フリースタイル分娩とは?

フリースタイル分娩のメリットとは?こんな体勢もOK!

フリースタイル分娩とはどのような出産方法か、できる体勢や夫による介助(立ち会い出産)の必要性も含めて紹介。いきみやすい、会陰切開のリスクが減るなどのメリットと、実施していない病院が多く助産院での出産が主流な点、医学的措置が必要となる場合は向かないなどデメリットも解説します。

フリースタイル分娩のメリットとは?こんな体勢もOK!

フリースタイル分娩とは?

日本でもっとも一般的な分娩方法は、分娩台に仰向けに横たわり、脚を左右に開いていきむスタイルです。ほとんどの病院では、帝王切開以外の出産となると、この分娩台に上がって出産する方法以外の選択肢は与えられません。

一方、フリースタイル分娩とは、自由なスタイルで出産する分娩方法です。分娩台に上がらなくてもよく、出産直前まで体勢を変更したり、自由に動くことが可能です。
その名の通り、お母さんがもっとも楽な姿勢を選び、自分が望む体勢で産むことができるのが、フリースタイル分娩なのです。

分娩台

自然分娩との違い

自然分娩とは、自然な陣痛を待ち、出産時期を調整しない分娩を指します。

つまり、フリースタイル分娩は出産するときの「体勢」に着目する分類法ですが、自然分娩は「自然な陣痛かどうか」に着目した分類法と言うことができます。

陣痛に耐え、分娩するという点では同じですので、フリースタイル分娩も自然分娩に該当します。

自然分娩の対義語は「計画分娩」

帝王切開などの外科的措置を伴う分娩は、通常の場合は予定日を決め、計画的に実施します。また、陣痛促進剤やバルーンを使って実施するタイプの無痛分娩も、ある程度予定日を決めてから実施するのが一般的です。このように計画的に実施する分娩を「計画分娩」と呼びます。

計画分娩とは?出産日を調整するメリット&デメリット
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フリースタイル分娩の体勢はさまざま!

「フリースタイル」と名前がつくくらいですので、分娩時の体勢はさまざまです。
一般的な体勢を紹介しますが、紹介した体勢以外のどんな体勢で産んでも構いません。

フリースタイル分娩では、最初からどのような姿勢で産むのかを決めておく必要はありません。陣痛が来て、いよいよ出産となったときに、もっともいきみやすいと感じる姿勢を取り、最適と思われる体勢で出産を迎えます。

しゃがんだ姿勢

しゃがんだ姿勢で出産する女性

フリースタイル分娩の中でも実施する人が多いのが足を広げてしゃがむ座位分娩です。産婦さんが一人でしゃがむとバランスを崩して前後に倒れてしまう危険がありますので、パートナー(夫)や助産師さんの身体にしがみついて出産します。

子宮口が下向きになりますので、重力を利用して出産時間が短くなるケースが多く見受けられるのが特徴です。

座位分娩が産みやすい理由・向いている妊産婦の特徴とは?
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横向き

仰向けに寝る体勢は何となく不安に感じる人も、横向きに寝ると安心感を覚えるのではないでしょうか。横向きは出産が長引いても疲れにくく、生まれる直前まで介助者や夫など立ち会い出産をする方に腰をさすってもらえますので、腰に痛みがある妊婦さんにも適したスタイルです。

出産時には、助産師さんやパートナーに片足を持ってもらい、赤ちゃんが出やすい姿勢に調節します。横たわる向きは左右どちらでも良いのですが、右体側を下にして横たわると下大静脈を圧迫して貧血になることもありますので、なるべく左体側を下にして横たわるようにしましょう。

四つん這い

四つん這いの姿勢で出産することもできます。ただし、長時間四つん這いの体勢を維持するのは大変ですから、時には横たわったり、仰向けに寝たりしながら、いよいよ陣痛が強まってきたときに四つん這いの姿勢でいきみます。

四つん這いになったときに、身体の下にクッションを重ねて置いて、腕や脚に負担をかけないように工夫することも可能です。四つん這いの姿勢を取ることで、腰に負担がかかりにくくなりますので、腰痛が深刻な人にもおすすめのスタイルです。

天井からぶらさがる綱につかまる

天井からぶらさがる綱につかまる妊婦

日本古来とも言うべき、天井からぶら下がる綱(産み綱)につかまって出産する方法です。綱を持つことで身体のふらつきが少なくなりますので、いきみやすいというメリットがあります。

基本的にはしゃがむ姿勢になりますので、子宮口が下になって出産時間が短縮できます。また、単にしゃがむ姿勢で出産する場合は、身体のバランスを取るために介助者が必要になりますが、産み綱につかまるスタイルの場合は、助産師一人がいればよく、立ち会い出産を希望しない人に適しています。

水中出産

専用のプールや浴槽を利用して出産する水中出産も、フリースタイル分娩の1つです。水の中に腰を沈めると、浮力で陣痛の痛みや腰の痛みが軽減されるというメリットがあります。

ただし、衛生面での問題や温度管理の必要性から、水中出産を実施できる施設は日本にはあまり多くはありません。

水中出産のメリットとデメリット・費用や注意点とは?
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フリースタイル分娩のメリット

分娩台という決まったスペースの中で行う通常分娩とは異なり、産婦さんが好きな場所で好きな体勢で出産できるフリースタイル分娩には、次のメリットがあります。

母体への負担が少ない

フリースタイル分娩では、出産の進行中に体勢を変えても構いません。陣痛には波がありますが、「今はこの体勢が楽」「いきむときは、この体勢が力が入りやすい」など、自分が出産しやすい体勢を上手く見つけられればお産もスムーズに進み、ストレスも軽減されます。

また、緊急時を除いて、陣痛促進剤などの薬物投与も行いませんので、なるべく医薬品に頼りたくないと考える産婦さんにとっては、心理的なメリットも大きいでしょう。

いきみやすい

いきむ妊婦

分娩台の上で仰向けの姿勢を取ると、宙ぶらりんな感覚になり、いきみにくいと感じる産婦さんも少なくありません。手すりや介助者、助産師さんの手を握っていきむ産婦さんもいますが、やはり仰向けですので、力が入りにくいことには変わりありません。

一方、フリースタイル分娩では、産婦さん自身がもっともいきみやすい姿勢を選択しますので、お腹に力が入りやすく、短時間で出産できることもあります。

また、同じ姿勢をずっと取っていると身体がだるくなり、体力・気力を消耗しますが、フリースタイル分娩では自由に動き回って体勢を変更できますので、身体がだるくなりにくいというメリットもあります。

会陰切開のリスクが減る

会陰とは、膣と肛門の間の部分を指し、産道の1番最後の出口にあたります。初産のときは会陰が伸びにくく、赤ちゃんの頭がそのまま外に出ようとすると会陰が裂ける「会陰裂傷」が起こる危険があるため、分娩途中に会陰切開を行うことは珍しくありません。
また、吸引分娩や鉗子分娩を行う際には、器具の挿入のために切開するケースもあります。

しかし、フリースタイル分娩では、基本的には器具を使用せずに、自然なタイミングで出産することを優先しますので、会陰切開を実施しないことも多いです。いきみやすいスタイルで出産するので会陰裂傷が起きにくいことも、フリースタイル分娩で会陰切開が少ない理由として挙げられます。

会陰切開の痛みはどのくらい?切開の痛み具合~術後の経過
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出産時間が短縮する

フリースタイル分娩では、産婦さんがもっともいきみやすい体勢を取りますので、分娩台を使った出産よりも出産時間が短くなるケースが多いです。また、しゃがんだり産み綱につかまったりする姿勢を取るなら、自然と子宮口が産婦さんの身体の下になりますので、重力を利用して赤ちゃんが出てきやすくなります。

出産時間が短くなると、産婦さんの体力の消耗も軽減できますので、産後の回復も早くなります。もちろん、出産は産婦さんにとって大変なだけでなく、狭い産道を通る赤ちゃんにとっても大変な行程です。つまり、出産時間が短くなることで、赤ちゃんの体力の消耗も軽減できるのです。

フリースタイル分娩のデメリット

産婦さんと赤ちゃんの体力消耗を軽減できたり、いきみやすくなったりと、フリースタイル分娩には数多くのメリットがあります。しかしながら、次のようなデメリットも存在します。

実施している施設が少ない

フリースタイル分娩を実施している病院や助産院は、そこまで多くありません。
助産院では徐々に増えてきていますが、フリースタイル分娩で出産できる病院は数が限られています。フリースタイル分娩での出産を希望する妊婦さんは、早めに病院や助産院を探して予約しておくようにしましょう。

医師がいない施設が多い

陣痛に苦しむ妊婦

フリースタイル分娩を実施している施設は、基本的には助産院が多いため、医師がおらず、緊急時の医療措置ができないというデメリットがあります。妊娠が順調に進んできた人でも、出産時に思わぬトラブルが発生する可能性は無視できません。

助産院で出産することを選んだ産婦さんは、もしもの場合はどの病院と連携を取るのか、どのような症状が見られたら病院に行くのか、病院へ搬送する手段は何なのかについて出産前に必ず尋ねておきましょう。

助産院での出産はメリットとリスクの両方を理解して!
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出血量が多くなるリスクがある

フリースタイル分娩では、いきみやすい体勢を取るため、しゃがんだ姿勢などで腹部や会陰部に力がかかり過ぎると、出血量が増えてしまうケースがあります。

フリースタイル分娩を実施できる条件

フリースタイル分娩を実施するためには、どのような条件があるのでしょうか。

覚えておきたいのは、分娩台の上で仰向けになる体勢は産婦にとってはやや違和感を覚えますが、医師や助産師が出産の進行を確認し、医療措置を行うには最も適した体勢であるという点です。

フリースタイル分娩が向いている人

出産予定の産婦人科や助産院で「フリースタイル分娩可」とされているなら、基本的に妊娠経過に問題のない妊産婦さんなら誰でもフリースタイル分娩が可能です。

  • 妊婦健診時の内診台に恐怖感のある人
  • 仰向けでは上手くいきめないと感じる人
  • 医療器具が目に入ると緊張してしまう人

このような方は、フリースタイル分娩が適していると言えるでしょう。

もちろん、初産でも2回目以降の出産でも問題ありません。最初の出産は通常のスタイルだったから、2回目は違うスタイルで産んでみたいと考える妊産婦さんもいるでしょう。

医学的措置が必要になる場合は許可されない

医師から血圧測定される妊婦

出産時に医学的措置が必要になる可能性が高い場合は、分娩台での出産以外は許可されないケースが多いです。

例えば、妊娠中に母体や赤ちゃんに何らかの問題が発生した場合や多胎妊娠妊娠高血圧症候群などの場合は、出産時にどのような措置が必要になるか分かりません。

そのため、例えフリースタイル分娩ができる病院で出産する場合でも、すぐに医学的処置が実施できる仰向け型(分娩台型)での出産以外認められないケースもあります。

産婦さんの体力に心配がある場合もオススメされない

フリースタイル分娩は、基本的には医学的措置を受けずに最後まで産婦さんの自力で出産を完遂する方法です。

しかしながら、体力的に不安がある産婦さんの場合は、途中で吸引分娩などの措置を行う必要があります。医学的措置を行うときは、やはり分娩台の上に乗って、医師が処置しやすい体勢を取らなくてはなりません。

そのため、最初から体力的に不安がある場合は、フリースタイル分娩ではなく通常の分娩台スタイルを選択するように勧められることもあります。

自分らしい出産を追求したい人のフリースタイル分娩

フリースタイル分娩は、その名の通り、自由な姿勢で出産できる方法です。
自分らしい出産を追求したい人や立ち会い分娩を希望するけれども脚を広げた状態は見られたくない人、仰向けの姿勢や分娩台の上に乗ることに不安を感じる人など、多くの産婦さんが自分の意志で出産スタイルを選ぶことができます。

少しずつフリースタイル分娩が実施できる助産院や病院も増えてきています。経産婦さんも改めて地域の産院の情報を収集し、希望する場合は早めに予約を取りましょう!

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