突発性発疹で鼻水・咳・発熱は?

突発性発疹で鼻水や咳は?症状が似ている病気との見分け方

突発性発疹では、発熱のほかに鼻水や咳などの症状は現れるのか?そんな疑問をお持ちのママは必見!風疹やはしか、水ぼうそうなど、突発性発疹に似た病気はいろいろあるので、ここではそれぞれの特徴の見分け方を紹介。赤ちゃんの突然の発熱や発疹に慌てず対処しましょう。

突発性発疹で鼻水や咳は?症状が似ている病気との見分け方

突発性発疹に鼻水や咳などの症状は?間違いやすい病気とは

突発性発疹(とっぱつせいはっしん)とは、その名の通り発疹が代表的な症状ですが、実は発疹やそれ以外の症状が、他の病気と見分けにくいことでも知られているため、赤ちゃんが突発性発疹を発症した際、すぐに気付いてあげられるか不安なママは多いのではないでしょうか?

ここでは、そんな症状が分かりにくい突発性発疹を見分けるために、具体的な症状や起こりやすい月齢のほか、症状が似ている感染症との違いについて解説していきます。また、突発性発疹が起こる原因や注意点を知っておくと、いざという時に対処がしやすくなります。

鼻水や咳は?赤ちゃんの突発性発疹の代表的な2つの症状

突発性発疹で機嫌が悪い赤ちゃん

突発性発疹の症状は、基本的に発熱と発疹がほとんどのため、鼻水や咳のような上気道の炎症を伴う症状は起こりません。しかし、まれに細菌感染の合併が起こることで、鼻水や咳などの症状がみられることもあります。

それでは、突発性発疹の代表的な2つの症状について、具体的にみていきましょう。(注1)

1.38度以上の発熱

突発性発疹の場合、まずは38度以上の発熱が3日間ほど続くのが特徴です。その後、熱は下がりますが、それで症状が治まったというわけではないので、くれぐれも安心しないよう注意しましょう。また、のどちんこ(口蓋垂)の両脇に「永山斑」と呼ばれる小さな盛り上がりがみられるため、発熱した際に確認してみるといいでしょう。

2.顔や全身にできる赤い発疹

38度以上の発熱が治まった後で現れるのが、斑丘疹と呼ばれる皮膚が盛り上がってできる紅色の発疹です。かゆみがない発疹が顔や脚よりも、体や腕に多く見られるのが特徴で、現れてから数日間は続きます。

基本的に、突発性発疹の症状は発熱と発疹がほとんどですが、次のような症状がみられる場合があるため、注意して赤ちゃんの様子を観察してみましょう。

その他の突発性発疹の症状

・下痢
・まぶたの腫れ
・大泉門の隆起
・リンパ節の腫れ

突発性発疹はいつから?1歳以降でも発症するの?

病み上がりでも機嫌が良い赤ちゃん

突発性発疹の発症年齢は0歳と1歳がほとんどですが、2010年の報告症例では、特に生後6~11ヶ月と1歳前後の割合が高いことが分かっています。生まれて初めての高熱の原因が突発性発疹だったという赤ちゃんは多いのですが、中には発疹のみという赤ちゃんもいるようです。(注1)

また、季節によって患者数に違いはないことから、突発性発疹は一年を通して起こる病気だといえます。

突発性発疹の原因と感染経路

突発性発疹とはヘルペスウイルスに感染すること起こる感染症のことで、ヘルペスウイルスに感染することにより、ヘルペス(疱疹)と呼ばれる小さな水ぶくれが集まった炎症性の皮膚疾患が起こるが特徴です。次のように8つの人に感染するヘルペスウイルスのうち、突発性発疹は6つめと7つめのウイルスに感染することで発症します。(注2)

ウイルスの種類 主な病気
単純ヘルペスウイルス1型 HSV-1 新生児ヘルペスなど
単純ヘルペスウイルス2型 HSV-2 新生児ヘルペスなど
水痘帯状疱疹ウイルス VZV 水痘(水ぼうそう)、帯状疱疹
エプスタイン・バーウイルス EBV 伝染性単核球症、リンパ腫など
サイトメガロウイルス CMV 肺炎、腸炎、脳炎など
ヒトヘルペスウイルス6 HHV-6 突発性発疹
ヒトヘルペスウイルス7 HHV-7 突発性発疹
ヒトヘルペスウイルス8 HHV-8/KSHV カポジ肉腫など

ヒトヘルペスウイルス6と7は、それぞれ一度感染すると抗体ができて2度と感染しないことから、赤ちゃんは生涯で2回は突発性発疹を発症することになります。また、ウイルスを口から取り込む経口感染や、呼吸によって取り込む経気道感染が一般的ですが、そのほかに、出産の際にママの子宮頚管で分泌される粘液を介して、母子感染する可能性も考えられます。(注1)

知っておきたい突発性発疹の病院に行くべき症状

突発性発疹で病院にて治療中の赤ちゃん

突発性発疹には特定の治療法がありません。発疹が現れてはじめて気づくことが多く、また、経過が良好なため、対症療法のみで経過を観察します。しかし、次のような症状がみられる場合は、医療機関を受診する必要があります。

1.熱性けいれん

突発性発疹によって発熱が38度を超えた場合、赤ちゃんが熱性けいれんを起こす可能性があります。一般的に痙攣は数分で治まるため、あまり心配はありませんが、痙攣が5分以上続く・意識が戻らない・部分的に強い発作がみられる場合などは、すぐに医療機関を受診する必要があります。(注3)

2.急性脳炎・脳症

HHV-6やHHV-7に感染した際、脳にウイルスが入ることで炎症を起こす脳炎がみられるほか、発熱や頭痛、意識障害などの症状がみられる脳症を引き起こす場合があります。突発性発疹で脳炎や脳症が起こることはまれですが、突発性発疹による子供の急性脳炎・脳症は、インフルエンザに次いで2番目に多いことから注意が必要です。(注1)

3.ほかの病気の可能性が疑われる

38度の発熱がみられた後で、なかなか熱が下がらない場合や、発疹をかゆがる場合などは、突発性発疹以外の病気が疑われるため、かかりつけ医に相談しましょう。また、赤ちゃんの病気には、発疹を伴う症状が多いことから、似たような症状がみられる病気にどんなものがあるのか、具体的に知っておくことも大切です。

突発性発疹と間違えやすい4つの病気の特徴は?

おむつで外出する赤ちゃん

赤ちゃんに38度の高熱が出て、しかも赤い発疹がみられる場合、似たような症状の病気がいろいろあって何の病気なのか判断がつかないと、どうしていいのか分からなくなってしまいます。特に、ここで紹介する4つの病気は症状が似ているため、どんな違いがあるのか具合的に知っておくことが大切です。

1.風邪

風邪はウイルスや細菌に感染することでさまざまな症状が現れる、言わずと知れた感染症で、鼻や口から気道に入り込んだ病原体が、発熱のほか、くしゃみや鼻水・鼻づまり、咳などを引き起こします。鼻水や咳などの突発性発疹にはない症状が大きな特徴なので、ポイントをしっかり抑えて見分けましょう。

2.麻疹(はしか)

麻疹ウイルスに感染することで起こるはしかは、38度前後の発熱が2~4日続いた後で斑丘疹が現れるという、突発性発疹と似た症状がみられますが、麻疹の場合、発疹が現れた後も発熱が続くほか、結膜炎や口の中にコプリック斑が伴うという特徴があります。

3.風疹

風疹は、風疹ウイルスに感染して起こるウイルス性発疹症で、発熱や発疹のほかに、耳の後ろや首などのリンパ節の腫れが特徴です。麻疹に比べて軽症ですが、妊娠中に感染するとお腹の赤ちゃんに悪影響を与えるため注意が必要です。

4.水痘(水ぼうそう)

水ぼうそうは、突発性発疹のウイルスと同じヘルペスの水痘帯状疱疹ウイルスに感染することで起こります。かゆみを伴う発疹が特徴で、あっという間に水ぶくれになるほか、水ぶくれがつぶれてかさぶたになることもあります。また、発疹は表皮だけでなく、鼻や喉、気道にできる場合もあります。

麻疹や風疹、水痘は予防接種によって感染を防ぐことから、1歳になったらすぐに予防接種を受けることが大切です。

突発性発疹にかかったときに注意すべきこと

突発性発疹が治って熟睡中の赤ちゃん

赤ちゃんが突発性発疹になってしまったら、ママはどんなことに注意したらいいのでしょう。赤ちゃんに発熱は発疹がみられる場合は、特に次のようなことに注意が必要です。

周囲の人にうつるのを防ぎましょう

突発性発疹はウイルスによっておこる感染症のため、当然ほかの人にもうつることから、赤ちゃんの突発性発疹が疑われる場合は、お兄ちゃんやお姉ちゃんなど周囲の小さなお子さんにうつさないよう注意が必要です。特に、唾液による経口感染などが多いため、よだれがついたおもちゃやタオルの共用はさけましょう。(注1)

予防接種のスケジュールを見直しましょう

近々、予防接種を受けるという時に突発性発疹を発症してしまった場合、予防接種は突発性発疹が治ってから1~2週間空けて受ける必要があります。その際は、勝手に自己判断せずに、必ずかかりつけ医を受診して、予防接種を受けて問題はないかを相談しましょう。

保育園はお休みしましょう

突発性発疹を発症した場合、熱が下がり、全身状態が良くなるまでは、保育園をお休みさせる必要があります。また、突発性発疹は「保育所における感染症対策ガイドライン」内で、医師の診断を受け、保護者が記入する登園届を提出するのがのぞましいとされていることから、かかりつけ医に指示に従って、登園する日を決めて登園届を用意しましょう。

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油断は禁物!赤ちゃんの様子をしっかりチェック

突発性発疹は、発疹や永山斑などの特有の症状がみられるとはいえ、急な発熱がみられる際に突発性発疹かどうかを判断するのは難しいことから、鼻水・咳・うんちの状態など、発熱や発疹以外の症状に着目して、突発性発疹なのか他の病気なのかを推測することも大切です。

突発性発疹は予後が良好な病気ですが、中には重篤な合併症を引き起こすケースもあるため、発熱や発疹が起こった場合、赤ちゃんをそばについて様子を見守ってあげましょう。