21トリソミーとは

21トリソミーとは?出生前診断の方法と判明する確率

21トリソミーとは何かを説明しています。生まれてくる赤ちゃんに先天性疾患があるかどうかを調べるには出生前診断が有効です。ダウン症の原因と言われている21トリソミーを正しく知ることで、出生前診断を受けるかどうかの判断材料の一つとすることができます。

21トリソミーとは?出生前診断の方法と判明する確率

21トリソミーとは何?診断が可能になる時期や特徴について

『21トリソミー』という言葉を聞いたことがありますか?先天性の染色体異常の1つで、通常の染色体は2本が1対になっているのですが、21本目の遺伝子だけが3本もある状態を『21トリソミー』と呼んでいます。

21トリソミーと言うと、あまり耳慣れない言葉かもしれません。ですが、『ダウン症』と言う単語や症状、あるいは罹患している人なら知っている人も多いのではないでしょうか。

この『ダウン症』の原因のほとんどが21トリソミーと言われています。21トリソミーは出生前診断でどの程度分かるのか、また、どのように予防することができるのかについて探っていきましょう。

出生前診断でどの程度分かるのか

出生前診断には、超音波検査や羊水検査などのいくつかの方法があります(注1)。それぞれの検査方法と検査を受けられる週数、検査によって21トリソミーが判明する確率を見ていきましょう。

出生前遺伝学的検査

血液検査をする検査職員

出生前診断の中でもごく早期に実施できる検査が、出生前遺伝学的検査です。血液中に浮遊しているDNA断片を調べることで、胎児に染色体異常が起こっていないか、何らかの染色体変化が起こっていないかをチェックします。

正式には無侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT)と呼ばれ、採血によって検査を行うことができますので、母体への負担が少ない方法としても知られています。検査結果が分かるまでに2週間ほどかかり、染色体異常が疑わしいときは再検査を実施します。

無侵襲的出生前遺伝学的検査は検査できる期間が長めで、妊娠10週~16週の間は受付可能としている医療機関も少なくありません。ただし、検査結果が分かるまでに2週間かかることと、その後に再検査を実施することも考え合わせると、ハイリスク妊婦などの出生前診断を検討している人は、なるべく早めに受ける方が良いと言えるでしょう。

無侵襲的出生前遺伝学的検査では、21トリソミーの検出率は約99%、また、18トリソミーの検出率も約99%と非常に高い確率で診断することができます。ただし、21トリソミーの染色体異常がないにもかかわらず「異常がある可能性あり」と診断してしまう偽陽性率は0.1%、18トリソミーの偽陽性率は0.4%ですので、無侵襲的出生前遺伝学的検査で陽性が出たからといって、100%ダウン症だとは断定することはできません。

検査は保険適用外となり、実費で15~20万円ほどかかります。母体に負担が少ない方法かつ高精度で染色体異常が判明する方法ですので、希望者が多く、すぐには検査が実施できないこともあります。検査を受けたいと考える人は、早めに医療機関に問い合わせ、予約や事前検査などを実施するようにしましょう。

超音波検査

超音波検査を受ける女性

先天性異常を、超音波を使って調べる方法です。初期胎児ドックとも呼ぶことがあります。ダウン症の特徴でもある首の後ろのむくみなどもチェックします。検査を受ける日に胎内での胎児の向きが検査に適していないときは、後日に改めて検査を実施することもあります。

医療機関によって実施可能な妊娠週数は異なりますが、12~13週と他の出生前診断と比べて早期から受けられることも特徴です。21トリソミーの検出確率は約65~70%、偽陽性率は約5%です。検査は保険適用外で、実費で2万円ほどかかります。

コンバインド検査

母体血清マーカーと、赤ちゃんの首の後ろ側を診るNT測定を組み合わせた検査がコンバインド検査です。妊娠初期コンバインド検査や妊娠初期スクリーニング検査、ファーストスクリーン検査とも呼ばれることがあります。結果によっては再検査が必要になることもありますが、欧米では一般的に利用されている検査ですので、日本でも実施している医療機関が多くあります。

コンバインド検査も実施可能な週数は病院によって若干異なり、また、妊婦の体調によっても変化します。一般的には12~13週の妊娠初期に行われることが多いです。21トリソミーの検出確率は約83%と高く、21トリソミーと同じ染色体異常である18トリソミーの検出確率も約80%と高いです。ただし、21トリソミーの場合は偽陽性率が5%、18トリソミーの場合は0.2%の偽陽性率があります。保険適用外検査となり、実費で3万円ほどかかります。

クアトロテスト

末梢血の採血による出生前診断です。血液中の4つのホルモン値を調べますので、『クアトロ(4つ)』と呼ばれています。こちらも検査結果が分かるまでに2週間ほどかかりますので、再検査を考慮して、早めに検査を行う方が良いと言えるでしょう。

医療機関によっても若干基準は異なりますが、一般的には妊娠15週~17週に実施されることが多いです。21トリソミーの検出率は約80%で偽陽性率は約9%、18トリソミーの検出率は約77%で偽陽性率は約0.4%です。保険適用外検査ですので、2万円ほどの実費が請求されます。

羊水検査

羊水検査を受ける妊婦

羊水を採取して検査を実施しますので、母体にも負担がかかる検査です。そのため、流産などの望ましくない反応が起こってしまう確率が0.3%ほどあります。ですが、ほぼ正確に診断できますので、クアトロテストやコンバインド検査、超音波検査などの検査を行って陽性と判断されたときに、診断を確定するための検査として実施することも多いです。

一般的には妊娠16週~18週に行います。他の出生前診断の結果確定のために羊水検査を受けるのなら、他の出生前診断をなるべく早く受けておくことが勧められるでしょう。例えば、クアトロテストを妊娠17週に受けるならば、結果が分かるときには妊娠週数は19週になっています。その時点で羊水検査を受け付けてくれる医療機関はほとんどありませんので、時間的に余裕を持って受けることが必要になるのです。羊水検査も保険適用外のため10万円ほどの実費が請求されます。

予防することは可能なのか

染色体異常が起こると、妊娠初期に自然流産することも多いですが、すべての染色体異常を把握することはできません。また、染色体異常以外にも、妊娠中の能動喫煙や受動喫煙、アルコールの摂取、妊娠高血圧症候群等、胎児の健康を損なう要因はたくさんあります。ですから、健康な赤ちゃんを希望するなら、染色体異常以外の疾患リスクも低くするようにしなくてはいけません。

染色体異常と精子・卵子の老化

厚生労働省による「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」の参考資料によりますと、何らかの染色体異常の子どもが生まれる確率は、母体の年齢が高まるほど高くなりますので、加齢によって卵子が衰えてしまうことと染色体異常の発生は関連があると言われています(注2)。

また、男性の年齢が上昇すると、胎児の先天性異常発生率も高まることが分かっていますので、加齢によって精子が衰えていることも染色体異常の発生と無関係とは言えません。もちろん、男性の年齢も女性の年齢も染色体異常の発生率を高めるリスクファクターではありますが、それだけが染色体異常の原因というわけではありません。

数えきれない偶然によって染色体異常が起こりますので、20代~30代の間に子どもを産む以外の特別な予防策はないと言えるでしょう(注3)。

21トリソミー以外の染色体異常

21トリソミー以外の異常な染色体のイラスト

ここでは、21トリソミー以外の染色体異常について見ていきましょう。

13トリソミー

13番目の染色体が3本ある『13トリソミー』。パトー症候群と呼ばれることもあります。発生は5,000人~10,000人に1人と言われ、21トリソミー(約800分の1)よりは確率がかなり低い症例と言えます。

生まれることができなかったり早産といった形になってしまうことも多いのですが、生まれてからすぐに生命の危機を迎えることも多く、多くは1年を超えて生きることができません。また、口唇口蓋裂や小頭症などの所見があることもあります(注4)。

13トリソミーの症状は?胎児の特徴・発症率や生存率
13トリソミーの症状は?胎児の特徴・発症率や生存率

18トリソミー

18番目の染色体が3本ある『18トリソミー』。エドワーズ症候群と呼ばれることもあります。発生は3,500人~8,500人に1人と言われています。18トリソミーも生まれることができなかったり早産といった形になってしまうことが多く、1歳を超えて生きられる確率はとても低いとされています(注5)。

18トリソミーの症状や特徴は?生まれた子の生存率
18トリソミーの症状や特徴は?生まれた子の生存率

クラインフェルター症候群

性染色体のXが2本以上あるXY型の遺伝子を持つ人を、クラインフェルター症候群と言います。XY型の遺伝子を持ちますので、すべて男性として生まれます。頻度は500分の1と高いのですが、特に実生活に支障をきたさないことも多いですので、診断されずに気付かないまま生涯を送る人も少なくありません。

ターナー症候群

性染色体がX1本しかない人を、ターナー症候群と言います。お母さんの胎内で自然に流れてしまう確率がとても高いため、出生する確率は非常に少なくなります。低身長であることや月経不順になりやすいなどの特徴もありますが、クラインフェルター症候群と同じく実生活に支障をきたすことが少ないため、結婚後に不妊検査などによって気付くこともあります。

染色体異常の種類|ダウン症やその他の染色体異常と特徴
染色体異常の種類|ダウン症やその他の染色体異常と特徴

21トリソミーによって引き起こされるダウン症の症状

21トリソミーによって引き起こされることが多いダウン症。ダウン症の症状や特徴について見ていきましょう。

身体的特徴

ダウン症の赤ちゃんは、乳幼児のときからダウン症に特徴的な外貌であることが多いです。一般的によく見られる特徴として次のようなものがあります。

幼児の顔

顔や頭部に見られる特徴

  • 両目が離れていることが多い。
  • 目尻が上がり気味のことが多い。
  • 鼻が低い。
  • 顔全体の印象が平べったい。
  • 耳が小さめのことが多い。
  • 後頭部が平らなことが多い。
  • 生まれたときからくっきりとした二重瞼のことが多い。

身体に見られる特徴

  • 手の指が短く、指の関節が1つ少ないこともある。
  • 低身長であることが多い。
  • 新生児期から、他の赤ちゃんよりも関節が柔らかく、抱っこするとふにゃふにゃする印象を持つことがある。

機能的特徴

特徴は外貌だけでなく、身体機能的な特徴を持つことがあります。同じダウン症の赤ちゃんや子どもであっても個人差が大きく、機能的症状をほとんど発症しないケースもありますが、複数以上発症していることも少なくありません。

眼科領域の障害

特に多く見られるのが近視や乱視、遠視といった形で表れる屈折異常です。その他にも、白内障や斜視の症状が表れることもあります。

耳鼻科領域の障害

外耳道閉鎖や中耳炎により難聴になることも少なくありません。聞こえが良くないため、言語能力に遅れが生じたり慢性的な鼻炎を持つ場合もあります。

消化器領域の障害

食道閉鎖や十二指腸閉鎖など、外科的手術を必要とする疾病を抱えて生まれてくることもあります。このような場合は、生後すぐのタイミングで手術を実施します。

心臓の障害

心臓にハンディキャップを抱えるダウン症の人は少なくありません。運動の前に医師の許可が必要になることもあります。また、筋力が低いケースも多いので、自然と運動不足になり、肥満になったり運動能力の発達に遅れが見られたりします。

気質的特徴

性格などに一定の傾向が見られることもあります。

母親の口にサンドイッチを運んであげる子供

こだわりが強い

個人差は大きくありますが、こだわりが強く、頑固な傾向もあります。いくつか理由が考えられますが、身体的に問題を抱えているケースが多いので、自分がしたいこととできることのギャップが大きいためとも考えられます。

思いやりに優れている

相手の気持ちを思いやり、自分のことのように喜んだり悲しんだりできる人が多いです。感受性が高い傾向にありますので、芸術面に優れている人も少なくありません。

想像力に優れている

空想することや想像することが得意な傾向にあります。言葉で伝えるよりも絵を描いたり作品を作ったりして表現することを好む人も多く、豊かな空想力や想像力と相まって、芸術面で発揮されることがあります。

ダウン症の特徴は?赤ちゃんの顔や手・症状の特徴
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出生前診断を受けるかどうかは夫婦でよく話し合う

赤ちゃんが100人いれば、3~5人は何らかの先天性疾患を持っていると言われています。そのうち、染色体異常による疾患はわずか4分の1に過ぎません。出生前診断が万能ではないこと、出生前診断で異常が見つからなかったからといって赤ちゃんに何の問題もないとは言えないこと等を考慮し、出生前診断を受けるべきかどうかを判断するようにしてください。

また、出生前診断で染色体異常が指摘されたとしても、偽陽性である確率もあります。夫婦はもちろん医師などの専門家の意見も取り入れ、納得できる結果を選択するようにしてください。

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