予定帝王切開の決定時期と流れ

予定帝王切開はいつ決まる?入院・手術・退院までの流れ

予定帝王切開とは、いつ、どんな理由で決まるの?予定帝王切開が決定する時期と手術の実施日(出産予定日)の目安をご紹介。もし予定帝王切開となった場合の入院・手術・退院まで流れ、産休を取るタイミングや術後の赤ちゃんのお世話はどうするべきかといった疑問にお答えします!

予定帝王切開はいつ決まる?入院・手術・退院までの流れ

予定帝王切開とは?どんな理由で、いつ決定するの?

平成28年社会医療診療行為別統計によりますと、2016年、日本では6,111件の緊急帝王切開と8,828件の予定帝王切開(選択帝王切開)が実施されており、帝王切開手術の中の約6割が予定帝王切開であったことが分かります。

予定帝王切開とは、分娩を帝王切開によって実施すると決定し、予定日を決めて帝王切開手術をすることを指しています。では、予定帝王切開はどのようなときに決まるのでしょうか。また、決まる時期と手術の実施時期についても見ていきましょう(注1)。

予定帝王切開になる理由

帝王切開で出産したママのイラスト

予定帝王切開が選択される理由には次のものがあります(注2)。

帝王切開手術あるいは子宮手術をしたことがあるとき

帝王切開手術や子宮手術を過去に実施したことがあるときは、経膣分娩で子宮破裂を引き起こすリスクがありますので、早い段階から予定帝王切開の実施を決定します。

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ただし、手術を受けてから長期の間隔が空いているときや患者がVBAC(帝王切開後に自然分娩を実施すること)を希望するときは、この限りではありません。

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40歳以上かつ初産のハイリスク妊産婦

40歳以上かつ初産の場合は、予定帝王切開になることがあります。ただし、かならずしも予定帝王切開になるのではなく、お母さんの体力面を検討してから帝王切開手術をするのか決定しますので、40歳以上であっても経膣分娩になるケースも少なくありません。

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胎盤の異常

胎盤が子宮口をふさぐ形でついていること、もしくは子宮口の一部を覆う形になっていることを「前置胎盤」と言います。妊婦健診時に前置胎盤であることが観測されると、早い段階で予定帝王切開を実施することが決定されます(注3)。

他にも、胎盤が子宮口から2センチ未満しか離れていない「低置胎盤」では、前置胎盤同様に出血が多量になると予想されます。低置胎盤も早い段階に予定帝王切開を実施すると決定することが多いです(注4)。

児頭骨盤不均衡・狭骨盤

赤ちゃんの大きさに比べてお母さんの骨盤が小さい場合は、産道を通ることができず、経膣分娩は困難と判断し、予定帝王切開になります。

赤ちゃんの成長に合わせて予定帝王切開が決定することもありますが、お母さんの骨盤が小さすぎると判断されるときには、赤ちゃんがどの程度成長するかに関わらず、予定帝王切開に決定します(注5)。

多胎妊娠

生まれたばかりの双子の赤ちゃん

赤ちゃんが双子、三つ子などの多胎児のときは、予定帝王切開を実施するのが一般的です。
赤ちゃんが逆子でなければ普通分娩を試みる産院などもありますが、妊婦健診で多胎児であることが分かると、早い段階で予定帝王切開を決定する医師も多いです。

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逆子(骨盤位)

逆子の経膣分娩は、リスクが高いため、高い確率で帝王切開が選択されます。
逆子の場合、赤ちゃんの大きさや子宮内の状態にも左右されますが、33週ぐらいまでなら治る可能性が高く、正産期である妊娠37週時点で逆子のままなのは全体の3%と言われています(注6)。

妊娠後期の妊婦健診では様子を見つつ、赤ちゃんが自力で向きを変えられる36週ぐらいまでは様子を見守ることになるでしょう。どうしても頭位(頭を下にした正常な胎児の姿勢)に戻らない場合には、早めに出産予定日を決めることになります。

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母体に合併症があるとき

糖尿病や心臓病などの合併症があるときは、出産時に母体に大きな負担をかけないためにも、早いうちから予定帝王切開を実施することを決定します。

また、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群のように、妊娠週数が進むに従って症状が表れてくるときは、症状の重症度によって予定帝王切開にするかどうかを決定します。

胎位異常あるいは胎児機能不全

妊婦健診時に、赤ちゃんの子宮内での位置や赤ちゃんの機能に問題があると分かった時は、予定帝王切開手術を実施します。

手術は38週前後に実施することが多い

帝王切開経験者や多胎妊娠、胎盤の異常などは、妊娠初期~中期の段階で、予定帝王切開が決定するのが一般的です。その他の理由のときは、ほとんどが経過を見ながらの判断となるため、妊娠10ヶ月に入ってから予定帝王切開の実施を最終決定します。

妊婦健診や詳細な検査により予定帝王切開手術の実施を決定したら、次は手術の日程を決定します。通常は、陣痛はまだ起こらないけれども胎児が充分に発育していると考えられる妊娠週数38週前後に予定日を定めるのが一般的です(注7)。

ただし、親が特定の日を希望する場合は、手術の予定に空きがあり、なおかつ医師が推奨する日と遠くないなら、希望が受け入れられることもあります。

予定帝王切開が緊急帝王切開になるケース

これから出産しようとしてる妊婦さんの手をにぎる旦那さん

予定帝王切開と言っても、すべての手術が予定通りに行われるわけではありません。予定帝王切開が緊急帝王切開になることも、決して珍しいことではないのです。

陣痛が予定より早く起きたときは?

一般的に予定帝王切開は、陣痛の兆候がない時期に出産予定日を決定します。しかし、正産期前の妊娠37週以前に突然、陣痛が来てしまうこともありますし、中には手術予定日の前日や当日朝に陣痛が来てしまうケースもあります。

妊産婦さんがすでに入院しているなら、緊急帝王切開手術もスムーズに実施できます。ですが、病院以外で陣痛が来てしまうだけでなく、すでに赤ちゃんが胎外に出かかっているときなどは、帝王切開ではなく通常分娩に切り替える可能性もあります。

予定帝王切開の流れ

予定帝王切開手術は、実際には次の流れで実施されます。

1.入院

出産のための入院の準備をしてる妊婦さん

予定帝王切開の予定日の前日から入院となることが多いです。基本的には入院後は、手術終了後まで絶食絶飲ですが、病院によっては、前日は絶食で飲み物はOK、手術当日だけ絶食絶飲と言われることもあります。

2.麻酔

手術室に入り、硬膜外麻酔や腰椎麻酔などの局所麻酔を実施します。尚、予定帝王切開では局所麻酔を実施することが一般的ですが、場合によっては全身麻酔を実施することもあります。

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3.切開

麻酔が効いているのを確認してから、腹部を切開します。
予定帝王切開では、傷跡が下着に隠れやすく、美容的メリットのある横切りが一般的です。

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4.赤ちゃん誕生

開腹して赤ちゃんを取り出します。赤ちゃんを取りあげる時間が「出生時間」として記録されます。麻酔がまだ効いていますので、お母さんは生まれたばかりの赤ちゃんを抱っこすることは難しいですが、見たり産声を聞いたりすることは可能です。また、産院によっては立ち会い出産を可としているケースもあります。

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しかし、全身麻酔を実施した場合は、生まれたばかりの赤ちゃんを見たり産声を聞いたりすることはできません。

5.縫合

切開部分を縫合し、手術完了です。おおよその手術時間は、1時間が目安です。

自然に溶けるタイプの糸で縫合するときは抜糸する必要はありませんが、溶けないタイプの糸で縫合したときは約1週間後に抜糸をします。また、切開部分をホッチキスで止めたときも、ハリを抜くタイミングは約1週間後になります。

6.退院

母体の回復を待ってからの退院となります。おおよそ7日間~10日間入院するのが一般的です。
縫合時の糸やホッチキスがあるときは、それらを抜いてからの退院になります。

予定帝王切開前の注意点

予定帝王切開の実施が決定した人は、入院のタイミングと産休を取るタイミングに注意する必要があります。

手術予定日よりも1~2日早めに入院する

入院時の検診を受けてる妊婦さん

普通分娩では陣痛が来てからの入院となりますので、入院したその日のうちに生まれることも多いです。しかしながら、予定帝王切開では手術実施日(出産予定日)の1~2日前に入院し、抜糸をしてからの退院となりますので、普通分娩と比べると2~5日ほど入院期間が長くなります。

帝王切開は健康保険が適用

「入院が通常より長引くということは、出産にかかる費用も高くなるのでは?」と考えてしまうかもしれませんが、帝王切開の手術そのものは医療行為ですので、加入している健康保険が適用され、そこまで高くなることはありません。

実際に、予定帝王切開の診療報酬点数は20,140点、緊急帝王切開は22,200点ですので(注8)、3割負担なら予定帝王切開で60,420円、緊急帝王切開で66,600円になります。他にも、高額になった時は「高額療養費制度」が適用されますので、収入によって決まる上限額以上の医療費は後日還付されます。

なお差額ベッド代や入院時の食事代などは、医療費ではありませんので全額実費の支払いとなります。入院日数や緊急時の措置などによっても入院全体の費用は変わりますが、自己負担分が30~60万円になることが多く、普通分娩とそこまで大きな差はありません(注9)。

帝王切開にかかる費用と自己負担を減らす5つの制度
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産休を取るタイミング

労働基準法で定められている産前休業の開始日は、出産予定日の6週前(多胎妊娠の場合は14週間前)です。通常、担当医などから妊娠40週0日目を出産予定日として告げられますので、勤務先にも出産予定日の6週前(妊娠34週0日目)から産前休業を取得すると報告している人も多いでしょう。

ですが、予定帝王切開を実施することが決まると、手術予定日が出産予定日になります。医師の診断書があれば、新しい出産予定日に合わせて産前休業取得開始日を繰り上げることも可能です。

妊娠38週0日目前後に予定帝王切開を実施すると仮定した場合、産前休業取得開始日も2週間ほど繰り上がることになります。

予定帝王切開が決定する時期が遅いと、産前休業が短くなる

予定帝王切開が早期に決定した人は、産前休業取得開始日を繰り上げることもできますが、逆子などの事情で、産前休業に入ってから出産予定日(手術予定日)が決まる人は非常に多いです。

つまり、普通分娩の人は産前休業を6週間取得できますが、予定帝王切開を実施し、なおかつ妊娠10ヶ月目に予定帝王切開が決定した人は、産前休業を4週間以下しか取得できないケースもあります。やや慌ただしい臨月~正産期となることを覚悟しましょう。

予定帝王切開後の育児はどうなる?

予定帝王切開後は、次の2点を注意するようにして下さい。

普通分娩よりも出産後の入院が長引く

生まれたばかりの赤ちゃんを抱っこしてるママ

普通分娩では出産日を含めて1週間~10日ほどの入院となることが多いです。現代では、経膣分娩の入院期間は3~4日ほどですから、出産後の入院期間はやや長めといわざるを得ません。
抜糸をしない場合でも、切開痕が良好な状態になっているか確認してからの退院となります。

術後数日で初産の方は沐浴指導などがあり、赤ちゃんに問題がなければ、母子一緒の退院となるのは経膣分娩と変わりません。

帝王切開の入院期間はどのくらい?準備する持ち物リスト
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すぐには母乳があげられない

出産直後はまだ麻酔が効いていますので、赤ちゃんに母乳をあげることができません。また、術後1~2日はやはり傷が痛むため、無理せず、まずは身体を休ませることを優先させた方が賢明です。

経膣分娩であっても、帝王切開であっても、どちらでも母乳育児を実施することは可能です。出産後に分泌が高まるプロラクチンとオキシトシンの2つのホルモンの影響を受けて、少し経てば母乳が出るようになります。

初乳を飲ませることはできる

出産後、5日目くらいまでに出る黄色っぽい母乳を「初乳」と呼びます。それ以降に出る白っぽい母乳と比べると、ラクトフェリンや免疫抗体など赤ちゃんの身体に良い成分がたくさん入っていますので、できれば母乳を飲ませたいと考えているお母さんも多いでしょう。

帝王切開後に特に問題が起こらないなら、出生後5日までに母乳を飲ませることは十分可能ですので、赤ちゃんに初乳を与えることもできます。

帝王切開は母乳が出にくい?手術後の母乳育児のポイント
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痛みを感じながらの育児が心配。痛みの強さは?

麻酔が切れてから術後1~2日はやはり切開部分の痛みも強く、子宮が元に戻ろうとする収縮の痛み「後陣痛」を感じます。術後数日で母子同室にする産院もありますが、無理をする必要はありません。体調が優れない時は、赤ちゃんは看護師さんに預かってもらいましょう。

日に日に状態は回復し、退院が決まれば、一応の日常生活は送れるはずです。
とはいえ、背伸びをしたりなどの姿勢をとると、傷口が痛むこともしばしば。産後1ヶ月ぐらいで傷の痛みはあまり感じなくなる方も多いですが、痛む場合は1ヶ月健診時に主治医に相談しましょう。激しい痛みではないものの、時々傷口が突っ張るような痛みを感じる方もいます。

予定帝王切開は、計画的に出産できるメリットがある

出産予定日を決めて帝王切開を実施する「予定帝王切開」。お腹を切る手術といことで、恐怖を感じる方も多いと思いますが、入院や退院の予定を立てやすいというメリットもあります。
赤ちゃんに会える日を心待ちにしながら、体調や安全に注意して、心穏やかに過ごしていきましょう。

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