妊婦が息苦しい原因と改善方法

妊婦が息苦しいのはお腹のせいだけじゃない!7つの対処法

妊婦が息苦しいのはなぜ?一般的には、大きくなった子宮によって肺が圧迫されるからといわれていますが、原因はそれだけではありません。息苦しさを感じる5つの原因と、効果的な対処法をご紹介。寝方に気を付けたり、貧血に効く食べ物を摂取したり、姿勢を良くするだけでも、改善は可能です!

妊婦が息苦しいのはお腹のせいだけじゃない!7つの対処法

妊婦が息苦しいのはお腹のせいだけじゃない!5つの原因

妊娠中は息苦しさを感じる方が多くなります。中には妊娠中の疾病や赤ちゃんの状態が原因のこともありますので注意が必要ですが、多くは『マイナートラブル』と呼ばれ、治療が必要なほど深刻な症状ではないものがほとんどです。

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しかし、息苦しさを抱えながら生活するのが、辛いのは間違いありません。一般的に息苦しいのは、大きくなった子宮による内臓の圧迫が原因とされていますが、お腹が大きくなる前の妊娠初期や中期に息苦しさを感じる方もいます。

妊娠中に感じる息苦しさの原因を、身体的、精神的なことも含めて、ご紹介します。

1.子宮が大きくなり肺を圧迫している

横隔膜が肺を圧迫する

妊娠後期に感じる息苦しさの原因として、最も考えられるものです。妊娠週が進むにつれて子宮が大きくなり、他の臓器を圧迫することによって息苦しさを感じます。

妊娠初期は小さかった子宮も、臨月になるとスイカぐらいの大きさになります。体内ではその子宮に圧迫された臓器がそれまでよりも狭いスペースに押し込められます。
特に子宮の上部によって横隔膜が押し上げられて肺を圧迫することが息苦しさの直接原因となります。

出産間近になればお腹が徐々に下がってくるので、肺や胃が圧迫から解放されるのに伴って息苦しさも緩和されます。

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2.ホルモンバランスの変化

妊娠中は女性ホルモンの一種である「プロゲステロン」の分泌量が増加します。プロゲステロンが呼吸中枢を刺激することで、息切れや動悸といった症状が表れやすくなります。

3.貧血による酸欠状態

妊娠中はお腹の赤ちゃんに血液を送らなければいけないので、体内の血液量が妊娠前よりも増加します。最大で1.5倍ほどになるので、普段よりも心臓の鼓動を敏感に感じるようになります。また血液が増加しても赤血球は増加しないので、血液の濃度が薄くなることで酸欠状態になることがあります。

妊娠中の血圧は女性ホルモンの影響を受けて初期から中期にかけて低くなり、後期には高くなる傾向があります。血圧が変化することによって動悸や息苦しさを感じる可能性も考えられます。

鉄欠乏症貧血

貧血で眉間を押さえる女性

妊娠中はお腹の赤ちゃんに栄養を送りますが、特に鉄分は不足しがちになるために母体は貧血になりやすくなります。妊婦さんの貧血症状の中では鉄分不足による「鉄欠乏症貧血」がダントツに多く、その症状のひとつに息切れが見られます。

貧血がひどい場合、母体はもちろん胎児にも影響する恐れがあります。妊婦健診では血液検査も何度か行われるので異常があれば担当医から指示があるでしょう。しかし、急に貧血の症状が表れる場合もあるので、気になった時は必ず担当医に相談してください。

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4.不安やストレスによる自律神経の乱れ

妊婦さんは心理的な理由で息苦しさを感じる場合もあります。出産に対する不安、親になるという責任感、出産後の経済的な問題や仕事復帰に対する心配、妊娠中のマイナートラブルに対するストレスなど、実に様々な要因が考えられます。

このようなストレスが重なり、不安感が募ると、自律神経が乱れ、息苦しさの原因になります。また、不安障害を引き起こすことによって、息苦しさや過呼吸という症状が表れます。

5.妊娠継続のための薬の副作用が原因の場合

薬を飲む女性

妊娠が直接の原因ではなく、服用している薬の副作用として息切れが起こることもあります。
子宮の収縮を抑制する場合に処方される「ウテメリン」という薬の副作用のひとつに「動悸」があり、通常よりも鼓動が強い、脈が乱れるという症状が見られることがあります。

妊娠初期・中期・後期の息苦しさの症状や特徴

妊娠週数によっても息苦しさの症状には違いがあるので覚えておきましょう。

妊娠初期

妊娠することによって増加するホルモン「プロゲステロン」の影響を受けやすい時期です。妊娠を継続するためには必要不可欠となるホルモンなので、息切れや動悸の症状が出る場合は上手く付き合っていくしかありません。

またお腹の赤ちゃんに送るため、それまでよりも血液量が増加します。血液の量が増えることに赤血球の量が追い付かないために貧血の症状が出やすくなり、息苦しさを感じることもあります。

妊娠中期

妊娠中期の妊婦がお腹を触る

安定期に入る妊娠中期になると子宮が大きくなり始め、お腹が急に大きくなって妊婦さんらしくなり始めます。それによって子宮に横隔膜が押されて肺が圧迫されることで息苦しくなります。

赤ちゃんが大きくなれば当然必要な血液量も増えるので、さらに体内の血液量が増加します。その結果妊婦さんの心臓に負担がかかるようになり、息切れや動悸を引き起こしやすくなります。

妊娠後期

中期から引き続き臓器の圧迫や血液量の増加、貧血が原因で息切れが起こります。さらに後期になるとストレスや不安を強く感じるようになるので、精神的な原因から息切れの症状が見られる場合もあります。

ストレスやホルモンバランスの変化によって自律神経が乱れることで、血管が細くなってしまいます。血行が悪くなったり、呼吸器の働きに影響を及ぼしたりすることで、酸欠状態になりやすく、息切れするようになります。

「動悸」「めまい」「立ちくらみ」にも注意

妊娠後期に入ると酸欠によって息切れの他に「動悸」も起こりやすくなります。心臓の動きが活発になれば心拍数が上がり胸の鼓動が「ドクンドクン」と激しくなります。子宮が大きくなることで横隔膜が押し上げられて、肺が圧迫されることも原因となります。

また赤血球が減ることで脳が「酸素を身体に回さなければいけない!」と、普段よりも心臓を早く動かそうとするのも原因のひとつです。
さらに妊娠後期は血液の循環がお腹に集中するので、脳に送られる血液が減ります。その結果脳内が酸欠になり、めまいや立ちくらみが起こることもあります。

妊婦に動悸が起こるのはなぜ?原因・対策・予防策
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妊娠中の息苦しさを予防するには?

妊娠中の息苦しさは赤ちゃんが成長するために起こる症状なので、完全に取り除くことはできません。しかし普段の生活において予防できる原因もあります。

心臓への負担を減らすためにできること

息切れの原因のひとつである血液増加に伴う心臓への負担を減らすには、血行を良くすることが効果的です。

内臓を温める

外出して冬のコートを着た妊婦

妊娠中の血行促進として効果的な方法は、血流の源流となる骨盤周りや太もも、内臓を温めることです。

手足など末端の冷えやすい部分を直接温める人が多いですが、実は源流を温めた方が効率良く血行促進できます。カイロや腹巻きなどを使用したり、習慣的に半身浴を行ったりするのがおすすめです。抵抗がない方は、即効性があるお灸もおすすめです。

適度な運動

適度な運動をして血液の循環を良くするのも効果的な方法です。マタニティヨガやマタニティスイミングを始めたり、少し長めの散歩に出かけるのも良い運動になります。

貧血予防

妊娠中の貧血症状を軽くすることで、息切れや動悸を予防できます。貧血は息切れの他にも様々な症状を引き起こす原因になりますし、産後の体調回復にも影響します。たとえ現段階で貧血症状が出ていなくても、予防しておくことをおすすめします。

貧血に効果のある栄養素とは?

貧血予防の食材

妊婦さんの貧血予防としては食生活でのケアが効果的です。特にヘム鉄(レバー、あさり、いわしなど)と非ヘム鉄(小松菜、納豆、ゴマなど)の2種類の鉄分をバランス良く取り入れることがポイントです。

植物性食品に含まれている鉄分は、たんぱく質やビタミンCと一緒に食べることで吸収率が上がります。鉄分の他にも赤血球を作るために必要な葉酸やビタミンB6、B12なども積極的に摂りましょう。

貧血を悪化させる成分であるカテキンやタンニン、フィチン酸は極力避けた方が良いです。しかしコーヒー好きな妊婦さんの場合はコーヒーを我慢することがストレスになってしまうので、気分転換として適度な量を摂るように心がけてください。

妊娠中に息苦しいときの7つの改善方法

息苦しい原因や息苦しい時期には個人差がありますが、改善方法もひとつではありません。自分に合った改善法が見つかれば少しは息苦しさを和らげられるでしょう。

1.水分を補給する

妊娠中は体内の血液量が増えますが、それに伴って体内の水分も妊娠前よりも必要になります。妊娠中のマイナートラブルとして頻尿やむくみといった症状が見られる妊婦さんは水分を摂り過ぎないようにしている方もいますが、貧血や血栓症を予防するために水分補給は推奨されています。

ただし、妊娠中にはあまりお勧めできない飲み物もあります。特にカフェインは大量に摂取すると胎児に悪影響となる可能性もあるので、コーヒーや緑茶、紅茶などはほどほどにしてください。

また暑い季節は冷たい飲み物を欲しますが、身体を冷やすのも妊婦にとっては良くないので常温の水分がおすすめです。

妊娠中のカフェインなぜだめ?胎児への影響と1日の許容量
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2.休息をとる

妊婦さんは息苦しいと感じていても、他の人にはなかなか分かってもらえず、辛い思いをすることがあるでしょう。時には日常生活にも影響を与える可能性があるので、息苦しい時は無理をしないことが大切です。

息苦しさを感じたら、とりあえず横になって身体を休めましょう。横になるのが難しい場合は、姿勢を正して座ったり、立ったまま机に頬杖をつくと、肺への圧迫が減って楽になります。

仕事をしている妊婦さんは、息苦しくてもすぐに休むわけにはいかないかもしれません。しかし息苦しさを始め妊婦さんが辛いと感じる時は、赤ちゃんからの「ママ少し休んだら?」というサインでもあります。できる限り安静に過ごしましょう。

3.寝方を工夫する

息苦しさで寝られないという妊婦さんも多いです。特にお腹が大きくなってくるとその圧迫感から睡眠不足になることもあります。

妊娠中は楽な体勢というものが日に日に変化するものです。寝方を工夫して、自分にとってベストな体勢を見つましょう。

上半身をやや起こす

妊婦さんにとってうつぶせ寝は推奨されませんが、かといって仰向けに寝るとお腹の重さに身体が圧迫されて余計に息苦しくなります。

上半身を少し起こすと重力で子宮が下がり、肺が圧迫されるのを防ぐことができます。クッションなどを上半身の下に置いて、ゆるい傾斜を作り、もたれかかるように寝てみましょう。

シムスの体位

シムスの体位

左側を下に横向きに寝て片ひざまたは両ひざを曲げた体勢を「シムスの体位」と言います。お腹の大きい妊婦さんにとって、息苦しさが解消される体勢です。抱き枕を両足の間に挟んでみると、更に身体の力が抜けて、リラックスできます。

シムスの体位は息切れだけではなく、低血圧やめまいといった症状にも効果的です。妊娠中期を過ぎるとお腹が重くなり、子宮周りの血管が圧迫されますが、シムスの体位なら血液の循環を妨げません。

妊婦さんの寝方・シムスの体位や苦しさを和らげる快眠のコツ
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4.身体を温めて、血行を良くする

妊婦さんにとって冷えは大敵ですが、身体を温めて血行を良くすることで息切れや動悸を予防できます。さらに、身体が温まると、心身がリラックスできるので、自律神経も整いやすくなります。

5.深呼吸をして酸素を取り入れる

息苦しいときは、落ち着いてゆっくりと深呼吸をしましょう。通常よりも長い時間をかけてゆっくりと息を吸い、少しずつすべての息を吐き出していきます。

息苦しいままで我慢しているとストレスが溜まるので精神的にも良くありません。手軽でどこでも行える深呼吸や腹式呼吸という方法を覚えておけば、気分的にも楽になります。

酸素ボンベの使用は要注意

息苦しさに悩まされる妊婦さんの中には、スポーツ用品店などで販売している携帯用の酸素ボンベを使用する方もいるようです。しかし、酸素吸入器や酸素ボンベは使用することで酸素中毒になる可能性もあるので、必ず担当医に相談してから使用してください。

6.背筋を伸ばす

背筋を伸ばして立つ妊婦

頭が下がって前かがみの姿勢は肺を圧迫してしまいます。背筋はピンと伸ばして、良い姿勢をキープすると、臓器の圧迫を防いでくれます。

特に妊娠する以前から猫背気味の方は、お腹が大きくなった時に息苦しさだけではなく、腰痛などの症状も表れやすいので、意識的に直すようにしましょう。

7.ストレスを溜めないようにする

息苦しさの原因になる自律神経の乱れ。安定させるためには、ストレスを解消することがなにより大切です。

趣味に没頭する、何もせずにゆっくりと好きな映画やドラマを観る、食べ歩きをするなど、自分が無になれるような時間を過ごすことで、ストレスを解消しましょう。

妊婦同士のコミュニケーションも良いストレス解消になります。マタニティヨガなどのクラスが開催されている病院や助産院もあるので、積極的に参加して妊婦仲間を作ってみましょう。

妊婦さんが息苦しい時はリラックスが大切!

妊娠するとそれまでとは全く違う不快な症状に戸惑うことがあります。息苦しさを感じたとき、不安な気持ちになるのは無理もありませんが、出産が終われば解消されて、楽に呼吸ができるようになります。

出産に向けての不安が募る毎日だと思いますが、今しか味わえない経験だと前向きに考えて、様々な対処法を試してみてください。

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