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母体血清マーカーテストについて

母体血清マーカーテストとは?費用や時期、検査でわかること

母体血清マーカーテストとは赤ちゃんの先天性異常の確率を算出するための出生前診断です。トリプルマーカー、クアトロマーカー、AFP4テストなど種類や費用や時期、この診断でわかることを解説します。ダウン症やエドワード症候群など染色体異常の検査について紹介します。

母体血清マーカーテストとは?費用や時期、検査でわかること

妊娠・出産の検査の一つ「母体血清マーカーテスト」

妊娠後は、出産までの間に様々な検査を行い母体と赤ちゃんの健康状態や発育状態などを確認します。多くのママが心配する事の一つにこれから生まれる赤ちゃんの健康・発育などの健康状態ですよね。

数ある検査の中に「母体血清マーカーテスト(検査)」というものがあります。最近では、妊婦さんの検査項目として徐々に認知が広がっている、この母体血清マーカーテストについて紹介します。

母体血清マーカーテストとは先天性異常が発生する確率を調べる検査

出生前診断を受けるかどうか迷う女性

そもそも、この「母体血清マーカーテスト」とは何でしょうか?妊娠後は所定の週数で血液検査を行います。
母体血清マーカーテストはこの中の一つで、妊婦の血液を採取し、血中のたんぱく質などの成分を検査・鑑定します。
検査項目数や種類などによって検査の名称が異なり、それぞれ

  • トリプルマーカーテスト
  • クアトロテスト
  • AFP4テスト
  • 母体血清マーカー検査

とも呼ばれます。

母体血清マーカーテストによって判別できる症例として、

  • ダウン症候群
  • 18トリソミー
  • 開放性神経管奇形の発症する確率

これらの先天性異常を判別し

  • 血液中の成分の値
  • 日本人の基準値
  • 妊娠週数
  • 体重
  • 家族歴
  • インスリン依存性
  • 糖尿病の有無

を年齢と各種の数値や状況を合算して確率を算出します。
つまり胎児に先天性の異常が発生するかどうかの確率を調べる事が可能となります。

ただし、この母体血清マーカーテストでは胎児の先天性の有無が確認できるものではありません
従って、実際に出生するまでは本当に先天性の異常が出る・出ないは判断出来ませんので、検査の内容についてはしっかりと主治医のお話を聞くようにしましょう。

トリプルマーカーテストの検査項目

患者の薬を探すベテラン看護師

  • アルファフェトプロテイン
  • ヒト絨毛ゴナドトロピン
  • エストリオール

これらのたんぱく質やホルモンなどの成分3項目の数値を検査します。
※これらはがん検査にも使用される腫瘍マーカーでもある為、知っておくと今後のがん検診でも数値内容の理解に役立つ場合があります。

クワトロマーカーテストの検査項目

トリプルマーカーテストの項目+インヒビンAの4項目の数値を検査します。

国や医師により意見が割れる母体血清マーカーテストの必要性

母体血清マーカーテストについて考える看護師

母体血清マーカーテストは国や医師によって、必要性の意見は割れています。
病院側から綿密に検査を行う様に言われる場合もあれば、妊婦の方の希望に応じて行う場合もあります。
特に高齢出産と言われる30代後半以降に出産を予定しているママは、出産に伴うリスクに関しても通常以上に気を遣う為、年齢によって検査の重要度が異なっています。

加えて、母体血清マーカーテストは確定した情報が出せない為、その後の羊水検査などを行ったとしても確定診断が出来ない事や以後の検査を行う場合には、胎児への影響や出産リスクが上昇してしまう可能性もあります。
安心を得るため行う検査と言うより予備知識を得る為に行う側面があります。

ママの年齢と生まれてくる赤ちゃんのリスクの関係

生まれてくる弟が楽しみな赤ちゃん

出産年齢が高くなればなるほど、染色体異常の赤ちゃんが出生してくる確率が上がっていくと言われています。
20歳と40歳では、約20倍近い確率で40歳に出産したほうが染色体異常を発症する可能性が高まるとまで言われ、出産のリスクは年齢を重ねるごとに上がっていきます

そう言った現状を考えた場合、早い段階で染色体異常の有無を確認する事で、出産に向けて準備するべきこと、やるべき事がわかります。
また、出産時や出産後のリスクを最小限に抑えるという意味合いも考えられます。

病院では検査を薦めない?

出生前診断について病院で薦められない妊婦

あくまで染色体異常の確率を調べる検査なので、能動的に母体血清マーカーテストを勧める病院とそうでない病院があります。また、国によっても意見が分かれ政策の違いで勧めたり勧めなかったりしています。日本国内の場合、

1999年に厚生労働省による「母体血清マーカー検査に関する見解」

にて、病院側に対し検査の実施にあたっては患者への詳細説明と理解を求める様要請を出しています。
この見解が発表された理由は、母体血清マーカーテストによる診断結果によって、あらぬ誤解や不安を与える事が多くあったという事がその背景にあります。

検査というと結果が出たことで病気などの有無がはっきりすると思われがちですが、実際には検査の結果で確定的な判断が困難であるにもかかわらず、互いの理解に齟齬(そご)が起きてしまう場合があったようです。

病院側としても、確定診断ではない以上、患者の精神的・肉体的不安を助長する可能性がある検査では、なかなか勧めにくいという実態があるのかもしれません。
どうしても気になる、一般検査で数値異常が出ているなどの場合には、より詳細に検査を行うという形で段階的に行う場合もあります。

母体血清マーカーテストでわかること

母体血清マーカーテストでは、ダウン症候群、18トリソミー、開放性神経管奇形の先天性異常が発症する確率を調べることができます。
検査の結果に応じて、羊水検査などの確定診断検査を行うか否かの判断を行います。

新生児に最も多いダウン症候群

出産が近づきお腹の赤ちゃんの健康が心配な妊婦

ダウン症候群とは、これらの先天性異常の総称を指し、新生児に最も多い遺伝子疾患の事です。
22対ある染色体の組み合わせのうち、通常2本1組のはずの染色体が、21番目のみ3本1組と1本多い状態となる先天性異常の事です。
21番染色体には、自己免疫に関するものや難聴などに関する遺伝子が含まれているため、この部分に異常が発生する事で多様な先天性異常が発症します。

主な症状

  • 先天性心疾患や知的障害
  • 低身長
  • 肥満
  • 頚椎不安定性
  • 閉塞性睡眠時無呼吸
  • 耳の感染症
  • 眼科系疾患
  • 特異的顔貌
  • 翼状顎
  • 奇形など

新生児の生存率が低い18トリソミー

お腹の赤ちゃんに先天性の病気が見つかった妊婦

18トリソミーとは、別名「エドワーズ症候群」とも呼ばれていて、22対ある染色体の18番目の染色体が通常2本1対のものが3本1対と通常より1本多い状態となる先天性異常の事です。染色体の状態によって標準型、モザイク型、転座型、その他と分けられています

新生児の生存率が著しく低いことでも知られ、ほとんどが胎児の段階で淘汰され、出産後も1週間で40%、2ヶ月生存率が約50%、1年後で約10%となります。男児の場合には胎児の内に淘汰されやすいと言われています。

逆に女児は胎児の内に淘汰されにくい事が多く、女児:男児の発症比率は約4:1とされています。特に女児は出生後の発症数が比較的多い結果となっていますが、出生後の生存率も、女児の方が男児に比べ高くなっています。

特に帝王切開により、生存率が比較的上がると言われていますが、切開によって起こりうる母体の負うリスクとの天秤にかける事が迫られる場合もあります。

主な症状

  • 先天性心疾患
  • 低体重
  • 成長障害
  • 奇形
  • 腹直筋ヘルニア
  • 停留精巣などの成長及び体形等の異常など

神経管が正常に形成されない開放性神経管奇形

生まれてくる赤ちゃんを思い浮かべる妊婦

本来胎児の間に神経管が妊娠周期に応じて形成されていきますが、この形成時期に神経管が正常に形成されない為、脳や脊髄に障害が起きている状態を指します。
開放性神経管奇形には、脊椎が正常に形成されない二分脊椎と頭蓋骨が正常に形成されない為に脳が発達しない無脳症があります。

前者は、手術によって感染症抑止などを行う事で以後の成長が順調に行く場合があります。後者は、特に重度な症状と言われ発症後数日から数週間で亡くなるケースが多くあります。

主な症状

  • 二分脊椎
  • 無脳症
染色体異常の種類|ダウン症やその他の染色体異常と特徴
染色体異常の種類|ダウン症やその他の染色体異常と特徴
染色体異常の種類は染色体の数と構造の違いにより細分化されます。ダウン症や18トリソミーをはじめとする染色体異常の種類とそれぞれの症状や胎児の異常の有無を調べる出生前診断について分かりやすく解説。

テスト出来る時期は妊娠15週から21週まで

出生前診断ができるぎりぎりの週数の妊婦

母体血清マーカーテストができる時期は妊娠後15~21週までです。
羊水検査を受ける前提であれば妊娠17週までに受けることが推奨されています。検査結果がでるまでは10日前後を要します。

主に大学病院や産科医院などで実施が可能です。
ただし、地区の産科医院などの場合では必ず行っているとも限らない為、不安な方は事前に各病院へ確認をする事を勧めます。
費用は約1万円~2万円で受けることができます。検査費用については病院でも違いがあるので、かかりつけの産婦人科に直接確認しましょう。

先天性異常を算出する確率

母体血清マーカーテストの説明をする医師

各異常検出率は以下の通りです。
(検出率:偽陽性となった妊婦から先天性異常が発症した確率)

    • ダウン症候群:約85%
    • 18トリソミー(エドワーズ症候群):約80%
    • 開放性神経管奇形:約85%

いずれも、検査の結果陽性と判定された上で発症した確率を指します。陽性であっても、発症をしない場合もあり、また陰性と判定されても、発症する場合もあるため、数字だけでは確定判断は困難な内容になります。

検査のリスクは確定できないこと

母体血清マーカーテストは血液検査による判定のため、出産に際してのリスクは現状特に報告はありません。ただし、検査の結果はあくまで確率であることから、陽性・陰性いずれの結果であっても安心はできないという点は、リスクと言えるかもしれません。

母体血清マーカーテスト以外の出生前診断

母体血清マーカーテストの検査結果を見る医師

出生前診断には、母体血清マーカーテスト以外にも下記の様な検査があります。特に近年では、母体血清マーカーテストの精度が更に向上した検査も出てきています。
それぞれにメリット・デメリットはありますが、総じて母体血清マーカーテスト同様に確定的な診断が困難であるという点は一緒です。

出生前診断の費用や実施時期と具体的な検査内容や問題点
出生前診断の費用や実施時期と具体的な検査内容や問題点
出生前診断の費用や実施時期、染色体異常を検出するための非確定的検査や確定的検査など詳しい検査内容を解説し、出生前診断後の人工中絶など「倫理的な問題」についても触れていきます。

NIPT(新型出生前診断)

母体血清マーカーテスト同様に、超音波マーカー検査と血液中の遺伝子解析をすることで、胎児の染色体や遺伝子を調べる検査です。
主に35歳以上で出産される妊婦さんが対象となります。
(病院によっては、該当年齢以下でも希望を伝えれば行ってくれる場合もあります。)

母体血清マーカーテストよりも、多角的から検証を行うため、精度が高くなっています。

注意点として自由診療となる為、従来の検査と比較した場合10倍以上の費用が発生します。
妊娠11週目~13週目で検査が可能と、母体血清マーカーテストと比べ早い段階で検査が可能です。

羊水検査(羊水穿刺)

羊水検査について本で調べる妊婦

お腹の中の羊水を採取し、その中に含まれる胎児の細胞や遺伝子情報を解析することで胎児の染色体異常を確認する検査です。
現状ではダウン症候群については99.9%の確率で判定される為、主に各種の出生前診断の確定診断として行われる検査の為、単体で羊水検査だけを行うということはほとんどありません。

ただし、確定診断としての検査とはいえ、可能性の域を出ないという点があります。費用は約15万前後です。

羊水を採取するため一時的に羊膜に穴を空けることから、胎児の感染症や流産、破水など出産リスクが発生する可能性があり、更に多胎児の場合には診断結果がぶれる可能性も含まれていることから非常にリスクの高い検査と言われています。
検査は15週目以降に実施が可能な場合が多くあります。

ママとパパが話し合い理解した上で検査を受けましょう

出生前検査には様々な種類があるということが分かります。特に出産の高齢化が進んでいる最近では、こういった検査のニーズが高まってきているのは確かですが、いずれの検査を行ったとしても最終的にはパパやママが検査結果に対するしっかりとした理解と準備が必要です。

特にこれらの各種検査は自由診療であること、日本産科婦人科学会の指針をベースに先天性異常の赤ちゃんを妊娠・出産をした経験のある方、医師が受診を勧めた場合など、条件に該当する妊婦の方を除けば必ずしも妊婦全員が受診をしなければならないというものでもありません

とは言え、何も準備をせず、不安を抱えたままで出産・育児を迎えるよりも、しっかりとした準備をした上で出産を迎えた方が、気持ちも前向きになっていくのではないかと思います。

ただし、実際に症状が確定した場合などは最悪のケースを考える必要があります。非常に重要な決断を迫られる可能性もあり、出産に向けた準備の為の材料の一つとして、リスクを考慮にいれながら検査を行っていくことが重要になります。

検査を受ける・受けないも含め、どの様な結果・決断であったとしても、夫婦間はもちろん家族間でも理解を深めることが大切です。