子宮外妊娠の手術方法

子宮外妊娠手術の具体的な手術方法や入院期間、術後の回復

子宮外妊娠の手術は状態の経過やどこに着床したか子宮外妊娠の種類により方法が変わってきます。子宮外妊娠の手術方法や入院期間はどれくらいなのでしょうか?術後の痛みやホルモンバランスへの影響も心配なところ。術後の経過や仕事復帰が可能な程度の回復に要する期間についても解説いたします。

子宮外妊娠手術の具体的な手術方法や入院期間、術後の回復

子宮外妊娠の手術と入院期間

通常、受精卵は卵管を移動して子宮へ運ばれ子宮内膜に着床して妊娠となりますが、子宮内膜以外での場所に着床してしまうことを子宮外妊娠(正式には「異所性妊娠」)といい、放置すると卵管が破裂し大出血を招くなど深刻な事態に関わってきます。
子宮外妊娠になてしまった場合はそのまま妊娠を継続していくことはできないので、経過観察や処置を試みてある程度の期間で流産したり吸収したりされなければ手術が必要になります。

ひと昔前は赤ちゃんの成長が進んでしまってから子宮外妊娠に気付くことが多かったのですが、最近では医療機器の性能が良くなり早期発見できるようになったので、比較的早期の段階で母体の状態も良ければ手術をしなくても治療できることもあります。
子宮外妊娠は、症状などによって手術の方法、期間がそれぞれ異なるので、どのような手術を行うかお話していきます。

子宮外妊娠の手術

子宮外妊娠の手術方法は状況により違う

子宮外妊娠となった場合は適切な処置を行う必要がありますが、早期の段階で解消されなければ手術による治療へと進み、胎嚢(赤ちゃんを包んでいる袋のようなもの)を取り除きます。

手術方法は着床部位や妊娠の時期によって、開腹手術腹腔鏡下手術になるか決まります。
現在は体への負担が少ないことから腹腔内手術が一般的ですが、卵管破裂や腹腔鏡下では摘出できない場合には開腹手術になります。

開腹手術

卵管破裂などのリスクが高く緊急を要する場合や、着床している場所が不明な場合は開腹手術になります。手術は比較的短時間で済みますが、入院期間は長くなります。現在では緊急性を求める場合と、腹腔鏡下が困難な場合に限られています。

腹腔鏡手術

お腹に5mmから10mmほどの小さな穴を3個から5個あけて、筒状のカメラ(腹腔鏡)をお腹の中に入れて手術を行います。腹腔鏡手術の優位性は体への負担が少なく、傷をつける範囲が小さく済むため入院期間は開腹手術よりも短めです。

各病院施設における設備、医師の熟練度、麻酔科との連携が必要で、病院によっては腹腔鏡手術を選択できない院もあります。

子宮外妊娠の手術の方法

手術の方法としては、妊娠部位を切除する根治療法と、胎嚢のみを切除する温存療法があります。
着床部位、大きさ、活動性(hCG※測定値)、経産回数、本人の希望などで術式方法は違ってきます。
症状にもよりますが、将来妊娠を希望している人には、機能保存治療法を原則としている病院が多いです。

※hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)とは

hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)は、妊娠をした直後から大量に産生されるホルモンです。妊娠を維持するためプロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌させ続ける働きがあります。非妊娠時は分泌されないために、妊娠検査薬の判定にも用いられます。

hCGを測定する

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卵管圧出術(腹腔鏡手術)

胎嚢が小さく出血が見られない場合に、腹部に小さな穴(5mmから10mm)を数か所開け胎嚢をしぼり出す方法です。

卵管線状切開術(腹腔鏡手術)

胎嚢が既に卵管圧出術では除去できない大きさである場合、出血がない場合の術式で腹腔鏡下で行います。腹部に小さな穴を開け、卵管を切開し胎嚢を除去して再度卵管を縫い合わせます。

まれに妊娠の組織が一部残存してhCGの値が下がらない外妊存続症を引き起こすことがあり、抗がん剤「メソトレキセート」を投与して治療したり、大量に出血している場合は再手術になることもあります。
卵管を残したまま胎嚢を除去できますが、同位部で再度子宮外妊娠をおこしてしまう可能性があります。

卵管切除術(腹腔鏡手術・開腹手術)

卵子宮外妊娠をおこした側の卵管を切除します。
胎嚢がかなり大きくなっているケースや、卵管が破裂し大量に出血しているなど状態が悪い場合に適用されます。腹腔鏡下で処置ができる場合もありますが、腹腔内に大量の出血がある場合は開腹手術になります。

子宮外妊娠は着床する部位で区別されていますが、どこに着床したかで術式も異なり、「卵管間質部妊娠」の場合は卵管角楔切除術、「卵巣妊娠」の場合は卵巣部分切除術となり、それぞれ妊娠部位を切除する方法となります。

卵管機能を温存させる卵管線状切開が主流になりつつありますが、卵管を切除し摘出する方法と比べると難易度は高いため、技術的に熟練された医師のもとでの治療が必要となります。

子宮外妊娠で手術をしたら入院期間はどれくらい?日帰りはできる?

症状によって治療方法もかわってくるので、入院の日数も違ってきます。

開腹手術の場合は、症状が重い場合が多いので入院期間は長くなります。開腹手術の場合は目安として10日前後の入院が必要になり、退院後は1ヶ月程度自宅での安静が必要になります。
腹腔鏡手術の場合は、経過が順調であれば3日から5日程度の入院で退院できます。

海外では日帰りできるようですが、日本では今のところ子宮外妊娠の手術では日帰りできません。

手術の費用はどのくらい?

子宮外妊娠の手術費用

症状や治療方法などによって費用はまちまちです。入院中の食事代、部屋代などによって費用にも差が出てきます。

手術費用としては、開腹手術のほうが費用はかからず約10万円前後、腹腔鏡手術はだいたい20万円前後かかります。
一見すると腹腔鏡手術のほうが費用がかかるように思いますが、開腹手術のほうが入院期間が長いので全体の入院費用としてはほとんど差がないようです。

子宮外妊娠の治療は健康保険が適用されます

通常の妊娠の場合には健康保険は適用されませんが、子宮外妊娠で手術が必要になった場合は健康保険が適用になります。
健康保険が適用されるということは、高額医療費制度も適用になる場合もあるということ。
限度額適用認定証を事前に申請することによって、定められた額以上の医療費については払い戻しまたは支払いが免除されるため負担が軽減されます。

この他、個人的に加入している保険などでも給付金の該当となる場合もあるので、加入している保険内容を確認しておくといいでしょう。

子宮外妊娠の術後の経過や過ごし方

子宮外妊娠の手術をしたら、その後の体への影響が気になります。仕事をしている人であれば、どのくらいで仕事に復帰できるのかも気になるところです。そういった不安の解消も含め、術後の経過や過ごし方などご紹介していきます。

術後の痛みはどれくらい?生活に影響する?

痛みの感じ方は人それぞれ・・・というところもありますが、子宮外妊娠の手術後は2週間程度は麻酔が切れると傷口、下腹部痛ともに痛みを感じます。腹腔鏡下手術でも傷口は深いため痛みはあるので、辛いようであれば処方された痛み止めを服用してください。
術後の痛みの他にも、処置の際に使用した麻酔からくる倦怠感が残る人もいて、寝返りをうつのもだるく感じることもあるようです。

負荷をかけ過ぎないように回復を促していこう

経過にもよりますが歩いたほうが回復が早いということで、手術の翌日には歩くように指示されることが多いです。

大抵の場合、痛みは徐々に軽減して術後2週間経過するころには通常の日常生活を過ごせるほどに回復していきますが、人によっては服などの摩擦でも傷口に痛みを感じることもあります。
傷口および下腹部に痛みが続いている間は、ハードな動作となる家事や育児は控えたほうがいいでしょう。

下腹部痛については生理痛に近い痛みを感じる人が多いですが、あまり痛みがひどいようなら受診することをおすすめします。

術後の体調の変化

子宮外妊娠の手術後の経過

術後の体調の変化は、卵巣を切除したかによって変わってきます。卵巣、卵管はそれぞれ二つあるので、片方を切除してしまっても、片方が残っているなら日常生活に影響をきたさないことがほとんど。また、妊娠する確率は下がっても自然妊娠が不可能になるわけではなく、術後1ヶ月後に月経が再開する人がほとんどです。

卵巣を両方切除してしまうと女性ホルモンの分泌が大きく減るため、それによる影響が体調不良となって現れやすくなります。具体的には自律神経のバランスが崩れ不眠の症状がでたり、不安感や倦怠感など更年期障害のような症状がおきます。
卵巣摘出後の妊娠についは不安が大きいところと思いますので、主治医とよく話をするようにしましょう。
なお、卵巣を切除していなくても、ストレスや不摂生に左右され女性ホルモンの分泌量は減少してしまうので、精神の安定や規則正しい生活を心がけることが大切です。

精神的なダメージをどう乗り越えるか

特に妊娠を強く希望していた人が子宮外妊娠となってしまったとき、不妊治療の末ようやく妊娠されたときのショックははかりしれません。体の傷は日を追うごとに治癒していきますが、心の傷はなかなか癒されないのが現状です。

しかし、子宮外妊娠はそのメカニズムのすべてが明らかになっておらず完全予防は難しいため、自分を責めないことが大切です。
機能保存治療法を受けられて経過も良ければチャンスはまたあります。せっかく授かった命に思いをはせる優しさで必要以上に自分を追い詰めてしまわずに、これから授かるであろう命のために前向きに気持ちを切り替えることが大切です。

気持の切り替えに時間はかかっても、ゆっくりとこれから出会える未来の赤ちゃんのことを考えていけるといいですね。

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仕事への復帰はいつ?

仕事をされている方は、子宮外妊娠の手術後いつごろから仕事に復帰できるのか気になるところですが、手術の方法や経過、仕事内容によって職場への復帰時期はまちまちです。

入院中は経過が良ければ率先してリハビリが行われますが、ほぼ寝たきりの状態であって退院しても立っているのだけでもしんどいと感じる人もいます。肉体的精神的ダメージを考慮して職場や同僚に迷惑がかからないよう、余裕をもって休暇の計画を立てることが肝心です。

具体的な日程

術後の仕事復帰は日程に余裕を持って

腹腔鏡下手術の場合は、症状が軽く経過も順調であれば最短で3日の入院と退院後1週間程度の安静で仕事復帰ができる場合もあります。
症状が重いケースが多い開腹手術の場合は、入院は10日前後、退院後1ヶ月の自宅療養が必要になります。

だいたいの傷が癒える日数が目安ですが、術後の回復は経過や個人の体力によって日数は変わってきます。

仕事内容も考慮しましょう

仕事の内容によっても復帰時期は左右されます。
事務職などのデスクワークであれば約3週間後がめどになりますが、力仕事や立ち仕事で傷口に負担となると考えれる職種であれば約4週間後の経過をみて復帰時期を判断するようにしましょう。

仕事のこととなると焦ってしまう人も少なくありませんが、次の妊娠のこともあるので身体を第一にしっかり治すことが大切です。まずは担当の医師とよく相談することをお勧めします。

立ち止まらず前に進むために

子宮外妊娠は発見の時期で処置が違い、症状や着床部位によって手術の種類も違ってきますが、放っておくと大量出血を起こしショック状態となり命の危険もあるために早期発見がカギです。
早期発見早期治療は治療方法や入院の期間、退院後にも関係してきますので、妊娠にまつわる違和感は放置せず病院受診が大切です。
子宮外妊娠で手術をしたからといって、妊娠の可能性がゼロになったわけではありません。希望をもって前進していけることを願っています。

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