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出生前診断の費用や具体的な内容

出生前診断の費用や実施時期と具体的な検査内容や問題点

出生前診断の費用や詳しい検査内容、問題点を解説します。出生前診断とは胎児の染色体異常を早期発見するための検査の総称で非確定的検査と確定的検査の2つがあります。出生前診断は出産前に胎児の異常が分かるため異常が発見された場合は人工中絶を選択する妊婦が多いことが問題となっています。

出生前診断の費用や実施時期と具体的な検査内容や問題点

出生前診断とは?費用や実施時期と検査内容や問題点

出生前診断とは胎児を出産する前に、主に染色体や遺伝子の異常を早期発見するために行われる検査の総称です。出産する前に胎児の異常を発見することで生まれてきた胎児の早急なケアや、妊婦さんが胎児に対する心構えをすることが検査の目的とされています。

生まれてくる赤ちゃんを楽しみに待つ夫婦

出産は年齢によりリスクが伴うもので、日本産婦人科学会の調査では出産時の年齢による胎児の先天性異常の確立は

  • 20歳から30歳で1.8%
  • 35歳から40歳で2%
  • 40歳以降は2.3%

となっている通り高齢出産にはリスクがあることが分かっています。このようなリスクを事前に察知するためにも出生前診断を活用する妊婦さんは増加傾向にあります。しかし2013年に始まった出生前診断ですが、最初の1年間で胎児に染色体異常があった場合97%の妊婦さんが人工中絶を選んだという報告があることから、「胎児の間引きにあたるのではないか」という倫理的な問題として捉える意見もあります。

賛否両論のある出生前診断の費用やメリットや目的、具体的な検査内容や問題点を解説します。

出生前診断で分かることは主に胎児の染色体異常

出生前診断で分かることは胎児の先天性異常で、通常2本で対になっている染色体が3本になるトリソミー症について検査することができます。

無事生まれてきて元気に眠る赤ちゃん

ダウン症候群

ダウン症候群とは21トリソミーと呼ばれ、21番染色体が1本余計に存在し計3本になっている染色体異常です。染色体異常のため根本的な治療手段はありません。出産頻度は約800人に1人で、身体の成長が遅く、知的障害を持ち、特徴的な顔つきになり、母親や父親がダウン症候群の場合は50%という高確率で遺伝します。

エドワーズ症候群

エドワーズ症候群とは18トリソミーやEトリソミーと呼ばれ、21トリソミーと同様に18番染色体が3本になっている染色体異常です。出産頻度は約7,500人に1人で、妊娠中の生存率は10%から50%、生後2ヶ月までには50%程度、生後1年では10%程度しか生存できないと言われている深刻な染色体異常です。

パトウ症候群

パトウ症候群とは13トリソミーやDトリソミーと呼ばれ、13番染色体が3本になっている染色体異常です。出産頻度は約2万人に1人で、エドワーズ症候群と同じように生存確率が極めて低く、生後1ヶ月以内の生存率は20%程度、生後1年で10%程度しか生存できません。

染色体異常は数字が少ないほど深刻になり、生存確率も低くなります。染色体異常は妊婦さんの高齢出産や遺伝による影響もあると言われています。

2つの出生前診断の方法や目的、時期や費用について

出生前診断には「非確定的検査」と「確定的検査」の2つの方法があり、妊娠9週目から妊娠22週目に検査をすることになります。

出生前診断の検査結果を静かに待つ夫婦

非確定的検査とは「疾患の有無の確立を求める」検査で、確定的検査とは「確実な疾患の有無」を判断する検査となり、非確定的検査の結果を確定的検査で確定することになります。中には胎児にダメージを与え流産の可能性がある検査もあるので、実際に検査するかどうかは両親でしっかり話し合うことが大切です。

非確定的検査

超音波計測

超音波計測とは出生前診断の非確定的検査の1つで、実施時期は妊娠11週目から妊娠13週目に受けることができます。胎児の後頸部費圧(NT)を計測し染色体異常の可能性を見る検査で、超音波で検査するので胎児や妊婦さんにリスクはありません。病院により胎児ドックや胎児超音波スクリーニング検査と呼ばれることもあります。


対象疾患はダウン症候群、18トリソミー、13トリソミーで、感度は80%から85%程で検出することができます。費用は約1万円から5万円程度です。

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母体血清マーカー検査

母体血清マーカー検査とは出生前診断の非確定的検査の1つで、実施時期は妊娠15週目から18週目に受けることができます。妊婦さんの血液から、トリプルマーカーでは3つの成分、クアトロマーカーでは4つの成分を検査し、濃度から染色体異常の可能性を見る検査です。血液検査なので胎児や妊婦さんにリスクはありません。


対象疾患はダウン症候群、18トリソミー、開放性神経管奇形で、感度は80%から85%程で検出することができます。費用は約2万円から3万円程度です。


トリプルマーカー

  • アルファフェトプロテイン
  • ヒト絨毛ゴナドトロピン
  • エストリオール

合計3つ成分を検査します。


クアトロマーカー

トリプルマーカーの成分3つと

  • インヒビンA

合計4つの成分を検査します。


ダウン症候群の検出率に限りクアトロマーカーのほうが高いです

新型出生前診断(NIPT)

新型出生前診断(NIPT)とは2013年に日本で認可された新しい出生前診断の非確定的検査です。新型出生前診断が認可される前は、非確定的検査と言えば母体血清マーカー検査が一般的でしたが、認可されてからは新型出生前診断を受ける妊婦さんが増加傾向となっています。


妊婦さんから採取した20cc程の血液からDNA断片を分析して染色体異常の可能性を見る検査です。実施時期は妊娠10週目から妊娠22週目と他の出生前診断と比較すると長い期間受けることができること、対象疾患の高い検出率が特徴です。血液検査なので胎児や妊婦さんにリクスもありません。


対象疾患はダウン症候群、18トリソミー、13トリソミーで、感度は99%以上と非常に高い確率で検出することができます。また陰性の場合は99.9%の確立で染色体の異常は無いと判断することができます。しかしこの新型出生前診断を受けるには幾つか条件があり、該当していない場合は受けることができません。


  • 出産予定日に35歳異常になる高齢出産の方
  • 両親に染色体異常が見られ、胎児も染色体異常の可能性が高い場合
  • 過去にダウン症候群、18トリソミー、13トリソミーを患った胎児の妊娠・出産経験がある

新型出生前診断は保険適用外の自由診療のため平均で約20万円前後の高額な医療費が掛かります。新型出生前診断に対応している病院もまだまだ少ないので受診を検討している方は費用も含め、実施しているか確認する必要があります。

確定的検査は「絨毛採取」と「羊水検査」

絨毛採取

絨毛採取とは出生前診断の確定的検査の1つで、実施時期は妊娠11週目から15週目に受けることができます。絨毛とは妊婦さんと胎児を繋ぐ胎盤の組織で、この絨毛を採取し細胞を培養し染色体の数や構造から染色体異常を検査します。


採取方法は超音波検査で胎盤の位置を確認後、子宮頸部からのカルーテル挿入し採取、または妊婦さんの腹壁に針を挿入する「経腹法」で絨毛を採取します。絨毛採取の主流は経腹法で、日本を始めイギリスやドイツなど、殆どの国が98%以上で経腹法を行っているというデータもあります。


羊水検査との比較は、検査週数が早いこと、羊水検査よりも針を刺す距離が短いこと、が挙げられますが「胎盤モザイク」という絨毛に異常があるが胎児には影響がないケースもあり、絨毛採取の後に羊水検査で詳しく確認しなければならない可能性もあります。


対象疾患はダウン症候群、18トリソミー、13トリソミーなど染色体異常全般を99%以上の感度で検出することができ、ダウン症候群に対する感度は99.9%で検出することができます。注意することは「胎盤モザイク」も検出してしまうことで、この場合は納得できるまで医師と相談し対応しましょう。


羊水の流出、出血、破水、検査週数の早さから流産率も約1%あることから妊婦さんにリスクがあることが分かっています。また絨毛採取は保険適用外の自由診療なので、約10万円から約20万円程度の費用が掛かります。

羊水検査

羊水検査とは出生前診断の確定的検査の1つで、実施時期は妊娠15週目から妊娠18週目に受けることができます。羊水とは胎児を守るために子宮内に満たされている液体で、この羊水に含まれる胎児の細胞を培養し検査することで染色体異常を検知します。


採取方法は超音波で胎児の確認をしてから、妊婦さんのお腹に針を指し羊水を採取します。時間は20秒程度で採取しにくい場合は複数回行うこともあります。その後FISH法とG-band法という2つの方法で検査を行い診断します。


FISH法
21番、18番、13番の染色体の数の異常、XとY染色体の異常を検出します。検査結果は100%ではないので必須検査ではありません。


G-band法
1番から22番の染色体と、XとY染色体の数や構造の異常を判定します。


対象疾患はダウン症候群、18トリソミー、13トリソミーなど染色体異常全般を99.7%以上の感度で検出することができ、ダウン症候群に対する感度は99.9%で検出することができます。絨毛採取では「胎盤モザイク」も検出されることから、羊水検査の方がより確実に染色体異常を検出することができます。


絨毛採取と同様のリスクと、流産率が0.3%あることから、羊水検査を実施するかどうかの判断は担当医師や家族としっかり話し合う必要があります。羊水検査は保険適用外の自由診療になり、約10万円から約20万円程度の費用が掛かります。

出生前診断の大きな問題点は「倫理観」

出生前診断は「生まれてくる赤ちゃんの障害と向き合う準備をするため」や「治療が可能な先天性異常の早期発見」や「障害を持って生まれてくるかもしれない妊婦さんの不安を無くす」など赤ちゃんのために出来る準備や妊婦さんの負担を軽くすることができます。

出生前診断の診断結果が出て決断を迫られる夫婦

しかし出生前診断には「倫理観」という大きな問題点があります。出生前診断は染色体異常などの先天性異常を早期発見できるメリットがありますが、これが「命の選択」に繋がると指摘されています。先天性異常の場合、ダウン症候群に見られるように身体障害や知的障害が伴い出産後の育児にかかる負担が大きいと考える方が殆どです。

新出生前診断が始まってから1年の期間に、染色体異常が発覚した場合の人工中絶率は97%というデータが日本経済新聞から公表されています。そのため出生前診断は「命の軽視」や「命の間引き」などと批判されることもあります。

このような問題点を解決するためには、ダウン症候群などの先天性異常で生まれてきた障害児への正しい知識や、障害を持って生まれてきても暮らしやすい社会を実現することが求められます。また妊婦さんへのカウンセリングの質の向上、家族での心のケアも重要です。どのような結果であっても1つの大切な命だということを忘れずに、強い心と決意を持ち出生前診断を受診しましょう。