児でクタクタ!子どもがいない人にこの大変さはわからない!
時短勤務の制度を使って早めに帰れたとしても、ママにはその後休める時間があるわけではありません。子どものお迎えに行き、食事の準備をして、お風呂に入れ、最後に寝かしつけまですべての工程が息つく間もなく連続しています。家事を終わらせて、気づけば遅い時間になり、睡眠不足の毎日…ということも。
「子どもがいない人は自分の時間と仕事の時間がハッキリしているし仕事にも集中できていいじゃない!」という気持ちを持ってしまうと、仕事のフォローをしてもらっても感謝の気持ちを持ちにくくなってしまいます。
ママの気持ちもわかりますが、お互いに大変な部分が目に見えないなら誤解を生んでしまうことも。お互いに大変さを思いやりながら仕事を助け合う関係になりたいですね。
誤解による「逆マタハラ」は悲しい!仕事はチームプレイ!
妊娠がわかると、今まで通り朝から晩まで週5日安定して働くだけのシンプルな毎日すら課題になってしまう現実があります。つわりで体調が悪くなることもありますし、出産してからは朝は元気だった子どもが園で急に発熱、職場にお迎え要請の電話…。妊婦さんやママは周りのスタッフが見えないところで苦労をしていることもしばしば。周りの不満を察し辛い精神状態になりがちですが、できれば子どもが生まれても周りといい関係を保ちながら長く働き続けたいですよね。
本心では周囲に申し訳ないと思っていても、実はそれがきちんと伝わっておらず誤解されて逆マタハラが起きている現状もあるのです。仕事はチームプレイです。自分の気持ちを態度や言葉で表して、誤解なくお互いを思いやりながら仕事を進めたいですね。