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胎児性アルコール症候群

胎児性アルコール症候群|赤ちゃんの顔に出る妊娠中の飲酒

胎児性アルコール症候群は、妊娠中のママの飲酒が原因で赤ちゃんに起こる先天性の疾患。治療法はなく、産まれたあとも続く障害と一生のお付き合いをさせてしまうことになってしまったら…。FASの症状や特徴、原因、妊娠中の飲酒量を詳しく解説。プレママ、ベビ待ちママが赤ちゃんを守るために…。

胎児性アルコール症候群|赤ちゃんの顔に出る妊娠中の飲酒

胎児を守れるのはママだけ!胎児性アルコール症候群にご注意

妊娠中は、絶対お酒は控えて!と言われます。
…が、仕事終わりの1杯が、日頃のストレス解消法になっているという女性にとっては、少々ツラい話かもしれませんね。産婦人科でもそう言われるし、お酒のラベルにも「妊娠中と授乳期は飲まないように」注意書きがされている…。こんなにも盛んに言われるのには、ちゃんと訳があるのです。

「胎児性アルコール症候群」、あなたは知っていますか?お酒は20歳になってからと言われるように、子どもの小さな体、成長期にはとても危険な飲み物です。ましてや、おなかのなかにいる小さな小さな赤ちゃんでは、その危険性はもっと高くなるでしょう。

今回は、妊娠中の禁酒について触れながら、胎児性アルコール症候群について詳しく知り、大事な赤ちゃんをアルコールから守りましょう!

【胎児性アルコール症候群】お酒が胎児に与える恐ろしい影響とは…

妊婦のアルコール摂取の危険性を訴える医者

胎児性アルコール症候群、一体どんな病気でしょうか?なかなか聞き慣れない言葉でその字面から、なんとなく赤ちゃんとアルコールに関係がある病気かということはわかりますが、詳しく知っている人は決して多くないのではないでしょうか?

「妊娠中に飲酒すると赤ちゃんの育ちが悪くなると昔から言うけど、それだけじゃないの?」

―――いいえ、もっといろいろなことが起きる可能性があるのです。
まずは、妊娠中の飲酒がどんな風に良くないのかについて触れながら、胎児性アルコール症候群について解説しましょう。

どんな病気?

胎児性アルコール症候群とは、妊娠中、母体がアルコールを摂取することによって、産まれてくる赤ちゃんに発育不良や特徴的な顔面形成不全、発達障害などの脳の問題が現れる先天性の疾患のことを言います。

胎児性アルコール症候群は、英名のFetal alcohol syndromeから頭文字をとってFASと表記されます。母体が飲酒をしたときの血中アルコール濃度が大きく関与していると考えられていますが、母体のアルコールへの感受性、喫煙の有無などによって胎児への影響の程度にも差が生じ、産まれた赤ちゃんの症状の現れ方も軽度から重度まで様々です。

また、産まれた胎児性アルコール症候群の赤ちゃんの症状は、外見的特徴として顔にFAS児の特徴が出ることもありますが、容貌に特徴が出ていない場合でも身体的成長の遅れや精神的問題を抱えることが多いとされます。
日本での発症の確率は、1991年時点では出生数1000に対して0.1以下(厚生労働省)でしたが、最近は女性の飲酒率が上がってきていることから、増加の可能性が心配されています。

原因はやはり飲酒

原因となる妊娠中の飲酒は、おなかの胎児にはとてもリスクの高いことです。アルコールは赤ちゃんの健全な発育に大きな影響を及ぼす、いうなれば毒でしかありません。時には、赤ちゃんの命の危険がある場合も…。

胎盤を通過してしまうアルコール

ママと赤ちゃんは、へその緒で繋がれており、それに続く胎盤から酸素や栄養をもらって、赤ちゃんは成長していきます。この胎盤というのがたいへん優秀で、もしママが風邪などの感染症にかかっても、そのウィルスが胎盤を通して赤ちゃんに届くことはありません。ママが病気の時でも、赤ちゃんはおなかの中で守られるのです。
しかし、その優秀な胎盤もアルコールは止めることができず、ダイレクトに赤ちゃんの体内に入ってしまうのです。

胎児にとってのアルコール

ママにとっては、「少しだけ」の飲酒であっても、体の小さい赤ちゃんにとってはどうでしょうか?
赤ちゃんは、肝臓はもちろん全ての消化器官の機能が未発達です…というより発達も何も今臓器を作っている途中ですので、負担でしかないアルコールの分解なんてとてもできませんから、胎児の体内にアルコールが残った状態が続き、それが胎児性アルコール症候群の症状を引き起こしていると考えられています。

ある調査では、アメリカのアルコール依存症患者の約3割もの赤ちゃんが、胎児性アルコール症候群で産まれてくるのだそう。アルコールの摂取量が多ければ多いほど影響は大きいことはわかっています。

2010年の調べでは日本人女性が妊娠中にアルコールを飲んだ割合は8.4%。結構いると思いませんか?政府はこれを0%にする方向で、現在対策を練っています。

FAS児の発育と容貌!胎児性アルコール症候群の症状・特徴

赤ちゃんの胎動を感じる妊婦

成長の阻害

子ども(20歳未満)のアルコール摂取が禁じられているのは、ご存知の通り、お子さんの成長発達を妨げてしまうからです。赤ちゃんもそれと同じ…いえ、それ以上です。

胎児性アルコール症候群の赤ちゃんは、おなかの中での発育を妨げられ、低身長、低体重で産まれてきます。通常の赤ちゃんより、5〜10%ほど小さい傾向にあるそう。
一見すると「そんな程度か」と思いますか?ですが、5~10%と言え赤ちゃんにとっては大きい数字。特に新生児期から2ヶ月頃までは出生体重が500g違うだけで基本的な体力も全然違ってくるのです。

また、アルコールの影響は生まれた赤ちゃんの脳の委縮、心臓、骨、腎臓など身体の根幹ともなる部分の異常となって現れることも。胎児性アルコール症候群の影響は、赤ちゃんがママのおなかから出てきたその後も身体・精神の両面で成長の遅れや問題が続くのです。

顔の特徴

胎児性アルコール症候群の赤ちゃんには、特徴的な顔面形成不全が出ることがあります。

  • 平たい顔つき
  • 頭が小さい:小頭症
  • 鼻が低くて小さい
  • 上唇が薄い
  • 顎が小さく、噛み合わせが悪い
  • 目が小さく、黒目だけしか開かない
  • 鼻の下の縦溝が浅い
  • 耳の位置が低く、反り返っている

など

特に小頭症は、うまれつき脳の容量が小さいだけではなく、その後も脳の発達の面で問題が出てしまいます。単に顔面形成不全と言っても、それだけではなく、それに加えて、機能面などでいろんな問題が起きてくることもあるでしょう。

中枢神経系の障害

最近は、ADHD(注意欠陥多動性障害)やLD(学習障害)、コミュニケーションがうまく取れないなどの発達障害という障害があることが、世の中に定着してきました。妊娠中のアルコール摂取は、これらの原因となっていることがあります。
軽度から重度まで程度は様々です。成人になってからのADHDやうつ病などとの関わりも、指摘され始めています。

根治はできない、予防が大切!

胎児性アルコール症候群の危険性を考える女性

胎児性アルコール症候群は先天性の疾患で問題に対する根治はできませんが、妊娠中にアルコールを接種しなければ、当然100%予防できるので、お酒好きのママにはちょっと大変ですが、赤ちゃんのために禁酒をがんばりましょう!

妊娠中の飲酒量

毎日お酒を飲んでいる、お酒が大好き!そんな女性も少なくないでしょう。赤ちゃんが産まれるまっでの10か月間、不自由なだけでなく楽しみにしていたお酒も飲んではいけないとは酒好き女子にとっては切ない話…、中には「少しなら大丈夫?」「どれくらいなら飲んでいいの?」と考えてしまう人も。

でも、残念ながら、ここまでは大丈夫という安全量はありません。それは、ママのお酒に対する感受性は人種や体質による違いが大きいばかりではなく、少ない飲酒量でもその日の体調によっても影響となるかならないかが大きく左右される可能性も高いからです。アルコール依存症のママから産まれる赤ちゃんには当然リスクが上がりますが、決して「少ないから大丈夫」というわけではなく、少量の飲酒でも、胎児性アルコール症候群になったというケースも報告されています。

お酒に関しては個人差やその日その日の体調での影響の範囲が大きく、非常にデリケート。赤ちゃんにとって毒でしかないアルコール…うっかり胎盤を通してしまうわけにはいきません。妊娠中はママの禁酒がとても大切になります。

日本人はお酒に弱い!

欧米のガイドラインでは、「1日1ドリンク、週に7ドリンク以下」(1ドリンク:純アルコール10g、ビール250ml程度)のアルコール摂取なら大丈夫とされていますが、これはあくまで欧米人の基準。しかも、昨年はアメリカの小児科学会は「少量接種もNG」とその危険性を指摘しています。

さらに日本人は、欧米人より小柄な人種で体質も違いもともとお酒に弱い人種
アルコール分解酵素が働くかどうかのタイプ別に人種を分けたとき、欧米人はほぼ全員がその酵素が働く活性タイプに所属します。それに対し、私たち日本人を含むモンゴロイドの活性タイプは56%しかおらず、40%がアルコールに弱いとされる低活性型、残りの4%は、全くお酒を受け付けない不活性型なのだそう。

日本人の祖先である弥生人の「お酒を分解する酵素を欠落した遺伝子」の影響で、日本人は全くお酒がダメな人の割合がとても高く、その上、女性は基本的に男性よりも体質的にお酒に対して弱い傾向にある……すなわち、日本人女性は、条件的にお酒に弱い体質であることが多いと言えます。

自分は大丈夫…と思っていても、それだけ血中アルコール濃度は高く残りやすく、妊娠中のお酒も赤ちゃんに影響を与える可能性が高くなると考えた方が良いでしょう。

ノンアルコール飲料は是か非か

最近メジャーな、ノンアルコール飲料。ジュースみたいな感覚で、安心して飲めるとあって人気です。普段なら問題ないのですが、やはり妊娠中はこれも控えた方が良さそう…!
ノンアルコール飲料というのは、含まれるアルコールが1%未満であれば表示できます。つまり、微量のアルコールが含まれているということです。

赤ちゃんがアルコールの害から逃れるまで大人の2倍以上もの時間がかかるとされています。ママにとっては少量のアルコールでも、赤ちゃんには結構な量になることもあります。ですので、ノンアルコール飲料でも控えた方がベター。0.00%の表記がされているものでも、飲料の中には人口甘味料がたくさん使われていますので、そう言った意味でもノンアルコール飲料は避けた方がいいのかもしれませんね。

料理酒やみりんは?

お料理で使う、お酒やみりん。アルコールは加熱すると有害なアルコールが飛ぶので、これらをきちんと沸かして使う分には問題ありません。お手製のドレッシングなどを作る時には、注意してくださいね!
お酒に弱いママは、ウィスキーボンボンのチョコレートやアルコールを飛ばしたシャーベットなどもやめておいたほうがいいでしょう。

妊娠週数ごとの胎児に与える影響

妊婦検診で赤ちゃんが健康に育っていることを知り安心する妊婦

どの週数でもリスクは同じ。どんなことが起きてしまうのか、初期・中期・後期にわけてまとめました。

妊娠初期の胎児の発育への影響

妊娠初期は、中枢神経や心臓などの身体の一番大切な器官が形成される時期です。
この時期にアルコールを多く摂取してしまうと脳などに影響を及ぼしてしまいます。4〜9週に重要な器官が形成されていきますので、この時期は特にNGです。
重度の胎児性アルコール症候群で、顔に特徴のある奇形が出るのも、初期の飲酒と言われています。

■妊娠に気づく前の「飲酒」に注意

「検査薬で陽性反応が出たんだけれど、しまった、この間の飲み会で呑んじゃった!」こんな風に慌ててしまうママも結構いるのでは?

妊娠超初期とされる妊娠4週頃までは、まだママ自身も妊娠に気づいていません。この時期の飲酒が、胎児にダイレクトに影響を及ぼす可能性は、あまりないとは言われています。
しかし、そうはいっても妊娠超初期は細胞レベルでは猛スピードで分裂を繰り返している大事な時期。お酒を飲まないに越したことはありません。ベビ待ちの間は過度の飲酒は日頃から控えた方がいいかもしれませんね!

妊娠中期の胎児の発育への影響

中期からの飲酒は、胎児の発育の遅れが心配されます。エコー検査で週数よりも小さいと言われるかもしれません。また、中枢神経系に問題をおこすので、多動や不注意、学習障害などいわゆる発達障害と呼ばれるものの原因になることもあります。

妊娠後期の胎児の発育への影響

後期も中期と同じく、発育の遅れと中枢神経系に問題が出る可能性があります。特に後期は、出産に向けてどんどん赤ちゃんの体重が増えていく時期ですので、注意したいですね。小さいまま出てくると、それだけ感染症などのリスクも上がってしまいます。特に脳、目、歯などは、産まれるギリギリまで、飲酒の影響を受ける器官です。

アメリカの小児学会から警鐘

2015年10月、アメリカの小児学会から、妊娠中のアルコールは、少量であっても絶対にダメという内容の報告書が出され、話題になりました。その報告書では、飲酒は妊娠中のどの段階でも安全とみなすことはできないと強く言われています。

出典:www.youtube.com

詳細な調査の結果も発表されました。

ママが飲酒した場合のリスク


全くお酒を飲まなかったママに比べて
・妊娠3ヶ月目までの飲酒 12倍
・妊娠6ヶ月目までの飲酒 61倍
・妊娠期間を通して飲酒した場合 65倍
の確率で、赤ちゃんに影響を及ぼす。

昔は、大量飲酒でなければ問題ないと言われ、近年は、少量なら大丈夫では?という風潮にありましたが、この報告書で強く言われたことによって、これから認識はどんどん変わっていくかもしれませんね。

妊娠に気づかず飲酒、どうしよう!

生まれてくる赤ちゃんの健康を祈る妊婦

日頃から飲む習慣のある女性が、いつまで経っても生理が来ずに検査で陽性が出たときには、もう妊娠8週…。もちろん、気づかずにいた週数分FASのリスクは高くなりますが、もう飲んでしまったものは仕方がありません。
少しでも後悔しないためには、ベビ待ちの時点で飲酒を控えたり妊娠にきちんと気づくことも大切

ただし飲酒の影響が過度に気になってしまって、極度に不安になってしまう方もいらっしゃいますが、赤ちゃんにとってはママの不安定によるストレスも良くありません。

飲んでしまったものは仕方がないと割り切って、妊娠がわかった時点から、前向きに禁酒をしましょう!

ベビ待ちの女性は、妊娠に気づくのが遅れないためにも、生理の時期は意識して日頃からコントロールするようにしましょう。

お酒を飲まなければ100%の予防率。可愛い赤ちゃんのために

胎児性アルコール症候群は、飲酒をしなければ予防できる疾患です。冒頭にも言ったように、わかっていてもお酒が大好きなママには忍耐のいることでしょう。

でも、もし、ママがお酒を飲んだことで、大事な赤ちゃんに問題が残ってしまったら、程度の差はあれ、それは一生モノになってしまいます。それで心が一番痛くなるのはきっとママ。授乳期も含めて、だいたい一年弱の期間のお酒とのさよならですが、きっとがんばれますよ!

ベビ待ちのママも、胎児性アルコール症候群から守るために、飲まない習慣を日頃からちょっと意識してみましょう!