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乳糖不耐症の治療と受診目安

乳糖不耐症の治療方法と自宅で確認する病院の受診目安

乳糖不耐症の治療はどのようにするのでしょうか。病院で行う治療の期間や乳児の状態から判断した治療方法を解説します。乳糖不耐症になった場合赤ちゃんは下痢や嘔吐を起こします。それ以外にも乳糖不耐症はどのような症状があるのか詳しい状況から病院で受診する目安を紹介します。

乳糖不耐症の治療方法と自宅で確認する病院の受診目安

乳糖不耐症の治療と治るまでの期間・早期回復の為に知っておきたいこと

赤ちゃんがミルクを飲んでいると、急に吐き戻してしまったり、下痢をすることがあります。
1回2回やすぐに改善が見られれば、大きな心配は必要ないですが、これが複数回かつ連日続くとなると「乳糖不耐症」という症状の可能性が出てきます。
乳糖不耐症には大まかに次の3つがあります。

  • 生まれつきの症状である「先天性乳糖不耐症」
  • 月齢や年齢を重ねる事で発生する「遅発性乳糖不耐症(後発性乳糖不耐症)」
  • 風邪や胃腸炎など、ウィルスが原因で起こる「二次性乳糖不耐症」

乳糖不耐症の大半は、風邪や胃腸炎の影響で起こる二次性乳糖不耐症とよばれるものです。
症状が見られても慌てて病院を受診する必要はありませんが、ミルクを主たる栄養源とする赤ちゃんの場合は、下痢が長引きやすいため、小児科の受診と治療が必要です。

ラクターゼの不足が乳糖不耐症を引き起こす

乳糖不耐症になると、赤ちゃんがミルクや母乳を飲んだあと、30分~1時間後に下痢等の症状が見られます。
ミルクの後下痢を起こすのは、風邪や胃腸炎で腸が弱ると母乳やミルクに含まれる「乳糖」を消化吸収する乳糖分解酵素を分泌がされなくなるためです。

乳糖不耐料でミルクが飲めない赤ちゃん

人には「乳糖」を分解する成分である「ラクターゼ」という酵素が、身体に備わっています。
この「ラクターゼ」という酵素が不足している状態あるいは生まれつき無い状態で、乳糖を含む成分の食品を摂取することで、下痢や嘔吐などの症状が起こります。
母乳やミルクがメインとなる赤ちゃんの場合には、早めの治療やホームケアで症状の改善が見込めます。

病院での治療と検査・診断の方法

乳糖不耐症の治療は、次のような方法を取ります。

赤ちゃんの治療をした聴診器

治療は、腸の回復をサポート

乳糖不耐症が起こる原因は、乳糖を分解する酵素が少ない状態となり、分解が行えない事で起こります。

その結果、腸以外にも胃や食道など他の部位へも負担をかけてしまう事になるため、治療は負担軽減を主要目的に置き、時間をかけて治療する方法が取られます。
その為、一般的に母乳の場合は乳糖分解酵素薬を服薬しながら授乳を続け、ミルクの場合は無乳糖ミルクに切り替えます

既に離乳食や通常の食事に切り替わっている赤ちゃんの場合には、乳糖を含む食品を排除して食事を行います。

母乳の場合の治療

分解酵素薬を処方してもらう

母乳はミルクより消化吸収が早いことや、ミルクには含まれない免疫システムを含んでいるため、症状が軽い場合には乳糖分解酵素薬を服用しながら、継続的に治療を行っていきます。

ミルクの場合の治療

無乳糖ミルクに切り替える

通常のミルクには乳糖が含まれている為、無乳糖のミルクに切り替えて、症状の改善を図ります。
現在では各社「ラクトレス」「ノンラクト」などの表記で、無乳糖ミルクを販売しています。

どちらの場合も、決して自己判断で使用開始をし、症状改善が見られない場合の継続や中断はせずに、小児科医師の指示の下で使用、継続、中断をし、症状の経過を見ながら通常のミルクに切り替えていく様にしましょう。

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乳糖不耐症用ミルクを赤ちゃんが飲まない時

通常のミルクもメーカーによっては、全く受け付けないという子もいるでしょう。これは無乳糖ミルクにも言える事です。

無乳糖ミルクにはメーカーによって原料の違いがあるため、ミルクの味にも違いがあり赤ちゃんの好き嫌いはよくある事です。

無乳糖ミルク以外の代替食品

  • 大豆レシチン(いわゆる豆乳)
  • 乳糖除去した牛乳ペプチド
  • ライスミルク

と言ったものがありますので、どうしても無乳糖ミルクを飲んでくれないという場合には、医師に相談の上で、赤ちゃんの好みに合わせて選択し、様子を見る必要があります。

乳糖不耐症の場合の代替食品と検査方法

母乳やミルクに含まれる乳糖を分解できずに下痢を起こすのが乳糖不耐症ですが、「乳糖」は赤ちゃんの発育に欠かせない栄養素でもあり、一定期間これを絶つには栄養的な懸念も発生すること、無乳糖ミルクは原料によりアレルギーの心配もあるため、使用は医師のもとで行う必要があります。

離乳が進んでいる場合

既に離乳が進み、離乳食に切り替わっている場合には、乳糖不耐症の症状が落ち着くまでは人工的に乳糖をカットしたもので、乳糖不耐症の症状が軽くなってから低乳糖の食品で、乳糖不耐症であっても乳製品を摂取する事ができます。乳製品以外にも様々な代替食品があります。
次のような食品が該当します。

摂取できる食品・乳製品

・無脂肪などの加工乳(生クリームや無脂肪乳など)
・ヨーグルトなどの発酵乳
・ハードチーズ(チェダーチーズなどの色の黄色い熟成チーズ)
・乳酸菌飲料
・豆乳
・ライスミルク
・カルシウムサプリメント
・少量の牛乳 など

乳糖不耐症の場合、乳製品ではないからと安心はできません
乳製品以外でも気を付けるべき食品はあります。理由は一般の食品の中には、食品添加物として乳糖を入れている場合や製造や調理の過程で多量の牛乳を使用している場合があるからです。

摂取を控えたほうがいい食品・乳製品

・ソフトチーズ(モッツアレラチーズなどの色の白い非熟成チーズ)
・サラダドレッシング
・冷凍ワッフル
・コーシャーでないスライス・ミート
・パスタ用ソースなどの各種ソース
・シリアルコーン
・ベーキング用ミックス
・大抵のインスタント・スープ

特に、二次性乳糖不耐症や遅発性乳糖不耐症の場合には、微量であれば牛乳を摂取する事もあります。これは、乳糖を全く摂取しないことで分解酵素が体内で作られない状態となってしまい、逆に乳糖不耐症の症状が長期化する事を防ぐことを目的としています。
ヨーグルトや発酵乳、チーズも発酵の過程で乳糖がある程度分解され、全くない状態か相当減少しているので、母乳や粉ミルクよりも乳糖が少ない事や先述の乳糖を継続摂取するという理由で摂取が勧められています。

ママも赤ちゃんも大好きなチーズの盛り合わせ

ただし、過剰摂取は乳糖そのものの量が増えてしまう、塩分や乳糖以外の糖分などの影響で、結果的に健康を損なう場合や症状改善に繋がらない場合がありますので、必要以上に取りすぎないようにしましょう。

検査

乳児の場合、必要に応じて便の酸性度を検査し診断をすることが一般的です。代表的な検査方法は次の通りです。

便酸性度検査

便に含まれる乳酸の量を測ります。主に新生児や乳児はこの検査を行います。

呼気中水素検査

乳糖を多めに含む溶液を飲み、その後の息の量から水素の量を算出する検査方法です。お腹にガスが溜まるなどの症状は、この乳糖の分解工程の「発酵」があり、この発酵が不十分な場合に息の中に水素が多く含まれる為行う方法です。

乳糖不耐症検査

乳糖が多く含まれた溶液を飲み、その後の血糖値を血液検査で行う方法です。

便の持ち込みは事前に確認を取ってから

病院などへ検査を理由に便を持ち込む場合には、事前に医師へ確認を行ってから指示に従って持ち込むようにしてください

持ち込む様に指示された場合は、密閉できる袋(オムツ用のゴミ袋など)や容器にオムツを入れて持ち込むようにしましょう。

特に公共交通機関や人込みの多い場所を使用、通行する場合には、他の乗客や周囲の人たちに不快感を与えないよう配慮をしてください。
また、決して自己判断だけで持ち込むことや配慮のない便の持ち運びをしないようにしましょう。

症状からみる病院の受診目安

症状が表れた場合、子持ちの友人やインターネットで確認すると、特に新生児や月齢がまだ少ない乳児の場合にはよくある事として、一旦様子を見てから病院に行くというプロセスを提案されることが多いです。
しかし、実際問題としてどの程度まで様子を見て、どの程度から病院に相談をするべきなのか。
この点が曖昧な方も多いのではないでしょうか?

乳糖不耐症の症状を見せている赤ちゃん

乳糖不耐症が疑われるときの病院受診の目安

母乳やミルクを与えて30分~1時間程度で、次の様な状態となっている場合には病院受診を視野に入れてください。

下痢

・水の様に液体状で、固形の部分がほとんど無い水性の便が出ている。
・鼻につくほどの、酸っぱい臭い。

嘔吐

・飲んだ母乳やミルクを飛び散るくらい勢いよく吐き出している。

口からダラリと出る「溢乳(いつにゅう)」の場合は、げっぷをするタイミングが早すぎる、飲んだ直後に揺らしているなど、外的な要因の場合で起こる事もある為、こういった行動が無いのに吐き出したりしている場合は、一度病院受診をおすすめします。

回復までの期間は1週間~1ヶ月

個人差はありますが、概ね1週間~1ヶ月以上で症状が回復する場合があります。
乳糖不耐症の場合には、腸内の乳糖を減らして分解酵素を生成し、腸を正常な状態に戻すという作業があります。これは、摂取した乳糖の量などによって様々なため、すぐに回復する場合とそうでない場合があります。

無乳糖ミルクなどを与えているのに、それでも下痢の症状が長引く場合は、離乳食の消化が追い付いていない、乳糖が腸内に滞留している、もっと別の症状などが考えられます。
その場合、次の方法が採用されることがあります。

  • 無乳糖ミルクのみに数日の間切り替える(離乳食は全て中断する)
  • 乳糖を一切含まない離乳食のみにする(母乳やミルクは全て中断する)
  • ヨーグルトを微量(ティースプーン2杯程度)与えてから、母乳やミルクを与える
  • 病院受診による血液検査等の再検査

ヨーグルトは、乳糖がほぼ分解されている事や整腸作用のある善玉菌を多く含んでいるので、下痢などの症状緩和に非常に役に立ちます。

ただしこれらは、特に赤ちゃんの場合「発育に必要な栄養の吸収」という最も懸念されるリスクを抱えているので、必ず医師に相談の上で実施しましょう。

乳糖不耐症の症状

乳糖不耐症と疑われる症状は、次の症状で推測します。
これらは、普段から赤ちゃんの体調や様子を気にする際の参考にもなると思いますので、ぜひご活用ください。

下痢の症状

乳糖不耐症の下痢の特徴は、水のような水性便で、ひどく酸っぱい悪臭が出るのが特徴です。
普段よりも、鼻につく酸っぱい臭いの便だった場合には注意が必要です。
特に新生児は水みたいな便なので、見た目の判断は難しいですが、臭いはほどほどに甘酸っぱい臭いなので違いがすぐにわかります。

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腹部膨張・おならの症状

乳糖不耐症の腹部膨張は、お腹に乳酸ガスが溜まるためお腹がぷっくりと膨らむ、ゴロゴロと腹鳴がします。
乳糖不耐症のおならは、通常赤ちゃんのおならは大人のようにくさい臭いはあまりしないので、硫黄のようなきつい悪臭や普段よりも臭いがきつい場合には注意が必要です。

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吐気・嘔吐の症状

乳糖不耐症の場合は食事後、短時間で吐き出します。
嘔吐にはだらだらと出す嘔吐(溢乳)と、噴水の様に勢いのある嘔吐が出るなどがあります。
嘔吐の場合、吐しゃ物が乳白色で吐いた後は機嫌が良ければ、しっかり落ち着いてから病院に相談をしましょう。

ただし、乳糖不耐症の有無に関わらず、色が緑色の場合や血液を含んでいる場合、嘔吐後ぐったりしているなど普段とは明らかに異なる挙動をした場合には、緊急の場合がありますので、すぐに病院受診をしましょう。

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乳糖不耐症と混同されやすい「ガラクトース血症」と「乳アレルギー」

乳糖不耐症とガラクトース血症、乳アレルギーは同じ乳糖が引き金となって引き起こす事や似たような症状があるため、混同されてしまう事があります。
いずれも発生原因や注意すべき食品の対象、改善方法や処置方法が異なりますので違いについて、しっかり把握しておきましょう。

ガラクトース血症

乳糖を「分解した」際に出るガラクトースを代謝に活用する酵素が生成されず、血中に高濃度で滞在する事で発生する先天性炭水化物代謝異常症の遺伝子疾患です。
症状はⅠ型~Ⅲ型があり、

  • Ⅰ型は肝硬変や腎不全などの重度の高い症状を引き起こします
  • Ⅱ型は白内障などの症状を引き起こします
  • Ⅲ型は基本的に赤血球の数値が高くなるのみで、特別な治療は行わない

この症状の場合は、乳糖を含む一切の食品を摂取しない事です。

新生児の場合、生後2週間以内から哺乳力の低下などの兆候が表れます。
また乳児の場合、乳糖不耐症の治療を行っているが、下痢が2ヶ月以上長期化した場合には、こちらの症状を疑いましょう。

乳アレルギー

牛乳などの乳製品に含まれるカゼイン・βラクトグロブリンという乳たんぱく質の成分に対して、体内の抗体が過剰反応する事で起こる免疫機能障害の症状です。
赤ちゃんの場合、大半は自然治癒で回復する事が多いですが、長期化する場合もあります。

乳糖不耐症

乳糖を分解する酵素「ラクターゼ」が減少・不足することによって起こる症状。
乳糖が少ない或いは含まない食品であれば、乳製品の摂取は可能。

乳アレルギーの場合、じんましん、皮膚の腫れ、呼吸困難や意識障害などの重篤な症状はアレルギー特有の症状ですので、母乳やミルクでこの症状が出た場合は高確率でアレルギーと見て良いでしょう。
ただ、症状が軽い場合には乳糖不耐症の様に下痢、嘔吐などの症状もある為、どちらか判別が難しい場合もあります。じんましんの様な症状が複合した場合や、長期化した場合には、アレルギーを疑い検査を行いましょう。

乳糖不耐症の予防方法

乳糖不耐症そのものには、確実に発症させないと言った予防方法は残念ながらありません。
しかし、風邪やウィルス性の胃腸炎などは日ごろのケアで予防は可能となり、結果的に二次性乳糖不耐症の予防にも繋がります。

普段から手洗いうがい、赤ちゃんが口を付けたり、手を付けるモノなどの殺菌・消毒、お部屋の掃除や換気、湿度の確保などで二次性乳糖不耐症のリスクを軽減しましょう。

乳糖不耐症は治療と適切なホームケアで早期回復を

乳糖不耐症は、母乳やミルクなど赤ちゃんの成長のために必要な食事がほとんど活用できなくなる症状です。治療の期間も長期化する傾向にある為、乳糖不耐症を疑う症状の場合には早めの治療を開始していきましょう。
「これは乳糖不耐症なのかな?」と思ったら、次の項目を確認し病院受診を行いましょう。

自宅でホームケア中の赤ちゃん

乳糖不耐症の確認事項

  1. 食事後、30分~1時間の間に嘔吐又は下痢がある。
  2. 嘔吐は無いが、下痢が数日~1週間程度続いている。
  3. 胃腸炎などのウィルス性疾患が1ヶ月以内にあった。
  4. 排便時、ひどく酸っぱい臭いがする。
  5. おならが非常に臭い。

乳糖不耐症の治療

  1. 下痢などの症状が落ち着くまで、母乳やミルク、乳製品は控え代替食品を与える。
  2. 症状が改善してきたら、少量のミルクや母乳、乳製品などを継続的に与える。
  3. それでも改善が無い場合は、医師に相談の上で改善方法を試す。

乳糖不耐症の場合、自宅で行うホームケアは長い目で対応しましょう。
症状が軽くなったからと言って、急に元に戻すという事の無いようにする事が必要です。
ある程度は習慣化で、改善やリスク軽減に繋がります。

自宅で行うホームケア

  1. 普段の赤ちゃんの挙動や体調に気を配る。
  2. 乳糖を含む食品に注意をし、食事を与える。
  3. カルシウムやビタミンDなどのサプリメントを与える。

毎日の健康のために

  1. 赤ちゃんが使う哺乳瓶やおもちゃなどは必ず殺菌・消毒を行う。
  2. 赤ちゃんに触る前に手洗い・うがいを必ず行い殺菌・消毒を行う。
  3. お部屋は常に清潔にし、しっかりと換気を行う。
  4. 室温(20℃程度)や湿度(60%以上)を確保する。