産後ヘルパーのサービス内容
産後ヘルパーのサービス内容~民間と自治体どっちがお得?
産後ヘルパーは、産後のママを助ける強い味方です。里帰り出産できない、家事を任せたり、育児を手伝ってくれる人がいない。そんな不安を抱えているなら、産後ヘルパーの利用も検討してみましょう。民間会社と自治体の産後ヘルパーの料金やサービス内容を比較し、利用した方の体験談も紹介します。
産後ヘルパーは産後のママを助ける強い味方!
出産により大きなダメージを受けた体は、気力・体力ともに消耗した状態。それでも否応なく始まる育児でママは休む暇もありません。しかし、これからずっと続く赤ちゃんとの生活のためにも、十分な休養を取り、心身を癒すことはとっても大切。そのためには周囲のサポートが必要不可欠です。
「産後ヘルパー」は、家事や育児など、ママと赤ちゃんの身の回りのお世話をしてくれるサービス。産後ママを助ける強い味方として近年ニーズが高まっています。
今回は、産後ヘルパーについて、サービス内容や使い方を詳しくご紹介します。使用できる頻度や、気になる料金についてもまとめてみました。
産後ヘルパーとは?産褥期に体を回復させるために!
日本ではあまり知られていない産後ヘルパーですが、産後の休養が重要視されている中国や、子育て支援先進国のフランスなどでは、産後女性のほとんどが利用しているサービスです。
近年では、里帰り出産ができない、子育て経験者が身近にいないなど、支援やアドバイスを受けにくい女性からも注目を集めています。
産後ヘルパーとは?
「産褥ヘルパー」とも呼ばれる「産後ヘルパー」とは、産後のママや家庭をサポートするサービスのことです。食事の用意や掃除、洗濯といった家事代行から、おむつ交換や沐浴といった育児補助まで、すべて自宅でお手伝いしてくれます。
サービスを受けるのが産後まもない女性や赤ちゃんであるため、産後ヘルパーとして活躍している人の多くは、子育て経験のある女性がメインです。
家事代行サービスやベビーシッターなど、産後に役立つサービスは他にもありますが、産後ヘルパーの特徴は、家事や育児だけでなく、産後ママの心と体もケアしてくれること。不安を軽減するための育児相談や、体の負担を軽くするサービスを行ってくれることもあります。
産後ヘルパーはなぜ必要?
大きくなった子宮、開いた骨盤、ホルモンバランスの乱れなど、妊娠出産を機に目まぐるしく変化する女性の体は、さまざまな不調や痛みに見舞われ、心身ともに不安定な状態です。
出産後6~8週間の産褥期(さんじょくき)は、子宮を元の大きさに戻し、体力を回復させるための大切な期間。ここで無理をすると、慢性的な腰痛や肩こり、産後うつなどの心の病を引き起こし、将来の健康にも不安を残してしまいます。
産褥期には、とにかく横になって休める環境を作ることが大切。身近に頼れる人がいない場合は、産後ヘルパーに頼るのも一つの方法です。
産後ヘルパーのサービス内容~どこまでサポートしてくれる?
「授乳がうまくできない」「疲れて食事が作れない」「赤ちゃんを育てていけるか不安」など、産後のママは不安や迷いでいっぱい。そんなママを精神的・身体的に支えてくれるのが産後ヘルパーです。
では、具体的にどんなことをしてくれるのでしょう?企業や自治体により内容は異なりますが、産後ヘルパーの主なサービス内容をご紹介します。
産後ママの心と体ケア
産後ヘルパーの特徴は、ママの心と体もケアしてくれることです。育児の悩みを相談できる他、乳房ケアや腹部のケア、体の回復を早める産後体操の指導をしてくれることもあります。
自宅で一人になりがちな産後ママにとって、悩みを相談できる相手がいるのは心強いことです。リラックスして赤ちゃんのお世話に専念することができます。
赤ちゃんのお世話
だっこや授乳、沐浴など、産後の疲れた体で赤ちゃんのお世話をするのはとっても大変です。特に回数の多いおむつ替えや、慣れない沐浴のお手伝いをお願いすれば、ママの負担はぐっと軽くなります。
上の子のお世話
兄弟姉妹のいる家庭にとっては上の子のお世話も大きな悩みです。産後ヘルパーは、上の子の遊び相手にもなってくれます。
ただし、育児に関する支援は、保護者と子供が一緒にいる場所で行うことが産後ヘルパーの基本。上の子の保育園や学校への送迎は、保護者の同伴が必要になる場合があります。
食事の準備や洗濯など家事代行
母乳育児や体の回復のためにも、産後はバランスの良い食事からしっかり栄養を摂ることが大切。また、清掃の行き届いた部屋で生活することは、ママの心にも、赤ちゃんにとっても良いことです。
産後ヘルパーは、食事の買い物や準備をしてくれる他、掃除や洗濯といった家事もサポートしてくれます。
産後ヘルパーは民間会社と自治体どっちがおすすめ?
産後ヘルパーは、民会会社や行政に依頼します。産後ケアサービスを専門に行う民間企業の他、最近では、育児支援事業の一環として産後ヘルパーを派遣する自治体もあり、自治体が利用料の一部を負担してくれる施策も始まっています。居住している自治体に確認してみましょう。
利用頻度や時間を選びたいなら民間会社がおすすめ
産後ヘルパーを利用できる日数や時間については、依頼する企業や自治体により異なります。
民間企業は、依頼する頻度や時間について選べるコースを設けており、延長料金や追加料金で柔軟に対応してくれるというメリットがあります。「1週間以上からの利用で1回6時間または8時間」や「週1回以上で2時間~延長料金で対応」などコース内容はさまざまです。
その点、自治体は「1回2時間以内・最大20回まで」など、利用できる時間や回数が制限されています。利用頻度や時間を柔軟に選びたいなら、民間企業の利用がおすすめです。
料金は自治体と企業で大きな差があり!
産後ヘルパーを利用する際の料金については、企業と自治体で大きな差があります。それぞれの例をご紹介します。
例)自治体
- 東京都杉並区の場合(産前・産後支援ヘルパー)※注1
利用可能日数:退院の翌日から2ヶ月間で15日以内
利用可能時間:1日に連続4時間以内
利用負担額:1時間1,500円(一般世帯)
- 横浜市の場合(産前産後ヘルパー派遣事業)※注2
利用可能日数:出産後5か月未満で産前・産後各20回以内
利用可能時間:1回2時間以内、1日2回まで
利用負担額:1回1,500円(一般世帯)
- 福岡市の場合(産後ヘルパー派遣事業)※注3
利用可能日数:出産後6か月未満で産後最大20回まで
利用可能時間:1回連続2時間以内、1日2回まで
利用負担額:1回2,100円+交通費実費相当額(一般世帯)
例)民間企業
- 1週間以上からの利用で1日コース(8時間):24,000円~
- 週1回以上の利用で1回2時間~:5,000円
利用料金だけ見ると、自治体の方が断然お得です。
ただし、さまざまなコースから選べる企業のサポートは、体調に合わせ使い方を調整することができます。料金やサポート内容を比較しながら、家庭の状況に合った産後ヘルパーを依頼しましょう。
予約は出産前に!
退院後すぐにサービスを受ける産後ヘルパーの予約は、出産前に行うのが基本です。特に自治体は申請期間が決まっているため、申込方法などは早めに確認しておきましょう。申請が遅れると、必要な時にサポートを受けられなくなることもあります。
産後ヘルパーを利用した体験談
産後ヘルパーを実際に利用した先輩ママに、産後ヘルパーを頼んだきっかけや頼んだ仕事内容や頻度、民間会社や自治体のサービスで、良かった点、悪かった点を教えてもらいました。
民間会社のヘルパーを利用した方の意見
かなり助かりました
ゆり(30代前半)
里帰りしないため、産後ヘルパーをお願いしました。自治体のものは機能していなかったので、民間のところに依頼。産後は、まだ身体も痛く、初めての育児で何かとぎこちないため、沐浴と洗濯掃除などの最低限の家事をお願いしました。洗濯なんかは普段当たり前にするものですが、産後はホントきついので頼んで良かったです。
頻度は平日、週2~3回。子どもを複数育てている方だったので何かと慣れており、見ているだけで勉強になりました。おかげで自分もすぐ1人で沐浴できるようになりました。また、産後不安な時に先輩ママと話ができるだけでもありがたかったです。
悪かったことは時間が決まっていることが多いので、その時間は起きておかないといけないことですね。授乳と授乳のタイミングに寝ないといけないのですが、調整できるものではないので眠れず辛かったです。でも、これから出産される方で、周りに頼れる人がいない場合は、産後ヘルパーさんはぜひお勧めします。
産後の辛い時期に助かりました
丸岡由奈(28歳)
出産後、民間のヘルパーさんに依頼しましたが、時給制だったので1日に3時間程度家事を手伝って頂きました。内容は、洗濯、掃除、買い物です。週に3回、約1ヶ月間お世話になりましたが、とても気がきく方で、子育ての話なども交えながら楽しく過ごせました。
産後、少し気分が落ち込み気味でしたが、ヘルパーさんが傍にいてくれるので安心できました。初めて依頼しましたが、肉体的、精神的に大変助かり、ありがたく思っています。
料金が少し高めなのでその点だけがデメリットだと思います。でも、これからまだ手がかかる時期なので、定期的に週に3回は依頼したいと検討しています。ヘルパーさんは、産後子供に手がかかる時期は、役に立つ存在になってくれると思います。
家政婦さんで十分かな?
SKETCH(30代前半)
里帰りせず、実家が遠方、三歳の上の子がいるなかでの出産となったため、産後ヘルパーを利用しました。産後ヘルパー専門の民間企業に依頼し、毎日夕方15時から21時まで来ていただき、家事と上の子の世話の補助をお願いしましたが、家事については不満に思うことが多かったです。
具体的には、手際が悪く時間がかかり、夕食が遅くなる苦手だと伝えた料理を作る調理道具や家電などを誤った使い方で使うなどです。また、会社には事前にお願いするタスクと時間、場所を伝えて来ていただいていたにもかかわらず、「交通費がかなりかかっている」「時間が足りないので延長してほしい」などということを言われ、精神的にも負担に感じました。
上の子が懐いたのが唯一良かった点でしたが、考えた末、途中で他の会社に切り替えました。民間の家政婦紹介所から普通の家政婦さんに来ていただいたところ、直接契約なのでお願いできることの自由度が高く、家事のスキルも非常に高いのに時間当たりの支払い料金も安く、非常に良かったです。
今後出産の予定がありヘルパーの利用を検討されている方には、普通の家政婦をお勧めしたいです。
自治体の産後ヘルパーを利用した方の意見
私が風邪をひいた時に利用しました
かず(34歳)
現在3歳になる息子を出産した際に、市から派遣される産後ヘルパーさんを利用したことがあります。お願いしたきっかけは、風邪で体調を崩してしまい、生後4ヶ月だった息子の面倒をしっかりみてあげられず、食事などの家事が十分に出来なかったためです。
お願いしたことは、食事と掃除と洗濯と息子のオムツ替えでした。私が利用したのはこの1回だけ、利用料は2時間で1,600円でしたが、市の取り組みとしては1歳になるまで10回もヘルパーさんをお願いできるようです。
息子が3歳になった今でも、自分が体調を崩すと色々と大変ですが、やはり子どもが0歳でママがいないと何もできない時期は、体調を崩したらまず治療に専念することが子供のためだと思います。
産後ヘルパーさんが神様のようでした。
もも(34歳)
次男を里帰り出産して、1ヶ月で自宅に戻りました。2歳の長男がいたので、市の産後ヘルパーを利用しました。先輩ママ友が、産後ヘルパーを利用し、とても助かったとオススメされたからです。
産後ヘルパーさんは、週に2日、5時間来てもらい、全部で10回来てもらいました。長男の遊び相手や、家事をしている時に泣く次男を抱っこしてもらったりおむつを替えてもらったり、本当に助かりました。
ただ、やはり産後ヘルパーさんに来てもらうので、ある程度は部屋をきれいにしないといけなかったので、それが少しストレスでした。市の産後ヘルパーさんは、割と安く利用でき、無料の市もあるらしく、とても助けてくれるので、おすすめです!
毎回知らない人なのがネックですが、助かります
かあたん(39歳)
市の事業では産後3カ月の間に8回、一回につき2時間まで頼めるという内容でした。派遣されるのは、市の社会福祉協議会に所属する方でした。
私の場合、掃除、洗濯、買い出しや、食事作りなどをお願いし、週に2回から三回ほど来てもらい、8回の回数制限いっぱいになるまで利用しました。
良かった事としては、私の実家が遠く、帝王切開の為、上の子を見るのもやっとだった状態だったので、非常に有りがたかったです。
デメリットとしては、回数に制限が有ること、ヘルパーが毎回代わるので知らない方が自宅に上がること等があります。
これから、頼む予定の方へのアドバイスとしては、やって欲しいことを事前にリストアップしてスケジュールを伝えるといいです。
腱鞘炎のため娘の沐浴のみお願い!
ももこ(29歳)
子供は体重が3680グラムのとても大きな女児で、新生児室でも目立っていました。すると2ヶ月目あたりから私の左手首が娘を抱き上げるたび痛みを発するようになりました。特に沐浴時、左手で娘の首を支えていたのですが脂汗が滲む始末。
保健師さんに相談したところ、私が受診のため留守にする間、市の運営センターから産後ヘルパーさんに来ていただく事になりました。
ヘルパーさんのおかげで無事受診できたのですが結果は腱鞘炎、しばらくはサポーターをつけできるだけ負荷をかけないようにと言われ、結局その後1ヶ月弱の間、毎日ヘルパーさんに30分だけ来てもらい娘の沐浴をお願いしました。
短時間ですが、毎日のことなので、サポートをしていただき本当に助かりました。
産後ヘルパーを賢く利用しよう
女性を取り巻く環境が変化し、仕事・家事・育児の両立に悩む人は少なくありません。核家族化が進む中、子育ての支援やアドバイスが受けにくい状況で育児をスタートするのは、ママの心と体の大きな負担になります。産後ヘルパーを利用することも考えてみましょう。
ただし産後は、ホルモンバランスの乱れからママの気持ちもナーバスになりがち。赤ちゃんを守らねばという本能が働き、他人に赤ちゃんのお世話をされたくないと感じることもあります。
そんな時は、買い物や家事をお願いするなどして、産後の負担を減らしていきましょう。家事だけを頼むのなら、家政婦さんの方が良いという意見もありますので、サービス内容や費用を比べてみても良いでしょう。
ママの心身を健やかに保つことが、赤ちゃんのためにも大切なことです。
参考文献