妊婦の貧血を予防する食べ物

妊婦の貧血対策~予防・改善に摂りたい食べ物は?

妊婦が貧血になりやすい原因、倒れる・フラフラする以外にも隠れた貧血の症状を紹介。妊娠中の貧血対策には、鉄分補給が大切!ヘム鉄・非ヘム鉄を多く含む食べ物を手軽に摂れるレシピもお伝えしますので、食事作りの参考にしてください!貧血と診断される数値基準、治療の選択肢も解説します。

妊婦の貧血対策~予防・改善に摂りたい食べ物は?

妊婦の貧血は危険?貧血の症状&赤ちゃんへの影響

妊娠すると、妊娠前と比べて、体調不良を感じる機会が増えますよね。その中でも、多くの妊婦さんを悩ませているのが貧血です。

貧血というと、フラフラする、倒れるなどの症状を思い浮かべることが多いですが、貧血の症状はそれだけではありません。疲れやすい、なんとなくだるい、爪が割れやすい。こんな症状も隠れた貧血のサインです。

妊娠中の貧血の症状や胎児への影響、貧血を予防するために摂りたい栄養素や食品、貧血の治療法を解説します。

貧血の症状

貧血で立ちくらみしている妊婦さん

貧血の症状として、代表的なのは眩暈立ちくらみです。ホルモンバランスの変化も重なって、妊娠初期には特に起こりやすい症状ですが、眩暈や立ちくらみは転倒の危険があり、妊婦さんにとっては大きな不安要素ですよね。

それ以外にも貧血になると、体内に十分な酸素や栄養素が行き渡らないために、疲れやすく感じたり、動悸が起きたりします。

頭痛や肩こり、眠気、食べ物が飲み込みづらい、口の端が切れる、枝毛、抜け毛が増える、肌がカサカサするのも貧血の症状として挙げられます。特に髪の毛や爪などが弱くなっている場合は要注意。貧血の大きな原因に鉄分不足が挙げられますが、鉄分が不足すると新陳代謝が衰え、皮膚や爪の状態が悪くなります。

「氷が食べたくなる」は隠れた貧血のサインかも!

意外に感じますが、氷が無性に食べたくなるのも貧血の症状のひとつです。氷食症と呼ばれ、貧血により体内の赤血球が不足すると、体温が上がるので、体温調節のために冷たいものが欲しくなることが原因で引きおこると言われています。

「紙コップジュースの氷が好き」という程度なら問題ありませんが、一日に製氷皿1皿以上の氷を食べているような場合は貧血の可能性がありますので、1度病院を受診しましょう。妊娠前から慢性的な貧血状態だった妊婦さんは、自覚症状が薄く、知らず知らずに貧血が重症化する恐れがあります。

妊婦の貧血による赤ちゃんへの影響

妊娠中は、赤ちゃんに優先的に栄養が送られますので、軽度の貧血なら赤ちゃんに大きな影響はありません。しかし、鉄分は、赤ちゃんの骨を作る重要な栄養素のひとつ。貧血が重症化してしまうと赤ちゃんが育たない発育不全、出産時の出血に母体が耐えられない危険性があります。

妊娠初期は赤ちゃんの器官を形成する重要な時期ですので、妊婦さんは「貧血気味かな?」と感じたら早めの対策が必要です。

妊娠中に貧血が起こりやすい原因

妊婦の貧血の大多数は、鉄欠乏性貧血で、赤血球中のヘモグロビンが不足し、体に十分な酸素を運搬できなくなるために起こります。

ではなぜ、妊娠中に赤血球(ヘモグロビン)が不足するのでしょうか?貧血になりやすい原因を解説します。

急激な血液量の増加

妊娠すると、胎内の赤ちゃんに栄養を送るため妊娠前と比べて血液量が増えます。妊娠6週から血液量は増加しはじめ、妊娠20週ごろには妊娠前のおよそ1.5倍となります(注1)。

しかし、単純にそのまま量が増えるというわけではなく、赤血球や白血球などの血球の増加に比べて、血漿(けっしょう)という液体成分がより多く増加するため、血液は妊娠前より薄まった状態となります。

血液の量に対して酸素を運ぶ赤血球の数が少ないので、貧血を引き起こす要因になるのです。

必要鉄分量の摂取が困難。つわりで摂取量が減少

つわりで吐きそうになっている妊婦さん

貧血には、鉄分補給が重要というのは、有名な話ですよね。実は、赤血球のヘモグロビンは、鉄分により構成されているのです。鉄分は、体内では生成できないので、食事などを通して外部からの摂取が必要不可欠です。

妊娠前の18歳~29歳、30~49歳の一般女性の理想敵な鉄分摂取量は10.5ミリグラムですが、妊娠すると、鉄分の必要摂取量は大幅に増加します。妊娠初期は、月経も止まっており胎児も小さいので8.5ミリグラムですが、妊娠中期・後期は18~29歳で21ミリグラム、30歳~49歳で21,5ミリグラムと、妊娠前のおよそ2倍の鉄分が必要です(注2)。

通常時の2倍の鉄分補給というのは、なかなかたいへんですし、特に妊娠初期は、つわりもあり、食べられるものが限られる人もいるでしょう。生理がある普段より鉄分摂取量は減量しても大丈夫な時期ではありますが、やはり食事量が激減すると、鉄分が不足し、貧血になってしまいます。

妊婦の貧血対策~予防・改善に役立つ食べ物は?サプリはダメ?

鉄欠乏性貧血は、その名の通り、血液中の鉄分が不足することで引きおこります。鉄分は、体内で生成できませんので、食べ物等による経口摂取が基本です

鉄欠乏性貧血は妊婦さんの約4割が経験するともいわれています。今まで貧血を経験していなかったという女性でも妊娠を機に貧血になってしまう可能性が高いのですが、食事の栄養バランスに注意することが最大の予防・改善方法です。

妊婦の貧血を予防・改善するために摂りたい栄養素

鉄分は、肉や魚などの動物性食品に含まれるヘム鉄と、野菜や穀類など植物性食品に含まれる非ヘム鉄の2種類があり、ヘム鉄のほうが非ヘム鉄に比べて鉄としての吸収効率は良いのが特徴です。

しかし、ヘム鉄食品の摂りすぎは、カロリーオーバーや脂質過多に繋がります。どれか一つの食べ物を食べ続ければいいというわけではなく、栄養素をバランスよく取り入れていくのが重要です。

ヘム鉄を多く含む食品

ヘム鉄は肉や魚などの動物性食品に多く含まれます。100g中に含まれる鉄分含有量が多い代表的な食べ物を食品成分データベースから抜粋してご紹介します(注3)。単位はすべてミリグラムで、すべて生の状態で、火を通すと、鉄分は多少失われてしまします。

豚レバー13
鶏レバー9.0
うま肉(赤身)4.3
牛もも肉(赤身)3.8
しじみ8.3
あさり3.8

やはり鉄分量が圧倒的に高いのはレバーです。しかし、レバーはビタミンAの中でもレチノールという成分を多く含んでおり、妊娠中のレチノールの摂りすぎは胎児の先天異常に繋がる可能性も指摘されています(注4)。ごくたまにならともかく、妊娠中の継続的な鉄分補給にレバーを食べるのはNGです。

非ヘム鉄を多く含む食品

妊婦さんはヘム鉄含有の食品よりも、植物性の非ヘム鉄が多く含まれる食品を積極的に摂りましょう。表は、同じように食品成分データベースより抜粋しました(注5)。

ほうれん草2.0
こまつな2.8
切干しだいこん3.1
乾燥ひじき(ステンレス釜)6.2
納豆5.9
オートミール3.9
干しぶどう2.3

非ヘム鉄は野菜や穀類に多く含まれます。非ヘム鉄はヘム鉄に比べると吸収率が落ち、タンニンなどによって吸収が妨げられやすいという特徴がありますが、一般的に日本人の食生活だと一日に摂取する鉄分の8割以上は非ヘム鉄の食品から摂られているのが現状です。

手軽に毎日!貧血予防におすすめのレシピ

妊婦さんの貧血予防におすすめのレシピの一例を紹介します!

小松菜やほうれん草のおひたしにレモン汁をプラス

ほうれん草のおひたし

小松菜とほうれん草は、非ヘム鉄が多く含まれています。小松菜にはビタミンAも含まれますが、吸収されるときはレチノールではなく、βカロテンとして体内に吸収されるためビタミンAの過剰摂取には繋がりません。また、非ヘム鉄の吸収を助けてくれるビタミンCがたくさん含まれています。

ほうれん草や小松菜は、沸騰したお湯でさっと茹でておひたしにすると副菜として使い勝手抜群です。レモン汁を加えた味付けをすれば、更にビタミンCが鉄吸収率を上げてくれます。

ひじきご飯ならお弁当にもOK

非ヘム鉄を多く含むひじきをお米と美味しく食べるレシピです。ひじきはもちろん、油揚げなど大豆を使った製品は鉄分を豊富に含んでいます。主食のご飯と一緒に鉄分が摂取でき、おにぎりにすれば持ち運びもOK。

材料は、乾燥ひじき20g、米2合、だし汁360㏄、油揚げ1枚、人参大2分の1、酒大さじ1.5、みりん大さじ1.5、しょうゆ大さじ2です。

  • 乾燥ひじきを水でもどして3センチくらいに切る
  • にんじん、油揚げを2㎝くらいの細切りにする
  • 洗った米とだし汁を炊飯器に入れ、調味料を全部混ぜる
  • 人参、油揚げ、ひじきは混ぜずに米の上にのせて炊飯する
  • 出来上がったら具とご飯を混ぜて器に盛る

 

つわり中の朝食におすすめなオートミール

つわりのある妊婦さんでも、シリアルなどは食べられる方が多いですよね。つわり時の朝食として、特におすすめなのがオートミールです。

シリアルの中でも、コーンフレークやグラノーラは砂糖が含まれている商品も多いですが、オートミールはオーツ麦を乾燥させたもので、基本的に砂糖は含まれていません。海外では牛乳とともに煮込み、日本のおかゆのように食べられています。

オートミールそのものにも鉄分が含まれていますし、日本でオートミールを食べる場合、牛乳やヨーグルト・豆乳などと一緒に召し上がる方も多いでしょう。この際に、きな粉や干しぶどうなど、鉄分を含む食品をトッピングすれば、更に鉄分摂取量がアップ!つわり時でも食べやすくて、鉄分補給ができる朝食が簡単に完成します。

鉄分の吸収を妨げる注意したい食べ物

鉄分を摂取したら、それをうまく体内に吸収させることが重要です。食べ物の中には、鉄分の吸収を妨げる働きのあるものがあるので、貧血が気になるときには鉄分と一緒に摂らないように気を付けましょう。

たとえば、コーヒーや緑茶に含まれるカフェインやタンニンは鉄分の吸収を妨げてしまいます。また、カフェインは胎児の成長にも影響を及ぼしますので、妊婦さんはできるだけノンカフェインの飲み物を選ぶようにしましょう。

妊娠中のカフェインなぜだめ?胎児への影響と1日の許容量
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おすすめノンカフェイン飲料

たんぽぽ茶を飲んでいる妊婦さん

コーヒーの置き換えとして、おすすめな飲み物としてたんぽぽ茶があります。たんぽぽ茶はコーヒーの風味がありますが、ノンカフェインなので妊婦さんでも安心して飲むことが出来ます。

たんぽぽ茶の効能として、利尿作用によるむくみの改善、血流を促進して血液の流れをよくするなどがあり、まさに妊婦さんにぴったりな飲み物と言えるでしょう。

最近ではたんぽぽ茶の効能が注目されてティーバックなどに入ったものが数多く市販されているので、手に入りやすいのも良いですね。

鉄分補給にサプリの利用はOK?

つわりや体調不良も多い妊娠中は、食事だけで必要な栄養素を摂るのが難しいこともありますよね。そんな時に頼りになるのがサプリメントで、現在はマタニティブレンドと名前がつき、鉄分や葉酸など、妊婦さんに必要な栄養素を含んだ商品も販売されています。

ですが、サプリメントの利用に関しては、慎重になりましょう。実はサプリメントの摂取が胎児にどのように影響するのかの研究データは十分ではなく、またサプリメントの品質は商品により異なっているのが現状です(注6)。

食事での栄養摂取が難しい場合は、医師に相談の上、信頼のおけるメーカーのサプリを選びましょう。

妊婦が貧血になったときの治療方法は?

一般的な妊婦検診では、妊娠初期、中期、後期の3回血液検査をする機会があります(注7)。通常ヘモグロビン濃度は成人女性で12~15g/dlで、妊婦さんの場合11g/dl以下になると貧血と診断されます。

数値が2桁あれば、まだ食事の注意くらいですみますが、1桁に入ってしまうと身体に不調が現れる可能性が高くなって、鉄剤の処方などが勧められます。

妊娠中の貧血治療の選択肢

妊婦さんが貧血と診断された場合、どのような治療方法をとられるのでしょうか?

鉄剤(経口剤)の服用

鉄剤を飲んでる妊婦さん

妊娠中の鉄欠乏性貧血の治療として、代表的なのが経口剤による鉄剤の服用です。
鉄分を経口で取り入れると胃腸に負担がかかるため、副作用として便秘や下痢、嘔吐などが起きる場合があります。胃が荒れていると鉄剤を吸収しにくく、吐き気がしやすいので、胃薬と一緒に飲むように指示されるケースもあります。

経口剤での鉄剤は4種類くらいあるので、一つの鉄剤が合わなくても、他の鉄剤だと問題のないこともあります。副作用が出ているにも関わらず、赤ちゃんのためにと無理に飲み続ける必要はありません。医師と相談して他の薬も試してみましょう。

鉄剤は身体に鉄分が蓄積されるまで飲み続けなくてはならないものです。鉄剤を飲んだからと言って、すぐに効果が現れるわけではなく、食事などの生活習慣の改善も同時に行いましょう。

鉄剤注射・点滴

重度で急を要する鉄欠乏性貧血の場合、経口での服薬が難しい場合は、注射や点滴によって、鉄分を補給する方法があります。

注射の場合は胃腸に負担がないので、経口剤に比べると吐き気などの副作用は起こりにくいです。しかし、人によっては注射でも頭痛などの副作用がありますし、なにより鉄分の過剰摂取は肝臓等の臓器に負担をかけますので、あまりとられる措置ではありません。

妊婦の貧血は出産時のトラブル、産後の体調不良にも繋がる!

妊婦さんの多くが経験する貧血ですが、貧血が続くと赤ちゃんが大きく育たず低体重児での出産になってしまう危険があります。また、出産時、自然分娩では500ミリリット、帝王切開では1リットル近くの出血がありますから、貧血気味だと産後も体調が優れず、なかなか体が回復しません。

妊娠中期・後期の鉄分必要量は普段の2倍!今まで貧血になったことがないという妊婦さんも、鉄分を摂れるようまずは基本の食生活を見直しましょう。

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