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先天性股関節脱臼かをチェック

先天性股関節脱臼を見逃さないための6つの観察ポイント

先天性股関節脱臼とはどのような病気が知っていますか?「先天性」とついていますが、実際に発症するのはほとんどが出産後、生後3~4ヶ月頃です。放置すると歩行などの発達に影響が及ぶ先天性股関節脱臼の原因や予防法、赤ちゃんの脱臼を見抜くチェックポイント、治療法を解説します。

先天性股関節脱臼を見逃さないための6つの観察ポイント

「先天性股関節脱臼」って知ってる?2016年から母子手帳の副読本に初登場!

先天性股関節脱臼という言葉を聞いたことがありますか?
簡単に説明すると、その名の通り、赤ちゃんがふとした拍子に股関節を脱臼してしまう病気です。赤ちゃんの脱臼に気がつかないでいると発達に悪影響を与える可能性があり、先天性とついていますが脱臼はほとんどが後天的に起こるのがポイントです。

2016年4月より母子手帳の副読本にはじめて先天性股関節脱臼に関する注意が掲載されることとなりました。
掲載に至って経緯として、この数十年で先天性股関節脱臼は予防が進んだことで患者数が減少し、その結果、診断に不慣れな医師が急増し、乳児健診等での見逃しが多くなったことがあげられます。
先天性股関節脱臼は診断が遅れると治療が難しくなることから、副読本には予防法や早期発見のポイントが盛り込まれました。

先天性股関節脱臼とはどのような症状なのか、家庭でできチェックポイントや治療法について解説します。

「先天性」股関節脱臼の9割は実は「後天的」に起こる

赤ちゃんの股関節脱臼を確かめるパパ

赤ちゃんの股関節は大人と比べるととても柔らかく、股関節自体がまだ未熟です。そもそも先天性股関節脱臼は先天性という名前がついていますが、赤ちゃんがお腹の中にいるときから明かに脱臼しているケースはまれで、9割が出生後のなんらかの原因によって発症しています。

このことによりアメリカではずいぶん前からcongenital(生まれつき、先天性な)という意味の先天性股関節脱臼(congenital dislocation of the hip)といういい方を止めて、Developmental (発達上の)ということばを用い発達性股関節脱臼(Developmental dislocation of the hip)と呼んでいます。

「生後3ヶ月前後」「女の子」「逆子」「冬生まれ」の子に多い

先天性股関節脱臼は、個人差はありますが生後3ヶ月から4ヶ月のうちに発症することが多いです。特に女児に見られ、発症率は男児の5~7倍です。
逆子に多く、原因ははっきりとしていませんが冬生まれの子に多いともいわれています。

現在では約1000人に2~3人くらいの頻度で見られます。かつては出生数の2%前後の発生率がありましたが出産後の脱臼予防活動によって約10分の1 に減少していましたが、近年発生率が増加傾向にあります。

先天性股関節脱臼をチェックする6つのポイント

足を調べて先天性の脱臼がないかチェックするママ

もし先天性股関節脱臼を発症してとしても、赤ちゃんは痛みや違和感などの自覚症状ないので泣いたりぐずったりしません。
もし発症していた場合、ママたちが早めに気づいて治療を受けさせてあげる必要があります。ママたちでもわかるチェックポイントを確認しましょう。

1.太ももやお尻のシワの数や長さが左右で違う

もし赤ちゃんが先天性股関節脱臼を発症していた場合、脱臼している方の皮膚はたるみ、たくさんのシワができます。
オムツ交換や着替えのときなどに、両側の太もものしわの数、長さ、深さを見比べてみてください。

2.脚の長さが左右違う

オムツ交換のときにやさしく脚を伸ばしてみてください。
無理やり伸ばすとそれが脱臼の原因になりますので、あくまで優しく、赤ちゃんが抵抗しないときに行いましょう。

3.膝を曲げた状態で股を広げると、内側でポキポキと音がする

ポキポキと聞こえる音は、赤ちゃんの関節は大人よりゆるくやわらかいため骨の動きが大きくなり摩擦によって音が出る場合と、股関節脱臼により関節が外れたり元に戻るときに聞こえる音の場合があります。
この症状のみだとママたちには判断がつきにくいと思いますので、他の項目もチェックしてください。

4.足の開きに左右差がある

おむつのサイズは合っているはずなのに、なぜかいつも片足だけおむつをつけにくく感じるときは要注意です。赤ちゃんを寝かせた状態で足をM字に開き、両方の脚が同じだけ開くかチェックしてみましょう。1や2で挙げたお尻や太もものしわの数、足の長さなども確認しましょう。

5.股関節の開きが狭くて動きが硬く感じる。

本来、赤ちゃんは足をバタバタさせるのが大好きです。しかし、脱臼している赤ちゃんはバタバタとした動きが弱く、動きが硬く感じることがあります。もともと股関節の開きが狭い赤ちゃんもいますし、赤ちゃんの性格にもよりますので、他の症状と併せて参考にしましょう。

6.歩き始めが遅く足を引きずるように歩く。

先天性股関節脱臼は、気づかずにいると歩行に支障がでます。歩き始めが遅い、歩き方がおかしいと感じた時は、他の5つの項目を確認してみましょう。

出典:www.youtube.com

赤ちゃんは個人差が大きいのでこれらの症状があまり目立たないこともあります。また、両側脱臼などの場合は左右に差がないこともあるので注意深く観察してください。そしてこのような症状が見られる場合は、病院に相談し治療が必要なときは早めに開始することが大切です。

先天性股関節脱臼の原因とは?おむつや衣類には要注意!

おむつ交換をしようとしたら寝てしまった赤ちゃん

赤ちゃんが股関節脱臼を引き起こす要因としては、以下のような点があげられます。多くは赤ちゃんの足の動きが不自然な形になり負荷がかかったときに、脱臼してしまうようです。

おむつや衣類による足の動きの制限

1970年以前、日本では布の三角オムツや巻きオムツが主流でした。当時はオムツが足の付け根に巻かれ足を曲げたり伸ばしたりという屈伸が自由にできず足の動きが制限されたために、股関節脱臼となる赤ちゃんが多かったといわれています。
近年は紙おむつが一般化したことにより先天性股関節脱臼は減少しました。しかし、紙おむつの場合でも、両サイドをきつく止めることにより屈伸が自由にできず、足の動きが妨げられることはあります。小さくなったおむつを「もったいないから」と無理に使い続けるのもやめましょう。

また、赤ちゃんの股関節は柔らかく、緩みもあるため、おむつ替えの拍子に脱臼してしまうこともあります。後述しますが、おむつ替えは赤ちゃんの足を不自然な形にしないような配慮が必要です。

衣類の着せすぎにも注意

冬季に生まれた赤ちゃんや寒い地方の赤ちゃんはついつい衣服をたくさん着せてしまい、足の自由な動きが制限されます。冬生まれの子に股関節脱臼が起こりやすいのは、衣類の影響と考えられていますので、室温で調整し、赤ちゃんの足の動きを妨げない衣類を心がけましょう。

子宮内での異常姿勢が影響している可能性も…

逆子に股関節脱臼児が多いことから、子宮内で負荷のかかる姿勢で長時間いたことが赤ちゃんの股関節脱臼に繋がるといわれています。とはいえ、これは予防できません。赤ちゃんが逆子だった場合、ママは産後少し気をつけて様子を見る必要がありそうです。

先天性股関節脱臼は遺伝する?

先天性股関節脱臼は遺伝する疾患ではないのですが、股関節がゆるい、骨盤、大腿骨(だいたいこつ)の外形が悪いなどの脱臼になりやすい要素が遺伝されることがあります。

先天性股関節脱臼を予防する4つの生活習慣

コアラ抱っこが嬉しい笑顔の赤ちゃん

赤ちゃんは、股関節が柔らかく股を開いて膝を曲げたカエルのような格好をしています。このМ字に広がっている姿勢が赤ちゃんにとっては自然なので無理に両足を真っすぐ伸ばしたりすると股関節に負担がかかり脱臼の原因となってしまいます。おむつ替えや抱っこの方法など、ママが毎日のお世話で気を付けたいポイントをまとめました。

1.おむつを替えるときは赤ちゃんの腰を持ち上げるように

おむつ交換の際は、お尻の下にママの手を入れ、腰を持ち上げるようにしましょう。赤ちゃんの足を吊るようにつかんで、お尻を浮かせるのはやめてください。股を開いて膝を曲げた状態を保ちながら、優しく交換してあげましょう。
布おむつやカバーを使用するときも、股関節をきつく締めすぎたり、足の動きを妨げないようなものを選び、骨盤外側に余裕をもたせましょう。

2.赤ちゃんの脚の動きを妨げない衣類を選ぶ

先述したように、先天性股関節脱臼は冬生まれの赤ちゃんに多く起こっています。股関節脱臼にならないように、着せすぎや赤ちゃんの足が自由に動かせないきついベビーウエアの着用は避けましょう。
新しい衣類を着せるときは、赤ちゃんが自然なM字に足が動かせるかを確認しましょう。

3.抱っこならコアラ抱っこ、おんぶもおすすめ

赤ちゃんの脚が自然にM字になっているのが良い抱っこの姿勢です。赤ちゃんの脚を閉じた状態での抱っこは避けましょう。
横抱っこの場合は、赤ちゃんの股の間にママの手を入れるのがよいでしょう。縦抱っこの場合は、ママと向かい合わせに密着する「コアラ抱っこ」がおすすめです。

また、足が自然に開く姿勢が取りやすいのはおんぶです。最近はあまりおんぶをしている方を見かけませんが、おんぶはママの背中に股関節を開いた赤ちゃんがちょうど良い形で落ち着くので、脱臼を予防しやすいというメリットがあります。

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4.向き癖はできる範囲で治していく

いつも同じ方向ばかり向いているという向き癖のある赤ちゃんは反対側から話しかけたり、タオルを背中の下に敷いて、まっすぐな姿勢で寝かせるようにしましょう。このとき足をまっすぐに伸ばさないように気をつけてください。
ただし、向き癖は絶対に治す必要はありません。赤ちゃんがどうしても決まった方向が好きな場合は、そういう時期なのだと見守って良いでしょう。

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先天性股関節脱臼の治療法とは?

ママにあやされ爆笑する赤ちゃん

先天性股関節脱臼はよくある病気とは言えませんが、ふとした拍子に、どんな赤ちゃんも発症する可能性があるものです。
もしも赤ちゃんが先天性股関節脱臼を発症した場合、どのように治療することになるのか見ていきましょう。

診断は触診・超音波・レントゲン

股関節が完璧に外れてしまっている「完全脱臼」は明らかに脚の動きが悪いので触診で判断が可能です。一方、股関節がはずれかかっている「亜脱臼」と骨盤の形状異常で股関節が不安定な状態にある「臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)」の場合は触診だけの診断は難しく、レントゲンによって判断する場合と被爆のない超音波により診断することがあります。

先天性股関節脱臼の治療法

先天性股関節脱臼の治療法は月齢や症状の重さにより、以下の3つにわけられます。

装具による矯正

発症・発見が早かった場合、生後3ヶ月頃からリーメンビューゲルと呼ばれる赤ちゃんの股関節の姿勢を正常に保つバンド装具を素着します。赤ちゃんの股関節は不安定で簡単に脱臼症状を起こしてしまうのですが、柔らかいので装具によって改善しやすいです。

装具によって赤ちゃんの股関節は1週間程度で本来の位置に収まるようになりますが、股関節の形成が不安定のため継続して3ヶ月~6ヶ月使用します。脱臼の程度が軽い場合は、生後6ヶ月までに80%の赤ちゃんが改善します。

牽引療法

生後6ヶ月を過ぎると装具での改善率がかなり低下し、生後7ヶ月以上からは脱臼の程度が大きくなりやすく入院が必要なこともあります。牽引療法により治療を行い、継続して2~3歳まで治療を行ないます。改善されたその後はギプス固定、装具で治療していきます。

手術

重度の先天性股関節脱臼の場合、手術が必要となることもあります。
手術をした場合、大人になってから運動や立ち仕事、出産前後で股関節に対して負担がかかることによって、股関節痛を発症させることもあります。また、加齢とともに変形性股関節症になることもあります。こういったケースでは、股関節に負担をかけるような運動を避けたり、極端に太りすぎないように注意したり、後遺症に気をつける必要がでてきます。

先天性股関節脱臼への理解を深めておこう

先天性股関節脱臼は、性別や遺伝的要因によって、発症しやすい子がいるのは事実ですが、赤ちゃんなら誰もが発症する可能性のある病気です。

必要以上に恐れる必要はありませんが、「先天性股関節脱臼」という病気があるのだと知っておくことで、赤ちゃんの異常にすぐ気づいてあげられます。
最近では、乳児健診での医師の見落としも問題視されていますので、常に赤ちゃんのそばにいるママたちが先天性股関節脱臼について知っておくといざという時のために安心ですよね。正しい知識があれば、おむつ替えなどの普段のお世話で気をつけるポイントもわかるでしょう。

早期発見、早期治療ができれば赤ちゃんやママへの負担も少なくすみます。普段から赤ちゃんの脚の動きをよく観察し、不安があるときはかかりつけ医に自分から相談しましょう。