赤ちゃんの血液型はいつわかる?

赤ちゃんの血液型を調べない理由~検査はいつが最適?

赤ちゃんの血液型は調べる必要なし!?輸血に必要な情報と思われている血液型ですが、新生児期に検査をしない産婦人科が増えています。血液型を知らなくても良い理由、それでも知りたい場合、検査はいつ行うべきか、検査費用や親の血液型から予想する子供の血液型の確率をご紹介。血液型が変わるは本当?

赤ちゃんの血液型を調べない理由~検査はいつが最適?

赤ちゃんの血液型はいつわかる?生まれてすぐには調べない産婦人科が主流

少し前までは、赤ちゃんは生まれてから1週間以内に血液型検査を受けて、母子手帳に書き込んでもらって退院するという流れが一般的でした。お母さんやお父さんも、生まれたときの検査で血液型を知ったという方がほとんどなのではないでしょうか。

ですが、最近では、入院中に血液型検査をしないケースの方が大多数になってきています。なぜ、新生児のうちに血液型検査をしないのでしょうか?

生まれたばかりの赤ちゃんを抱くママ

2~3歳までは血液型を測定するのは難しい

ABO式の血液型を調べるには、血液の血漿(けっしょう)中に抗A型抗体と抗B型抗体があるかどうかを検査する必要があります。

  • 抗A型抗体は見られないけれども抗B型抗体は見られるときはA型
  • 抗A型抗体は見られるけれども抗B型抗体は見られないときはB型
  • いずれの抗体も見られるときはO型
  • いずれの抗体も見られないときはAB型

以上のように判断します。
検査には、赤血球上の抗原(A型抗原とB型抗原)がしっかりと反応することも重要です。

ですが、生まれてすぐの赤ちゃんの場合、抗原の力が弱く、抗体の数も少ないため、はっきりとした検査結果が得られないことも多いのです。そのため、検査の度に結果が変わったりする可能性もあり、どうしてもその時点で判明させる必要がなければ無理に血液型を調べないというスタンスの産婦人科が増えています。

血液型は4歳以上になってから調べることがオススメ

A型抗原とB型抗原の反応が大人とほぼ同じになってくるのが1歳以降です。また、血漿中に抗A型抗体と抗B型抗体がつくられるのに2~3年かかりますので、血液型検査で血液型がしっかりと分かるのは4歳頃になります。

血液型は4歳以上になってから調べることがオススメ

血液型は変わらない!

赤ちゃんのときの血液型と大人になったときの血液型が異なる人もいます。そのような話だけ聞くと、「血液型は変わることがあるのか」「いつ検査をすれば、正確な血液型を知ることができるのか」と考える人もいるでしょう。ですが、血液型というものは胎児の頃から決まっていますので、変化することはありません。ただ、測定時期によっては血液型を誤って判断してしまい、血液型が変化して見えてしまうのです。

よくある間違い例

本来はA型なのに抗A型抗体があると判断してしまい、O型と決定される例があります。また、本来はB型なのに抗B型抗原があると判断してしまってO型と決定される例もあります。その他にも、本来はAB型なのに抗A型抗体があると判断してB型、抗B型抗体があると判断してA型と決定されることも珍しくありません。

赤ちゃんの血液型は知らなくても困らない!?2つの理由

病院のイメージ

赤ちゃんが生まれたというと「血液型は何型かな?わたしと一緒かしら?」「お父さんの血液型と一緒かな?それともお母さんの血液型と一緒かしら?」などと、血液型を知りたいと感じる人は少なくありません。

ですが、産婦人科で新生児の血液検査を実施しなくなったのには、理由があります。よくよく考えてみると、「血液型は前もって調べておくべき必要がなかった」のです。

理由1:輸血以外の措置においては必要のない情報だから

血液型の情報が必要になってくるのは、輸血などの血液を用いる措置が必要なケースのみです。その他の医療的行為、例えば注射や投薬などにおいては、血液型に関係なく同じ薬剤や医療機器を用いて実施できます。

理由2:輸血が必要なときは随時検査を行うから

また、輸血を実際に行うときは、本人の申告や家族の申告とは関係なく、一度血液型検査を実施してから処置を行います(注1)。本人や家族が血液型を誤って記憶しているリスク、4歳未満に血液型検査を実施して本当とは違う血液型に判断されている可能性もあるからです。

つまり、血液型が必要なときには、適宜きちんと正確に調べますので、必要のないときは敢えて調べる必要はないのです。

どうしても赤ちゃんの血液型を知りたいときは?

病院にいる赤ちゃん

どうしても血液型を知りたいときは自費診療(健康保険が適用されない診療)となりますが、小児科や内科などほとんどの医療機関で血液型検査を受けられます。

血液型検査の方法と結果が分かるまでの期間

血液を採取して調べます。総合病院などの大規模医療機関では検査する部署がありますので、その日のうちに検査結果を教えてもらえます。

クリニックなどの小規模医療機関で検査を実施する場合は、検査機関に一度血液を送ってから結果をもらうため、結果までに1週間ほどかかってしまうこともあります。

血液型検査の費用

血液型だけを調べるということは、ほとんどありません。血液検査の一環として実施しますので、血液型(ABO式とRH式)と血液成分のデータを一括で受け取ります。

調べる内容や利用する医療機関にもよりますが、全額自己負担で1000円~5000円ほどの費用がかかります。

世界には血液型を知らない人の方が多い!?

日本人は大抵、自分の血液型を知っています。そのため、赤ちゃんの血液型が分からないと、「早く知りたい」という気持ちになってしまいます。ですが、これは世界的に見ても珍しいことです。

日本以外の国では、輸血が必要なときに自分の血液型を初めて知る人や輸血を受けたけれども特に興味がないので自分の血液型を知ろうともしない人も多いのです。

日本人が血液型に異常な興味を持つのは、一時、血液型性格占いが流行ったからという説が有力です。血液型性格占いではA型は几帳面で真面目、B型はマイペースで協調性が低い、O型は芸術家気質、AB型は変わり者といった分類をしていることが多いのですが、科学的根拠はありません。

日本人に一番多い血液型はA型ですので、真面目で勤勉な国民的性格とも合致しており、「なるほど!」と納得する人も多かった。B型やAB型の日本人はA型やO型の日本人と比べると少数派であるため、協調性が低い・変わり者と言われても、「少数派だから仕方ない」と納得してしまう。
血液型占いにはこうした背景が絡んでいるという指摘もあります。

親の血液型と赤ちゃんの血液型の関係

親の血液型と赤ちゃんの血液型の関係について見ていきましょう。

ABO式血液型における親子の相関

親の血液型と赤ちゃんの血液型の関係

両親の血液型によって、生まれる赤ちゃんの血液型は決まってきます。お腹の中の赤ちゃんや血液型検査をしていない赤ちゃんが、どの血液型なのか予想してみましょう。

お父さんがA型でお母さんもA型の場合

生まれる子どもはA型かO型になります。

A型といってもAA型の場合とAO型がありますが、両親ともにAA型の場合、もしくは両親のどちらかがAA型で残りの一方がAO型の場合は、子どもは100%の確率でA型です。
また、両親ともにAO型の場合は、子どもがA型になる確率が75%、O型になる確率は25%です。

お父さんがA型でお母さんがB型の場合

お父さんがA型でお母さんがB型の場合は、理論的には子どもはA・B・O・AB型いずれの血液型になる可能性もあります。

お父さんがAA型かつお母さんがBB型の場合は子どもはAB型になりますが、お父さんがAA型かつお母さんがBO型の場合は子どもはAB型かA型、お父さんがAO型かつお母さんがBB型の場合は子どもはAB型かB型になります。

つまり、お父さんがA型でお母さんがB型の子どもがO型のとき、お父さんはAO型、お母さんはBO型と判断できるのです。このように、子どもの血液型から親の詳細な血液型を読み取ることもできます。

お父さんがA型でお母さんがO型の場合

お父さんがA型でお母さんがO型の場合は、子どもはA型かO型になります。お父さんがAA型の場合は、子どもは100%A型の血液型になります。

お父さんがA型でお母さんがAB型の場合

お父さんがA型でお母さんがAB型の場合は、子どもはA・B・AB型いずれの血液型になる可能性もあります。ただし、お父さんがAA型のときは子どもはA型かAB型に限られ、お父さんがAO型のときのみB型の子どもが生まれる可能性があります。

お父さんがB型でお母さんがA型の場合

お父さんがB型でお母さんがA型の場合は、理論的には子どもはA・B・O・AB型いずれの血液型になる可能性もあります。

お父さんがBB型かつお母さんがAA型の場合は子どもはAB型になりますが、お父さんがBB型かつお母さんがAO型の場合は子どもはAB型かB型、お父さんがBO型かつお母さんがAA型の場合は子どもはAB型かA型になります。

反対に、B型のお父さんとA型のお母さんからO型の子どもが生まれたとき、お父さんはBO型、お母さんはAO型と判断できます。

お父さんがB型でお母さんもB型の場合

お父さんもお母さんもB型のとき、生まれる子どもの血液型はB型かO型になります。

両親ともにBB型の場合、もしくは両親のどちらかがBB型で残りの一方がBO型の場合は、子どもは100%の確率でB型と予想できます。

また、両親ともにBO型の場合は、子どもがB型になる確率が高く、O型になる確率は低いと見ることができます。

お父さんがB型でお母さんがO型の場合

お父さんがB型でお母さんがO型の場合は、子どもはB型かO型になります。
お父さんがBB型の場合は、子どもは100%の確率でB型の血液型になります。

お父さんがB型でお母さんがAB型の場合

お父さんがB型でお母さんがAB型の場合は、子どもはA・B・AB型のいずれかの血液型になります。

ただし、お父さんがBB型のときは子どもはB型かAB型に限られ、お父さんがBO型のときのみA型の子どもが生まれる可能性があります。

お父さんがO型でお母さんがA型の場合

子どもはA型かO型になります。お母さんがAA型のときは、子どもはA型になります。

お父さんがO型でお母さんがB型の場合

子供の血液型はB型かO型になります。お母さんがBB型のときは、子どもはB型の血液型になります。

お父さんがO型でお母さんもO型の場合

子どもの血液型は100%の確率でO型になります。

お父さんがO型でお母さんがAB型の場合

子どもの血液型はA型かB型になります。

お父さんがAB型でお母さんがA型の場合

子どもの血液型はA・B・AB型いずれかになります。ただし、お母さんがAA型のときは子どもはA型かAB型に限られ、お母さんがAO型のときのみB型の子どもが生まれる可能性があります。

お父さんがAB型でお母さんがB型の場合

子どもはA・B・AB型いずれの血液型になる可能性もあります。ただし、お母さんがBB型のときは子どもはB型かAB型に限られ、お母さんがBO型のときのみA型の子どもが生まれる可能性があります。

お父さんがAB型でお母さんがO型の場合

子どもの血液型は、A型かB型のいずれかになります。

お父さんがAB型でお母さんもAB型の場合

両親ともにAB型のときは、子どもの血液型はABかB、Aのいずれかになります。A型になるときはAA型、B型になるときはBB型になります。

RH式血液型における親子の相関

ABO式と同じく、RH式の血液型も遺伝によって決まります(注2)。RH血液型にはD型とC型、c型、E型、e型の5つの抗原があり、D型の抗原があるときはRH+、D型抗原がないときはRH-と判断します。

両親ともにRH+のときは子どもは100%の確率でRH+になります。また、両親のどちらかがRH-で他方がRH+のときは子どもがRH-になる確率はRH+になる確率より低く、両親いずれもがRH-のときは子どもはRH-になります。

血液のイメージ

国や人種によっても血液型の比率は異なる

厚生労働省によりますと、ABO式で日本人の血液型を分類するとA:B:O:AB=約4:2:3:1です。RH式で分類するとRH+:RH-=約19:1になります(注3)。

血液型は国によっても確率が変わり、例えばアメリカではA:B:O:AB=約8:2:8:1、A型とO型の人口があまり変わりません。また、RH+:RH-=約17:3ですので、日本人ほどRH-が少なくありません。

赤ちゃんの血液型を知らないのもアリ!

幸せな家族

血液型を知らないということは、血液型を調べる必要が今までなかったという意味でもありますので、大きな病気をせずにすくすくと育ってきたという証拠でもあります。

赤ちゃんに痛い思いをさせて血液型を知るより、自分で知りたいと思うまでそのままにしておくのも良いのではないでしょうか。

もちろん、血液型と性格は何の相関もありません。血液型を知らなくても赤ちゃんの性格はお母さん・お父さんが一番よく知っています。かわいい赤ちゃんを健康に育てていくことに全力を尽くしましょう。