Loading

肥厚性幽門狭窄症の症状・治療法

肥厚性幽門狭窄症|噴水状の嘔吐は栄養不足のはじまり!?

肥厚性幽門狭窄症とは、赤ちゃんの胃の出口である幽門が分厚くなることで、母乳やミルクを腸まで運べなくなる病気です。栄養や水分が十分にとれず、赤ちゃんは胃の中で行き場を失くしたミルクを噴水状に嘔吐します。赤ちゃんの成長を妨げる肥厚性幽門狭窄症の症状、発症の確率、治療法を解説します。

肥厚性幽門狭窄症|噴水状の嘔吐は栄養不足のはじまり!?

赤ちゃんがミルクを噴水のように吐いたら要注意!

赤ちゃんはちょっとした動きや咳、ゲップをすると飲んだミルクを吐き出してしまいます。いつ乳と呼ばれる現象で1歳過ぎまで続きますが、これはなんの心配もいらないということを多くのママたちは知っていますよね。

しかし、赤ちゃんがミルクを何度も吐く場合、疑うべき病気もあります。
肥厚性幽門狭窄症(ひこうせいゆうもんきょうさくしょう)、別名:幽門狭窄症(ゆうもんきょうさくしょう)はその一つです。肥厚性幽門狭窄症の赤ちゃんは、胃の出口が狭く、胃内に大量のミルクが貯まり、勢いよく噴水のように吐いてしまいます。

肥厚性幽門狭窄症とはどのような病気なのでしょうか?赤ちゃんの嘔吐が心配なママたちに向けて、解説します!

赤ちゃんが嘔吐する原因は?ママが慌てないための対処法
赤ちゃんが嘔吐する原因は?ママが慌てないための対処法
赤ちゃんが嘔吐してしまうと、焦ってしまうお母さんも居るかと思います。しかし原因や対処法の知識があれば、冷静に対応が出来ますね。そこで、赤ちゃんが吐いてしまう原因とその対処法などを紹介いたします。

肥厚性幽門狭窄症とは?ミルクを飲んでも栄養がとれない!?

肥厚性幽門狭窄症の症状や発症の可能性、病気の原因を見ていきましょう。

肥厚性幽門狭窄症の主な症状・問題は栄養と水分がとれないこと!

肥厚性幽門狭窄症でグッタリする赤ちゃん

肥厚性幽門狭窄症とは、赤ちゃんの胃の出口にある幽門(胃の出口で腸とつながる部分)の筋肉が分厚くなり、胃の出口が狭くなってしまう病気です。幽門狭窄症の赤ちゃんは母乳やミルクが十二指腸(胃と小腸をつなぐ消化管)に運ばれず、胃にたまってしまい、噴水状の嘔吐を繰り返します。
また、腸にミルクが運ばれず栄養を摂れないので、何度ミルクを飲んでも、お腹がすいてミルクをいつも欲しがるのが特徴です。

あまりにも吐いてしまうと赤ちゃんが栄養を摂れないので体重が減ってしまったり、栄養や水分をほとんど摂れないので排尿や排便回数が減ります。

進行すると水分が取れないため脱水症状となってしまい、電解質異常(体内の水分とともに消化液を失うと塩分など体に必要な体液が失われる)がすすみます。
また、コーヒー残渣様嘔吐(ざんさようおうと)と呼ばれるコーヒーかすを含んだようなものを吐いたり、黄疸などの症状が見られるなどの症状もあります。

赤ちゃんは治療開始が遅れると体重が増えず、出生時体重をも下まわってしまうことがあるので注意してください。

発症するのは生後3ヶ月までの男児が多い!

生後2~3週から3ヶ月位までの赤ちゃん1,000人出生のうち1~2人に発生し、生まれてすぐや生後半年の赤ちゃんにはみられません。また、一番初めの男の子に多いのも特徴です。もちろん女の子や2番目以降の子どもや双子にもみられることはあります。
 
家族内に発生することも3%‐18%の頻度でみられ、生まれつきではないので感染者の兄弟や子、孫に遺伝的な要素があって発生につながっているのではないかとされています。また、母乳よりミルクの方が生じ易いなど環境の影響があるとのデータも出ています。

3ヶ月の赤ちゃんの発達・湿疹など気になる症状や遊び方
3ヶ月の赤ちゃんの発達・湿疹など気になる症状や遊び方
3ヶ月の赤ちゃん、関わり方はこれで大丈夫?体重が増えない、湿疹が気になる、生活リズムが整わない、どんなおもちゃや遊びがいいかわからない…そんなお悩みにひとつずつ丁寧に答えていきます。

肥厚性幽門狭窄症の原因は不明

胃の出口の筋肉(幽門筋)が厚くなってしまうのですが、そもそもどうして分厚くなってしまうのかは正確にはわかってはいません。どうしてこの時期の赤ちゃんだけこのような病気になってしまうのかは不明です。

肥厚性幽門狭窄症の治療法

病気を治すために赤ちゃんを病院に連れていくママ

原因不明の肥厚性幽門狭窄症ですが、治療法はあるのでしょうか?診断方法や内的治療と外的治療(手術)の特徴やメリット・デメリットを整理してみました。

診断基準は幽門筋の厚さ

肥厚性幽門狭窄症は胃の出口(幽門)の外側にある筋肉が分厚くなって起こります。そのため、まずは筋肉がどの程度、厚くなっているのか検査で調べます。診断は比較的容易です。

触診

右上腹部からへその右側に触診します。お腹を触るとオリーブの実のような形と大きさをしたしこり(ぶあつくなった幽門筋)がわかります。

超音波検査(エコー)

超音波検査は空気があると何も写らなくなるため腸管の診断には適していないのですが、肥厚性幽門狭窄症は腸管の外側にある筋肉の厚さを測定するので診断が可能です。超音波検査は放射線被爆がなく手軽に行なえる検査方法です。

胃の造影検査

バリウムなどの造影剤を口から飲んで胃のレントゲンを撮影する検査なのですが、赤ちゃんは口から造影剤を飲むことが難しく負担がかるので通常はあまり行なわれません。

治療は内科的治療と外科的治療のどちらかを選択

ミルクを飲んでも吐いてしまう赤ちゃん

治療法は保存的療法(内科的治療法)と、外科的治療(手術)があります。
手術するか、内科的治療方法にするかは医師と相談して選択することになります。内科的治療を選択しても治療が上手くいかない場合は手術を行います。
一般的にはまだ小さいので全身麻酔が心配だったり手術がかわいそうだと考えたり手術跡を残したくなければ内科的治療法を選択し、早く改善しすぐにミルクが飲めるようになって欲しければ手術を選択するパパとママが多いです。
肥厚性幽門狭窄症は、一度治ると再び狭くなることはほとんどないので早期に発見して早期に治療を始めていきます。

内的治療のメリット・デメリット

赤ちゃんの体調を聴診器で診察するママ

内科的治療は、硫酸アトロピンと呼ばれる筋肉の緊張を和らげる作用のある薬を内服または点滴します。効果が出るまでにかかる日数は平均3~5日位です。
1~2週間治療して、嘔吐の回数が減らず、これ以上の効果が期待できないと判定した場合には手術療法をすすめられることになるでしょう。

内科治療のメリット

・全身麻酔を避けられる
赤ちゃんの全身麻酔をすることに不安のある場合に選択するパパとママが多いです。
・手術跡ができない
手術によってほとんど目立たないけれども跡が残ってしまうので手術跡を避ける場合は内科的治療となります。
・手術による合併症がない
最近の手術はかなり進化しているので成功率はかなり高いのですが多少の合併症などのリスクがあります。内的治療のメリットは、「手術をしなくて済む」と言い換えても良いでしょう。

内科治療のデメリット

・治療の効果の判断に時間がかかる
・長期間の入院
赤ちゃんなので24時間完全看護というわけにはいかず、毎日お世話が必要になります。他に兄弟がいる場合は育児の負担をどうするかなどの問題が出てきます。
・すぐにミルクを飲めない
ミルクをすぐに飲めないために治療期間も長く、栄養不良の状態が長く続く可能性があります。
・手術療法に移行することもある
効果がなければその時点で外科的手術になります。

手術のメリット・デメリット

今にも吐きそうで切ない表情の赤ちゃん

現在ではラムステット手術と呼ばれる幽門筋を切開し拡げる方法が世界中で行われています。安全性の高い手術なので後遺症の心配もなく、経過にもよりますが1週間以内に退院することが可能です。

手術のメリット

・早期回復
手術をした翌日からミルクを飲むことが出来るようになり早期に栄養を与えることが可能です。
経過が良ければ手術の翌日にお風呂にも入れ、1週間以内に退院可能です。

手術のデメリット

・全身麻酔
最近の全身麻酔はかなり安全になってきていますが多少のリスクはあります。またパパやママが赤ちゃんに全身麻酔を行なうことに対しての不安もあります。
・手術跡
ほとんど目立ちませんが小さく跡が残ることや赤ちゃんの体にメスを入れることに抵抗があるパパやママもいます。

早期発見・早期治療で赤ちゃんはすくすく育つ!

赤ちゃんは言葉が話せないのでパパやママが症状を見て判断しなくてはいけません。赤ちゃんがミルクを吐いてしまうのはごく普通のことですが、毎日のように吐く、噴水のように吐く、吐いてもすぐミルクを飲みたがる場合は「肥厚性幽門狭窄症」を疑ってください。

肥厚性幽門狭窄症はめずらしい病気ではありますが、治療は決して難しくありません。もし幽門狭窄症と診断されても、悲観することはなにもありませんので、安心してください。
しっかり治療をして、赤ちゃんにおいしいミルクを飲ませて、すくすく大きくなってもらいましょう!