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胎児ドックの時期や費用

胎児ドックとは?胎児スクリーニングの目的と検査の注意点

胎児ドックとはどのような検査か?検査の時期や胎児スクリーニングを受けるときの注意点を解説。胎児ドック自体に賛成・反対ではなく相談するために知っておきたい、相談しにくい、相談したけど反対された等胎児ドックを受ける前の疑問解決を支援として2016年現在手に入る情報を整理してご紹介

胎児ドックとは?胎児スクリーニングの目的と検査の注意点

妊娠週数別「胎児ドック」でわかること|胎児スクリーニング検査

出生前に胎児の異常を診断する検査の中で、特に染色体異常について問題がないか調べるスクリーニング(大まかな検査)を通称「胎児ドック」と呼んでいます。リスクの高い検査を受けるかどうか決めるために、予備検査として使われます。以下に、検査の目的や内容、そこから分かることを噛み砕いて紹介します。病院によってできる検査が違ったり、費用が変わってきますので、詳細はかかりつけ医や通える距離の産婦人科でご相談下さい。

胎児ドックとは?胎児スクリーニング検査の目的と概要

大人が病気の兆候をもっていないか調べるのは人間ドックですが、これの胎児バージョンが胎児ドックです。病気の特徴が現れていないか確認する点、保険がきかない点、ドックの時点で問題を指摘されても最終的に病気になるかはわからない、など不確実な部分がある点も似ています。大きく違うのは、おなかの中なので検査方法が違うこと、大人はすでに生まれてしまっているのに対し、胎児は生むかどうかも含めてこれからいろんなことが決まる存在なので、倫理的にデリケートな扱いをされている点です。

胎児ドックを受けるための診察台

普段の健診との違いは「目的」です。妊婦健診は「順調に育っているか」を確認する検診ですが、胎児ドックは「問題のある育ち方をしていないか」をチェックします。一見、同じことを言っているように読み取れますが、例え話も含めて以下に記します。

普段の妊婦健診の場合

胎児のうちは個人差というものがほとんどなく、妊娠何週間でこの大きさになる、いつになったら何の臓器ができる、ということがだいたい決まっています。妊娠期間に対して順調に成長しているか、比較的問題が出やすい部分をチェックして異常が見られないかを確認します。この結果の「問題ないです、順調ですよ」=「目立った問題もなく、予定通りのペースで成長しています」という意味です。稀な遺伝子異常などは「目立ちにくい問題」なので、ここでは判断できません。

胎児ドック(胎児スクリーニング)の場合

心配している問題(例:高齢出産なのでダウン症が心配)に対して、その問題と関連の深い特徴(危険因子)が胎児に表れていないかをチェックします。この結果の「問題は見つかりませんでした」=「特定の問題(例:ダウン症)と関連の深い特徴がみられないので、ダウン症の可能性は低いですよ」という意味です。ダウン症でなくてもほかの病気を持っている可能性はあるので、健康体を保証するものではありません。

妊娠が順調でリスクも低い人は空振りになるだけなので、やりたくても「必要ないですよ」と言われることがあるかもしれません。夫婦や胎児の兄弟姉妹が生まれつきの病気を持っていたり、高齢出産(35歳以上での出産)になる場合などは、対象となることがあります。あえて問題を探しにいく検査なので、当然、問題が見つかった際の備えもします。このため、カウンセリング(遺伝子カウンセラーという専門職があります)とセットで検査を進めることが学会では薦められています。

※カウンセリングなしで情報だけ投げ出すこの記事は、邪道と言えます。今できる最善の判断をするためにも、医師やカウンセラーから「あなたに合った情報」を改めて入手してください。
専門的な情報はこんなに膨大です。

sonoworld.com

ぜひ、専門家の助けを借りてください。

どのくらい正確な結果が出るのか(当たり外れ)

もうすでに検査を受けた人にとってはすごく気になる点だと思います。胎児ドックはヨーロッパで始まったもので、日本人のデータはまだ十分に集まっていないと考えられます。2013年の文献でも、調査人数の分母はせいぜい1,000人くらい。ヨーロッパは10,000人くらいで検討しているので、全然追いついていません。精度としてはこんな感じです。

妊婦の年齢情報のみ>胎児ドック>>確定診断(それでも100%ではありません)

出生前診断の費用や実施時期と具体的な検査内容や問題点
出生前診断の費用や実施時期と具体的な検査内容や問題点
出生前診断の費用や実施時期、染色体異常を検出するための非確定的検査や確定的検査など詳しい検査内容を解説し、出生前診断後の人工中絶など「倫理的な問題」についても触れていきます。

胎児ドックでは何をしらべてどんなことがわかるのか?

胎児ドック(妊娠初期胎児ドック)と確定診断について解説します。
確定診断は母児の体に負担を強いる可能性がわずかにあります。このため、必要迫られた妊婦だけが受けます。できれば、胎児ドックを先に受け、その結果で検査するか考える方が無難です。また、確定診断は何の病気を調べるのか絞り込んでから検査します。漠然とした不安だけでの場合は、胎児ドックの方が適しています。

胎児ドックの前のカウンセリングをする産婦人科の医師

問題は、胎児の細かい測定を行うためそれなりの技術を習得する必要があること、正確に測定したとしても日本人のデータがそんなに集まっていないので大まかな目安にしかならないことです。また、検査項目単品では意味があまりなく、総合評価で初めて意味があります(メタボリックシンドロームみたいなものですね)。

胎児ドックの結果はいつわかる?

結果だけなら、早ければその日のうちに出ます。しかし、同時にカウンセリングを受けることが推奨されているので、カウンセリング枠に空きがないと結果を聞くために出直す、ということも状況によってはあるでしょう。焦る気持ちはよくわかりますし、中には自分は医療資格をもっているという方もいるでしょう。それでも、カウンセリング抜きで結果をもらうことはお勧めできません。

検査結果と判断の目安は?

検査には大雑把に異常を拾うスクリーニング検査と、染色体検査などの確定診断の二通りがあります。胎児ドックは前者、絨毛検査や羊水検査などは後者です。

測定には技術がいること、そもそも日本人のデータが十分集まっていないので、外国人の情報をもとにした参考データでしかないという問題もあります。不確かな情報で親を不安にさせるべきではないと考える医師もいます。上にも書きましたが、精度の位置としては、

妊婦の年齢情報のみ>胎児ドック>>確定診断です。

ここから先、文章が紛らわしいので注意してください。また、数字だけみて早合点しないでください。

皆さんの思い浮かべる確率

○○%の確率でダウン症=本当にダウン症だった人数(ダウン症)÷検査で兆候が見られた全人数(正常+ダウン症)

インターネットや文献で多い表記

ダウン症の○○%で見られる=検査でも兆候があった人数(ダウン症)÷本当にダウン症だった人数(ダウン症)

医学的な表現と、皆さんが日常的に使う確率は違います。表現が難しく違いがよくわからない部分も多いので、専門医であるかかりつけの産婦人科の先生に尋ねてみるのがおすすめです。

浮腫 (NT:nuchal translucency)

NT(nuchal translucency)と呼ばれるもので、浮腫という表現をなさる先生も多いです。胎児のうなじ(首の後ろ)の厚さを測る検査です。この検査だけで病気の判断は難しいのですが、母児に対して安全な検査なので、リスクの高い検査をする前段階としては有用と考えられています。海外では積極的に測定している国もありますが、日本は「正常なのに陽性だった命」を守る方を重視しているので、そこまで盛んではありません。ちなみに、これは奇型ではありません。

スクリーニング検査で胎児の状態を調べる医師

検査方法

超音波エコーで頭部を拡大し、首のうしろの厚みを測ります。検診のエコーより時間がかかります。(測定には技術が必要で、マスターしている先生はFMFの資格をもっています。)

目安

日本人の基準値は決まっていません。医学文献では3mm以上から「厚い」としていることが多いですが1)、基準がないので何mmで患者さんにお伝えするかは病院の判断です。最近の日本人胎児の調査報告2)では、95%の胎児は~3.2mmにおさまるだろうと言われています。同じ厚さでも、その時の頭殿長(胎児の頭から尻までの長さ)や妊婦の年齢で結果の考え方が変わるので、この数字だけで一喜一憂はしないほうがよいです。

的中率

今のところ単品で役に立つ検査ではなく、精度には議論の余地があります。正常なのに厚く見える(だんだん消える)場合もあれば、染色体異常があるのに浮腫はないという例もあります。ほかにも、心機能や感染、低蛋白など可能性だけなら沢山あるので、詳しく知りたい場合は精密検査が必要です。関連の深い染色体異常として、ダウン症、13トリソミー、18トリソミーなどがあげられます。海外の大人数調査では、NTの大きい胎児のうち、正常4,800例、染色体異常300例という数字もあります。

参考

妊娠初期の超音波診断; 日産婦誌59(6)
Hasegawa J et.al.: J Obstet Gynaecol Res. 2013 Apr;39(4):766-9.
山本ほか:青森臨産婦志, 2006; 21(1); 12-15.

静脈官の逆流

胎児のうちはへその緒から酸素や栄養をもらいますが、「静脈管」とは、へその緒が胎児の体に入った後、胎児心臓までの経路を指します。ここで血液がうまく流れていないと、胎児の全身に酸素や栄養が行き渡りません。染色体異常があってもなくても、胎児にとってはないにこしたことはありません(成長できる程度の逆流は問題ないと言い換えることもできます)。

検査方法

超音波カラードップラー法で静脈管の血流の向きを青と赤で確認します。

的中率

異常波が見られても、大多数は正常な妊娠です。染色体と関係ない逆流は3%くらい見られます。数少ないダウン症児の65%で逆流がみられるので、ダウン症の特徴の一つとされています(波形異常のある胎児は65%の確率でダウン症、という意味ではありません!)。13トリソミー児の55%で、18トリソミー児の55%で逆流を示すとされています(外国人データ)。

鼻骨の低形成

生まれてきた赤ちゃんの写真を見ればわかりますが、みんな鼻は小さく、低いです。このため、本当に鼻骨の形成がないのかチェックするには、技術が必要です。確認し難かったということがあっても不思議ではないです

胎児ドックの説明を真剣に利く妊婦

検査方法

胎児の顔を真横から超音波エコーで確認し、鼻の角度などで鼻骨形成の程度をチェックします。

的中率

染色体とは無関係の低形成が5%あります。ダウン症児で60~70%(韓国)、13トリソミー児で32%(イギリス)、18トリソミー児で57%(イギリス)に見られます。

参考

Shin JS,et. al.: Prenat Diagn 2006 ; 26 : 321-323.
Cicero S. et. Al.: Ultrasound Obstet Gynecol. 2003 Jul;22(1):31-5.

三尖弁逆流

三尖弁とは、右心房と右心室の間にある弁です。これも静脈管逆流と同じように、血流の向きを確認する検査です。逆流があると、効率的に血液が行き渡らないため、胎児の成長には不利ですが、動き出してまだ1ヶ月程度の心臓です。未熟であってもおかしくはありません。

検査方法

超音波カラードップラー法で胎児の心臓を確認。

適中率

これも、異常波形が見られた胎児の大部分は正常な妊娠です。染色体正常児では1%しか逆流が見られないのに対し、ダウン症児の55%で、18、13トリソミー児の30%で見られるため、病気の特徴かもしれないと言われています。

胎児の脈拍正常

検査方法にもよりますが、胎児の心臓は早ければ5週から、遅くとも8週には動いているのがわかるようになります。おなかの上から胎児の心拍が確認できれば95%で妊娠が良好というほど強い関連があることから、専門的に細かい判断基準が決められており、ここで全てを紹介することは難しいです。胎児の心臓はまだできたばかりなので、一時的な頻脈(脈が速いこと)や徐脈(脈が遅いこと)も確認されます。

大人と違って、110~160回/分と早いのが普通です。妊娠週数によっても早さが違います。一般的には、頻脈よりも徐脈の方が問題とされることが多いです。
さて、13トリソミー児の85%で脈が速いというデータがあります(海外)。脈が速い胎児の85%が異常、ではないので誤解しないでください。染色体異常があっても正常範囲の胎児もかなりの割合で存在します。

参考

妊娠初期の超音波検査;日産婦誌53(7)

胎児ドックとそのほかの検査について 検査の時期とその内容

あまり早いと、体の構造が出来上がっておらず、確認しようにもできません。時間がたつと隠れてしまう危険因子もあるので、遅すぎても検査できません。目的に合わせて検査時期を確認し、受診する場合は早めに予約を取ってください。(予約がないと検査できないと思った方が良いです)

胎児と妊婦の様子を観察する専門の先生

  • 妊娠初期胎児ドック(11~13週)
  • 絨毛検査(10~14週)
  • クアトロ検査(15~17週)
  • 羊水検査(16~18週)
  • 妊娠中期胎児ドック(19~30週)
  • 妊娠後期の超音波エコー(30週ごろ)
出生前診断の費用や実施時期と具体的な検査内容や問題点
出生前診断の費用や実施時期と具体的な検査内容や問題点
出生前診断の費用や実施時期、染色体異常を検出するための非確定的検査や確定的検査など詳しい検査内容を解説し、出生前診断後の人工中絶など「倫理的な問題」についても触れていきます。

妊娠初期 妊娠11週~13週ごろの胎児ドック

ヨーロッパで始まった胎児ドックで、まだ外国人のデータを参考にしている部分が多いと思いますが、どちらにしてもスクリーニング検査(大まかな検査)なので希望者の健診に応じる病院が増えてきました。

検査目的

ダウン症、13トリソミー、18トリソミーのリスクを胎児と妊婦の年齢などから総合的に判断する健診です。確定診断はできません。生きていくには致命的な奇型が見つかることもあります。何が知りたく、何は知りたくない、という希望は検査前に伝えましょう。

検査方法

超音波エコーでうなじの浮腫、鼻骨形成不全、静脈管逆流、三尖弁逆流、脈拍などを詳しく観察し、染色体異常の特徴が表れていないかを確認します。通常の健診よりも時間がかかり、FMFの測定方法を習得した先生でなければ正確に測れません。

検査項目

うなじの浮腫があるか、鼻骨の形成不全があるか、静脈管で逆流が見られるか、三尖弁で逆流が見られるか、脈拍が正常と比べて違うかを調べます。

費用

自由診療なので医療機関が金額を決めます。受診した病院で金額が前後しますが、一般的に数万はかかります。病院によってはカウンセリングと検査で別料金を設定しているところもありますが、カウンセリング自体がない施設はお勧めしません。

絨毛検査 10週~14週

胎児のDNA診断などで行う検査です。熟練した技術がないと採取できないため、どこの施設でも行えるわけではなく、胎盤の位置などによっては検査できないケースが2%程度あるとされます。

検査目的

胎児の遺伝子検査(確定診断)

検査方法は2種類

経腹壁法
  1. おなかを出す
  2. 超音波でおなかの中を確認
  3. 消毒
  4. 局所麻酔
  5. 針を刺し、絨毛を採取
  6. 針を抜いてガーゼで押える
  7. 30分くらい様子を見て何ともなければ帰宅も可能
経頸管法
  1. 内診台に乗る
  2. 超音波でおなかの中を確認
  3. 消毒
  4. 子宮口まで器具を入れる
  5. 絨毛をとってくる
  6. もう一回消毒
  7. 抗生剤投与

メリットとデメリット

メリット

早い時期に検査できるため、心理的負担を軽減しやすいです。細胞をまとめて取ってこられるので、培養をスキップしてDNA診断の結果も早く出せます。

デメリット

検査後の流産率が1~4%と、羊水検査より少し高いです。経頸管法の方がリスクは高めですが、絨毛の位置によっては経頸管法の方が有利です。絨毛の近くにお母さんの細胞があるため、間違って取ってくると誤診につながります。どこの施設でもできるわけではありません。

費用

検査費用は病院が設定するため決まったものはありません。しかし、金額を公開している病院を見る限り、相場でも十数万はかかると考えた方がよいです。地元で検査できない場合は、交通費や外泊の費用なども考える必要があります。

参考

絨毛検査;日産婦誌62巻3号

クアトロ検査 15週~18週(病院によって少し違います)

妊婦の血液で検査できるマーカーテストで、胎児へのリスクはありません。胎児ドックと同じく、確定診断はできません。羊水検査の前の予備検査として受ける場合は、17週までに終えておく方がよいです。日本人のデータに基づいて判定をしている検査会社もあります。

検査目的

胎児がダウン症、18トリソミー、神経管欠損(開放性)などの可能性を持っていないか調べます。確定診断ではありません。

検査方法

妊婦から採血→4種類のホルモンが通常に比べて上下していないかを確認する。
ダウン症に関しては妊婦の年齢なども計算に入れて確率を計算する。

検査項目

  • フェトプロテイン(AFP)
  • ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)
  • 非抱合型エストリオール(uE3)
  • インヒビンA

費用と時間

検査会社に外注する病院が多いので、同じ病院で分娩するという患者さんでも値下げサービスは難しいです。数万円は見積もった方がよいです。また、外部に依頼している検査だと、結果が出るのに1週間くらいかかります。次の検査も控えているという場合はスケジュールに注意してください。

羊水検査 16~18週ごろ

確定診断の一つ。お母さんのおなかに針を刺し、羊水に漂っている胎児の細胞を採取する検査です。超音波で見ながら検査できるようになり、昔に比べて安全性が向上しました。

検査方法

  1. おなかを出す
  2. 超音波でおなかの中を確認
  3. 消毒
  4. 必要があれば麻酔
  5. 臍の下あたりに針を刺す
  6. 羊水を15ml前後吸い出す
  7. 針を抜いてガーゼで押える
  8. 30分くらい様子を見て何ともなければ帰宅も可能

メリットとデメリット

メリット

確定診断の中では、流産などの合併症が少ないです。検査後の流産率は(検査に関係ないものも含めて)0.2~0.5%と低いです1)。お母さんの細胞が混ざることによる診断の間違いもほとんどありません。

デメリット

超音波検査に比べるとリスクは大きいです。絨毛検査に比べてスタートが遅いのに加え、細胞の培養などに時間がかかります。胎児の染色体分析には1週間~2週間、先天代謝異常症の酵素分析には2週間~3週間が必要で、その間の精神的負担をケアする必要もあります。

費用

相場に合わせて請求している病院なら、10万を切ることはないと思います。技術が要求される検査なので、それに見合った費用が掛かります。また、地元で検査できない場合は外泊の費用なども見積もる必要があります。

参考文献

羊水穿刺法; 日産婦誌62巻3号

妊娠中期 19週~30週ごろの胎児ドック(病院によってかなり幅があります)

妊娠初期の頃にはまだ確認できなかった内臓などもチェックできるようになります。医療機関によって設定している週数がかなり違うこともあるため「中期」だけをキーワードにして調べるときは注意してください。生む前提で出産に備えるために検査する場合は22週を超えてもよいですが、まだ迷っているという方は受診できる医療機関をよく見極めてください。

妊婦の検査をする産婦人科医

検査目的

この頃になると、内臓が小さいながら確認できるようになります。分娩時期に対して内臓の発達が遅い場合などは、分娩する医療機関を選ばないと命にかかわることもあるため、重点的な確認を行います。

検査方法

超音波エコーで内臓や骨の成長などを重点的に確認します。羊水量の計算や胎児の血流も確認します。

検査項目

脳、顔、心臓、臍帯、腕や脚、消化管臓器、臍帯血流、羊水量の評価、脊椎など多岐にわたります。

費用

使用する機器はほとんど同じなので、初期胎児ドックと近い金額になると思います。

妊娠後期 (やるとしたら)30週前後の胎児ドック

妊娠後期になると、選択肢はなくなります。したがって、出生前診断を行う意味がありません。リスクはあっても出産したいので様子を見てほしい、分娩の母体へのリスクを評価する、などの背景で検査をすることはあります。

胎児ドックのエコー画像を移すモニター

検査目的

出生前診断というよりも、慎重に出産するための経過観察というほうが正確です。母体へのリスク評価、分娩する病院の選択、どこまで事前の準備が必要かを判断するには有用かと思います。

検査方法

超音波エコーで胎児の様子を全体的に確認。

検査項目

胎児の全身状態。推定体重や羊水量の変化、なども確認し、妊娠中期のころとリスクに変化が出ていないか評価します。

費用

初期胎児ドック、中期胎児ドックと近い金額になると思います。ただ、妊婦さんによっては他院に紹介状を書いてもらうなどが考えられるので、その場合は少し高くなるかもしれません。

3Dエコー、4Dエコーとは?

普段の健診で確認している胎児の姿は、断面図だと思います。平面情報だけなので2D(2次元)と扱われます。影絵みたいな位置付けです。
これに対して、胎児の表面の情報を集めて立体的な画像に見せる技術が3D(3次元)です。顔の造りなどがイメージできる、写真のようなものです。4D(4次元)はさらに時間の要素が加わります。時間ごとの3Dイメージを連続再生し、胎児の動きに合わせて動きます。動画、ビデオ映像のようなものです。


現在のところ、コストと処理時間、情報量を考えると、2Dで検査するのが一番よく、3Dや4Dは両親や家族の楽しみのために使うことが多いです。記念撮影として検査を受ける場合は、たまたま問題が見つかったとき、それを聞きたいか聞きたくないか、はっきりさせておくことをお勧めします。

胎児ドックのリスクは?どんなポイントに注意すべき?

胎児ドックに限らず、すべての医療は利益(ベネフィット)と危険(リスク)のバランスが大切です。片方だけの情報で受けるのも、回避するのもよくありません。実際に胎児ドックを受ける場合はかならずリスクの説明もされます。遺伝子カウンセラーが「リスクを聞かされたうえで自己決定する」ことを手伝ってくれます。また、一人の命を左右する決断をすることになった場合、やり直しはききません。冷静な判断をするためにも、わからないことは専門家に相談しましょう。

医師と出生前診断について話し会う妊婦

検査結果と注意点

  • どんな検査でも誤診、当たり外れの可能性はゼロではないので、検査結果と実際の状態がちがう、ということも起こりえます。
  • 検査にもよりますが、人種・国が違うと基準が違う可能性があります。海外で検査を受ける方は、自分にあった計算結果を出せるかどうか確認した方が良いと思われます。
  • 検査結果そのものよりも、その結果をうけてこの後なにができるのか、どんな選択肢があるのかの方が重要です。今後についても医師やカウンセラーとよく相談してください。
  • 赤ちゃんの異常について、生まれた後に治療できるものもかなりあります。好ましくない結果が出たら出産を諦めないといけないわけではありません。生まれた後に治療をする場合は、かかりつけの医との連携が必要になりますので、胎児ドックをかかりつけ以外の病院で受ける場合は、紹介状を書いてもらえるとよりスムーズになるかと思います。
  • 「これは知りたくない」という内容があれば、検査前に伝えておきましょう。(胎児の性別、遺伝ではないたまたま授かった病気、など)
  • 遺伝子検査をした場合、その結果は胎児についての情報ですが、同時に一族全員にかかわる情報も含まれています。親族の中には「知りたくなかった…」という方も想定されるので、情報を共有する場合は伝え方に気を配りましょう。(相談してはいけないという意味ではありません)

痛みなどのリスク

Q 痛いですか?

出産よりも痛いということはまずありません。必要があれば麻酔も使いますが、体の状態よっては使用できません。

Q 流産の可能性は?

病気そのもので流産する可能性よりも低いですが、確定診断に関してはゼロではありません。より安全な検査で始めて、その結果をみてから確定診断をするかどうか相談することをお勧めします。

Q 社会的なリスクは?(内緒で検査できますか?)

検査にもよりますが、確定診断のように母児に対するリスクがある場合は、父親にも説明・同意取得を行うのが一般的です。また、万が一問題が見つかった場合、出産後も治療が続くなど考えられるため、かかりつけ医との連携をとっておく方が好ましいです。

しかし、カウンセリングは一人で相談することも許容されます。パートナーへの上手な伝え方、周囲への協力の求め方を相談するのも一つです。こっそり受診する場合は孤独な戦いが続くという覚悟が要ります。

Q 安心して検査を頼める病院は?

特別なお勧めはありませんが、カウンセリングをきちんと行ってくれるところ、通院に無理のない場所、初期胎児ドックの場合は資格をもっているかどうかなどを参考にしてみてください。また、検査費用が相場からあまりかけ離れていないところの方が無難です。

費用と医療費控除

胎児ドックは自由診療なので保険証は使えません。保険診療は全国どこでも同じ金額なのに対し、自由診療は医療機関側で自由に金額を決めるので、検査内容だけでなく受診する施設によっても費用は前後します。病院で説明を受ける際は初めに費用について確認し、分割払いや現金以外の支払い方法があるかどうかも尋ねておくとよいです。万単位の金額となることが多いです。

通常は医療費控除の対象外となるため、全額自己負担となります。何らかの助成があるか確認する場合は、お住いの自治体に問い合わせてみてください。また、個人で加入している保険に、該当しそうなものがあるか尋ねてみるのも一つの手段です。
あまり考えたくないことですが、これでお金儲けしようと思えばできます。医療機関の方から勧めてきた場合は、自分に勧めた理由や必要性について納得してから受診することをお勧めします。

一喜一憂しない胎児ドックの受け止め方

胎児ドックは、専用のカウンセリングを受けながら進めていくのが通常です。問題が見つかったときに自分だけで抱え込まなければいけない、ということはありません。胎児ドックを受けるかどうか、受けた場合は結果をどう受け止めるか、という手助けもしてくれます。ただ、最後に何かを決めることができるのは親だけです。医師やカウンセラーは決断そのものを代わってくれるわけではない、ということは心に留めておくほうが良いでしょう。
胎児ドックを受けた方がいいかわからない、という場合は「何を心配しているのか」を病院で相談してみましょう。胎児ドックで検査できるような内容であれば、先に進むかどうかを相談します。親御さんによっては、最初の相談だけで検査はしなかった、という場合もあります。途中で断れないものではありません。

また、胎児ドックは確定診断ではなく、まだ外国人データを参考にしている部分も多いことから、細かい数字で一喜一憂はしないでください。昔はいきなり確定診断(身体的な負担が少々あり)を受けていたけど、その前に胎児診断というワンクッションを入れられるようになった、というだけです。
病院や検査だけではなく、家族会について調べるのもヒントになります。現在進行形で病気とお付き合いしている方々の話も参考になります。HPだけでわからないことは、電話してみるのもよいと思います。

胎児ドックは命の選別にもつながることから、世の中にはそれ自体を嫌う人もいます。この記事をお読みの方の中には、頼りたい身内の反対にあうという苦しい経験をお持ちの方もいるでしょう。以下、こんな考え方もあります、という参考のお話です。

あるご家族の話。長男の名前に「次郎」を付けました。戸籍に残せなかった長男がいるという意味です。どんな命であっても、自分たちのところに来てくれたことを喜び、その時にできることをして見送ったのだと思います。

お金の問題で検査できなかった、という方もいます。ヨーロッパでは誰もが気軽に検査できるのに、なんで日本は遅れているの?という気持ちを隠せないのも無理はありません。日本は「倫理的な問題」があるため安易な導入は慎むべきという考えが根強くありますが、裏を返せば、スタート時点で問題を抱えた子であっても日本社会はそれを「負担」とは捉えず受け入れるべきとしています。欧米では医療のコストパフォーマンスが重視されており、きつい表現ですが、検査・治療と社会保障にかかるお金のどっちが安いかを天秤にかける考え方も浸透しています。どちらの国が幸せと言い切るのは、なかなか難しいと思います。

結婚とは違い、妊娠はいつまでも保留にできるものではありません。壁は厚く、迷いは大きいのだとお察しますが、皆さんなりの選択ができたと振り返れるような妊娠期間となることを祈っています。