誘発分娩で出産するときの流れ

誘発分娩となる妊婦や胎児の状態とは?出産までの流れ

誘発分娩とはどのような出産方法なのか、誘発分娩となる妊婦や胎児の状態、入院・陣痛促進剤の投与・バルーンの使用・分娩終了までの出産の流れをご紹介します。誘発分娩にかかる費用、保険の適応となるのかも解説し、誘発分娩のデメリット(リスク)とメリットの両方をお伝えします。

誘発分娩となる妊婦や胎児の状態とは?出産までの流れ

誘発分娩とは?

誘発分娩とは、自然に分娩が起こる時期であるにも関わらず、一向に陣痛が起きない、又は陣痛が来ても分娩が進まない微弱陣痛になってしまったときに、人工的に陣痛を起こして分娩を促す出産方法です。

陣痛を起こすためには、陣痛促進剤の投与が最も一般的で、他にも必要に応じてバルーンと呼ばれる小さなゴム玉を挿入し、子宮頚管を広げるなどの処置がとられます。

誘発分娩ができる条件

リビングでソファに座り本を読む妊婦

誘発分娩は人工的に分娩を促す処置です。分娩を促しても、経膣分娩ができなくては出産できません。そのため、最初から帝王切開などの自然分娩以外の分娩を予定している人は、誘発分娩の対象にはなりません。

また、基本的には出産のリスクが最も少ない正産期(妊娠36週0日~妊娠41週6日)であることも条件となります。

誘発分娩が行われる妊婦や胎児の状態

一般的に、誘発分娩の処置がとられやすいケースをご紹介します。

出産予定日になっても陣痛がこなかったら、すぐに誘発分娩の処置がとられる訳ではありません。一方で、出産予定日前でも、母体や胎児の状態によっては、誘発分娩により、お産を進行させた方が良い場合もあります。

微弱陣痛が起こっているとき

陣痛が痛くて顔をしかめている妊婦

微弱であっても陣痛が起こっていると、産婦さんはもちろん、赤ちゃんも身体的に大きな負担がかかっています。微弱陣痛の場合は、陣痛は起こっているのにいつまで経っても出産が進まず、産婦さんと赤ちゃんの体力だけが消耗してしまいます。

このようなときは、誘発分娩を実施し、お母さんと赤ちゃんの体力を温存させ、分娩が進むように取り計らいます。

陣痛が起こる前に破水したとき

陣痛が起こっていないのに破水することがあります。このような破水を「前期破水」と言いますが、破水によって羊水だけが外に出てしまうと胎児の健康を脅かします。そのため、誘発分娩を実施し、胎児が外に出られるようにします。

一般的には、正産期前に前期破水が起こった場合は、抗菌剤を投与しながら、できるだけ妊娠期間の継続を図ります。しかし、胎児の発育状態を考慮しながら、例え正産期前でも誘発分娩の処置をとるケースもあります。

妊娠継続が胎児や妊婦に健康被害を与えるとき

出産予定日(妊娠40週0日)を大きく超えて妊娠期間が長引くことで、胎児の健康や妊婦の健康が損なわれることもあります。そのようなときは誘発分娩を行い、赤ちゃんとお母さんの健康を守ります。

過期産のリスクとは?出産予定日を過ぎたら行う検査と対応
過期産のリスクとは?出産予定日を過ぎたら行う検査と対応

妊娠42週以降の出産は「過期産」と呼ばれリスクを伴いますので、妊娠週数の再確認やNST検査などを行った上で、妊娠41週頃に誘発分娩を行います。

いつ誘発分娩を決定するのか、そして、いつから誘発分娩実施するのかについては、医療機関によって異なります。

いずれの医療機関で誘発分娩を行う場合も、産婦さんの健康と胎児の健康が最優先されますので、微弱陣痛や前期破水が起こっても、「誘発分娩を行うベストのタイミングではない」と判断されるときは、すぐには誘発分娩を行いません。

誘発分娩の流れ

誘発分娩は、具体的にはどのような流れで実施されるのでしょうか。

入院

病院に入院中の妊婦と医師

誘発分娩の実施が決定すると、まだ入院していない場合は入院します。
お母さんのお腹に分娩監視装置を装着し、陣痛が起こっていないかどうか、赤ちゃんの心拍はどうなっているかをチェックします。

陣痛促進剤の投与

陣痛促進剤を投与します。一般的には点滴投与しますが、陣痛促進剤の効果は個人差が大きいので、最初はゆっくりと少量ずつ投与し、子宮収縮状況と胎児の心音を観察しながら投与量を調整していきます。

陣痛促進剤の慎重投与が必要なケース

陣痛促進剤の効果は個人差が大きいため、投与量を慎重に調整する必要があります。
次の条件に該当する場合はさらに慎重な投与が求められています。

  • 妊娠高血圧症候群に罹患している
  • 心臓・腎臓・血管に障害がある
  • 胎位や胎勢に異常が認められており、難産が予想される
  • 軟産道強靭症
  • 帝王切開を実施したことがある
  • 広範囲の子宮手術を行ったことがある
  • 高年初産婦
  • 多胎妊娠

必要に応じてバルーンの使用

子宮の中にいる赤ちゃんのイラスト

子宮口付近で風船のように膨らむバルーンを挿入し、赤ちゃんが子宮口から出てこられるように開きます。

ただし、バルーンを挿入するときには、子宮口が少なくとも2センチ以上開いており、臍帯下垂(へその緒だけが胎児より先に子宮口へ下がっていること)ではないという条件を満たさなくてはなりません。

出産

陣痛が起こり、子宮口も開いていると判断された場合は、分娩台に上がり出産します。陣痛が十分に起こっていると判断した段階で、陣痛促進剤の投与はストップします。

後は、自然分娩とまったく同じ流れで出産が進んでいきますので、出産にかかる時間も自然分娩のときと同じく初産婦で10~15時間、早いケースだと数時間で分娩終了となるでしょう。

前駆陣痛から本陣痛、本陣痛から出産までの流れ
前駆陣痛から本陣痛、本陣痛から出産までの流れ

誘発分娩の費用

陣痛促進剤、バルーン費用、入院費用をすべて合計すると3~20万円ほどになることが多いです。

誘発分娩も自然分娩と同じく、病気ではないと判断されますので、通常のケースでは健康保険適用外となります。

誘発分娩の費用目安

誘発分娩の費用は、陣痛促進剤、バルーンの実費、追加入院費の3つに分けられます。この費用が通常の分娩費用に加算されることになります。

例えば、誘発分娩に5万円かかった場合、通常の分娩費用が40万円の産婦人科クリニックで出産するなら、総計は45万円ほどになります。

陣痛促進剤の費用

陣痛促進剤は効きの良さに個人差が大きいため、使用量が産婦さんによって大きく異なります。たくさん使用する場合は3~5万円、少しで効果があった場合は3,000円~1万円ほど加算されます。

また、処置費用として3,000円ほど加算されますので、陣痛促進剤注入費用として1~5万円ほどと考えましょう。

バルーンの費用

バルーンとして一般的な「メトロイリンテル」を使用する場合は、1つが3,400円(平成28年4月1日以降)ですので、3,400円が加算されます。
なお、陣痛促進剤とは異なり、例外はありますがバルーンは通常1つのみ使用します。

入院費用

誘発分娩をするために事前に入院した場合は、その分の入院費用が加算されます。

病院によって入院費用は異なりますが、個室の場合、1泊当たり1~2万円の設定になっていることが多いですので、1~2万円×入院が増えた日数の追加費用がかかります。

誘発分娩に健康保険が適用されるケース

入院中の妊婦とカルテを書く医者

次の状況下では健康保険が適用されることもありますので、医療費を抑えることができます。また、民間の医療保険に加入している人は、健康保険が適用されない場合でも手術扱いになって保険金を受け取れるケースもあります。

産婦人科から受け取った明細書をチェックして、手術扱いになりそうな処置を受けているときは医療保険の相談窓口に電話をかけて確認してみてください。

前期破水による緊急処置の場合

前期破水が起こり、緊急処置として誘発分娩を実施する場合、処置の一部が保険適用内になることもあります。

妊娠高血圧症候群などの疾病に罹患している場合

産婦さん自身が妊娠高血圧症候群や腎臓病、心臓病などの病気に罹患している場合、妊娠を継続することで疾病が重篤化すると予想されることもあります。

そのような場合の緊急処置として誘発分娩を行う場合は、処置の一部が保険適用内になるケースも見受けられます。

出産費用を抑えるための制度

「自然分娩」扱いでも補助金制度はある!

誘発分娩で保険適用となる施術がなかった場合でも、加入している健康保険から「出産育児一時金」を受け取ることができます。

産科医療保障制度に加入している医療施設で出産するときは42万円、加入していない医療施設で出産するときも40.4万円を受け取ることができます。

出産育児一時金で損をしない!制度や申請方法/支給額と時期
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健康保険の対象となった場合は「高額療養費制度」を要チェック

世帯の保険適用となる医療費が一定以上の場合は、1ヶ月の医療費が一定額(所得によって基準が異なる)を超えたときには、超過分が還付金として戻ってきます。

ただし、保険適用となる医療費の額についてですので、自然分娩とみなされる場合は金額がいくら高くても高額療養費制度は適用されません。

また、保険適用となる医療行為が実施された場合でも、通常の妊娠・出産に関わる費用や差額ベッド代、食事代などは高額療養費制度の対象とはなりませんのでご注意ください。

誘発分娩のメリット

誘発分娩をすることで得られるメリットには次のものがあります。

母子の身体的負担を軽減できる

微笑みながら赤ちゃんがいるお腹を撫でる妊婦

微弱陣痛が起こっているときなどは、出産が長引き、産婦さんだけでなく赤ちゃんも大きく体力が消耗されます。そのようなときに人工的に陣痛を促す誘発分娩を行えば、母子の健康を効果的に守ることが可能です。

出産日をほぼ確定できる

過期産を避けるために誘発分娩を行う際には、出産日がほぼ確定でき、産婦さんだけでなく家族のスケジュールが組みやすくなるというメリットもあります。

なかなか陣痛が来ない妊婦さんは不安を抱えていることも多いですが、誘発分娩によって出産の日時が決定すると、ストレスが軽減されます。

誘発分娩のデメリット・リスク

誘発分娩には母子の健康を守るという大きなメリットがありますが、いくつかのデメリットや考慮すべきリスクもあります。

陣痛促進剤の副作用

陣痛促進剤によって、陣痛が強く起きすぎてしまい、産婦さんや赤ちゃんの身体に大きな負担がかかってしまうこともあります。また、稀ではありますが、陣痛促進剤の効果が強すぎて子宮が破裂してしまう副作用のリスクもあります。

陣痛が起こらない場合は、帝王切開になる可能性もある

陣痛促進剤を投与したのに、本陣痛が起こらないこともあります。痛みはあっても子宮口が開かず、経腟分娩が不可能と判断された場合は、最終的に帝王切開への移行となります。この場合、産婦さんの身体的負担が増してしまいます。

分娩費用が高くなってしまう

ほとんどの誘発分娩は自然分娩の1つとして実施されますので、保険適用外になり、全額実費で支払わなくてはなりません。通常の自然分娩の費用に3~20万円ほど加算され、出産費用の総額が45~70万円ほどになってしまうこともあります。

出産育児一時金として加入している健康保険から42万円(産科医療保障制度に加入していない施設で出産したときは40.4万円)を受け取っても、数万円~30万円ほどの実費を支払う必要があります。

医師と相談して納得できる出産をしよう

誘発分娩を決定するのは医師ですが、出産予定日を超過したときなど、何らかの不安を感じている産婦さんは積極的に医師にどのような処置方法があるのか尋ねてみましょう。

疑問を抱えたままなんとなく出産に望むのではなく、気になる点はしっかりと質問し、自分自身が納得できる出産を実現するようにして下さい。

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