妊婦は栄養ドリンクを飲めるのか

妊婦が栄養ドリンクを飲むときにチェックすべきポイント

妊婦は栄養ドリンクを飲んでも良いのか、毎日飲むことは可能なのか解説。タウリンなど栄養ドリンクによく含まれる成分の効能や商品選びのポイントをまとめました。栄養ドリンクは、疲労回復や風邪予防などにも効果が期待できますから、カフェインなどに気を付けて、上手に活用していきましょう。

妊婦が栄養ドリンクを飲むときにチェックすべきポイント

妊婦は栄養ドリンクを飲んでも良い?

妊娠中は体力が落ちやすい時期ですので、ちょっとしたことで疲れてしまいます。そのため、栄養ドリンクを飲んで力をつけたいと思う妊婦さんも多いでしょう。また、風邪をひいたときには、滋養強壮のために栄養ドリンクを飲む方もいると思いますが、妊娠中も同様にして良いのか気になります。

妊婦は栄養ドリンクを飲んでもいいのか、栄養ドリンクの種類や含まれる成分をご紹介します。

妊娠中の不調を解消する目的なら飲んでOK!

結論ですが、含まれている成分にさえ気をつければ、妊娠中も栄養ドリンクを飲んで構いません。商品によっては、「妊娠中・授乳中の栄養補給に」とはっきり記載してある種類もあります。

妊娠中は体力が落ちやすく、病気に対する抵抗力も弱くなります。不調を解消するために栄養ドリンクを上手に活用していきましょう。

そもそも栄養ドリンクとは何?

栄養ドリンクは「医薬品」「医薬部外品」の2種類

ドラッグストアの店内

栄養ドリンクとは、薬事法で定められた「医薬品」もしくは「医薬部外品」に該当する飲み物で、「ビタミン含有保健剤」と呼ばれることもあります。

「医薬品」に分類される栄養ドリンクは、ドラッグストアや薬局などの薬剤師が常駐する場所で購入できます。

一方、「医薬部外品」に分類される栄養ドリンクは、コンビニやスーパー、自動販売機などの薬剤師がいない場所でも購入可能です。

商品の表示から「効能・効果」が読み取れる

栄養ドリンクを飲むのなら、自分が抱えている不調や症状にあわせて商品を選ぶのが効果的です。

2017年4月から医薬部外品に分類される栄養ドリンクは、含まれる成分によって効果や効能を表示できるようになりました。具体的には以下の表示が可能です(注1)。

医薬部外品の栄養ドリンクに表示できる効能・効果

効能・効果を期待する不調含まれる成分
胃腸が弱く腹痛や
下痢を起こしやすいとき
L-グルタミン酸、
アセンヤク、
カンゾウ、サンザシ、
サンヤク、シャクヤク、
シュクシャ、ショウキョウ、
タイソウ、ブクリョウ、
モッコウ、ヤクチ
肩・首・腰・膝の不調L-イソロイシン、
L-バリン、
L-ロイシン、トチュウ
筋力の低下L-イソロイシン、
L-バリン、
L-ロイシン
疲れやすい、
身体がだるい
L-イソロイシン、
カルニチン塩化物、
L-グルタミン酸、
タウリン、
L-バリン、L-ロイシン、
パンテチン、オウセイ、
オキソアミジン、ガラナ、
クコシ、コウジン、
シゴカ、タイソウ、
ニクジュヨウ、ニンジン、
ニンニク、ローヤルゼリー
寝付きが悪い、
眠りが浅い
グリシン、サフラン、
シゴカ、ショウキョウ、
タイソウ、チョウジ、
ブクリョウ、リュウガンニク
肌荒れ、
肌の乾燥
パンテチン、ヨクイニン
血行不良、
冷え性
オキソアミジン、コウジン、
サフラン、シャクヤク、
ショウキョウ、トウキ、
ニンジン、ニンニク
骨や歯の衰え炭酸マグネシウム、
二日酔いによる
だるさと食欲の低下
カルニチン塩化物、
ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン、
タウリン、L-トレオニン、
DL-メチオニン、
デヒドロコール酸、
ウイキョウ、オキソアミジン、
ケイヒ、コウジン、
サンザシ、シゴカ、
シュクシャ、ショウキョウ、
タイソウ、チンピ、
ニンジン、ニンニク
目の疲れ

クコシ

エナジードリンクとの違い

コンビニやスーパーなどで「エナジードリンク」と記載されたドリンクを見かけることもあります。何となく栄養ドリンクと似ているような印象を持ちますが、エナジードリンクは食品衛生法によって「清涼飲料水」に分類されるドリンクです。

そのため、食品衛生法によって食品添加物として認められている成分しか含まれていません。また、栄養ドリンクのように薬事法によって定められているのではありませんので、効能や効果を記載することはできません。

栄養ドリンクによく含まれている成分

栄養ドリンクに含まれていることが多い成分の特徴を紹介します。

タウリン

横になって休む妊婦

タウリンとは、身体の恒常性維持(体調や外部の環境に左右されずに体温や血圧、身体の機能を一定に保つこと)に効果を発揮するアミノ酸です。アミノエチルスルホン酸とも言います。

ちょっとした不調は身体の機能が一定でないことから起こることもありますので、タウリンが入った栄養ドリンクを飲むことで、身体の機能を元通りに近付けることを期待できます。

タウリンは、牡蠣やエビ、タコ、イワシ、ブリ、カツオなどの魚介類にたくさん含まれています。また、海草類にもたくさん含まれていますが、海由来以外の食べ物には含まれていません。

天然の食品から抽出した天然タウリンは食品添加物に分類でき、エナジードリンクなどにも含まれています。しかしながら、化学的につくった合成タウリンは医薬品に分類されますので、エナジードリンクには配合できず、薬事法による栄養ドリンクに配合されます。

ビタミンB1

皮膚や粘膜の健康維持に欠かせないビタミンB1は、不足すると疲れやすくなったり、食欲不振になったり、場合によっては脚気が引き起こることもあります。穀物の胚芽の部分や豚肉、レバーなどに多く含まれています。

ナイアシン

炭水化物や脂質、タンパク質をエネルギーに変換するときに、ナイアシンは酵素を補助する働きをします。また、タンパク質が皮膚や筋肉の組織に返還されるときも、ナイアシンがサポートをします。

その他にも、ナイアシンは二日酔いの原因でもあるアセトアルデヒドを分解する働きをしますので、二日酔いの不快な症状を早めに解消することも期待できます。

パントテン酸

パントテン酸も、ナイアシンと同様に、炭水化物や脂質、タンパク質がエネルギーに変換するときに欠かせない役割を発揮します。また、パントテン酸は善玉コレステロール(HDL-コレステロール)の合成もサポートしますので、動脈硬化の予防も期待できます。

栄養ドリンクの成分表でチェックすべきポイント

不調解消や健康維持のために利用できる栄養ドリンク。とはいえ、妊娠中はどんな栄養ドリンクでも飲んで良いというわけではありません。栄養ドリンクには、次のような妊娠中に好ましくない成分が含まれていることもあるので、注意が必要です。

カフェイン

カップを持つ妊婦

妊婦さんが栄養ドリンクを飲む場合は、「カフェインレス」「ノンカフェイン」などの表記のある商品を選びましょう。集中力を高めたり、気持ちをリラックスさせたりする効果もあるカフェインですが、妊娠中はできるだけ摂取を控えた方が望ましいでしょう。

妊娠中に摂取したカフェインは、排出するまでに時間がかかり、胎盤を通して胎児へ移行する可能性もあります。その結果、胎児の発育を阻害してしまう恐れがあるのです。

妊娠中のカフェイン摂取に関して、日本では明確な基準が定められていませんが、欧米ではだいたい1日200mg~300mg未満を基準としている国が多いです(注2)。

眠気覚ましの効能をPRしている栄養ドリンクやエナジードリンクは、ほぼ間違いなく多量のカフェインが含まれていますので要注意です。

妊娠中のカフェインなぜだめ?胎児への影響と1日の許容量
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アルコール

栄養ドリンクには、微量のアルコールが含まれていることがあります。しっかりと成分表示を確認してアルコールを避けるようにしてください。

アルコールを妊娠中に飲用すると、お母さんの血液を通して赤ちゃんにもアルコールの成分が届き、「胎児性アルコール症候群」が引き起こるリスクがあります。胎児性アルコール症候群になると、出生時の体重が低くなったり、成長後してからも低身長や難聴、脳の障害などの影響が出る恐れがあります(注3)。

胎児性アルコール症候群は、どの程度のアルコール量なら安全という基準はありません。根本的な治療法もありませんので、妊娠しているときはアルコールを摂取しないことが1番です。

胎児性アルコール症候群|赤ちゃんの顔に出る妊娠中の飲酒
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アレルギー物質

妊婦さんに食品アレルギーがある場合は、栄養ドリンクにアレルギーの原因となる物質が入っていないかよく確認して下さい。アレルギーの原因物質を誤って体内に入れてしまうと、けいれんや呼吸障害などのアナフィラキシーショックが起こる可能性もあります。

漢方成分

栄養ドリンクには漢方成分も多数含まれていますが、中には子宮収縮作用がある漢方もあるので注意が必要です。分からないときは、薬局の薬剤師にたずねてみてください。

「妊娠中も飲める」表記のものを選べば安心

基本的に、栄養ドリンクに「妊娠中も飲める」といった表記がある場合は、安心して飲むことができます。

メーカーのホームページの製品紹介でも、妊娠中・授乳中でも飲めるかどうかは、『よくある質問』などのコーナーに記載されていますので、確認してみましょう。

妊婦が栄養ドリンクを飲むメリット

上手に利用すれば、栄養ドリンクは妊娠中の心強い味方になります。栄養ドリンクには、次のようなメリットがあります。

疲れが早く解消できる

ベッドの上に座る疲れた顔の妊婦

疲労回復の効能を持つ栄養ドリンクはたくさんありますので、何かと疲れがちな妊娠中には役立ちます。

崩れがちな栄養バランスを補給する

妊娠中は妊婦さんの健康と赤ちゃんの成長のために、普段以上に栄養バランスに留意しなくてはいけません。栄養ドリンクには普段の生活で不足しがちな成分を多く含んでいますので、バランスを保つための助けになります。

風邪を予防できる

マスクをして咳をする女性

妊娠中は体力や免疫力が落ちやすいため、風邪などにもかかりやすくなります。血行不良や疲れやすさを改善する効能を持つ栄養ドリンクを飲めば、代謝も上がり、風邪などの病原菌への抵抗力向上も期待できます。

栄養ドリンクは、毎日飲んでも効果はある?

妊娠中は、栄養ドリンクのような強い効能のある成分が含まれている飲み物を継続的に摂取することはおすすめできません。

疲れたとき、身体が弱っていると感じるときなどの「困ったときのお助けアイテム」として、栄養ドリンクを摂り入れていくようにしてください。

妊婦健診の当日・前日は栄養ドリンクを飲まないで!

お助けアイテムとして栄養ドリンクを飲むことは構いませんが、妊婦健診の当日や前日には飲まない方が良いでしょう。

ビタミンBで尿の色が変わる

ほとんどの栄養ドリンクにはビタミンBが含まれています。ビタミンBは濃い黄色をしていることが多く、ビタミンBが大量に含まれたドリンク剤を飲むと、尿の色が濃い黄色になってしまいます。

当然、尿中のビタミンBの量も多くなってしまいますので、尿検査の結果が正常に出ない可能性も高くなります。

妊婦健診の尿検査でわかること~糖や蛋白は異常サイン?
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血液検査や尿検査の結果に影響が出ることもある

血液検査

検査結果に影響が出るのは、尿検査だけではありません。栄養ドリンクの成分が大量に血液中にも含まれてしまうと、血液検査の結果も変わってしまう恐れがあります。

血液検査や尿検査は妊婦さんの健康を守るための大切な検査ですので、正しい結果を得るためにも、妊婦健診の当日や前日は栄養ドリンクを飲まないようにしてください。

栄養ドリンクを飲んでしまったときは正直に伝えよう

妊婦健診があることを忘れていて、うっかり栄養ドリンクを飲んでしまうこともあります。また、あまりにも疲れていて、つい栄養ドリンクに手が伸びてしまうこともあるでしょう。

そのようなときは、検査を受ける前に医師や看護師に「昨日、栄養ドリンクを飲みました」と伝えましょう。栄養ドリンクの名前を覚えているときは、名前も医師に伝えるようにしてください。

妊娠中も栄養ドリンクを上手に活用しよう

妊娠中は色々と制約の多い時期ですが、しっかりと成分さえ吟味して選べば、栄養ドリンクを飲むことは可能です。疲れが溜まっているときや何となくすっきりとしないときなど、効能・効果に合わせた栄養ドリンクを飲みましょう。

ただし、栄養ドリンクの常飲はNG!適量を守り、連日の飲用は避け、あくまで補助的に利用するようにして下さい。

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