妊婦の寝返りに関する悩み

妊婦の寝返りは赤ちゃんに影響する?お腹や腰が痛い時の対策

妊婦は寝返りするのも一苦労。寝返りは妊娠中も必要かつ避けられない行為ですが、大きなお腹のせいで思うよう寝返りできず、起きたら体がしびれていたり、寝返りするたびに恥骨や腰が痛む方もいるでしょう。妊娠中の上手な寝方、寝返りの仕方を紹介し、赤ちゃんへの影響も解説します。

妊婦の寝返りは赤ちゃんに影響する?お腹や腰が痛い時の対策

妊婦が寝返りしても赤ちゃんは大丈夫?

妊婦さんは寝返りを打つことでお腹の赤ちゃんが苦しくないか?痛くないか?と心配になることもあるでしょう。はたして寝返りは、胎児に影響を及ぼすのでしょうか?

赤ちゃんは羊水に守られている

図解:赤ちゃんと胎盤・卵幕・羊水

妊娠初期

胎児は妊娠7週目くらいでやっと2,3㎝の大きさになり、体重もわずか10gほどです。小さな赤ちゃんは羊水に守られているので、寝返りをしても特に影響はありません。

お母さんにはつわりなどの症状が表れますが、これも赤ちゃんが順調に成長している証拠です。

妊娠中期

妊娠中期になると胎動を感じるようになるので、お腹の中にいる赤ちゃんの存在感も大きくなります。しかし、赤ちゃんは羊水の中でプカプカと浮いている状態なので、羊水が衝撃を抑えるクッション代わりになります。寝返り程度の刺激であれば、まったく問題はありません。

妊娠後期

妊娠後期に入りお腹が大きくなるとお母さんも寝返りをするのに一苦労です。寝返りをすることで逆子になりやすい、赤ちゃんの首にへその緒が巻き付いてしまうなどの噂がありますが、これらは寝返りが原因というわけではありません。

そもそも羊水の中にいる赤ちゃんの動きが、外からの刺激で変化することはまずありえません。つまり、寝返りによって赤ちゃんに苦痛を感じさせる心配は無用です。

お腹の中で赤ちゃんが苦しいのはどんな時?

エコーを見ると確認できますが、赤ちゃんは子宮の中で頭を下にした状態です。羊水に浮かびながら、手足をバタバタさせて外に出る準備をしています。

そのため、例えば羊水の量が減ったり、子宮内に腫瘍などがあって赤ちゃんが自由に動けないとなれば苦しさを感じる可能性はあります。逆子の場合は、緩んだ骨盤に赤ちゃんのお尻がはまって抜け出せなくなっているケースも見受けられます。

妊婦にとっても寝返りは必要な行為!

布団に仰向けで寝ている妊婦

人間は睡眠中、無意識のうちに寝返りをしますが、それは寝返りに必要性があるからです。寝返りの効果を知っておきましょう。

体温を調節する

就寝中は布団や毛布と接している部分の体温が上がりやすく、その部分に汗をかきやすくなります。しかし、寝返りをすることによって、布団と身体の間の密着性がなくなり風が通るので、熱や汗が発散されます。

血流を促す

寝返りをせずにずっと同じ姿勢のまま寝ていると、身体の下側になっている部分にばかり圧力がかかり、血液の流れが滞ってしまいます。妊婦さんにとって血流が悪くなることは、肩こりや腰痛、むくみなど、様々な悪影響につながります。

身体のゆがみを改善する

お腹が大きい妊婦さんは日常生活で無理な体勢になる機会が多く、どうしても身体にゆがみが生じます。寝返りには、体の歪みを矯正してくれる効果も期待できます

睡眠の質を上げる

寝返りには、体温調節や血流を促す効果があり、それらができないとなれば健康的な問題はもちろん、睡眠の質にも影響します。適度な寝返りは、睡眠の質を上げ、疲労を回復するために必要なのです。

妊婦の寝返りに関する悩み

ベッドの上でスマートフォンを見ている妊婦

寝返りの重要性は理解していても、妊婦さんの場合は寝返りをしたくてもできない場合があります。妊娠中の寝返りにまつわる悩みと対策をご紹介します。

寝返りをするとお腹が張る

朝起きた時にお腹の張りを感じる妊婦さんもいます。これは寝返りというより、寝る体勢が影響しています。

妊娠後期になりお腹が大きくなると、うつ伏せ寝は困難です。ですが、仰向けに寝てしまうと、子宮が背中側に沈みます。その結果、子宮周りの筋肉や皮膚が引っ張られてお腹が張ってしまうのです。

仰向けに寝るのは控える

妊娠後期は、横向きで寝ると負担が少なくなります。右側を下にした体勢になると、大きくなった子宮によって下大静脈が圧迫されて仰向けの体勢とさほど変わりない状態になるので、横向きの場合は左を下にするよう心掛けてください。

下記で詳しく説明する「シムスの体位」はお腹に負担をかけない体勢なので、お腹の張りにも効果的です。

寝返りをすると目が回る

寝返りをした時に目が回ってめまいが起こるという妊婦さんもいます。頭を動かした時に頭の中が回転しているような状態が30秒~1分くらい続く感覚が生じる原因の多くは「良性発作性頭位めまい症」です(注1)。

平衡感覚を司る三半規管の中にある、「耳石」が頭を動かした際に重力で移動し、誤って脳に信号を送ってしまった時に引き起こります。「良性発作性頭位めまい症」は、診断で簡単にわかりますので、症状が続く場合は耳鼻科を受診しましょう。

ベビーシューズを持って横になっている妊婦さん

動作はゆっくり!

寝返りの時はもちろんですが、朝ベッドから起き上がる時、歩きはじめる時などはゆっくりと行うことを心がけてください。特に縦方向に頭が動く際に、発作が起きやすいという特長があります。

「鉄欠乏症貧血」の疑いもあり

寝返りや起床時以外にもめまいが続く場合、妊婦さんは鉄欠乏性貧血の疑いもあります。

妊娠するとお腹の赤ちゃんに血液を送らなければいけないので、体内で必要となる血液量が増えます。さらに子宮が大きくなれば血管が圧迫されるので、血流が悪くなり貧血の原因となることがあります。

妊娠中は、意識的に鉄分を補給する必要があります。食生活で摂取するのが1番ですが、それでも追いつかない場合は産科で相談して、鉄剤を処方してもらいましょう。

妊婦の貧血対策~予防・改善に摂りたい食べ物は?
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寝返りするたびに恥骨が痛い!

妊娠後期になると恥骨が痛くなることがあります。中には寝返りをするだけでズキズキと痛んで目が覚めてしまう妊婦さんもいます。

恥骨痛は、「リラキシン」という関節や靭帯を緩める作用のあるホルモンが原因です。赤ちゃんが産道を通るためには、骨盤を開きやすくする必要があるため、出産が近づくにつれて分泌量が増えます。

その結果、臨月が近づくと、恥骨に痛みを感じてしまうのです。

膝を曲げて寝る

仰向けで寝る場合は、両脚を閉じて、軽く膝を曲げて寝ると痛みが和らぎます。寝返りをする時も、両足を閉じた状態であれば開いている状態よりも傷みが少なくなります。

骨盤矯正ベルトを使用する

妊娠中も産後も活躍する骨盤矯正ベルトは恥骨痛にも効果を発揮します。正しく装着して程よく骨盤を締め付けることで痛みが緩和されます。

産後の恥骨痛への対処法~痛みが和らぐ寝方・座り方・歩き方
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寝返りするたびに腰が痛い!

腰痛の原因も恥骨痛と同じく「リラキシン」の分泌によって関節や靭帯が緩むことが影響しています。

また、体重の増加も関係します。妊婦さんは出産するまでに10㎏くらい体重が増えますし、さらにお腹は大きく膨らんで、重心が前に傾いてしまうので、腰痛を誘発しやすいのです。

体重や姿勢は妊婦さん自身の意識によってある程度コントロール可能です。体重を増やし過ぎない、前傾姿勢ではなく正しい姿勢をとるように心がけましょう。

高反発マットレスを使う

身体をすっぽりと包み込んでくれる低反発マットは寝心地が良く人気ですが、腰が沈んでしまうので腰痛が悪化したり、肩こりや背中痛を誘発する可能性があります。妊娠中は体重が増え、いつも以上にお腹・腰の部分が大きく沈みこむので要注意です。

それに対して、高反発マットは寝ている時に身体への圧力を均等に保ってくれるので、腰が沈むことはありません。寝返りが少なすぎると腰痛の原因になりますが、高反発の方が寝返りもしやすく、寝ながら体を動かしやすいはずです。

体を冷やさない

血流が滞ると、腰痛がひどくなりやすいです。妊娠による腰痛は、とりあえず温めることが対策になります。カイロや湯たんぽを使用して腰を温めたり、湯船に浸かって身体全体を温めるのも効果的です。

ストレッチを実践

ストレッチを習慣にすることで腰痛改善に役立ちます。血行が良いときに行うとさらに効果的なので、入浴後がおすすめです。

お尻歩き

脚を伸ばして座り、背筋をピンと伸ばします。そのままお尻で歩くように、腕を振りながら進みます。10歩進んで10歩下がるのを3往復行いましょう。

腰回し

脚を肩幅に開いて立ち、膝を少しだけ曲げます。両手を腰に当ててゆっくりと回します。右回り10回左回り10回行いましょう。

妊婦さんにおすすめの寝方

図解:シムス体位

質の良い睡眠をとるために、おすすめの寝方を紹介します。

シムス体位

シムス体位とは、イギリス人の産婦人科医J・マリオン・シムズが提唱した、妊婦さんの身体はもちろん、お腹の中の赤ちゃんにも負担をかけない体勢です。

  • 左側を下にして横になる。
  • お腹に負担がかからない程度に、少しうつぶせ気味になる。
  • 右足は足の付け根から曲げて、膝も曲げる。
  • 抱き枕や細長いクッションを足の間に挟むとさらに効果的。

左側を下にするのは、体の右側に大静脈があるためです。大静脈の圧迫は、子宮への血流が悪くなる恐れがあります。

寝返りは必要ですし、そもそも就寝中に1度も寝返りをしないのは困難です。しかし、妊娠中はできるだけ左側を下にするのを基本姿勢とした方が良いでしょう。

妊婦さんの寝方・シムスの体位や苦しさを和らげる快眠のコツ
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寝具や服装にも気を配る

枕は質の良い睡眠にとって重要なアイテムです。購入する際は一度枕の上に寝てみて、寝心地が良い物、寝返りしやすい物を選びましょう。最近では、オーダーメイドの枕も人気です。

掛け布団も、重いと寝返りが打ちにくくなります。軽くて温かい布団が望ましいですが、持ってない場合はエアコンなどで室温を調整しましょう

服装に関しては、余裕のあるサイズのパジャマがおすすめです。厚手の生地だと身体を動かしづらく、思うように寝返りできません。

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