尿蛋白の検査が妊婦に必要な理由

尿蛋白が妊婦に出やすいのはなぜ?プラスとなった時の改善策

尿蛋白は妊婦だと出やすい?妊婦健診で行う尿検査では、尿蛋白+(プラス)、-(マイナス)などと表記されます。数値にはどんな意味があるのか、尿蛋白が出た後の再検査の必要性や尿蛋白が出る原因を解説。尿蛋白+となってしまった妊婦さんに向けて、食事や生活面での改善点も紹介します。

尿蛋白が妊婦に出やすいのはなぜ?プラスとなった時の改善策

尿蛋白とは?尿検査の数値の意味

「尿蛋白(にょうたんぱく)」とは、読んで字のごとく尿に含まれているタンパク質のことです。通常は尿にタンパク質が混ざることはほぼありません。

腎臓には血液をろ過する働きがあり、それによって血液は綺麗になってから体内に戻り、余分な老廃物が尿となって体外に排出されます。

タンパク質は血液の成分と一緒にろ過されて体内に戻されるので、尿に混ざることは無いはずですが、腎機能が低下することによってろ過機能が上手く働かず、尿の中に混ざってしまうことがあります。

尿検査の「+」「-」など数値の意味

尿検査の結果が記載された健康診断の報告書

妊婦健診の尿検査の結果に記載されているのは「+(プラス)」「-(マイナス)」「±(プラスマイナス)」という記号です。正常の場合は「-」尿にタンパク質が混ざっていた場合は「+」の表記になります。「±」はプラスの疑いがあるという意味です。

また「+」の前に数字が表記されていますが、「+」又は「1+」→「2+」→「3+」のように混ざっているタンパク質が多いほど数値が大きくなります。「±」は「1+」と同じくらいだとみなしてください。

尿検査で尿蛋白が出たらどうする?

尿検査で尿蛋白が出ていても、血圧の異常やむくみなどの症状が無ければ、まずは自分で改善法を試みる場合がほとんどです。妊娠しているというだけで尿蛋白は出やすくなるので、たった1度「+」「1+」が出たくらいではさほど問題はありません。

しかし、血圧が通常よりも高い、いつも履いている靴がキツいという症状が出ている場合は、精密検査が必要になるケースもあります。

2回連続で尿蛋白が出た場合は精密検査を受ける場合が多いです。特に数値が「+」~「++」以上である場合は精密検査が必要ですが、これは妊婦検診で行われる尿検査においては尿蛋白が「ある」(+)、「ない」(-)、「疑いがある」(±)という可能性しか結果として表れないので、詳細が不明だからです。過度に心配せず、検査を受け、医師の指導に従いましょう。

尿蛋白がでやすい時期

額に手をやる妊婦

妊娠中、特に中期から臨月にかけては子宮が圧迫されて頻尿の症状が見られるようになります。他にも尿漏れや排尿する際に痛みを感じるという症状もあるでしょう。

これらの症状が重症である場合には、膀胱炎や尿道炎、腎盂炎の疑いがありますが、その場合も尿蛋白が出る可能性があります。

例えば尿が泡立っていたり、濁っていたり、血が混ざっている場合はかかりつけの産科を受診しましょう。

尿蛋白の検査が妊婦に必要な理由

妊婦健診では毎回尿検査を行いますが、これにはちゃんとした意味があります。尿検査では主に尿蛋白や尿糖の数値をチェックしますが、これは妊娠による身体の異常を早期発見するために大切な検査なのです。

腎臓機能の働きをチェックするため

尿検査によって尿蛋白が出るのは腎臓の機能が低下しているサインです。尿蛋白が出る原因としては何らかの病気による場合と体質的な場合が考えられますが、妊娠後期に入ると胎児の重さで腎臓に負担がかかり、尿蛋白が出る可能性もあります。

しかし、妊娠初期に尿蛋白が出た場合は妊娠が原因であるとは考えられないので、体質なのか?それとも病気によるものなのか?今後の経過を見て、より詳しく検査する必要があるでしょう。

妊娠高血圧症候群の発見のため

腎臓機能の低下を説明する医師

妊娠によって腎臓機能が低下すると、水分や塩分の排泄機能に影響を及ぼします。むくみや体重増加といった症状を引き起こす可能性があり、「妊娠高血圧症候群」の原因となります。

妊娠高血圧症候群は、自覚症状がないことが多い病気です。そのため、毎回の妊婦健診での血圧測定と尿検査は早期発見のために必要不可欠なのです。

妊娠高血圧症候群が進行すると、母体に血管障害や臓器障害が起こる可能性があり、最悪の場合は出産を諦めなければいけなくなります。また通常であれば赤ちゃんが産まれた後に子宮から剥がれる胎盤が早期に剥がれてしまう「常位胎盤早期剝離」を発症するリスクも高まります。

母体への悪影響だけではなく、胎児の成長に悪影響を与える可能性も否めないので、自分のためはもちろん、お腹の中の赤ちゃんのためにも早期発見後は、すみやかに食生活の改善、必要に応じて投薬などの治療を行う必要があります。

妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)とは?症状と予防&対処法
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妊娠高血圧症候群になりやすい人とは?

妊娠高血圧症候群の原因は、はっきりとわかっていませんが、次のような方は発症しやすい傾向にあります(注1)。

  • 初めての妊娠である
  • 双子や三つ子などの多胎妊娠
  • 15歳以下又は35歳以上の妊婦
  • 肥満気味(BMI25以上)の妊婦
  • 高血圧、腎臓疾患、糖尿病の持病がある

尿路感染症の疑いがないか確認するため

妊娠後期になるとお腹の中で徐々に大きくなる胎児に尿管を圧迫されて、尿が逆流するという症状がおこりやすく、その結果尿路感染症になりやすくなります。尿蛋白の有無を調べることで、尿路感染症の疑いがないかチェックできます。

もし尿路感染症の疑いがある場合、便秘の解消や会陰を清潔に保つことで改善は可能です。自分自身で気を付けることで胎児への影響は避けることができます。

尿蛋白が出る原因とは

カップに採取された尿

「尿蛋白」が出る原因は、大きく分けて病的尿蛋白と生理的尿蛋白の2つがあります。

病的尿蛋白

名前からもわかるように、体内のどこかに生じている疾患によって尿蛋白が出ますが、問題がある部分によって区別されます。

腎臓そのものに問題がある場合は「腎性尿蛋白」、腎臓よりも手前にある臓器に問題がある場合は「腎前性尿蛋白」、腎臓よりも下にある部分の感染症が問題になる場合は「腎後性尿蛋白」となります。

ちなみに、妊娠中になりやすい膀胱炎や尿路感染症は「腎後性尿蛋白」の原因となります。

生理的尿蛋白

腎臓機能に異常があるのではなく、一時的に身体に負荷がかかることによって尿蛋白が出る症状を指します。例えばストレスを感じた時や体調がすぐれない時、生理前、激しい運動をした後などは尿蛋白が出る場合があります。

妊娠は身体にとって劇的な変化ですし、お腹の重みは十分に負荷となるので、臨月によく見られる尿蛋白は生理的尿蛋白の可能性もあります。

妊婦が尿蛋白になりやすいのは何故か?

公園で運動する妊婦

妊娠中には様々な身体の変化が訪れますが、尿蛋白が出やすくなるのもその1つです。
ではなぜ妊婦は尿蛋白が出やすいのでしょうか?

血液が増加するため

妊娠中は通常よりも血液の量が増えます。これは胎児に十分な栄養を送るためですが、その分老廃物も増えることを意味します。

腎臓でろ過すべきものが増えて、腎臓機能がその忙しさに追い付かなくなると、最終的に尿にタンパク質が混ざってしまいます。

塩分の過剰摂取

塩分の過剰摂取は腎臓に負担をかけます。妊娠中は妙に味が濃い食べ物を欲したり、ジャンクフードが食べたくなったりします。また「食べつわり」の症状がでると、常に何かを口にしていないと気分が悪くなるので、必然的に塩分摂取量が多くなります。

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メンタル的な問題

妊娠中はホルモンのバランスが乱れて精神的に不安定になったりストレスが溜まりやすくなったりします。それによって腎臓機能が低下したり、自律神経が乱れたりと様々な体調不良が起こります。

妊婦の「尿蛋白+」を改善する方法

1度妊婦健診で尿蛋白が出たからといって、必ず「異常」だとみなされるわけではありません。
しかし、次に尿蛋白が出たときは、精密検査の可能性も高いですし、なにより尿蛋白は「-(マイナス)=異常なし」というのが理想です。

食生活や習慣に気を付けて、自分自身で改善を心がけましょう。

食生活に気を付ける

調理する妊婦

塩分

もともと日本人の塩分摂取量は多い傾向があります。味の濃い食べ物は必然的に塩分も濃いので、自炊するときは、食べた時に「少し薄味かな」と感じるくらいを目安にしましょう。

薄味でもおいしく食べられる裏技

  • 旬の食材を使う 
  • ハーブや柑橘系の香辛料、薬味を使用する
  • 濃いめの出汁を使う
  • 酸味のある味付けにする
  • 適度な焦げ目をつける

旬の食材は、味がしっかりしていて、旨味が強いので、素材そのままの味を楽しむことができます。また、ハーブなどの香辛料、薬味を使うと、塩分は控えめでもパンチのある味付けになりやすいです。

調理面では、濃い目のお出汁を使ったり、お酢などの酸味を活かした料理にすると良いでしょう。また炒め物なら適度な焦げ目をつけると濃い目の味に仕上がります。

規則正しい食事時間

妊娠中は体重が増え過ぎないように管理する必要がありますが、食事を抜く方法は逆効果です。妊娠中はお腹が減って当然なので、1食抜くことでさらに空腹感が増して、我慢できずにお菓子やデザートに手が伸びてしまう可能性が高くなります。

そうなれば糖分や油分の摂取量が増えて、結果的に食事を摂るよりも摂取カロリーが高くなり、さらに体重が増えます。

出来れば食事の回数を減らすのではなく、毎日同じ時間帯で1日3食、バランスのとれた食事を食べることで体重管理を行いましょう。

栄養バランス

市場で食材を買う妊婦

日頃の食生活でもバランスは大切ですが、妊娠中は特に気を付けたいポイントです。妊娠中に良いと言われている食べ物を摂るのは構いませんが、それに偏らず栄養のバランスを考えた食事が理想的です。

まず妊娠中に不足する栄養素は、鉄分とカルシウムなので、この2つは意識する必要があります。また胎児の栄養にもなるたんぱく質やビタミンも積極的に摂りましょう。

利用したい食材としては、キュウリ、バナナ、メロン、きのこ類、豆類です。これらにはビタミンなどの栄養素はもちろん、ミネラル類の中でも体内の塩分を排出する機能に優れている「カリウム」が豊富に含まれているので、毎日摂るようにしましょう。

カロリー

妊娠中は通常よりも食欲が増し、特につわりが終わり、妊娠中期から後期にかけては食欲が旺盛になります。しかし、急激な体重増加は、妊娠高血圧症や妊娠糖尿病の発症リスクを上げるので、体重が増えすぎないようにカロリー管理が必要です。

食事の量やカロリーを客観的に把握するために、毎回の食事をスマホで撮影する、また食事ノートを作って記載して確認するのもおすすめの方法です。

水分を摂る

「水分を摂ると、むくみやすくなるから」と水分摂取を控えるのは逆によくありません。妊娠中は通常より体温が高く、汗をかきやすいので、脱水症状の危険もあります。妊娠中は血液の量も増えるので、その分、水分が必要となります。

水分は尿と汗だけではなく呼吸をするだけでも失われていくので、目安としては1日2リットルほどの水分を摂取するのが理想的です。1日2リットルの水を飲むのはかなり大変ですが、人間は食事からも水分を摂取しているので、食事以外に1~1.5リットルほどの水分摂取を心がけましょう。

適切な水分補給は血液の流れを良くして、腎臓機能低下を防ぎます。ほかにも、血液をサラサラにしてスムーズに子宮や胎盤に送り届け、胎児にとっては必要不可欠な羊水を作ると言った重要な役割も果たします。

日常生活で気を付けること

適度な運動

バランスボールにもたれかかる妊婦

妊娠中はお腹が重く、動くだけでも大変ですが、ずっと寝てばかりでは完全に運動不足になり、これも腎臓機能低下の原因となり得ます。適度な運動は、妊娠中に起こる様々な身体のトラブル対策として効果的です。

自分でできるウォーキングやストレッチも良いですが、ジムに通ってマタニティヨガやマタニティスイミングのクラスに入ったり、産婦人科で行っている妊婦さんのためのヨガ教室などに行ったりするのもおすすめです。同じ妊婦さんとのコミュニケーションは、ストレス解消にもつながります。

出産には体力が必要なので、日ごろの運動で鍛えておけば安心して出産に臨むこともできるでしょう。

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睡眠

妊婦は出産が近付くにつれて、産後の胎児の生活リズムに合わせることができるように、なかなか熟睡できなくなると言われています。しかし、睡眠不足は疲労やストレスの原因になるので、夜眠れないときは昼間に1時間でもぐっすりとお昼寝の時間を設けるのがおすすめです。

眠れなくても身体を横にして寝る体勢になるだけで体内の血流が良くなるので、腎臓に流れていく血液もスムーズになります。

ストレスをためないこと

ストレスはあらゆる身体の不調を引き起こす原因となるので、妊婦にとっては一番の敵なのですが、妊娠中はつわりやホルモンバランスの乱れによるイライラでストレスが溜まりやすいものです。

運動を頑張ったご褒美に大好きなスィーツを食べたり、友達とおしゃべりをしたり、自宅で映画を鑑賞する、漫画を読むなど、自分なりのリフレッシュ方法を見つけましょう。

赤ちゃんが産まれてからしたいことなどをリストアップするのもおすすめです。

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尿蛋白が慢性的に出ないように気を付けよう

妊娠中はお腹の中の赤ちゃんに対する責任感が芽生えるせいもあり、体調にはナーバスになるものです。妊婦健診の尿検査で尿蛋白が出たら「何かあったらどうしよう…」と心配になります。

しかし、出産までの妊婦健診で「尿蛋白+」を経験する妊婦さんそのものは珍しくありません。油断は禁物ですが、次の検査時には「尿蛋白-=異常なし」となるように、生活習慣を見直しましょう。

もちろん、次の検査で「異常なし」となった場合も、規則食生活などの習慣は続けてください。要検査となった場合も、過度に心配せず、医師の指示に従いましょう。

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