育児・お世話

赤ちゃんのアレルギーの種類や症

赤ちゃんのアレルギーの原因は?注意したい症状や食べ物

赤ちゃんにもアレルギーがあり10人に1人の高い割合で症状がでると言われています。アレルギーになる仕組みや原因となる食物、発症すると危険なアナフィラキシーショック、病院目安など子育てしているママが気になる赤ちゃんのアレルギーについてまとめました。

もしかしてアレルギー症状?赤ちゃんのアレルギー発症はいつから

厚生労働省の調査によると、日本人の2人に1人が何らかのアレルギー疾患を持っており、さらに、それぞれの疾患の患者数は全体的に若年者が多いといわれています。(注1)そのため、小さな赤ちゃんを持つママは、赤ちゃんをアレルギーから守るためには、アレルギーについて知っておくことが大切です。

ここでは、アレルギーが起こる原因のほか、赤ちゃんに起こりやすいアレルギー疾患の種類や症状についてご紹介。「うちの子はまだ小さいから大丈夫」と後回しにせず、小さいうちからアレルギー対策をして、アレルギーによる重篤化を防ぎましょう。

アレルギーが起こる原因は?

アレルギーとは、何らかの原因によって、体内に侵入してきた異物に対して体が過剰に反応することで、その原因となる異物を「アレルゲン(抗原)」、過剰な反応を起こすきっかけを作る物質を「抗体」いいます。

アレルギーは、反応によって次の4つのタイプに分けられます。(注2)

ここでは、その中でも赤ちゃんに多く見られるI型アレルギーについて詳しく解説していきます。

I型アレルギー(即時型アレルギー)とは

I型アレルギーとは、ハウスダスト・花粉・ダニ・カビ・食物・薬剤・動物の毛垢などのアレルゲンによって、IgEという抗体が作られることで起こるアレルギーのことをいいます。15~30分ほどで皮膚反応が見られることから「即時型アレルギー」、または「アナフィラキシー型アレルギー」とも呼ばれています。

アレルギー体質は遺伝するの?

アレルギーを起こしやすい素質は遺伝するため、両親のどちらかがアレルギー体質の場合、赤ちゃんもアレルギー体質になりやすい体質の可能性が高くなります。ただし、アレルギー反応は遺伝以外の原因でも発症することから、両親がアレルギー体質でなくても子供は発症するほか、両親のどちらかがアレルギーを発症しているからといって、必ずしも子供がアレルギーになるとは限りません。

アレルギーが原因で起こる代表的な5つの疾患

赤ちゃんに多いI型アレルギーには、主に次のような5つの疾患がみられます。赤ちゃんのアレルギーが気になる場合は、次の疾患の症状に注意しましょう。

1.気管支喘息

気管支喘息とは、気道に起こる炎症によって気道が狭くなるほか、気道が過敏になることで、さまざまな症状を起こす疾患で、特定のアレルゲンによって発症するアレルギー性と、アレルゲンが特定されない非アレルギー性の2種類があります。

一般的に15歳未満の小児ぜんそくの中でも、2歳未満の乳幼児の喘息は「乳児喘息」と呼ばれています。

2.食物アレルギー

食物アレルギーとは、特定の食べ物を摂ることによってアレルギー症状が起こることをいいます。ただし、食物アレルギーには、IgE抗体によって起こされる即時型アレルギーのほかに、IgE抗体が無関係の遅延型アレルギーもあることから注意が必要です。

即時型アレルギーの場合、アレルゲンとなる食品を摂ってから2時間以内に症状が現れますが、遅延型アレルギーの場合は、数時間たってからはじめて症状が現れるため、食品の特定が難しくなります。(注3)

3.アレルギー性結膜炎

目の表面にアレルゲンが付着して炎症を起こすことをアレルギー性結膜炎といって、一年中みられる「通年性アレルギー性結膜炎」と、特定の季節にのみ見られる「季節性アレルギー性結膜炎」の2つに分けられます。

特に、春に小学生の男の子に多く見られるアレルギー性結膜炎のことを「春季カタル」といいます。

4.アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎とは、鼻から侵入してきた花粉やハウスダストなどのアレルゲンに対して、アレルギー反応を起こることで、結膜炎と同様に、一年を通してみられる「通年性アレルギー性鼻炎」と、花粉症のように特定の季節に起こる「季節性アレルギー性鼻炎」があります。

アレルギー性鼻炎は、アレルゲンの除去や抗アレルギー薬による治療のほかに、外科手術による治療も可能です。

5.アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは、かゆみのある湿疹が主な症状の皮膚炎のことで、患者の多くはアレルギーの家族歴と、IgE抗体が作られやすいという「アトピー素因」を持っています。ただし、IgE抗体ができるタイプが7~8割なのに対して、IgE抗体があまりできないタイプも2~3割いることから、必ずしもアレルギーが関係しているとは限りません。(注4)

特に、慶應義塾大学医学部の研究チームの発表によると、アトピー性皮膚炎はさまざまな細菌によって皮膚のバランスが崩れて、黄色ブドウ球菌が異常繁殖することで発症されることが分かっていることから、発症を抑えるためには、正常な皮膚の細菌バランスを保つことが重要だと考えられています。(注5)

赤ちゃんにもアトピーと診断されることが増えています。アトピーの原因として考えられる事柄と、病院で実施されるアトピーの治療法、家庭でできる対策について説明します。

赤ちゃんに起こりやすい食物アレルギーに注意!

食物アレルギーといえば、幼児や児童に多いと思われがちですが、実は乳児にも見られるアレルギー疾患の一つです。そのため、ママは赤ちゃんに起こりやすい食物アレルギーの次の3つの原因について、正しく理解しておく必要があります。

1-ミルクアレルギー

一つめの赤ちゃんの食物アレルギーは、普段飲んでいる粉ミルクが原因でおこるアレルギーです。ミルクアレルギーは「牛乳アレルギー」とも呼ばれ、粉ミルクに含まれる牛乳のタンパク質が原因で起こります。

赤ちゃんのミルクアレルギーは、アレルギーが起こる前からペプチドミルクを飲ませることによって防ぐことができるほか、赤ちゃんがミルクアレルギーと診断された場合は、通常の粉ミルクからアレルギー用ミルクに切り替える必要があります。

2-経母乳感作

卵や牛乳を口にしたことがない完全母乳の赤ちゃんが、IgE抗体を持っていることあるのですが、実は、ママが食事から摂った食物抗原を赤ちゃんが母乳を介して摂取することを「経母乳感作」といいます。特に、赤ちゃんが、食物アレルギーとアトピー性皮膚炎を合併している場合は、経母乳感作が原因の一つとして考えられます。(注3)

3-離乳食期の食物アレルギー

離乳食を始める時期になると、気になるのが初めて口にする食べ物によっておこる食物アレルギーです。即時型アレルギーの場合、食べてから2時間前後で症状が現れることから、食物アレルギーが疑われる場合は、かかりつけ医を受診して早めに治療を受ける必要があります。その際は、何を食べてどんな症状が現れたのか、説明できるようにしておくと診断しやすくなります。

また、食物アレルギーの起こりやすい食品には、症例が多く重篤になりやすい「特定原材料」と呼ばれる7品と、過去に一定頻度で症例があった「特定原材料に準ずるもの」と呼ばれる20品があります。特定原材料には、赤ちゃんの成長に欠かせない食品が入っているので、初めて与える際にはくれぐれも注意しましょう。(注6)

特定原材料7品

卵、牛乳、小麦、えび、かに、そば、落花生

特定原材料に準ずるもの20品

あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン

赤ちゃんに起こりやすい湿疹は、アレルギー以外にも、あせもや脂漏性湿疹、乾燥性湿などの原因が考えられることから、「これってアレルギー反応?」と思われるような症状が見られたときには、素人判断をせずにかかりつけ医を受診して、原因を特定することが大切です。

離乳食に卵を初めて使うとき特に与え方に注意をしながら進めていきましょう。卵黄と卵白の開始時期や固茹での卵黄のみから全卵までの離乳食の卵の進め方の流れや万が一のアレルギーへの対応を解説していきます!

アレルギーにみられる主な症状6つ

アレルギーには、さまざまな症状があります。中には生命にかかわる重篤な症状がみられることもあるため、具体的な症状の他、正しい対処法について知っておくと安心です。(注3)

1.蕁麻疹・湿疹・発疹などの皮膚症状

I型アレルギーの症状として多く見られるのが、蕁麻疹や湿疹などの皮膚症状です。食物などにより何らかの刺激を受けることによって、皮膚の真皮部分にある肥満細胞からヒスタミンと呼ばれる物質が分泌されることで、血管が広がって皮膚の赤みや腫れ、かゆみなどが起こります。

蕁麻疹や湿疹はアレルギー性の要因以外に、こすれや圧迫などの物理的な刺激のほか、感染症やストレスなどの非アレルギー性の要因があります。

2.目のかゆみや充血などの結膜症状

アレルギー症状として皮膚のほかに、粘膜にも症状が現れます。特に多いのが、目の表面の結膜症状で、目の充血やかゆみ、涙が止まらない、まぶたが腫れる眼瞼浮腫(がんけんふしゅ)などの症状がみられます。

赤ちゃんがしりきに目をこする場合は、アレルギーによる結膜症状が疑われるため、ほかに症状がみられないか注意する必要があります。

3.嘔吐・下痢・腹痛などの消化器症状

食物アレルギーに多くみられるのが、食道や胃、腸で起こるアレルギー症状です。アレルゲンの体内への侵入によってIgE抗体が作られると、次にアレルゲンが体内に入ってくることで、腹痛のほか、嘔吐や下痢などの症状が起こります。

特に、小さな体の赤ちゃんが、下痢や嘔吐を続けると脱水症状を起こしやすいので、無理のない程度に白湯などの水分を摂らせてあげる必要があります。

4.口や喉のかゆみ/くしゃみ・鼻水などの上気道症状

食べ物や異物などのアレルゲンが体内に入った場合、口の中の粘膜や喉のかゆみを感じるほか、喉の違和感や腫れを感じることがあります。また、同じ上気道の症状として、くしゃみ・鼻水・鼻づまりの症状がみられます。

赤ちゃんは風邪とアレルギーの鼻水はなかなか見分けがつきにくいものですが、熱や咳などの風邪症状がみられないのに鼻水や鼻づまりがひどい場合は、アレルギー症状が疑われます。

5.咳・喘鳴・呼吸困難などの下気道症状

気管支喘息のほか、何らかのアレルゲンが体内に侵入することで、気道が腫れて狭くなると、咳や呼吸のたびに「ヒューヒュー」「ゼロゼロ」などの音がする喘鳴(ぜいめい)が起こることがあります。特に、気道の腫れが進んでさらに気道が狭くなると、呼吸困難に陥る恐れがあるため注意が必要です。

赤ちゃんの咳や喘鳴は、風邪などの感染症と見分けがつきにくいものですが、咳や喘鳴が長引く場合は、風邪と決めつけずに早めに病院を受診させてあげましょう。

6.アナフィラキシーによる全身性反応

アナフィラキシーとは、アレルゲンが体内に入り込むことにより全身性のアレルギー症状が起こる、数分から数十分で症状が現れる即時型のアレルギー反応です。全身に蕁麻疹がみられるほか、激しい嘔吐や下痢、呼吸困難がおこり、血圧が低下することによって「アナフィラキシーショック」と呼ばれるショック状態に陥る恐れがあります。

赤ちゃんのアナフィラキシーの原因は食物がほとんどで、そのほかに薬物や蜂毒などが原因の場合もあります。アレルギー体質の人は、誰でもアナフィラキシーを起こす可能性があることから、十分に注意が必要です。

アナフィラキシーが疑われる場合の対処法

犬の遠吠えのような咳や激しい喘鳴、呼吸困難、意識低下など、強いアナフィラキシーの症状が現れた場合は、急いで救急車を呼ぶ必要があります。また、明らかに元気がない場合や全身性のじんましんがみられる場合は、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。

アレルゲンを特定するのはどうすればいいの?

どんなアレルゲンに対してアレルギー症状を起こすのかを知るためには、血液検査によって、体の中にできてしまったIgE抗体を検出する「アレルゲン特異的IgE抗体検出法」という方法があります。6段階のうち、0が陰性、2以上が陽性と判断されます。また、血液のほかに、皮膚で調べる方法もあります。(注3)

食物アレルギーの診断では、アレルゲンと疑われる食物を1~2週間除去して、症状を確認する「食物除去試験」のほか、食物除去試験の結果を確定するために、あえてアレルゲンと疑われる食物を摂取して反応を確かめる「食物負荷試験」があります。食物負荷試験では、アナフィラキシーが起こる可能性があることから、必ず専門医の指導のもとで入院をして行う必要があります。

赤ちゃんがアレルギーと診断されたらすべきこと

残念ながら、赤ちゃんがアレルギー体質だと診断されてしまった場合、ママはどのような対処をすればいいのでしょう?ここではお家でできる対象法を3つ紹介していきます。

1.食べられない物を除去する

食物アレルギーが疑われる場合は、医師の指導に従って原因となっている食べ物を除去する必要があります。特に、両親のどちらかがアレルギー体質の場合は、遺伝する可能性があることから、1歳をすぎたら血液検査や皮膚テストを受けて、定期的に食物除去の見直しを行っていく必要があります。(注3)

また、アレルギーが起こりやすい食べ物を初めて食べさせ時期には、少しずつ与えることを心がけ、大丈夫だったものをメモに残していくと管理がしやすくなります。

2.お掃除によるアレルゲンの除去

ダニやハウスダストは、アトピー性皮膚炎や気管支喘息、アレルギー性鼻炎を引き起こすことから、アレルゲンを排除するために、こまめに掃除をする必要があります。特に、小さな赤ちゃんは大人に比べて、床のほこりを吸いやすくため、部屋の隅やソファーの下などのホコリがたまりやすい場所なども、普段から掃除するよう心がけましょう。

また、赤ちゃんは多くの時間を布団の上で過ごすため、布団の乾燥や寝具の洗濯をこまめにすることで、ダニの繁殖を防ぐ必要があります。

3.花粉症対策を徹底する

花粉に触れる機会が多いほど、体内で花粉に対する抗体ができやすくなることから、花粉症を防ぐためには、花粉が飛散する時期にできるだけ吸い込む量を減らす必要があります。そのため、花粉の飛ぶ量が少ない午前中にお出かけするほか、花粉の付着を防ぐために帽子をかぶることが大切です。(注8)

また、外出から戻ったら、顔や頭、衣服の付着した花粉を家に入る前に必ず落とす、空気清浄機を使うなどして、室内の花粉を減らす工夫をしてあげましょう。

赤ちゃんをアレルギーから守ろう!

今や国民病ともいわれているアレルギー疾患は、赤ちゃんの発症を防ぐためには、ママが正しい知識を身につけることが大切です。赤ちゃんにアレルギー症状がみられる場合は、悪化を防ぐためにも、できるだけ早めにかかりつけ医に相談してみましょう。

また、たとえ発症してしまったとしても、日常的に気をつけるだけでも赤ちゃんのつらい症状を緩和することもできることから、くれぐれもママの負担にならないよう、家族やかかりつけ医の協力を得て、赤ちゃんをアレルギーから守ってあげましょう。