早生まれは損?

早生まれは損しかない?もらえるお金、保活、受験への影響

「早生まれは損」とよくいわれますが、これは遅生まれと比較した、幼児期の体格や発達に関する問題に留まらないようです。児童手当や扶養控除などの税金やもらえるお金にまつわる損得、0歳や1歳での保育園入園の大変さ、幼稚園受験など、早生まれの抱える問題を総合的に解説します。

早生まれは損しかない?もらえるお金、保活、受験への影響

「早生まれは損」というのは本当?

1月1日~4月1日が誕生日の人のことを早生まれと言います。
日本では、4月2日を境目に、学年を分けるため、4月1日生まれと4月2日生まれの子供では、学年は同じでも、誕生日は約1年間も開きがあります。

大人になると、他の人より年を取るのが遅いなどのメリットもありますが、早生まれの乳幼児は発達の差があるなか、年少・年中・年長などの保育園や幼稚園生活、そして小学校入学を迎えます。そのため、「早生まれだと可哀相」といった声も聞かれます。

果たして本当に早生まれは損なのでしょうか?また、どんな点が具体的に、損だといわれる原因なのでしょうか?税金面や保育園入園のしやすさ、発達や勉強面における損得についてリサーチしてみました。

国の制度から考えると、早生まれが損をしているのは事実!

草原の上の赤ちゃん

まずは、国の制度から見ていきましょう。児童手当等の制度から考えると、残念ながら、早生まれが孫なのは事実です。なぜ損なのか、また、どれくらい損なのかについて見ていきましょう。

児童手当における損得

児童手当は0歳時~中学卒業月まで国から支給される手当金です。扶養親族人数による所得制限はありますが、所得制限世帯でも月5,000円は支給されますので、義務教育就学中と未就学児すべてがもらえる制度だと言えます。児童手当の支給額は次のようになります(注1)。

子供の年齢・学年1ヶ月当たりの支給額
0歳~2歳11ヶ月1人当たり15,000円
3歳~小学校卒業月第1子、第2子:1人当たり10,000円
第3子以降:1人当たり15,000円
中学校入学月~卒業月1人当たり10,000円
所得制限世帯の子供(0歳~中学校卒業月)1人当たり5,000円

生まれ月で最大165,000円もの差がある

どの子供も3歳未満の月数は36ヶ月ありますし、中学校に通う月数も36ヶ月で差はありません。

ですが、「3歳~小学校卒業月」までの月数は、4月生まれ(4月1日を除く)の子供なら120ヶ月、3月生まれの子供なら109ヶ月と11ヶ月も差があります。そのため、「3歳~小学校卒業月」の間にもらえる児童手当の金額も11ヶ月分違ってくるのです。

参考例:2017年4月1日に小学校に入学する子供

A君:2016年4月2日に6歳になった【6歳11ヶ月】
★すぐに誕生日が来て、入学式の頃には7歳になっている。

B君:2017年3月31日に6歳になった【6歳0ヶ月】
★先日6歳の誕生日を迎えたばかりだが、すぐに入学。

子供が第1子もしくは第2子なら月々10,000円ですので110,000円の差、第3子以降なら165,000円の差、所得制限世帯でも55,000円もの差が生まれます。子供が早生まれの場合は、親が国から受けられる児童手当の額が最大165,000円も少なくなってしまうのです。

子供の学年によって支給時期を決定することが問題!

学年によって児童手当の金額を決めてしまうと、どのように決めたとしても学年最終月に生まれた子供は手当金の額が学年最初月の子供よりも11ヶ月分少なくなってしまいます。

児童手当の制度が、学年ではなく子供の年齢によって手当金の支給を決めていたなら、このような不平等はなかったはずです。なぜ、学年で決めてしまったのか疑問は残ります。

児童扶養手当における損得

子供を後ろから抱く母親

一定所得以下のひとり親世帯に支給される児童扶養手当。こちらは子供が18歳になって初めての3月31日まで支給(子供が中程度以上の障害を有する場合は20歳未満)されます。保護者の所得によって、支給額は次のように決まっています(注2)。

子供の人数(18歳以下の子供のみ)1ヶ月当たりの支給額・加算額
1人9,990円~42,330円支給
2人5,000円~10,000円加算
3人以上3,000円~6,000円加算

3月31日区切りなので、やはり早生まれは損

18歳になって初めての3月31日まで支給されますので、生まれたときからひとり親世帯の場合、3月生まれの子供がいる世帯は0歳0ヶ月~18歳0ヶ月の217ヶ月分を受け取ることになります。

一方、4月生まれの子供がいる世帯は0歳0ヶ月~18歳11ヶ月までの228ヶ月分、つまり3月生まれの子供がいる世帯よりも11ヶ月分多く受け取ることになります。

3月生まれの子供が1人の場合は、最大465,630円も損をしてしまうことになるのです。3月生まれの子供が2人なら最大575,630円、3月生まれの子供を3人持っているなら最大641,630円も損をしてしまいます。

特別扶養控除における損得

扶養控除とは、教育費がかかる年齢の子供を扶養している場合に適用される控除です。控除とは、ある金額から、一定額を差し引く制度を指し、税金などの課税額への配慮と考えてください。

扶養控除の対象となる親族とは、その年の12月31日(年末)時点の年齢が16歳以上18歳以下となりますので、どの家庭でも3年間は平等に扶養控除が適用されます。

一方、特別扶養控除とは、大学に行っていると想定される年齢に適用される控除です。つまり、扶養家族の年齢がその年の12月31日の時点で19歳以上22歳以下となる4年間に適用される控除です。

特別扶養控除も学年ではなく年齢で控除対象が決定されますので、扶養控除と同様、平等な制度のように思えるかもしれません。ですが、大学を卒業して子供がすぐに就職すると、親の扶養を外れることになりますので、特別扶養控除が適用されなくなってしまうのです。

参考例:早生まれの大学生A君を扶養する家庭の場合

2017年年末 大学1年生(18歳)…扶養控除38万円
2018年年末 大学2年生(19歳)…特別扶養控除65万円
2019年年末 大学3年生(20歳)…特別扶養控除65万円
2020年年末 大学4年生(21歳)…特別扶養控除65万円
2021年年末 社会人1年目(22歳)…特別扶養控除が適応外!

つまり、1~3月に生まれた早生まれの人は、実質22歳時の特別扶養控除が適用されないまま社会人になってしまうことになるのです(注3、注4)。

所得税における控除額

控除の種類合計所得からの控除額
扶養控除38万円
特別扶養控除63万円

住民税における控除額

控除の種類合計所得からの控除額
扶養控除33万円
特別扶養控除45万円

最大33万円弱も納税額が増える

所得税の税率は所得によって5~45%の間で決定されます。一方、住民税はお住まいの地域によって若干異なりますが、都道府県税と市区町村税を合計して10%であることが多いです。

特別扶養控除を受けられる年が1年少ないと言うことは、所得税率45%の人なら所得税と住民税の合計が328,500円、所得税率10%の人なら108,000円も収める税金の額が多くなるということになります(注5,6)。

保活に不利な早生まれ!その理由と対策について

金銭的には明らかに損しかない早生まれですが、保育園に入園するときも不利になることがあります。

4月入園が難しい

幼稚園児の後ろ姿

労働基準法では、産後8週間の女性は就業してはいけない決まりとなっています(注7)。女性自身が希望し、なおかつ医師が就業したとしても問題はないと判断した場合は、産後6週間でも働き始めることができます。そのため、多くの保育園では、0歳児の入園を生後57日以降(生後8週間が経った後)と規定していることが多いです。

4月1日から保育園に入園させようとすると、生後57日を経過しているためには、少なくとも2月3日以前(うるう年の場合は2月4日以前)に生まれていなくてはなりません。つまり、2月4日以降(うるう年の場合は2月5日以降)生まれの赤ちゃんは、4月1日から0歳児クラスに入園することはできないのです。

入園のタイミングが難しい

もちろん4月1日にこだわらなくても、年度途中での入園を待つことはできます。ですが、募集人数がもっとも多いのは4月入園となります。

そのため、待機児童が多い地域で、早生まれの赤ちゃんの場合、0歳児での入園はそもそも受け入れ不可能だったり、1歳数ヶ月での入園となると、育児休暇の延長なども必要となります。

また、1歳児の入園は激戦が必須なので、選べる保育園は非常に限られてくるか、該当する保育園がまったくないという事態も想定されます。

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そもそも入園説明会が前年の10~12月のことが多い

保育園によっても異なりますが、入園説明会は前年の10~12月に開かれることが多いです。2月生まれや3月生まれのお母さんにとっては安定期が終わって妊娠後期に突入するタイミングであり、気軽に出かけられない可能性もあります。

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幼稚園や小学校でも早生まれは損?

大人にとっての1歳違いと異なり、幼児にとっての1歳違いは大きな差があります。そのため、早生まれの子の場合、体格面や発達面などで遅生まれの子とは差が開きやすい傾向があります。

早生まれにとっては残念な事実ではあるのですが、最近ではプロスポーツ選手は4月、5月生まれが多いというデータや最終学歴に影響を及ぼすといった研究結果も存在します(注8)。

「自分はできない」と思い込んでしまうこともある

紙で工作をする女の子

もちろん発達はいずれ追いつていくものですが、やはりある程度の年齢になれば、子供は自分と周りを比較します。

早生まれの子供が「クレヨンで色を塗れた!」と喜んでいるときに、すでに同じ学年の子供たちがまっすぐな線を引く等、次の段階に進んでいることも少なくありません。

そのような経験が何度も続くと、早生まれの子供たちは「いつも自分はみんなよりできないことが多い」「何をしても習得までに時間がかかる」と自分で思い込んでしまう恐れがあります。

小学校低学年でも体格差が気になることも

生まれ月による違いは、学年が進むにつれて少なくなっていきます。とは言うものの、小学校の低学年の頃までは、早生まれの子供たちは少々身体が小さい印象を与えることもあるでしょう。

これも、大人になったら、背の高さや身体の大きさについてはあまり悩まなくなることが多いのですが、小さなうちは、「背が低いから」「身体が小さいから」という理由だけで、なんとなく自分が体力的に劣っているかのように感じることもあります。

幼稚園受験では月齢の違いは損にならない!

幼稚園受験は翌4月2日時点で3歳もしくは4歳の子供が対象となりますので、まだまだ生まれ月による能力差や体格差が大きいという点に配慮されています。実際には、次のような配慮が実施されることが多いです。

生まれ月によってチェックポイントを変更する

4月生まれの子供には、「ボールを赤い帽子をかぶった先生に渡して、先生からもらった紙に書いてあるものをおもちゃ箱から取り出して、黒いスカートを履いた先生に届けてね」といった3つの指示を同時に与える課題を出したとします。

このようなケースでは、5月、6月生まれの子供には同様の指示を出しますが、10月生まれの子供には、「赤い帽子をかぶった先生がくれる紙に書いてあるものをおもちゃ箱から取り出して、黒いスカートを履いた先生に届けてね」と指示を1つ減らし、2月生まれ、3月生まれの子供には、「赤い帽子をかぶった先生がくれる紙に書いてあるものをおもちゃ箱から取り出して、わたしに届けてね」とさらに指示をシンプルにします。

指示内容や入試のチェックポイントを変更することで、月齢に応じた習熟度や到達度を判断するのです。

生まれ月別に入試を行う

チェックポイントを変更するのではなく、最初からどの月齢の子供も入園できるように、生まれ月別に入試を行うこともあります。1学年の人数が多い幼稚園なら生まれ月によって12のグループに分けて試験を実施したり、1学年の人数がそこまで多くない幼稚園なら3ヶ月毎にグループ分けして試験を実施します。

ただし、受験する子供たちの生まれ月に偏りがある場合は、その点を調整して合格者を決める必要があります。例えば、4~6月生まれの子供たちが1~3月生まれの子供たちの2倍いる場合は、合格者も4~6月生まれの子供が1~3月生まれの子供のほぼ2倍になるようにしないと不公平になってしまうでしょう。

厚生労働省の調査によりますと、平成元年~12年の間では7~9月に生まれる子供が多く、3月に生まれる子供は少ない傾向が見られます。2月と3月を比べると、日数は3月の方が2~3日も多いに関わらず、平成元年~12年の12年間のうち3月生まれの方が2月生まれより出生数が多いという年は1度もありません(注9)。

小学校受験では月齢が考慮されないこともある

試験を受ける子ども

小学校の受験では月齢が考慮される学校もありますが、月齢が考慮されない学校も少なからずあります。早生まれの子供を持つ親の皆さんは、子供の能力に合わせて月齢を考慮する学校かどうか調べてみるのも良いでしょう。

月齢を考慮する学校では、試験科目の配点を変えたり、問題自体が月齢によって違ったりすることもあります。入試説明会では月齢を考慮するかどうかについても教えてくれるケースもありますので、ぜひ参加して、学校の姿勢や子供と合うのかどうか確認して下さい。

試験問題自体には月齢配慮がなくても採点に配慮されることも

小学校側は、子供の月齢をすべて把握したうえで試験を実施しています。そのため、同点になってしまったときは、早生まれの子供の方が「月齢が低いにもかかわらず到達度が高い」と判断されて、合格できる可能性も高くなります。月齢配慮されていないから早生まれの子供には不利と決めつけないで、学校方針や子供の適性によって学校を選ぶことをオススメします。

早生まれは学歴を左右する?興味深い研究データ

早生まれの教育に関しては、一橋大学の川口大司氏が発表した『小学校入学時の月齢が教育・所得に与える影響』という研究というものが存在します(注10)。

この研究によると、日本全国の100万個人のデータをもとに、年収と生まれつきの相関関係を調べたところ、男性の場合は4月生まれは3月生まれに比べて0.2年、女性の場合は0.1年、平均教育年数が長いという結果が出ており、「最終学歴という側面では、早生まれは不利である」という結果が出ています。しかし、川口氏も認めていますが、この研究データからは明らかな年収格差は出ておらず、厳密な検証が必要です。

早生まれがどの程度、日本社会で不利なのかはまだまだ研究段階です。教育現場での配慮は必要ですが、能力に問題があるわけでは当然ありません。

「早生まれだから」とは子供に言わないで

残念ながら国の手当金制度や所得控除制度を見る限り、早生まれに損な側面があるのは事実です。ですが、早生まれだからといって、それが成長に大きな問題を及ぼすとは言えません。

親子ともに早生まれ。特にデメリットは感じない

実は筆者の子どもは、3月末生まれです。そのため、妊娠中は「早生まれは可哀想だ」「予定日より1週間遅く産めたらいいね」と、身近な人に言われ続けてきました。

しかし、実は私も早生まれなのですが、幼児期から現在までそのことでなにか負い目やコンプレックスを感じたことはありません。もし高校3年生で自動車運転免許を取得しようと思ったら不便だったかもしれませんが、大学時代の長期休みに取得したので特に問題はありませんでしたし、成人式も学年で区切られていたので19歳でも参加できました。

自分の子供の成長を見ていると、早生まれは同学年から刺激を受けるので、発達が早くなるというメリットもあります。また、保育園の先生は子供の発達段階に配慮して、クラス運営を行ってくれています。

配慮は必要だが、子供に意識させる必要はない

子供に「早生まれだから、できなくても仕方ないね」というような発言をすると、子供が自分自身に言い訳をして、できないことは当然のことだと勘違いしてしまう可能性があります。

国の制度は別として、早生まれの最大のデメリットとは、「早生まれは損だ」「可哀相だ」という周囲の人の配慮とは異なる、偏見ではないでしょうか。

子供に「早生まれだから」と早生まれを否定的に捉える発言をすることは、なるべく控える方が良いでしょう。

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