助産院出産のメリットとリスク

助産院での出産はメリットとリスクの両方を理解して!

助産院での出産に興味があるという方に向けて、助産院とはどのような施設なのか、医療的処置など病院との違いを解説。助産院で出産するメリットとリスク、出産できる母体や赤ちゃんの条件を解説し、妊婦健診や出産時の費用についても説明します。信頼できる助産師や医療機関との連携が絶対条件です!

助産院での出産はメリットとリスクの両方を理解して!

助産院と病院は何が違う?

出産する際には、分娩・入院設備が整っている産婦人科や産科のある大きな病院で産むという人が多いでしょう。一方で、助産院など助産師さんが運営する施設での出産を希望する人もいます。

助産院とは、いったいどのような施設なのでしょうか?
助産院と産婦人科の違い、助産院での出産のメリットとリスク、助産院で出産ができる条件をご紹介します。

助産院とは

助産院に入院中の妊婦

『助産院』や『助産所』などと言葉の違いはありますが、いずれも同じく助産師が出産を介助する施設を意味します。

助産院はベッド数が9床以下と決められていますので、出産が重なる時期や直前の場合は、希望しても受け付けてもらえないケースもあります。

また、助産院を開業できるのは、助産師だけではありません。医療法人や社会福祉法人が助産院を開業することもあります。ただし、医療法人が開業した場合でも、助産院として登録されているなら医師は常勤していませんし、医療的処置を受けられません。

産科医師がいるかどうかが根本的な違い

助産院は、あくまでも助産師が出産を介助する施設です。出産前後にトラブルが発生して、医療的な処置が必要になった場合には、すぐに近くの病院に搬送され、医師による手術や治療を受けることになります。

一方、病院や診療所で出産をする場合も、特にトラブルがないときや無痛分娩のための麻酔などをしないときは、助産師が最初から最後まで出産を介助し、医師はほとんど何もしないというケースもあります。

ですが、病院や診療所は医療施設ですので、何かあったときにすぐに医師が来て、医療的処置を行えます。いざというときのために医師が控えているか、そして、帝王切開や麻酔投与、会陰切開などの医学的処置を実施できるかが、助産院と病院・診療所のもっとも大きな違いと言えるでしょう。

助産院で出産するメリット

医師が不在で医療的処置が行えない助産院。ですが、次のようなメリットがあるために、助産院での出産を選ぶ妊婦さんもいます。

出産スタイルの選択肢が増える

ソファに座る妊婦

病院や診療所で出産するときは、基本的には産婦は分娩台の上に上がり、ひざを立てて足を開き、医師や助産師が赤ちゃんを取り出しやすい姿勢を取ります。

ですが、助産院では、なるべく産婦の希望を取り入れようとしてくれるところも多く、横に寝転がった姿勢での出産や水中出産など、さまざまな出産スタイルを叶えることが可能としているケースもあります。

バースプランも柔軟に聞き入れてくれる助産院が多く、自分の納得できるスタイルで出産したい妊産婦さんにとっては、理想的な出産場所と言えるでしょう。

出産が楽しみになるバースプランとは?
出産が楽しみになるバースプランとは?

家庭的な雰囲気で落ち着ける

9床以下の助産院では、常に同じ助産師やスタッフが担当してくれることが多く、妊婦健診などで顔を合わせる機会が増えるにつれ、気心が知れていきます。助産師やスタッフを「人として信頼できる」と感じている妊婦さんは、出産への恐怖が軽減され、陣痛・分娩時も、安心して身を任せることができます。

一方で、大規模病院の産科では、診察する医師が日によって異なったり、担当してくれる助産師さんや看護師さんが、顔を覚えられないほど多く在籍していたりすることは珍しくありません。なかなか馴染めないまま退院するということもあるでしょう。

自然分娩が可能

陣痛促進剤や吸引分娩は避けたいと思っている場合でも、病院や診療所などの医療機関で出産すると、医師が「母体の体力消耗を防ぐためには仕方がない」「今、この治療が必要」と判断した場合には薬剤投与や器具の使用が実施されてしまいます。

一方、助産院では医療的な処置が実施できませんので、少々出産時間が長引いても、命を脅かす程度ではないと判断されたときは、薬剤や器具を使わずに自然分娩を続けさせてくれます。

病院で出産するときより出産費用が低いことも多い

赤ちゃんを出産した女性

助産院によって出産費用は異なりますので一概には言えませんが、平均的に見ると、病院や診療所で出産する場合より、助産院で出産する場合の方が出産費用の総額は少なくなる傾向にあります。

これは、スタッフ数が少ないために人件費が押さえられることや、施設や器具の維持費が少ないこと等が理由として考えられます。

ただし、出産前に提示される料金は、あくまでも見積額ですので注意して下さい。出産が長引いたり入院が長引いたりすると、出産費用総額も高くなりますし、出産時にトラブルが起こって病院に搬送されるなら移動費や医療費が別途発生します。

助産院で出産するリスク

最近、注目の助産院での出産。しかし、産科医師がいない環境での出産は、当然リスクもあります。
助産院での出産を選ぶと、どのようなリスクを抱えることになるのでしょうか。

緊急時の処置が遅れる

病院で診察を受けている妊婦

病院で出産する場合は、母体にモニターを付けて、赤ちゃんの様子を観察しながら出産することも多いです。赤ちゃんの様子を観察することで、臍帯が赤ちゃんに巻きついていたり、赤ちゃんの体力が落ちていたりすることを事前に察知できますので、緊急時はすぐに帝王切開に切り替えるなどの処置が行えます。

また、トラブルが起こっても、その場で医師が処置できます。小さな診療所で出産する場合は、必要な医療機器がなく、他の医療施設に搬送される可能性がありますが、それでも搬送されるまで医師が適切な治療や処置を行ってくれますので、手をこまねいて見ているだけという状態にはなりにくいです。

一方、助産院では助産師の経験と判断力だけに頼って出産をすることになりますので、赤ちゃんが胎内でトラブルに遭っていることに気づけなかったり、疾病の兆候を見逃してしまったりすることもあります。

そして、明らかに医療手処置が必要なケースでも、受け入れ先の病院に連絡して、病院に産婦を運んでからの治療となります。初めから病院に入院している産婦さんと比べると治療を受けるまでに大きなタイムロスが生じてしまいます。

出産時に体調が急変することや思わぬトラブルが発生することは、どの妊産婦さんにも起こり得ることです。緊急時の対応が気になる妊産婦さんは、助産院ではなくICUやNICUを完備した医療施設を選ぶ方が良いでしょう。

妊婦健診補助券が利用できないこともある

自治体によって枚数や使い方は異なりますが、母子手帳には妊婦健診で利用できる「妊婦健診補助券」がついています。ただし、この「妊婦健診補助券」は利用できる施設が限定されていますので、助産院によっては利用不可となり、全額実費で妊婦健診を受けなくてはならないこともあります。

妊婦健診は保険が適用されませんので、全額実費(1回当たり7,000円~15,000円ほど)となるとかなり家計にも負担を与えます。助産院を選ぶ前に「妊婦健診補助券」が利用できるのか電話で尋ねてみましょう。

健康保険の「出産育児一時金」は受け取れる

助産院で出産する場合でも、加入している健康保険から42万円の「出産育児一時金」を受け取ることができます。助産院によっては直接支払制度(42万円の範囲内で医療保険が直接助産院に出産費用を支払う制度)を利用できることもありますが、出産後に妊婦あるいは家族が手続きをして出産育児一時金を受け取り、助産院に出産費を支払うこともあります。

いずれの方法で出産育児一時金を受け取る場合も、出産費用が42万円未満であったときは、差額を受け取ることができます。ただし、産科医療保障制度の適応外の出産には、出産育児一時金の額は40.4万円になります。

助産院で出産するためのチェックリスト

すべての妊産婦さんが助産院で出産できるわけではありません。助産院では医療の提供ができませんので、医学的処置を行う可能性が高い妊産婦さんは受け入れてもらえないのです。
助産院での出産が可能な妊婦や胎児の状態・症状を解説します。

母体に合併症や感染症が起こっていないこと

布団に入り咳をしている女性のイラスト

妊娠中甲状腺異常や喘息等の合併症が見られることがあります。このような場合は、出産前後に産婦さんの体調が急変したり、治療が必要になったりすることが多いので、助産院での出産は勧められません。

胎児の異常や妊娠期間中に異常が見られないこと

妊婦健診で、胎児の異常が見つかることがあります。そのようなケースでは出産後すぐにNICUに入院しなくてはならない等の医学的処置が必要になりますので、医療設備がなく医師もいない助産院での出産は難しくなるでしょう。

また、妊婦さんに異常が見つかることもあります。高血圧や高血糖などの状態が見られると、出産もハイリスクになりますので、すぐに医学的処置が受けられる病院やICU等の設備のある救急医療機関に入院することが勧められます。

その他にも、胎盤が下方に形成される「前置胎盤」等の場合も、帝王切開による出産が必要となりますので、医師不在の助産院での出産は困難になるでしょう。

前置胎盤とは?診断を受けた時に注意すべきこと
前置胎盤とは?診断を受けた時に注意すべきこと

多胎児ではないこと

双子や三つ子などの多胎児も、単胎児(胎内に赤ちゃんが1人しかいないケース)と比べるとリスクが高い出産となります。お産も長引くことが多いですので、胎児だけでなく母体を危険にさらさないためにも病院での出産が勧められるでしょう。

多胎妊娠のリスクとは?双子・三つ子出産までの道のり!
多胎妊娠のリスクとは?双子・三つ子出産までの道のり!

4人以上を出産したことがないこと

今までに4人以上を出産したことがあるお母さんも、出産時にリスクを抱えることになります。出血量が多くなったり出産時に血圧が急低下したりする可能性もありますので、もしもの場合に備えて医療機関で出産することが勧められます。

経産婦の出産にみられる傾向や注意点とお悩み対策
経産婦の出産にみられる傾向や注意点とお悩み対策

帝王切開をしたことがないこと

1度でも帝王切開で出産したことがあるお母さんは、次の出産も帝王切開によって実施されることが多く、助産院での出産が勧められません。帝王切開後に自然分娩をするブイバック出産と呼ばれる方法もありますが、子宮破裂などのリスクを伴うため、ブイバック出産を実施しているのは一部の産婦人科のみです。

帝王切開後の二人目妊娠までの期間は?自然分娩は可能?
帝王切開後の二人目妊娠までの期間は?自然分娩は可能?

逆子でないこと

正産期になっても頭部が子宮口を向かない場合、「逆子」と判断され、帝王切開による出産を選択する可能性が高くなります。助産院では帝王切開は実施できませんので、医師が常勤する病院での出産が勧められます。

逆子はいつまで直せば帝王切開を回避できるのか
逆子はいつまで直せば帝王切開を回避できるのか

助産院出産を検討するときにの注意点

リスクを理解したうえで、助産院での出産を選ぶ場合、以下の2点を考慮しましょう。

信頼できる助産師さん・助産院を選ぼう

助産師からカルテを見せてもらう妊婦

助産院の中には、妊産婦さんにとって異常に厳しかったり、勉強不足だったり、「自然分娩」を過度に推奨し、現代の参加医療を敵視するような助産師さんが運営している施設もあります。

産婦人科選び以上に助産院選びは慎重になりましょう。
実際に利用したママ達の口コミや自分の目による印象など、「ここで出産したい!」と思う施設を見つけてください。もし見つけられないのなら、病院での出産に切り替えた方が良いでしょう。

信頼できる助産師、助産院が見つかった場合、妊婦健診を受け、出産予定日等から施設内のベッドに空きがあるかどうか尋ねましょう。

提携医療機関との連携がとれているが最重要

助産院で出産できる条件にすべて当てはまり、医師や助産師からも助産院での出産が可能だと言われたとしても、出産に「絶対」はありません。何のトラブルもなく妊娠期間中を過ごしてきたとしても、出産時にトラブルに見舞われ、医療的処置が必要になることもあるのです。

助産院の助産師に、どの医療機関と提携しているのか、緊急時にはどのように搬送してくれるのかしっかりと尋ねて下さい。そして、病院に行くことを決定する基準についても尋ねて下さい。

助産院でトラブルに見舞われたときは、病院内でトラブルに見舞われたときよりも、医師がおらず医療機器もないために処置が遅れてしまいます。少しでも「おかしい」「危険だ」と感じたら、すぐに病院への搬送を決定してくれる助産院を選ぶようにしましょう。

母子の安全が最優先!助産院を1つの選択肢に

助産院には助産院の、病院には病院のメリット・デメリットがあります。出産してから後悔することがないように、それぞれの長短所をしっかりと吟味して下さい。

また、実際に施設を訪れ、担当する医師や助産師の話を聞くことも大切です。信頼できるスタッフと出産できるように尽力しましょう。

おすすめコンテンツ