座位分娩のメリットとデメリット

座位分娩が産みやすい理由・向いている妊産婦の特徴とは?

座位分娩とはどのようなスタイルの出産方法なのでしょうか。座位分娩のメリットとデメリット、実施できる施設、座位分娩ができる条件や向いている妊産婦さんの特徴をご紹介。分娩台での出産はいきみにくかったという思いを抱えている経産婦さん、フリースタイル分娩への理解を深めたい方は必見です!

座位分娩が産みやすい理由・向いている妊産婦の特徴とは?

座位分娩とはフリースタイル分娩の一種!

最近では、分娩台の上で仰向けになる出産方法以外にも、フリースタイル分娩と呼ばれるさまざまな体勢での出産を選ぶ産婦さんも増えてきています。

フリースタイル分娩の1つ、座位分娩とはどのような出産方法なのか。
また、フリースタイル分娩には座位分娩以外にも、どのようなスタイル(出産姿勢)があるのかをご紹介します。

座位分娩の特徴

座位分娩とは、その名の通り座った姿勢で出産することです。ただし、座ると言っても椅子などに座るのではなく、脚を軽く開いてしゃがむ姿勢を指しています。

妊娠しているときは身体のバランスが変わりますので、しゃがんだ姿勢を長時間取っていると前後に転びやすくなります。そのため、座位分娩では、産婦さんは介助者(立ち会い出産をするパートナーや助産師さん、産院のスタッフ等)にしがみついて、身体が倒れないようにする必要があります。

どんなしがみつき方でもOK

しがみつく方法は、産婦さんが楽だと感じる体勢ならどのような形でも構いません。パートナーと向かい合って抱き合うようにしがみつくのも良いですし、介助者の背中や柱などの物体にしがみつく方法もあります。

産み綱につかまる妊婦

その他にも、産み綱(うみづな)と呼ばれる天井からぶら下がった綱につかまって座位で出産する昔ながらの出産方法ができる産院もあります。

座位専用の分娩台を使用するケース

座位分娩専用の分娩台がある病院や助産院もあります。通常の分娩台よりも上半身が起こせるようになっていますので、好みの角度に調節して、いきみやすい体勢を取るようにします。

座位専用分娩台では身体よりも脚部を下げますので、身体が落ち着き力を入れやすいというメリットがあります。

座位分娩以外のフリースタイル分娩

フリースタイル分娩には、座位分娩以外の体勢もあります。

横向けの姿勢

横向けに寝転がって出産します。出産するときは赤ちゃんが出てきやすいように、介助者や助産師が産婦さんの片方の脚を少し上げます。

四つん這いの姿勢

四つん這いの姿勢で出産に臨むことも可能です。手足を床につきますので、いきみやすいと感じる産婦さんも多いです。長時間になると手足がだるくなりますので、お腹の下にクッションや大きなボールなどを置き、腕や手、膝の負担を軽減します。

フリースタイル分娩のメリットとは?こんな体勢もOK!
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座位分娩のメリット

戦後、産科医療が発達し、病院での出産が普及するまで、日本においては自宅出産が一般的でした。

自宅出産で産む人はわずか500人に1人!具体的な方法は?
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自宅出産では、現代でいうフリースタイル分娩の方法が主流でしたが、中でも座位分娩を好む人が多かったようです。具体的に、座位分娩にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

いきみやすい

パイプにつかまる妊婦

仰向けに寝たまま下腹部に力を入れるのは、簡単なことではありません。しかしながら、しゃがんだ姿勢で下腹部に力を入れるのは、ほとんどの人にとって容易なことです。陣痛に合わせて上手にいきめないという産婦さんでも、座位分娩ならタイミングを上手に捉えていきむことができるでしょう。

また、座位分娩ではしゃがむだけではなく、パートナーや介助者、柱にしがみついて身体を支えますので、力を込めやすいというメリットもあります。

分娩台で仰向けに出産するときも、手すりやパートナーの手、助産師さんの手を握ることで下腹部に力を込めることができますが、座位分娩のように全身でしがみつけるわけではありませんので、座位分娩ほど力が入りません。

分娩台を使用しないので、緊張しにくい

分娩台に上がる際、多くの産婦さんが緊張します。また、上がるだけでなく脚を開きますので、さらに緊張感は高まります。日頃から、産婦人科の内診台に本能的な恐怖を覚える女性も少なくありません。

座位分娩する女性とサポートする人

一方、しゃがんで出産するスタイルの座位分娩の場合は、台の上に乗る必要もなく、脚を不自然に開く必要もありませんので、緊張せずに出産に臨めます。

立ち会い出産を希望するけれども、脚を不自然に開いている姿は見せたくないという産婦さんにも、自然な姿勢で開脚する座位分娩はおすすめの体勢です。

重力を利用するので出産時間が短縮できる

分娩台の上で仰向けに出産をするときは、分娩台に軽い傾斜があるケースも見受けられますが、それでも子宮口が産婦さんの身体からわずかに下がるだけです。

あまりにも出産に時間がかかるときは、陣痛促進剤の投与、吸引分娩などの医療措置が行われますが、基本的に経腟分娩では、すべてが産婦さんがいきむ力に任せられています。

一方、座位分娩は産婦さんの身体の真下に子宮口が来ます。そのため、赤ちゃんが重力に従って子宮口から出ますので、産婦さんの負担を軽減でき、出産時間が短縮される効果も期待できます。

お母さんと赤ちゃんの体力消耗を抑えられる

母親の胸に抱かれる新生児

出産時間が短くなるということは、産婦さんにとっては体力の消耗が抑えられるというメリットがあります。

もちろん、座位分娩であっても出産ですから、母体に多大な負担をかける重労働であることは変わりありません。ですが、分娩時間が大幅に短縮されることで、産後の回復が早くなることもあるのです。

また、出産は、赤ちゃんにとっても大変な労力を使う行為です。出産時間が短くなることで、赤ちゃんの体力の消耗を減らす効果も期待できるでしょう。

座位分娩のデメリット

出産時の体勢や出産方法には、それぞれメリットとデメリットが存在します。
座位分娩にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。

実施できる施設が少ない

座位分娩を実施している病院や助産院は、やはり分娩台を使った出産を実施している病院ほど多くありません。インターネットや口コミを通して座位分娩を実施している施設を見つけても、自宅から離れすぎていたり、すでに出産予定日前後の予約が埋まっていたりして、出産を断られるケースもあります。

座位分娩を希望している妊婦さんは、なるべく早くに座位分娩を実施している病院や助産院を探して予約しておくようにしましょう。ただし、座位分娩だけにこだわり過ぎるのはオススメしません。

インターネットの情報だけで決めるのではなく、まずは施設をじっくりと見学し、担当医師や助産師の方針に納得できないときは、別の施設を探すようにしてください。

緊急時に医学的な措置がとりづらい

手術する医者と器具

座位分娩では、子宮口を下に向けてしゃがむ姿勢で出産しますので、産婦さんにとっては自然な姿勢となり、身体が楽だと感じやすくなります。

しかしながら、子宮口が下を向いているということは、医師や助産師にとっては、問題が起こっても気付きにくく、医学的な対応が取りにくいというデメリットが存在します。
また、座位分娩は助産院で実施されるケースも多いですが、助産院では本格的な医療措置は行えません。母体や赤ちゃんに異変が見られた場合は、急いで病院へ搬送する必要があります。

座位分娩は子宮口が見えにくいため、出血量が予想以上に多くなってしまったり、分娩時のトラブルへの対応が遅れてしまうリスクもあるのです。

助産院での出産はメリットとリスクの両方を理解して!
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座位分娩ができる妊産婦とは?

座位分娩は、どんな妊産婦でも実施できる方法ではありません。

例えば、持病があったり、妊娠高血圧症候群に罹患している場合、妊婦健診時に赤ちゃんの病気が判明している場合は、出産時にどのようなトラブルが起こるか分かりません。
出産時にもすぐに医学的対応が取れるように、医師が処置しやすいスタイル(=分娩台の上で仰向けになる体勢)で出産するようにと勧められます。

また、助産院で座位分娩を希望する場合は、さらに受け入れ基準が厳しくなります。基本的には次の基準に合致する場合のみ、助産院での出産が認められています。

助産院で出産できる妊産婦の基準

  • 妊娠経過に異常が見られなかった
  • 双子以上の多胎児を妊娠していない
  • 助産師も産婦人科医師も、助産院での出産が可能だと判断している
  • 気管支喘息や血小板減少症などの合併症を持たない
  • B型肝炎等に罹患しておらず、母子感染の可能性がない

座位分娩が向いている妊産婦とは?

腰痛がひどい妊婦

座位分娩は、どのような妊産婦に特におすすめできる出産方法か紹介します。

普通分娩が苦手だった経産婦

今までに分娩台の上で一般的な出産を経験したことがあるが、

  • 仰向けの姿勢ではいきみづらかった
  • 分娩中は何かにつかまりたくて仕方なかった

といった感想を抱いている方は、座位分娩の体勢だとお腹に力を入れやすく、「産みやすい」と感じることも多いでしょう。

腰痛が深刻な人

腰痛がひどい妊婦さんにも座位分娩はおすすめです。仰向けの姿勢は腰を圧迫しますが、座位分娩なら腰を圧迫せず、パートナーやスタッフから腰をさすってもらいながら出産することも可能なため、痛みが軽減できます。

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家族と一緒の出産を希望する人

夫のサポートを受ける妊婦

最近では立ち会い分娩を実施している病院や助産院が増えてきていますので、座位分娩でなくてもパートナーや他の家族に立ち会ってもらうことはできます。

ですが、実際には、通常の分娩台での出産では、立ち会った家族は産婦さんの手を握ったり、言葉で励ましたりする程度にしか手伝うことができません。立ち会い出産を終えた後に「妻が苦しんでいるのに自分は何もできなかった」「どうして良いか分からず、おろおろしてしまった」などの感想を持つ人も多くいます。

一方、座位分娩では、立ち会った家族にしがみついたり、腰をさすってもらったりと、家族の力もいっぱい借りて出産をします。本当の意味で「一緒に出産した」という感覚を得ることができるのです。家族と一緒に赤ちゃんの誕生を迎えたいという人にも、座位分娩は適していると言えるでしょう。

会陰切開をしたくない人

吸引分娩を実施するとき、会陰裂傷が起こりそうなときなどは、会陰切開を実施します。特に初産の場合は会陰が伸びにくいため、会陰切開をする可能性が高くなります。

もちろん、出産後に傷口は治り、会陰切開の跡が残らないことも多いのですが、なるべく会陰切開を避けたいと考えている産婦さんにも座位分娩はおすすめです。いきみやすく出産時間が短いため、会陰切開を実施する可能性も低くなります。

会陰切開の痛みはどのくらい?切開の痛み具合~術後の経過
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自分らしい出産を実現したい人

出産は、人生において数えるほどしかない貴重な機会ですから、自分らしい出産をしてみたいと考える妊婦さんもいるでしょう。通常の分娩台の上に乗る出産方法や座位分娩、水中分娩などを検討し、「座位分娩がもっとも私らしい」という結論が出たなら、実施に向けて行動しても良いでしょう。

なお、フリースタイル分娩を実施している病院や助産院では、最初からどのような姿勢で出産するのかを決める必要はありません。陣痛に合わせて体勢を変えながら、横向きが楽だと感じたら横向きで、しゃがむのが楽だと感じたら座位で出産を行います。

どのような姿勢が自分に合っているのか分からない妊婦さんは、フリースタイル分娩を実施している施設を選びましょう。

出産方法はいろいろ!~自分なりのお産スタイルを選びたい~
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座位分娩を検討してみよう!

医学的措置が必要な場合やリスクが高い出産でない限り、妊婦さん自身がもっとも楽だと感じる姿勢で出産することは、出産時のストレスを軽減し、体力の消耗を抑えることにもつながります。

興味をお持ちの妊婦さんは、座位分娩(フリースタイル分娩)が可能な病院が近くにないか探し、一度問い合わせしてみましょう!

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