ラマーズ法の呼吸法とは?

ラマーズ法とは?陣痛の痛みを和らげる呼吸法を覚えよう

ラマーズ法とは、産科医ラマーズが提唱した、陣痛の痛みを緩和する呼吸法のことです。ラマーズ法のやり方と分娩時に活用するメリットとデメリットをご紹介。注目のソフロロジーとの違いにも触れ、「新ラマーズ法」と呼ばれる、呼吸法以外の要素を取り入れた新しいラマーズ法についても解説します。

ラマーズ法とは?陣痛の痛みを和らげる呼吸法を覚えよう

ラマーズ法とは?ラマーズ法の方法と陣痛時の流れ

出産を控えた妊婦さんんはもちろん、例え出産を計画していない人も、「ラマーズ法」という言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。テレビやドラマなどで、陣痛中や分娩を控えた女性がベッドの上で「ヒッ・ヒッ・フー」と呼吸を整えている姿が描かれますが、その呼吸法がラマーズ法に由来のものだというのは、ご存知の方も多いでしょう。

ラマーズ法とはどのような方法なのか、そして、具体的にはどのように実施するのかについて説明してまいります。

ラマーズ法とは

ラマーズ法とは、フランスの産科医ラマーズが考案した分娩時の痛みを軽減する呼吸法のことを指しています。

自宅のベッドに横になる妊婦

病院や助産院がほとんどないロシアのシベリアでは、呼吸によって痛みを軽減しつつ自宅出産することが広く見られていました。その様子を目の当たりにして感銘を受けたラマーズ医師が、フランスでも利用できるように改良を加え、独自の呼吸法「ラマーズ法」として広めたのが始まりです。

ラマーズ医師がラマーズ法を確立したのは1951年のことでしたが、フランスだけでなくアメリカにも広まり、アメリカを経由して1960年代には日本にも広まるようになりました。

1970年代後半には全国的にラマーズ法の名前が知れ渡るようになり、現在に至るまでラマーズ法を実施する助産院や産科医院は多くあります。また、ラマーズ法を説明した書籍や雑誌、妊産婦を対象としたラマーズ法の講習会なども多くあります。

ラマーズ法の方法

「ヒッ・ヒッ・フー」という呼吸のイメージが強いラマーズ法ですが、実はこれはラマーズ法の1種類に過ぎません。ラマーズ法では、陣痛の間隔によって呼吸法を変えていきます。

陣痛が始まったとき呼吸法

ゆっくりと息を吐く妊婦

陣痛が始まると、痛みと緊張のために呼吸も不規則になってしまいがちです。ラマーズ法では呼吸をゆっくりと深くするように意識し、次の順序を繰り返します。

  1. 鼻からゆっくりと息を吸いこみます。
  2. 胸を意識的にふくらませるように、ゆっくりと空気を肺に送り込みます。

3.口からゆっくりと息を吐きます。

陣痛が5分間隔で起こるようになったときの呼吸法

陣痛と陣痛の間隔が規則的になり、陣痛から陣痛までの時間が約5分になったら、次の段階に移ります。痛みもだんだんと強まって来ますので、呼吸に集中することが難しくなってきます。どうしても集中しづらいときは、吐く息だけに集中するのもOKです。

  1. 「ヒッ」と短く鼻から息を吸います。
  2. 「フー」と長くゆっくりと呼吸を吐きます。呼吸を吐くときに全身から力を抜くように意識して下さい。

陣痛が2分間隔で起こるようになったときの呼吸法

陣痛から陣痛までの時間が約2分になったら、次の段階に移ります。子宮口がほぼ全開になりますので、痛みもさらに強まります。

  1. 「ヒッヒッ」と短く2回鼻から息を吸います。
  2. 「フー」と長く息を吐きます。
  3. いきみが強くなってきたら、「フー」と長く息を吐いた後に「ウン」と声を出していきみを我慢します。

ラマーズ法と立ち会い出産の関係

ラマーズ法では呼吸をしやすくするために、産婦の呼吸に合わせて隣で同じように呼吸したり、産婦に「ゆっくり吐いて」「いきみを我慢して」と声をかけたりする援助者が必要となります。

妊婦の妻の傍で一緒に呼吸法をやる夫

助産師や看護師がラマーズ法の援助者となっても良いのですが、日本では、一般的に配偶者である夫が援助者になることが多いです。また、アメリカでもラマーズ法などの呼吸法を実施するときは、夫が援助者となって妻の傍らで支えるのが一般的です。

厚生労働省の平成10年厚生白書でも、ラマーズ法の援助者として出産に立ち会う夫が増えつつあることを紹介しています。呼吸法を通して妻を支えるだけでなく、夫婦のきずなを強めたり、子どもに対する愛着を高めたりすることも指摘されています。

ラマーズ法のメリットとデメリット

ラマーズ法にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。長所・短所それぞれについて探っていきましょう。

ラマーズ法のメリット

ラマーズ法を実施することで、次のようなメリットがあります。

薬剤を用いずに分娩時の痛みを軽減する

ラマーズ法は元来痛みを軽減するための呼吸法です。上手に作用すると、麻酔などの薬剤を使用する必要がない程度に分娩時の痛みが大きく軽減されます。

夫の協力を得られる、夫の子どもに対する愛着を高める

妊婦の妻の肩に手をのせる夫

ラマーズ法を実施して出産する場合、呼吸法の援助者として夫やパートナーが選ばれることもあります。出産時に苦しむ女性を励ましつづけることで、夫も出産に参加したという気持ちを抱け、妻も夫の助けを得たことで満足感を得られます。

また、我が子の誕生の瞬間に立ち会うと、夫は子どもに対する愛着が深まります。それに加えて、妻やパートナーに対する感謝や愛情を強く感じ、夫婦間のきずなを強めることにもつながります。

パニックやうつ症状の回避にも効果があることも

出産中、日常生活ではあり得ないような痛みのために、パニック状態になってしまう妊婦さんもいます。ですが、ラマーズ法を活用するなら、出産中に痛みではなく呼吸法に集中しますので、パニック状態を回避しやすくなるでしょう。

その他にも、ラマーズ法の実施は産後うつの回避にも効果があるとされています。産後うつはホルモンバランスの変化等も誘発要因になりますが、出産の疲れも癒えぬ間に育児の負担があることも原因となります。

ラマーズ法で適度にリラックスした状態かつ痛みが少ない状態で出産を行うと、出産疲れからの回復も早くなりますので、疲れがたまりにくくなり、産後うつも回避しやすくなるのです。

ラマーズ法のデメリット

良い点も多いラマーズ法ですが、少なからずデメリットもあります。

出産時に痛みのあまり実施できないこともある

ラマーズ法を出産時に活用しようと、妊娠初期からラマーズ法の講習会に通ったり、独自に勉強したりする妊産婦さんもいます。ですが、いざ本番となると、痛みのあまりパニックになってしまい、長い時間をかけて練習してきた呼吸法がまったく実施できないこともあるでしょう。

出産が終わってから、「ラマーズ法を練習してきたのは何だったのだろう」と徒労感に襲われたり、スムーズに出産できなかったと挫折感を抱く人もいます。

ラマーズ法はもう古い?注目の「ソフロロジー」とは?

あぐらをかいて座る妊婦

ラマーズ法を実施している助産院やラマーズ法を教えてくれる講習会はまだまだたくさんありますが、現在は、ラマーズ法よりも「ソフロロジー」と呼ばれる呼吸法を実施している助産院や産科医院も増えてきています。

ソフロロジーとはなにか、ラマーズ法との違いを紹介します。

ソフロロジーとは

ソフロロジーとは出産に対する恐怖心や不安を解消することで、痛みを緩和する考え方と呼吸法のことを言います。日本でも1980年代から助産院や産科医院、母親学級等で取り入れられるようになりました。

出産をポジティブに捉えることがソフロロジーの基本

出産に対して「痛い」「怖い」というネガティブな感情を抱いている妊産婦さんは少なくありません。赤ちゃんに会うのは楽しみだけれども、出産を乗り切れるか不安だと考える人も多いでしょう。

ソフロロジーでは、まず、出産に対する意識を根本的に変えることが求められます。出産は決して怖いものでも大変なものでもなく、赤ちゃんに会うための大切な通過点であると理解し、出産をポジティブに捉えます。

赤ちゃんがママに会いたがっていることをイメージする

出産に対する恐怖心や不安を克服するためにも気持ちを赤ちゃんに集中させ、「赤ちゃんは早く外の世界に出たがっている」「早くママに会いたがっている」ことをイメージします。

また、現在、赤ちゃんがお腹の中で気持ちよく過ごしていることもイメージし、幸せな赤ちゃんをさらに幸せにするためにも出産を怖がっていてはいけないということを理解します。

出産のイメージトレーニングで安産になる?体験談15
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音楽や瞑想、ヨガなどの手法によってリラックスする

戸外で手を合わせて瞑想する妊婦

音楽を聞きながら身体的にも精神的にもリラックス状態に導きます。全身が心地よい水や雲に包まれている様子をイメージし、ゆっくりと呼吸を繰り返すことで、リラックス状態を深めていきましょう。

音楽や瞑想、ヨガなどを使ったリラックス方法は、妊娠5~7ヶ月の安定期に入ったら徐々に練習することが勧められます。初めは音楽を聞いても瞑想しようと思っても、雑念ばかり浮かんで心の底からリラックスできないものです。

しかし、何度も意識的にリラックスしていくことで、次第に音楽を聞くだけで深いリラックス状態に入ることができたり、ヨガや瞑想をするだけで心が落ち着き呼吸も深くなります。

吐く息に注意をする

ソフロロジーでは、呼吸の中でも特に吐く息を重視します。ゆっくりと深く吐くことで、精神的な落ち着きとリラックス感を得やすくなるのです。

出産時は痛みのあまり普段よりも呼吸が荒く早くなってしまいますが、普段からソフロロジー式のゆったりとした吐き方を練習しておくなら、出産時も理想的な深い呼吸がしやすいはずです。

ソフロロジーの呼吸法

  1. あぐらをかいて座ります。
  2. 丹田(たんでん、おへその下9センチほどの場所にある骨盤の中心部分)を意識して、ゆっくりと息を吐きます。このとき、口をすぼめて、呼吸を細く長く出すことを意識します。
  3. 息を吐き切ったら、少し息を止めてから息を吸います。
  4. 再びゆっくりと、口をすぼめて細く長く息を吐きます。
  5. 息をゆっくりと細く吐く→息を止める→息を吸うの動作を何度か繰り返します。

陣痛が始まったら呼吸法を開始する

実際に陣痛が始まったら、ソフロロジーの呼吸法を開始します。始まったばかりのときは息を細く長く吐くことだけに集中します。陣痛と陣痛の間隔が5分くらいに狭まってきたら吐く息に力をこめ、ゆっくりと力強い息を長く吐くことに集中します。

陣痛の間隔が狭まってくると、息を止めると筋肉が緊張して赤ちゃんが外に出にくくなってしまいます。このときは、息を吐いたらすぐに軽く息を吸い、再び強く長く息を吐く呼吸法に切り替えましょう。

ソフロロジー式分娩の呼吸法とは?トレーニングやメリット
ソフロロジー式分娩の呼吸法とは?トレーニングやメリット

ラマーズ法との違い

呼吸によって分娩時の痛みを軽減するのは、ラマーズ法もソフロロジーも同じです。ですが、ラマーズ法では呼吸法に重きを置いていますが、ソフロロジーでは呼吸法だけでなくイメージトレーニングにも重きを置いている点が特徴です。

出産は怖いものではないこと、そして、赤ちゃんと出会うための通過点であることを深く理解し、出産に対してポジティブな気持ちを持つことがソフロロジーの基本となるのです。

新ラマーズ法とは

ラマーズ法をさらに改良した「新ラマーズ法」(病院や助産院によって呼び方が異なることもあります)が実施されているところもあります。改良者によって若干内容が異なることもありますが、一般的には次のような特徴があります。

筋肉を弛緩させる方法を積極的に実施する

「新ラマーズ」では、呼吸法だけでなく、筋肉をリラックスさせるためのエクササイズも実施していることがあります。実施されることが多いエクササイズを3つ紹介します。

肩回しエクササイズをする妊婦

肩回しエクササイズ

  1. 足を肩幅程度に開いて立ちます。
  2. 腕の力を抜き、肩から腕がぶら下がっていることをイメージします。
  3. 腕の力を抜いたまま、肩に力を入れて、肩をできるだけ高く上に上げます。
  4. 両肩をゆっくりとまわします。このとき、腕には力を入れないで、肩の力だけで回すことを意識しましょう。

首回しエクササイズ

  1. あぐらの姿勢で座ります。
  2. 肩に力が入らないように意識して、首を前に倒します。
  3. 首から力を抜き、首の重みを利用してゆっくりと右→後ろ→左→前と回していきます。
  4. 同様に首の重みを利用して、ゆっくりと前→左→後ろ→右→前と回していきます。

全身弛緩エクササイズ

  1. あぐらをかいて座り、手のひらを上に向けて、太ももの上に軽く置きます。
  2. 頭から肩、腕、腰、脚と、ゆっくりと身体の上の部位から弛緩させていきます。
  3. 5~10分ほどかけて、ゆっくりと全身を弛緩させます。

妊娠中期からエクササイズを始める

筋肉を適度にリラックスさせるエクササイズを、妊娠5ヶ月~7ヶ月の安定期に入ったら開始します。1日に1度でもエクササイズを行うことで、筋肉を適度にリラックスさせる方法を体得することができます。

ラマーズ法などなにか1つは呼吸法の練習をしておこう

ラマーズ法、ソフロロジー法、新ラマーズ法など、どの呼吸法が優れているか、合っているかは、人によって異なります。何か1つは呼吸法を習得しておくなら、出産時に痛みを軽減できたり、パニックを回避できたりするかもしれません。気になる方法から練習してみてはいかがでしょうか。

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