羊水過多の原因と対処法

羊水過多の原因・症状・胎児への影響/早産になりやすい?

妊娠中または羊水過多症と診断された方へ。羊水過多の原因と症状、胎児や出産への影響についてご説明していきます。羊水過多の場合は、早産になりやすいとされていますので医師の指示に従って過ごしましょう。

羊水過多の原因・症状・胎児への影響/早産になりやすい?

羊水過多とは?原因&対処法/胎児への影響

お腹の中の赤ちゃんは、羊水に守られて過ごしています。羊水は、お腹の赤ちゃんを守る大切なものですが、その量が多くなりすぎると、赤ちゃんやお母さんに良くない影響を及ぼしてしまうこともあります。

今回は、羊水過多の原因と対処法や胎児への影響について、詳しくご説明していきます。赤ちゃんがお腹の中にいる間は、妊婦さんは色々なことに気を遣います。羊水過多についてもよく理解しておくと、いざ羊水過多症と診断された時に慌てなくてすみますね。

羊水過多とは?

羊水という言葉は、聞いたことがある方でも、羊水がどのようにして作られ、どのような色をしているかなどまでは、知らない方が多いのではないでしょうか。羊水と羊水過多についてご説明していきます。

羊水とは?

羊水の場所を解説しているイラスト

羊水とは、赤ちゃんがいるお母さんの子宮の中を満たしている水のことです。赤ちゃんがいるのは、子宮壁の内側の卵膜の中です。卵膜は3層に分かれており、一番内側を羊膜(ようまく)と言います。卵膜内は、羊水に満たされています。出産の予兆として破水をする方がいます。破水は、卵膜が破れて羊水が外に出てしまうことです。

羊水は、お母さんの体内で作り出されます。お母さんと赤ちゃんの体内から出る血液の血漿(けっしょう、血液の上澄み)で作られていると考えられています。赤ちゃんが成長してくると、羊水を飲み、また尿として羊水を子宮内に排出するようになります。もちろん、羊膜からの羊水の生産も妊娠期間中を通して行われます。羊水の色は、妊娠初期は無色透明ですが、週数が進むにつれて胎脂や体毛が混じってくるので、少し濁りが生じます。

標準的な羊水量

妊婦健診に行くと、羊水量を測定されます。羊水は、多すぎても少なすぎてもよくありません。羊水量は、妊娠週数を重ねるごとに増加していき、妊娠30週前後をピークに徐々に減少していきます。

標準的な羊水量

  • 妊娠10週・・・約25ml
  • 妊娠20週・・・約350ml
  • 妊娠30週・・・約800ml
  • 妊娠40週・・・約500ml

羊水量の測り方

羊水量は、妊婦健診の際に超音波検査で調べます。実際の量を量るわけではありませんので、誤差があります。また、羊水量は個人差が大きくなっています。一般的に、以下で紹介する2つの羊水量の計測方法が用いられます。

羊水ポケットを測定

羊水ポケットは、子宮壁と赤ちゃんの距離の一番遠い場所の長さのことです。羊水ポケットの正常値は2~8cm、8cm以上は羊水過多、2cm未満は羊水過少となります。羊水インデックスより羊水ポケットの方が、より正確な羊水量を測定出来るとされています。

羊水インデックスを測定

羊水インデックス(Amniotic Fluid Index、略してAFI)は、子宮腔を上下左右の4つに分割し、それぞれの胎児を含まない部分の長さの合計のことです。羊水インデックスの正常値は5~24cm、24cm以上は羊水過多、5cm以下は羊水過少となります。

羊水過多と羊水過多症

妊婦と胎児のイラスト

日本産婦人科学会によると、妊娠中の全期間を通して羊水量が800mlを超えると羊水過多となります(注1)。羊水過多であると共にお母さんの体にいつもと違う不調がある場合は、羊水過多症と診断されます。また、妊娠期間中に羊水量が100mlを下回ると羊水過少となります。羊水過少になると、胎児の発育が悪くなる可能性があります。

羊水過多症に伴う症状

羊水過多になると、以下のような症状が見られることがあります。自覚症状がある場合には、できるだけ早く主治医に相談しましょう。

羊水過多に伴う症状

  • お腹が頻繁に張る
  • 腹囲が急に大きくなった
  • 呼吸が苦しい
  • 体のむくみがひどい
  • 圧迫感がある
  • 吐き気がする
  • 頻尿になる

羊水過多の原因

羊水の量が多くなってしまうのには、色々な原因が考えられます。羊水は、赤ちゃんが飲むことで減り、尿として排出されることで増えます。羊水量が、多くなってしまうということは、羊水の減る量が少ないからと考えられます。

胎児側の原因

羊水過多になる原因が赤ちゃんにあることもあります。ただ、残念ながら多くの原因は妊婦さんが予防できるものではありません。

消化器官の不具合

消化器系に不具合があると、赤ちゃんが羊水を飲んでも、それを体内で吸収しての尿として排出することができません。

無脳症や水頭症

無脳症や水頭症の場合、赤ちゃんが羊水を飲むことができず、羊水量が増えていきます。脳脊髄液が漏れ出し、羊水量が増えることもあります。

双胎間輸血症候群

双胎間輸血症候群により、赤ちゃんの尿の量が増えて羊水過多になってしまうことがあります。双胎間輸血症候群は、胎盤を共有している一卵性双生児の間で流れている血液のバランスが悪くなったと時に起こります。片方の胎児は、血液を多量にもらうことにより、体がむくみ尿の量が増えて羊水過多となります。もう片方の胎児は、血液量が不足し発育不全となり尿の量が少なくなるため羊水過少となります。

嚥下障害

嚥下障害により赤ちゃんが羊水を飲むことができず、羊水過多になることがあります。嚥下障害(えんげしょうがい)とは、飲食物の咀嚼や飲み込む能力に不具合が見られることです。子宮内では、赤ちゃんが羊水を飲み、それを尿として排出することで羊水量のバランスが保たれています。赤ちゃんが嚥下障害となってしまうと、そのバランスが崩れ羊水の量が増加してしまいます。

母親側の原因

医者から診察を受ける妊婦

羊水量の増加は、赤ちゃんだけでなくお母さんに原因があることもあります。原因によっては羊水過多だけでなく、その他にも影響が見られることも考えられます。

糖尿病・妊娠糖尿病

羊水過多の母親側の原因として多いのが、「糖尿病・妊娠糖尿病」です。糖尿病の場合、赤ちゃんの尿の排出量が増えて、羊水過多の状態となってしまいます。妊娠糖尿病は自覚症状がないことも多いですが、放置しておくと合併症になる可能性もありますので、医師の指示に従い治療をしてください。

ウイルス感染

お母さんが何らかのウイルスに感染したことにより、羊水の産出と排出のバランスが崩れてしまい、羊水過多になることもあります。ウイルスによっては、体の他の部分に不調が見られることも考えられます。

胎盤腫瘍

胎盤に腫瘍ができてしまうと、赤ちゃんの尿の量が増えて羊水過多となることがあります。腫瘍のできる場所や大きさによっては、赤ちゃんへの負担が大きく、37週を待たずに出産となるケースもあります。

原因不明の場合が最も多い

羊水過多は、原因が不明な場合も多いです。羊水量を健診で測定した時に、医師より特に羊水量について話がなければ、あまり気にする必要は無いでしょう。

羊水過多の対処法

羊水過多での対処法は、お母さんや赤ちゃんの状況により異なります。羊水が多いからと言って、すぐさま何か処置をするという訳ではありません。

糖尿病・妊娠糖尿病の場合

入院しての食事管理やインスリン注射での治療を行います。合併症がおこらないように、早期の治療開始が望まれます。

それ以外の原因・原因不明の場合

糖尿病・妊娠糖尿病が原因以外のケースでは、お母さんが赤ちゃんを無事出産できるように、羊水のコントロールや羊水過多症の症状を改善するなどと対処をしていきます。

過剰な羊水を抜く

羊水を抜くことで、赤ちゃんやお母さんへの悪影響を出来るだけ少なくします。羊水は、お母さんのお腹に注射針を刺して、抜き取ります。

一度きりの方もいれば、何週にもわたり継続して羊水を抜く方もいます。原因が不明な場合、一度羊水を抜いても、また溜まってくるため、継続的に抜く措置が必要となります。羊水を抜くことで、お母さんの呼吸困難が改善されるなどの効果が見られます。

羊水を大量に一度に抜き取ってしまうと胎盤剥離が起きたり、子宮の収縮を誘発したりする可能性があるため、一定量を数回にわたり抜き取る処置をされることが多いです。

子宮収縮抑制剤の投与

羊水過多となりお腹が大きくなりすぎることで、子宮の収縮が活発となり早産になりやすくなります。早産を避けるために、子宮収縮抑制剤を投与することがあります。子宮収縮抑制剤の投与には、入院が必要となります。

羊水過多の胎児への影響

羊水過多となった場合、赤ちゃんに様々な影響を与えます。中にはダウン症など障害を持って生まれてくることもあります。赤ちゃんへの影響と聞くとどうしても心配になってしまいますが、医学の進歩により元気に成長していくことが多いので、あまり心配しすぎないようにしましょう。

逆子になりやすい

お腹の中で逆子になっている赤ちゃんのイラスト

子宮内の羊水が多すぎると、赤ちゃんの位置が安定せず逆子になりやすくなります。赤ちゃんが逆子になってしまうと、帝王切開での出産に切り替えられるケースがほとんどのため、赤ちゃんの体位については、検診の時に確認しておきたいです。逆子は、赤ちゃんが小さい内は直りやすいですが、大きくなってしまうと体位が変わりにくくなります。

妊婦さんの中には、「子供はぜひとも自然分娩で出産したい!」という強い理想をお持ちの方もいるかもしれませんが、帝王切開も立派な出産のかたちの一つです。高齢でも出産が多くなった現在では、帝王切開での出産は珍しいことではなくなっています。

逆子の直し方・自宅と病院で赤ちゃんがクルッと回る方法
逆子の直し方・自宅と病院で赤ちゃんがクルッと回る方法

未熟児で産まれやすい

羊水過多の場合、子宮収縮が起こりやすく早産になる確率が高くなります。早産となった場合、赤ちゃんの体重が低いだけでなく、体の機能も十分に成長していないため未熟な状態で産まれてきます。

羊水過多の出産への影響

子宮内に羊水が多い状態になってしまうと、出産にも影響を与えます。出産は、母子ともに元気で正常な状態であっても何が起こるかわかりません。羊水過多の場合は、普通以上に様々なケースを想定しておきましょう。

早産になりやすい

ソファに座りお腹を押さえる妊婦

子宮内の羊水が多くなってしまうと、週数に対してお腹が大きく膨らんでしまいます。そのため、子宮の収縮が起こりやすくなります。37週前に赤ちゃんが産まれてくる早産となる可能性が高くなります。

切迫早産になりやすい

羊水過多は、切迫早産の原因の一つになります。切迫早産は、妊娠22週頃~36週にかけて注意が必要です。下腹部に張りを覚えたり、出血したりすることがあります。

切迫早産になった場合、医師より安静に過ごすように指示されます。自宅療養ができるケースもありますが、入院して絶対安静というケースもあります。上にお子さんがいる場合には、お母さんが入院してしまっては大変です。

産後の子宮収縮が進まない

羊水が多いと子宮が必要以上に膨らんでしまうため、赤ちゃんを出産後に子宮の収縮が思うように進まなくなる可能性があります。子宮は、たいてい産後1ヶ月程で妊娠前の大きさや固さに戻ります。出産後の悪露が終わるのも、だいだい同じ頃になります。

子宮収縮が遅れている場合には、子宮収縮剤を使用することがあります。産後1ヶ月に行われるお母さんの健診時に、子宮の回復具合を確認されますが、妊娠中に羊水過多となった場合で子宮の収縮具合が心配な方は、主治医に相談してみましょう。子宮回復が遅れても、多くの場合次の妊娠には影響がないとされています。

子宮を出来るだけ早く回復させるために、以下の取り組みを心がけてください。

子宮の回復を早める方法

  • 出来る範囲で体を動かす
  • 赤ちゃんに沢山おっぱいを飲んでもらう
  • 我慢せずに排尿・排便を行う

産後1ヶ月までは家事などをせずに安静にするのが良いと言われますが、全く歩かずに寝てばかりいると産後の子宮回復が進みません。家の中でも少し歩いてみるなど、無理のない範囲で進めて見ましょう。

羊水過多の早期発見のために定期健診が大切

妊娠すると週数により頻度は異なりますが、定期的に産婦人科に健診に行きます。中には、「自分も元気だし、お腹の赤ちゃんもよく動いているから大丈夫」と自分自身で判断して妊婦健診を遅らせてしまう方もいるようですが、主治医の指示通りに妊婦健診は必ず受けるようにしましょう。

妊婦健診を定期的に受けることで、羊水過多など妊娠中に起こる様々な異常を早期に発見することができます。異常は早期に発見されることで、お母さんや赤ちゃんへの影響をできるだけ小さくすることが可能です。毎回健診で見ることのできる赤ちゃんのエコーを楽しみに健診に行ってください。

羊水過多を過剰に心配せず医師の指示に従いましょう

羊水過多になる原因は、確定されないことが多く、「妊婦さんが何かに注意すると羊水過多にならない」と言い切れるものでもありません。妊婦さんの中には、「羊水が少し多いかな?」と健診で医師から指摘されたけど、その後は何もなかったという経験がある方もいます。もし、羊水過多と診断された場合も慌てることなく主治医の指示に従うようにしましょう。また、産後のお母さんの体の回復のためにも、子宮の収縮具合には少し気をつけるようにしてください。

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