妊婦がお葬式に参列する時のマナー

妊婦がお葬式に参列しない方が良いといわれる理由

妊婦がお葬式に参列するべきではないという迷信もあるようですが、実際のところはどうなのか?迷信以外にも体調面を考慮し参列を避けた方がよいケース、参列する際の注意点を解説します。お腹が大きくなり通常の喪服が入らないときの服装やお腹に鏡を入れるべきかなど、妊娠中の葬儀のマナーも紹介。

妊婦がお葬式に参列しない方が良いといわれる理由

妊婦はお葬式に参列しても良いの?妊娠中のお悔みの伝え方

結論からいって、妊婦がお葬式に参列すること自体に問題はありません。現代では妊婦本人も、まわりの人も「妊婦だから葬儀に参加するべきでない」と考える方は少数派です。

ただし、昔は「新しく生まれる命」と「弔いのための場」である葬儀が正反対の位置づけにあり、妊婦さんのお葬式への参列を勧めない地域や気にする年配の方もいます。

また、お葬式を主催する側の親族の心労を考慮すれば、体調がすぐれないのに無理をして参列することで迷惑をかけるのは避けたいところです。つわりがひどい、出産予定日が間近に迫っているという場合は、落ち着いてから個人的にお供えを持っていく方法もあります。

妊婦がお葬式に参列しない方が良いと言われる理由

死生観にまつわる迷信以外にも、妊婦さんがお葬式に参加しない方が良いと言われるには、体調や環境面での理由があります。

身体への負担がかかる・手伝いをしてしまう

疲れて椅子に座り込む妊婦

ここ数十年では、都会・田舎限らず葬儀場でのお葬式が多くなりましたが、昔は自宅でお葬式をする方が多かったので、親類やご近所さんなど故人と近しい女性はお手伝いをするのが当たり前でした。その場にいれば自分だけ何もしないわけにはいかないので、当然妊婦さんもお手伝いをしていたわけです。

しかし、周りの出産経験のある女性からすれば「妊婦なんだから休んでいれば良い」とお葬式に参列すること自体を止めていたのが「妊婦は参列してはいけない」と間違って伝わったという説もあります。

故人との別れを痛感し、精神的にショックを受ける

お葬式に参列するということは、妊婦さんと故人は身内や近しい間柄であったということ。「しっかりお別れをしたい」という気持ちは大切ですが、葬儀のときはやはり強い悲しみに襲われるでしょう。

妊娠中はホルモンの影響もあり、日常の何気ないことを気に病み、情緒不安定になってしまう方もいます。そんな中での親しい方とのお別れは精神的なストレスが大きく、取り乱してしまったり、葬儀後も強いショック状態から抜け出せなくなることも懸念されます。

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大勢の弔問客が集まるため、病原菌に感染するリスクが上がる

咳をする参列者

昔は疫病など人に感染する病気で亡くなる人が多かったので、妊婦がお葬式に参列して病原菌に感染する危険がある、さらに免疫力の無い胎児には感染しやすいという理由で参列しない方が良いとされていたという説もあります。

現代はそうした危険はありませんが、お葬式には大勢の弔問客が訪れます。換気が十分でない部屋で数時間過ごすとなると、風邪やインフルエンザなど感染症のリスクはあると考えておくべきでしょう。

妊婦さんはお通夜だけの訪問もあり!

お通夜はお葬式に比べて短時間で終わりますし、お焼香をするだけで失礼できる場合もあります。
故人との関係性によってはお通夜のみの参列でも良いとされていますので、本来はお通夜とお葬式の両方に参列するべき間柄だったとしても、妊娠中であることを話して、お通夜のみの弔問とさせてもらっても構いません。

ご焼香する女性

お通夜とは?

  • 亡くなった日の夜に身内のみで済ませる儀式
  • 知人・友人の弔問は翌日の夕方から行われる(「友引」など六曜によっては日延べされる)
  • 僧侶の読経、弔問客の焼香のみで閉式

お葬式とは?

  • 告別式とも呼ばれ、誰でも参加できる最後の別れの場。
  • 読経・弔辞・弔電が読まれ、焼香をする。閉式のち出棺。
  • 火葬場での納め式・骨上げ

火葬場でのお別れは長丁場なので、行かない方が良い

火葬場では、最後のお別れを済ませる「納め式」が行われ、火葬後に遺骨を骨壺に納める「骨上げ」が行われるため、長時間になるのが一般的です。

場所によっては立ちっぱなしになったり、その場から身動きが取れなくなったりする可能性もあるので、慎重に対応する必要があります。

特に臨月の場合は何が起きるかわからないので、火葬場に限っては参列を控えた方が無難です。もし参列を希望する場合は、事前に火葬場の状況を調べておいた方が良いでしょう。

欠席する場合も弔意を示し、失礼のないようにしたい

やむなくお葬式を欠席する場合でも、先方に弔意を示すのが礼儀です。
弔電を打つ、お悔やみ状やお香典を送るという方法でも良いですし、先方の都合の良い日を伺ってから改めて弔問して手を合わせるのも良い方法です。

妊婦がお葬式に参列する時の注意点

妊婦さんがお葬式に参列する際に、特に注意するべきポイントをお伝えします。気を付けるべき点を押さえて、お別れを済ませてください。

心配な場合は担当医に相談する

担当医に相談する

妊婦がお葬式に参列する時に最優先すべきことは体調です。お世話になった人のお葬式には参列したいという気持ちもわかりますが、つわりやお腹の張りが気になったり、臨月に入った場合は、いつ何があるかわからないので、心情的なことだけで判断するのは避けましょう。

自分自身では平気だと思っていても、担当医の判断は違う場合があります。お葬式に参列したのが原因で体調を崩してしまうと困るので、できれば参列する前に受診して判断してもらうのがベストです。

それ以前の妊婦検診で、お腹の張りや妊婦高血圧症候群の可能性を指摘されたことがある場合も、担当医に相談してみましょう。

お別れの儀式すべてに参列する必要はない

お葬式はお通夜、告別式、荼毘という順番で行われますが、時間帯やかかる時間もそれぞれ違います。

  • 告別式には行くけれど、火葬場へはいかない
  • お通夜の焼香のみで失礼する
  • 弔電を打ち、お香典を送る

その日の体調や葬儀が行われる場所、一緒に参列できる人がいるかどうかなど、時と場合によって臨機応変な対応を心がけましょう。全ての儀式に参列しなくても、お悔みの気持ちは示せるはずです。

故人との間柄を考慮する

故人の慰霊を持つ遺族

故人が身内である場合はすべて参列するのが通常ですが、身内だからこそ妊婦であることを考慮してもらったり、まだ妊娠を明かしてない場合も旦那さんや上の子のみ出席にするなどして体調を優先させることも可能と言えます。

身内以外のお葬式の場合は自分で判断しなければいけませんが、やはり無理をするのはおすすめできません。

遠い親戚やさほど面識がない人、また遠方でのお葬式の場合は妊婦であることを告げてから辞退するという選択もできます。体調と故人との関係性によって、参列を辞退することを考えた方が良いケースもあるはずです。

ひとりでの参列は控え、家族と一緒が望ましい

お葬式に参列することが決まったら、親兄弟やパートナーなど誰かと一緒に参列しましょう。身内の葬儀の場合は、誰かしらは参列するはずです。お葬式は普段の生活とは全く違う状況なので、突然の体調不良に襲われる可能性もあります。

また自宅の近所で行われるならすぐに帰ってくることができますが、遠方の場合は一人で対処できない場合もあるので心配です。特に交通手段が限られているような場所でのお葬式の場合は、行くだけで体力を消耗しますし、「何かあったらどうしよう」という不安感も増すので、精神的にも良くありません。

お葬式が終わってから、気が抜けて帰り道にガクッと来る可能性も考慮して、ひとりでは参列しないようにしましょう。

妊娠前期のお葬式参列で特に注意すること

妊娠前期はまわりからは妊婦さんだけ気づかれない場合がほとんどです。冷えない服装や転倒しにくい靴など、体のケアや管理は自分自身で全面的に行いましょう。

立ちっぱなしや冷えに注意し、無理をしない

重いものを持ったり、かかとの高い靴を履いたりするのはもちろん、立ちっぱなしや冷えにも注意しましょう。

お腹こそ目立ちはしないものの、妊娠前期はお腹の中で赤ちゃんが急激な成長を遂げています。それと同時に妊婦さんのホルモンバランスにも変化があるので、妊娠前は平気だったようなことでも体調を崩す可能性があります。

つわりがあるなら、参列を遠慮するのも気遣い

つわりで口を押える妊婦

お葬式の最中に戻してしまうようなことがあれば迷惑がかかります。つわりの時期は臭いに敏感になりますが、お通夜や告別式ではお線香の香りがし、換気が不十分となるケースもあります。「臭いつわり」「吐きつわり」の症状がある場合は、参列しない方が賢明です。

近しい人のお葬式では、式後に「通夜振る舞い」としての食事会が開かれる場合もありますが、つわりの時は食べられない物が多いですし、食べ物を見ると気分が悪くなる場合もあります。きちんと自分の状況を説明したうえで、辞退しましょう。

妊娠後期のお葬式参列で特に注意すること

妊娠後期に葬儀に参列する場合も、前期同様冷えや立ちっぱなしには気を付けましょう。喪服に窮屈さを感じたり、むくみによって靴の履き心地が悪いこともあり得ます。

参列時は履きなれない靴なはず!足元には要注意

妊娠後期ともなれば自分のお腹で足元が見えなくなります。
夜間に行われるお通夜だと視界が悪くて足元が見えにくいですし、お葬式では黒のパンプス必須なので、ヒールが高くないものだとしても履きなれている靴とはやはり歩きやすさが違うはずです。

お寺や火葬場は玉砂利が敷き詰めてあることも多いので、転ばないように足元には十分気を付けなければいけません。できるだけパートナーなど付き添いの人に隣を歩いてもらいましょう。

妊婦とお葬式に関する迷信

妊婦がお葬式に参列する際の迷信も存在するのをご存知でしょうか?
もちろん迷信ですから、科学的な根拠はありませんが、年配の方などになにか言われたときのために、知識として知っておきましょう。

お線香の煙の中で合掌

火葬場に行くと、赤ちゃんに痣(あざ)ができる

「妊娠中に火葬場に行くと赤ちゃんに痣ができる」という迷信があります。また妊婦さんが火事を見ると痣がある赤ちゃんが産まれるという迷信もあります。

お葬式の場合は悲しみ、火事の場合はショックで感情が高ぶるせいで体調を崩す恐れがあることから、作られた迷信と考えられています。

また、お葬式も火事の現場も人が多く集まるので、周りの人とぶつかって痣ができてしまうからという説もあります。もちろん物理的に証明されているわけでもなく、ただの迷信に過ぎないので、気にせず参列しても問題はありません。

妊娠中は骨あげは控えるべき

妊婦が火葬場で骨を拾うのは控えた方が良いという迷信もあります。これは「故人と親しい間柄にあった妊婦の精神的ダメージを考慮したため」に作られた説と考えられています。
また、昔の火葬場の待合室はエアコンもなく、妊婦にとっては良い環境ではなかったために作られたという説もあるようです。

お腹に鏡を入れて参列すると魔除けになる

上記したような迷信に対抗するための迷信として知られているのが、お葬式にはお腹に外向きにした鏡を入れて参列をするというものです。鏡は魔よけの役割があり、霊的な存在から赤ちゃんを守るために、鏡で跳ね返すという意味があります。

またお葬式の時は周りも妊婦に気を使う余裕がなく、妊婦自身もお腹の赤ちゃんのことを忘れてお手伝いをする場合があります。しかし、お腹に鏡が入っていれば常に違和感があるので、赤ちゃんがいることを忘れて働きすぎるのを止めるためという意味もあります。

迷信ではありますが、妊婦さんにとっては鏡を入れておくことで精神的な効果は期待できます。参列する際はお守りとしてお腹に鏡を入れておくのも良いでしょう。
迷信を気にする方に、参列についてなにか言われたときも、「お腹に鏡を入れています」と言えば納得してくれるかもしれません。

妊婦がお葬式に参列する時の服装マナー

妊婦がお葬式に参列する場合に悩むのが服装です。お腹が大きく手持ちの喪服が入らないときはどうするべきなのでしょうか?

手持ちの喪服が入らないときは即日マタニティ喪服レンタルもあり

黒のフォーマルドレスを着た妊婦

お腹が大きくなって自前の喪服が入らない場合は、手持ちの洋服でフォーマル感のある黒や濃紺の服装を心がけます。ただし、素材には気を付ける必要があるので、光沢のある素材やニットなどは避けるようにしてください。

お葬式は急なことでしょうから、ネットなどでは即日発送・翌日配達してくれるマタニティ喪服などのレンタルサービスもあります。

西松屋や赤ちゃん本舗などのマタニティウェアが置いてあるお店には、黒のワンピースが置かれていることもあります。急ぎの場合は、お店に事情を説明し、在庫があるようならデザインにはこだわらず購入しましょう。

足元は黒のフラットシューズ

お葬式ではなくても妊婦にかかとの高いヒールはおすすめできません、もし転んでお腹や腰をぶつけたり、ケガでもしたら大変なので、フラットシューズはマストです。

ヒールはなくても構いませんが、つま先が空いているサンダルや合否素材、飾りがついている靴は履かないのがマナーです。

例えフラットシューズでも、お葬式には普段履きなれていない靴を履かれる方も多いでしょうから、足元には気を付けましょう。

ストールやカーディカンなどで冷え対策をする

妊婦にとって「冷え」は大敵なので、服装に関しても冷え対策を行う必要があります。寒い季節はもちろん、夏場も冷房で気温が低くなっている会場が多いので、ストールやカーディガンなど羽織るものを持参すると役立ちます。

特に足元を冷やすと血行が悪くなるので、薄手のストッキングではなくタイツの方が防寒効果は高いです。ただしラメや模様が入っているタイプは避けるようにしましょう。

妊婦のお葬式参列は体調と相談しながら決める

お世話になった人のお葬式には参列したいと思うのが当然です。しかし、妊婦の場合は自分だけの身体ではないので、やはり体調と相談して決める必要があります。

無理をして参列することで遺族に迷惑をかける結果になる可能性もあります。お腹に赤ちゃんがいるのですから、故人も含めて、欠席を悪く思う人はそうはいないはずです。
今の自分にできる方法で、哀悼の意を示し、故人のご冥福をお祈りしましょう。

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