妊娠中の頻尿の原因と対策

妊娠中の頻尿が辛い!トイレが近くて悩んでいる妊婦さんへ

妊娠中の頻尿は妊婦さんによく見られるマイナートラブルです。ホルモンバランスの変化や子宮による膀胱の圧迫によって頻尿は引き起こりますが、時には外出するのが不安になったり、膀胱炎などを発症する可能性もあります。妊娠中の頻尿の原因、注意が必要な症状、そして頻尿への対策をお伝えします。

妊娠中の頻尿が辛い!トイレが近くて悩んでいる妊婦さんへ

妊娠中の頻尿はなぜ?「トイレが近い」と悩んでいる妊婦さんへ

妊娠してから、頻尿になる妊婦さんは珍しくありません。妊娠がわかる5,6週~妊娠初期の16週あたりまで、中期は一時的に落ち着いても、後期の28週目過ぎにはまた頻尿の症状が現われる方は、比較的多く見られます。

生理現象なので仕方ないのですが、あまりにもトイレが近いと日常生活にも支障をきたしてしまいます。自宅にいるときはまだ良いですが、仕事をされている方は、業務時間中に何回もトイレに立つのは気が引けると悩んでいる方もいるでしょう。

1日何回トイレに行くと頻尿?

頻尿は何回からか考えてる妊婦さん

一般的には起床してから就寝するまでに8回以上の排尿がある場合が頻尿と言われています。ただし排尿のペースは人それぞれ違うので、8回以下でも自身が「排尿回数がいつもより多い」と感じた場合は頻尿と言えるでしょう(注1)。

女性は頻尿に悩みやすい?

一般的に、女性は男性よりも尿意を感じる回数が多いと言われています。尿道は男性の場合、15~17センチあるのに対し、女性は3~4センチと短いため尿意を感じやすく、ちょっとした刺激で尿漏れを引き起こしやすいです。

また、身体の冷えも頻尿の原因になりますが、女性は冷え性になる傾向が高いことも関係しているでしょう。

妊娠中はもちろん、女性は普段から頻尿などの症状が現われやすい傾向にあるのです。

妊娠中の頻尿の原因

妊娠すると女性の身体には様々な変化が起きますが、頻尿もそうした変化の1つです。「マイナートラブル」と呼ばれる、治療が必要なほどではない妊娠中によく起こる不快症状としても取り上げられる頻尿の原因を説明します。

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妊娠中に分泌されるホルモンの影響

妊娠中の多くのマイナートラブルと同様に、頻尿もホルモンバランスが大きく関係しています。

初期~後期にかけて、妊娠継続のために必要なプロゲステロン(黄体ホルモン)という女性ホルモンの分泌量は増大しますが、このホルモンには同時に頻尿を引き起こす作用もあります。

プロゲステロンには平滑筋(心臓以外の内臓や血管の壁となる筋肉)を緩める働きがあり、膀胱や子宮の筋肉が緩めて、頻尿や尿漏れを引き起こしやすくなるのです。

プロゲステロン(黄体ホルモン)とは?

プロゲステロンの分泌は排卵日前後から増えるので、PMS(月経前症候群)の原因にもなります。生理前や生理中は、トイレが近くなる女性も多いと思いますが、これも妊娠中と同様にプロゲステロン(黄体ホルモン)の働きによるものです。

プロゲステロンは頻尿の他にも、食欲増進、乳腺の発達、体内の水分保持、基礎体温の上昇、精神的不安定を引き起こす、頭痛、肌荒れなど多数の症状を引き起こすことが知られています。

腎機能の活性化

お腹を触ってる妊婦さん

妊娠すると赤ちゃんに血液を送らなければいけないので、ママの体内の血液量は普段よりも増加します。それによって腎機能が活発になり、尿の量が増えるので、必然的に排尿の回数も増えるというわけです。

膀胱が圧迫される

妊娠後期の頻尿に多い原因です。
妊娠して子宮が大きくなるにつれて、子宮の前側に位置する膀胱は圧迫されていきます。妊娠後期に入り、子宮が下がり始めるといよいよ膀胱は窮屈となり、あまり尿を溜められなくなります。

妊娠後期、特に臨月に入る頃になると、くしゃみなどをした拍子に尿漏れが起こるケースも見受けられます。

トイレに対する心配や不安は、頻尿を悪化せる

頻尿は、不安や心配など、当人の心の問題も関係するものです。
ドライブやテスト中などに「トイレに行きたくなったらどうしよう?」と考えたばかりに、かえって尿意を感じてしまうケースは、心配性の人などにはよく見られます。

頻尿に悩む妊婦さんの場合、以下のような思考に陥っていないでしょうか?

  • 会議中にトイレに行きたくなったらどうしよう?
  • トイレに行くたびに、さぼっていると思われていたら嫌だ。
  • こんなにトイレが近いなんて異常かも。

こうした心配や不安、ストレスがかえってトイレのことを意識させてしまい、頻尿から抜け出せない原因になることもあります。

注意が必要な頻尿の症状とは?

頻尿の症状には個人差があるので、妊娠中の頻尿についても妊婦さんそれぞれです。2、3時間は我慢できる人もいれば、特に水分をたくさん摂ったわけでもないのに30分おきに尿意を催す人もいます。

頻尿の判断基準は明確にはありませんが、5分前にトイレに行ったばかりなのにまた行きたくなるという場合は正常とは言えません。膀胱炎や尿結石などの原因で頻尿になっている可能性もあるので、必ず担当医に相談しましょう。

尿路感染症(膀胱炎・腎盂炎)

膀胱炎

膀胱炎は、免疫力が低下している時に細菌に感染することで発症する尿路感染症の一種です。また長時間排尿を我慢すると発症することもあります。男性に比べて、尿道の短い女性の方がなりやすい病気です。

通常なら、尿道から細菌が侵入したとしても、免疫力によって大事には至りません。しかし、妊娠中は身体の抵抗力が落ちており、疲労も溜まりやすいため、膀胱炎を発症しやすい状態にあります。

膀胱炎には「急性膀胱炎」と「慢性膀胱炎」があります。妊娠時の膀胱炎は「急性膀胱炎」で、頻尿の他にも、排尿時の痛みや残尿感という症状が見られます(注2)。

腎盂炎

膀胱炎が悪化すると「腎盂炎」を発症する場合があります。尿に血が混ざる、悪寒、腰痛、常に残尿感があるなどの症状に加えて高熱が出るので、妊婦さんの場合は入院治療になる可能性が高いです。

頻尿と膀胱炎の違い

トイレに行ったばっかりなのに「またトイレに行きたいかも…」と思ってる妊婦さん

妊娠している場合は排尿の回数が多くなるので、ただの頻尿なのか?それとも膀胱炎なのか?と判断しにくい場合もあります。その場合は膀胱炎特有の症状があるかどうか確認してみましょう。

  • 排尿時、また排尿後にツーンとした痛みを感じる
  • トイレに行ったばかりなのに残尿感がある
  • 尿が白く濁っている

膀胱炎にならないための対策

膀胱炎の対策としては、

  • 尿意を我慢しない
  • 患部を清潔に保つ
  • 水分を多く摂取する
  • 膀胱を刺激するような刺激物を食べない

などの方法があります。

また身体が冷えて膀胱内の粘膜が32度以下になってしまうと細菌が繁殖しやすい環境となるので、身体を冷やさないように気を付けましょう。

妊娠中の頻尿対策

頻尿はお腹の赤ちゃんが成長する過程で見られる生理的な症状なので、あまり気に病む必要はありません。しかし、頻繁に尿意を感じるために、落ち着いて過ごせないという妊婦さんもいるでしょう。頻尿を改善するために、自分でできることをお伝えします。

カフェインの摂取量を減らす

カフェインには利尿作用があります。妊娠中のカフェインは、絶対にダメという訳ではありませんが、頻尿に悩んでいる妊婦さんは控えた方が良いでしょう。

コーヒーや紅茶、緑茶などカフェインが含まれている飲み物がお好きな方は、カフェインレスのコーヒーやお茶などで対応してみてはいかがでしょうか?

最近はコーヒーショップでも「デカフェ」といってカフェインを含まないコーヒーがありますし、タンポポコーヒーなども美味しく飲めるのでぜひ試してみてください。

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身体を冷やさない

ブランケットで身体を冷やさないようにしてる妊婦さん

寒い季節はトイレに行く回数が増える人が多いですが、身体が冷えを感じると尿意を催すのは自然現象です。妊娠中は比較的体温が高いのですが、冷えを感じたら我慢は禁物です。

また、暑い季節でもエアコンによって冷えることがあります。自宅にいる時は温度設定を高めにして、仕事や外に出かける時は羽織るものを忘れないようにしましょう。

特にお腹周りの冷えは頻尿を引き起こしやすいので、デスクワークの場合はひざ掛けを持参したり、腹巻きやガードルで対処するのも効果的です。

入浴で身体の芯から温める

妊娠中は、体調不良やお腹が大きくなって動きにくいため入浴が億劫になり、シャワーで済ませてしまう人が多くなります。しかし、お風呂に入ることで身体の芯から温まるので、血流も良くなり身体が冷えにくくなります。冷えによる頻尿を防ぐためにも、できれば毎日湯船に浸かりましょう。

尿意は我慢しない

頻尿の症状がある時は、トイレに行っても実際にはチョロっと少量の尿しか出ない時があります。なんとなく無駄な労力を使った気になりますが、だからといってトイレに行くのを面倒がらずに必ず行くようにしましょう。

尿意を感じた時に我慢をすると、膀胱炎を引き起こす原因になってしまうので、たとえ毎回少量でもきちんと排尿することが大切です。

水分を摂り過ぎない

妊婦さんにとって水分補給は大切なものですが、必要以上の水分を摂り過ぎると尿の量も増えるので、必然的にトイレに行く回数も増えます。

摂取する水分の量は1日2リットルが目安ですが、水だけではなく食べ物からの水分量も含みます。野菜や果物などに含まれる水分、お味噌汁やスープなどの汁物もカウントされますので、「水だけで2リットル!」と意気込む必要はありません。

寝る前の水分摂取は控えめにする

ベッドで寝てる妊婦さん

寝る前に水分を摂ると夜中に尿意を催してしまいます。妊娠中はただでさえ熟睡しづらくなるので、夜中トイレに起きることが続くようでは、寝不足で疲労が溜まってしまいます。

水分補給は大切ですし、寝ている間には汗や呼吸によって、コップ1杯程度の水分が失われています。しかし、起きてすぐに水分補給をすればよいので、寝る前の水分は控えめにしましょう。

寝る前に意識的な行動をとることで、「今日は夜中に起きなくて済む」と妊婦さん自身が思い込めば、精神的にも落ち着き、熟睡しやすくなります。

1回の排尿量を増やす

排尿の回数を減らすためには、1回に出る尿の量を増やす方法もあります。量を増やすといっても完全にコントロールできるわけではなく、残尿感が残らないように尿を出し切ることが大切です。

おしっこが全て出たら、そのまましばらくの間前かがみの姿勢になります。それによって膀胱内に残った尿が出てきやすくなるはずです。

ケーゲル体操(骨盤底筋体操)

ケーゲル体操をしてる妊婦さん

骨盤の底に位置して内臓を支えている筋肉を「骨盤底筋群」と言います。この筋肉を鍛える「ケーゲル体操」を行うことによって尿道のしまりが良くなるので、頻尿や尿漏れ対策として効果が期待できます。

やり方はおしっこを我慢するように膣や肛門にギュッと力を入れるだけです。いまいち感覚がつかめない方は実際にトイレでおしっこを途中で止めてみて感覚を覚えてみてください。1日の中で気がついた時に数回ケーゲル体操を行うことで骨盤底筋群が鍛えられます。

ケーゲル体操は妊娠中の尿漏れだけではなく、産後の尿漏れや子宮のトラブルを防ぐためにも効果的なので、習慣的に行うのがおすすめです。ただし、お腹が張る時は中止して休んでください。張りが解消すれば問題はありませんが、痛くなってきたり張りが治まらなかったりする場合は担当医に相談しましょう。

頻尿とともに尿漏れの症状があるとき

妊娠中、頻尿とともに尿漏れの症状が現われることも珍しくありません。ひどい場合は、くしゃみをした瞬間や重い物を持ち上げただけでも尿漏れしてしまう場合があります。

尿漏れシートで対策しよう

「尿漏れパッド」というと、ぶ厚いパッドを思い浮かべて抵抗を感じる妊婦さんもいるかもしれませんが、最近は生理用ナプキンのように下着に貼りつける尿漏れシートが販売されています。生理用のナプキンよりも水分吸収率が高く、臭いも気にならないので、外出先でも安心です。

妊婦さんの敏感な肌でも安心な素材が使われていたり、おりもの汚れと兼用で使用できる商品もあります。少量しか尿漏れしないという方には100㏄までのタイプで十分対応できます。

市販のおりものシートや薄型のナプキンでも代用できますが、アンモニア臭が気になる場合は、やはり専用の尿漏れシートがおすすめです。

妊婦さんが尿漏れしやすい理由&尿漏れトラブル対処法
妊婦さんが尿漏れしやすい理由&尿漏れトラブル対処法

妊娠中の頻尿と上手く付き合うために適切な対処法を!

妊娠中の頻尿は、なかなか他人には相談しづらい悩みですし、辛さを理解してもらうのも難しいもの。ただ、あまりトイレのことばかり気にし過ぎるとストレスになってしまい、かえって症状が長引いてしまいます。万が一のときために、尿漏れシートを使いつつ、リラックスして過ごしましょう。

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