破水の原因と時期別の対処法

破水の原因とは?分娩準備が整う前に破水が起こる理由

破水が起こる原因とは?陣痛が起こる前の前期破水、子宮口が全開になる前の早期破水など、適時破水と違い分娩準備が整う前に起こってしまう破水の原因、破水しやすい妊産婦の特徴、関係する病気を紹介。もし妊娠37週正産期以前に破水した場合のどうなるのか、時期別の出産の流れも解説します。

破水の原因とは?分娩準備が整う前に破水が起こる理由

破水したのはなぜ?破水の種類別原因まとめ

赤ちゃんと羊水を包む卵膜が破れ、羊水が外に出てくることを「破水」と言います。
一般的に破水は陣痛が起こり、子宮口が全開になった分娩直前のタイミングで起こります。

しかし、家でいつも通り生活していたらいきなり下着が濡れる感覚を覚えて破水に気が付いたり、まだ分娩台に上がる前の陣痛中に破水するケースもあります。

どのようなときに破水が起こるのか、破水の種類別に原因を見ていきましょう。

前期破水

前期破水を疑う妊婦

陣痛が始まる前に破水が起こることを「前期破水」と言います。破水するタイミングは妊婦さんによって異なりますが、臨月や正産期の早い時期に前期破水が起こることもあります。

おしるしも陣痛も来ていないのに、いきなり破水が起こると妊婦さんは驚きますが、前期破水は全妊娠中の5~10%に起こりますので、珍しい症状ではありません(注1)。慌てずに病院を受診するようにして下さい。

前期破水はどんな妊婦さんにも見られる症状ではありますが、以下の傾向や病気がある人に起こりやすいと言われています。

初産婦

2010年8月~2012年10月に出産した610名を対象とした調査で、前期破水した妊婦は初産婦であることが有意に高かったという結果が出ています(注2)。

理由としては、初産婦は経産婦よりも子宮頸管が成熟していないために、子宮口が開くときに内子宮口から開く(経産婦の場合は外子宮口から開くことが多い)ことが多く、内子宮口が開くときに卵膜が脆弱化して破水してしまうということが考えられています。

胎児解剖図

多胎児や逆子

赤ちゃんが二人以上お腹の中にいると、その分、卵膜も引き延ばされて薄くなってしまいます。そのため、陣痛よりも早いタイミングで破水してしまうことがあります。

また、逆子などの赤ちゃんの体位によっては、卵膜の一部に強い圧力がかかってしまい、前期破水を引き起こす可能性が高くなります。

子宮頚管が弱い

子宮頚管とは、子宮の下に位置する子宮腔(内子宮口)と膣を繋ぐ部分であり、出産時の産道の一部です。子宮頸管が弱いと、子宮口が全開していない時点で卵膜が破れてしまい、前期破水を起こしてしまいます。

『子宮頸管無力症』といい、陣痛が来る前に子宮口が開いてしまう疾病があります。エコー検査によって、子宮頸管自体が短いことや内子宮口が開いていることが確認されると、子宮頸管無力症と診断されます。

羊水過多症

羊水の量が800ml以上あるときは羊水過多と考え、妊産婦が呼吸困難や吐き気などの自覚症状を訴えるときは「羊水過多症」と判断されます。羊水過多症となると卵膜が引き延ばされて脆弱化し、陣痛が起こる前の早い時期に破水してしまうリスクが高くなります。

絨網膜羊膜炎

細菌によって膣内に炎症が起こり、その炎症が子宮頸管、羊膜や絨網膜にも感染が広がることを「絨網膜羊膜炎」と言います。絨網膜羊膜炎に感染すると、子宮頸管のそばにある卵膜にも損傷が起こり、前期破水となる可能性があります(注3)。

早期破水

早期破水した妊婦

陣痛は始まってはいるものの子宮口が全開していない状態で破水が起こることを「早期破水」と呼びます。

早期破水が起こる原因として「ストレス」が挙げられることもありますが、どの程度のストレスが早期破水に影響を及ぼすのかについてはまだ解明されていません。

現時点で早期破水の原因として分かっていることとしては、次の6つを挙げることができます。

喫煙

喫煙は、妊娠にさまざまな影響を与えます。早期破水の原因になるだけでなく、前置胎盤や胎盤異常、低出生体重などの原因にもなります(注4)。

羊膜がもろい

羊膜がもろいと、通常よりも早く羊膜が破れて破水してしまいます。元々の体質にもよりますが、高齢出産の場合は羊膜がもろくなることが多いです。

羊水過多症

羊水の量が多すぎると、羊膜が羊水を抱えきれずに早期破水が起こることもあります。羊水過多症の原因としては、母体側の妊娠糖尿病や胎児側の十二指腸・小腸上部閉鎖症などが挙げられます。

子宮頸管が弱い

子宮頸管が脆弱化している場合は、前期破水だけでなく早期破水のリスクも高まります。

子宮頸部や子宮口が硬い

子宮頸部や子宮口が硬いと、子宮が全開するまでに時間が長くかかりますので、先に破水が起こってしまうこともあります。

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多胎児や逆子

双子などの多胎児は、単胎児の場合よりも、胎児と羊水の総重量が重くなることが多いです。そのため、卵膜に強い力がかかり、子宮口が全開するまでに破水が起こることがあります。

また、逆子で赤ちゃんが手足を突き出した格好をしているときなども、卵膜の一部に強い力がかかるため、子宮口全開前に破水が起こりやすくなります。

高位破水

高位破水

通常の破水は卵膜の下側が破れますが、卵膜の上部が破れる破水を「高位破水」と言います。

高位破水の場合は、破水した個所や大きさによっては羊水があまり出ないこともあり、破水したこと自体に気付かないケースや破水に気づくまでに時間がかかってしまうケースも少なくありません。

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高位破水の原因としては次の事柄が挙げられます。

腹部に力を強く入れた

重い荷物を持ったり子どもを抱っこしたりするときに、腹部に強い力をかけてしまうと、高位破水が起こることもあります。特にお腹が大きくなって卵膜が薄くなっている妊娠後期、羊水過多症などと診断されている方は、腹部に力を入れないように注意して下さい。

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喫煙

喫煙の習慣があると、高位破水が起こりやすくなります。また、タバコの中に含まれるニコチンは血管を収縮させる作用もありますので、胎児に充分な栄養や酸素が送られない可能性もあります。

赤ちゃんを健康に育てるためにも、自分自身の健康を守るためにも、喫煙の習慣は改めるようにしてください。もちろん、受動喫煙によっても高位破水のリスクは高まります。妊娠している人は、喫煙している人のそばには行かないようにしましょう。

高齢出産

母体の年齢が高まると、卵膜が脆弱化して早期破水や高位破水が起こる可能性も高まります。高齢出産の人は、定期的に妊婦健診を受診するだけでなく、少しでも異変に気づいたらすぐに病院を受診するようにして下さい。

正常な破水(適時破水)

陣痛が来て、子宮口がしっかりと開いてから破水が起こることを「適時破水」と言います。
これは正常な破水ですので、何の問題もありません。

正産期以前の破水を予防する方法

陣痛から子宮口の全開、そして適時破水と進むのが理想的ですが、前期破水や早期破水であっても、すぐに病院に到着できるなら特に大きな問題なく出産できるケースが大半です。

ただし、正産期(妊娠37週0日~妊娠41週6日)以前の破水は、できれば予防したいものです。
予防のためにできることを2つ紹介します。

喫煙は止めよう

喫煙する女性

破水の原因としても紹介しましたが、喫煙の習慣は百害あって一利なしです。普段の生活でも喫煙者の健康を蝕んでいきますが、お腹の中に赤ちゃんがいるときは、自分だけでなく赤ちゃんの健康にも影響を与えます。

早期破水や高位破水が起こると、破水した部分から雑菌が入る可能性もあり、さらに赤ちゃんを危険な状態に追いやってしまうことがあります。

赤ちゃんを望む気持ちになったとき、そして妊娠していることが分かったときには、喫煙習慣を止めるようにして下さい。

妊婦健診にこまめに行こう

厚生労働省では、妊娠初期から妊娠23週は4週間に1回、妊娠24週から妊娠35週は2週間に1回、妊娠36週以降は1週間に1回、かかりつけの産婦人科や助産院で妊婦健診を受診するように勧めています。

妊婦健診は自由診療になりますので自治体の補助券がないときは5,000円~15,000円ほどの実費が必要となりますが、赤ちゃんの健康と妊産婦さん自身の健康を守るためには必要な健診です。厚生労働省が勧める通りに受診するようにしてください。

特に高齢出産の人や妊娠経過に問題がある人、持病がある人、多胎児を妊娠している人は、こまめな受診を心がけるようにしましょう。

破水したときの時期別の対処法

破水が起こったときは、どのように対処することができるのでしょうか。妊娠週数別の対処法を紹介します。

37週以降はそのまま出産

新生児を抱く母親

妊娠37週以降の正産期に破水した場合は、そのまま出産へと進みます。すぐにかかりつけの産婦人科や助産院に電話をし、入院するための準備をして産院に向かいます。破水してから荷物をまとめるのは大変ですので、遅くとも妊娠36週にはまとめておくようにしましょう。

破水したら陣痛はいつ来る?破水からはじまる出産の流れ
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ただし、破水したからと言ってすぐに出産が始まるわけではありません。出血を伴う場合や激痛があるとき、赤ちゃんの頭が見えているときなどの場合を除いて、救急車を呼ぶ必要はありません。

破水や出血によって汚してしまうことがありますので、公共の乗り物や通常のタクシーは利用しないでください。自家用車がない、送ってくれる人がいない場合は、事前登録をしておいた陣痛タクシーが役立つはずです。

陣痛タクシー|不安な陣痛時、安心して病院へ行くために
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34~36週では、「出産」or「妊娠の継続」か要観察

臨月(妊娠36週0日~妊娠39週6日)に入る前後に破水した場合は、胎児の状態によってそのまま分娩を促すかどうかを病院で決定します。どちらにしても病院の受診は必須です。

すぐにかかりつけの産婦人科や助産院に電話をかけ、指示を仰ぎましょう。

33週以前では、安静にして「妊娠の継続」となるケースも!

妊娠33週以前で破水をした場合は、破水した場所から細菌が入り込まないように抗菌薬を投与しながら様子を観察し、妊娠継続を視野に入れます。正期産で破水が起こる場合と比べて、入院が長引くことも考えられます。

助産院では処置ができないこともありますので、助産院と提携している病院に行く可能性が高いでしょう。

破水したときに注意したいこと

破水したとしても、陣痛がまだ起こっていない場合はすぐに出産が始まるわけではありませんので、慌てずに行動するようにしてください。しかしながら、次の2つには注意をしましょう。

細菌感染

シャワーはNG

破水した部分から菌が侵入すると、赤ちゃんが感染症に罹患してしまう可能性があります。

破水をしたと感じたら、すぐにかかりつけの産院に電話をかけ、入浴やシャワーなど細菌感染の原因となる行為をせず、下着には清潔なナプキンを装着しましょう。

特に高位破水の場合は、羊水が少量しか出ないこともありますから、破水したことに気付かずに長い時間を過ごしてしまう危険性があります。こまめに下着を観察し、少しでも破水が疑われるなら、すぐに産院に連絡してください。

自分で車を運転しない

妊娠週数にもよりますが、破水してからすぐに陣痛が始まることもあります。
突然痛みがやってくる可能性もありますので、家族が誰もいない場合でも、自分で車を運転して産院に向かうのは控えましょう。

破水したらすぐに病院へ!

破水したとしてもすぐに分娩が始まるわけではありません。しかしながら、破水したまま放置しておくことは、赤ちゃんの健康を脅かす非常に危険な行為です。
落ち着いて、慌てずに、病院に向かうようにして下さい。

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