初産の年齢が上がるリスク

初産の平均年齢は30歳!年齢が影響する妊娠・出産のリスク

日本は初産の平均年齢が年々上昇しており、2015年にはついに30歳を超えました。同時に35歳以上で初産する高齢出産や不妊治療の割合も増加しています。一般的にも、年齢が高いと妊娠高血圧症やダウン症などのリスクも上昇することが知られていますが、今回は国の統計もとに具体的な数字で解説します。

初産の平均年齢は30歳!年齢が影響する妊娠・出産のリスク

初産年齢は30歳を超えた!初産関連データからわかること

日本の平均初産年齢は年々上昇しています。厚生労働省の平成27年人口動態統計によりますと、1975年の平均初産年齢は25.7歳でしたが、1985年は26.7歳、1995年は27.5歳、2005年は29.1歳、2015年は30.7歳と年を追って高くなっています(注1)。

初婚年齢も上昇している

平均初婚年齢も上昇の線グラフ

同じく厚生労働省が実施した統計調査の月報によりますと(注2)、平均初婚年齢も上昇していることが分かります。1995年の女性の平均初婚年齢は26.3歳でしたが、2005年には28.0歳、2015年には29.4歳と年々増加しています。

女性と同様に、男性の平均初婚年齢も上昇しています。1995年の男性平均初婚年齢は28.5歳でしたが、2005年には29.8歳、2015年には31.1歳と30歳を超えるようになりました。

高齢出産の割合も増加している

初産年齢が35歳以上であることを『高齢出産』と言いますが、初婚年齢や第一子出産年齢が上昇するにつれ、高齢出産の割合も増えてきました。2012年に出生した第一子は約48万人でしたが、そのうち、お母さんの年齢が35歳以上であったのは約93000人・約19.1%でした。

2013年は第一子約48万人中約98000人・約20.4%、2014年は第一子約47万人中約10万人・約21.0%、2015年は第一子約48万人中約10万2000人・約21.4%と、35歳以上で初産を迎える女性は年々増加していることがわかります(注3)。

0歳児を抱く笑顔の女性

二回目以降の出産は「高齢出産」とは呼ばない?

初産婦は経産婦よりもハイリスクとされていますので、35歳以上で出産したとしても二回目以降の出産の場合は高齢出産とは呼ばれません。
2015年の第一子出産中お母さんが35歳以上のケースは約21.4%でしたが、第二子に限って見てみるとお母さんが35歳以上のケースは約31.2%、第三子以上のケースでは約40.5%と高くなっていることが報告されています(注4)。
第二子以降の出産では年齢が35歳以上であっても特に珍しくないことが分かるでしょう。

高齢出産のリスクを乗り越える!何もしないよりした方がいいこと
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不妊治療の割合も増加している

不妊治療を受ける女性

年齢が高まると自然妊娠する確率は減少していきます。子どもを希望するカップルや夫婦は、不妊治療という選択肢も考えるはずです。

実際に、1992年に不妊治療が実施された件数は2万弱でしたが、1997年では5万件を超え、2007年には15万件を超え、2012年には32万6000件強となっています。

人口が日本の約2倍のアメリカ合衆国においては、約17万件の不妊治療が実施されています。このことから、日本で不妊治療を実施する割合はアメリカの約4倍です。現在、日本で不妊治療によって生まれる赤ちゃんは27人に1人と計算されます(注5)。

自然妊娠と同じく不妊治療も両親ともに若い方が成功率は高くなります。赤ちゃんを欲しいと思うカップルは、35歳~40歳くらいには治療を検討した方がよいでしょう。治療にかかる医療費を助成する国の制度の対象は、治療開始時点でが43歳未満の女性であることが条件です(注6)。

初産年齢が高くなることで考えられるリスク

40歳以上で初産を迎える人をハイリスク妊産婦と分類するなど、出産は年齢が高くなるほどにリスクも高くなる傾向があります。具体的には、年齢によって、どのようなリスクが上昇するのでしょうか?

母体の健康

初産年齢が高くなることで、母体の健康を脅かす要因が増えてきます。
考えられるリスクには次のようなものがあります。

妊娠高血圧症候群

病院で血圧を測ってもらってる妊婦さん

妊娠中に高血圧になることを『妊娠高血圧症候群』と言い、症状によっては入院や絶対安静が必要になります。妊娠高血圧症候群は、母体の年齢が上がるほど罹患率も高くなります

厚生労働省の資料によると、20代~30代前半では約3%の妊婦が妊娠高血圧症候群に罹患していますが、35歳以上になると約4%、40歳以上になると約6%、46歳以上では10%以上の妊産婦が妊娠高血圧症候群に罹患しています(注7)。

妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)とは?症状と予防&対処法
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もちろん、妊娠高血圧症候群にかかりやすい条件は、年齢だけではありません。二回目以降の妊娠よりも初産の時にかかりやすいとされていますので、高齢かつ初産である人、つまり高齢出産の人は特に注意しなくてはならない疾病です。

また、BMIが25以上の人や元々血圧が高めの人も妊娠高血圧症候群にかかりやすいことが分かっています。尚、BMIとは身長(メートル表示)を体重(キログラム表示)の二乗で割った数値です。一般的には、BMIが25以上あると肥満に分類されます。

前置胎盤などのその他の合併症

妊娠中の病気は、妊娠高血圧症候群だけではなく、妊婦が注意すべき病気や症状はそれ以外にも多数あります。前置胎盤や子宮頸管無力症、胎盤早期剥離などに罹患するリスクも高くなります。

母体の体力の衰えによる日常生活への支障

どんなに元気な人でも、やはり20代の頃の体力と40代の体力を比べたら、20代の方が勝っています。妊娠や出産、そして育児は大きな体力を要する仕事です。

妊娠中の急激な体の変化により家事や仕事がうまくマネージメントできない、出産によるダメージからの回復が遅れる、0歳児の夜泣きに付き合うのが厳しく追い詰められる、職場復帰への自信が持てなくなるなど、母親になる方の心身への影響が気がかりです。

特に初産婦は、体力維持が健康な妊娠・出産のカギになります。
母体の体力の衰えが深刻な場合は、帝王切開などの出産時間を長引かせない措置を摂る必要も出てくるでしょう。

赤ちゃんの健康

集中治療を受ける新生児

初産年齢が高いと、赤ちゃんの健康にも影響が出てくることもあります。

自然流産

胎児の染色体異常が主な原因とされている妊娠初期の自然流産は、年齢によってリスクが高まり、34歳以下の妊産婦における確率は10.0~16.7%ですが、35歳以上39歳以下の妊産婦では20.7%、40歳以上の妊産婦では41.3%と報告されています(注8)。

ダウン症

ダウン症は、胎児の染色体異常によって生じる病気です。母体の年齢が上昇すればするほどダウン症の発生率は高まり、母親の年齢が20歳であるときダウン症の子どもを妊娠する確率は1667分の1ですが、30歳になると952分の1、35歳になると385分の1、40歳になると106分の1と年齢が高くなるほど上昇します(注9)。

また、これまでダウン症の発症確率は、母体の年齢のみで論じられる機会が多かったのですが、近年では、る男性の年齢とダウン症の確率の関係も指摘されています。

男性の年齢が25歳以上29歳以下のときの胎児先天性異常の発生確率を1とすると、男性の年齢が35歳以上39歳以下のときは1.04、40代になると1.08、50代になると1.15と確実に高まっていくのです(注10)。

ダウン症の確率を年齢別に解説~男性の年齢も関係する!?
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すべてのリスクが母体の年齢とともに高まるわけではない

医師の診察を受ける妊婦

妊娠高血圧症候群やダウン症など、特定のリスクにおいては母体の年齢とともに確率が高まります。
ですが、すべてのリスクが母体の年齢に比例して高まるわけではありません。

前期破水のリンクは高齢出産の方が低い

例えば前期破水などの原因となる絨毛羊膜炎は、20代のお母さんよりも30代・40代のお母さんの方が罹患率が低いことが分かっています。また、前期破水自体も、20代のお母さんよりも30代のお母さんの方が可能性が低いとされています。

切迫早産も同様です。切迫早産は満18歳以下の若齢者において多く、20歳前後のお母さんよりも30歳前後のお母さんが、30歳前後のお母さんよりも40歳前後のお母さんが起こしにくいことが報告されています(注11)。

病院選びも重要

初産年齢が高くなると、母体はもちろん胎児の健康も脅かされるリスクが高まります。また、男性の年齢も無関係ではありません。あらかじめリスクを想定して、最善の医療を受けられるように準備しておくことが大切です。

総合周産期母子医療センターや地域周産期母子医療センターなどの、集中治療室が設置され、専門医師やスタッフが常駐する施設での出産も検討してみるようにしましょう。

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