乳頭混乱の原因と対処法

乳頭混乱とは?母乳とミルクの混合育児が陥りやすい罠

乳頭混乱とは、赤ちゃんが哺乳瓶に慣れてしまい、母親のおっぱいから母乳を直接吸うことを嫌がるようになる症状です。新生児期や低月齢の頃のミルクと母乳の混合育児でよくみられますが、適切に対処すれば改善も可能です。乳頭混乱の原因と治し方を、克服したママの具体的な対処法も含めて紹介します。

乳頭混乱とは?母乳とミルクの混合育児が陥りやすい罠

乳頭混乱とは?赤ちゃんはおっぱいより哺乳瓶が好き⁉

乳頭混乱(ニップルコンフュージョン)とは、赤ちゃんがママのおっぱいから直接母乳を飲まなくなることです。母乳の味そのものを嫌がるのではなく、母親の乳首を吸うことに抵抗を示し、哺乳瓶に入れたミルクや母乳を好みます。

乳頭混乱を起こした赤ちゃんは、目の前におっぱいを差し出すと泣き出してしまったり、すぐに遊び飲みを始めてしまいます。そのため、仕方なく搾乳をして母乳を飲ませたり、ミルク育児に切り替えるママもいます。

乳頭混乱は混合育児が引き金に

哺乳瓶からミルクを飲む赤ちゃん

母乳は、赤ちゃんが生まれたからと、すぐにたくさん出るわけではありません。赤ちゃんが乳首を吸う刺激により徐々に量が増えていきます。そのため、母乳量が安定するまでは、ミルクとの混合育児を勧める産院も多いのですが、その混合育児が、乳頭混乱の引き金になってしまいます。

生まれたばかりの赤ちゃんが、なかなか出ないおっぱいを吸い続けるのは実は大変なことです。あまり出ないおっぱいと、哺乳瓶では、哺乳瓶の方が圧倒的に飲みやすく、しだいにおっぱいを吸う必要性がわからなくなります。

乳頭混乱が続くと、ミルクや搾乳した母乳を哺乳瓶で飲ませることが多くなり「乳首への刺激が足りない→母乳量が減る→ますますおっぱいを嫌がる」という悪循環に陥ってしまうこともあります。

乳頭混乱の原因は?

おっぱいから飲む母乳と哺乳瓶のミルク、どちらも同じように見えますが、実は「飲み方」や「飲みやすさ」に違いがあります。その違いが、乳頭混乱の原因です。

哺乳瓶と母乳では飲み方が違う

哺乳瓶を使って赤ちゃんにミルクを飲ませる母親

乳首を押さえるだけでミルクが出る哺乳瓶は、飲むのが簡単。生まれたばかりの赤ちゃんでも、クイクイとよく飲むでしょう。しかし、おっぱいから飲む母乳は、哺乳瓶のミルクとは別物。舌を器用に動かしながら母乳を押し出す必要があり、ちょっとしたテクニックが必要です。

生まれてすぐは、赤ちゃんもママも授乳に慣れておらず、母乳の飲み方や飲ませ方が分かっていません。うまく吸い付くことができず、哺乳瓶の要領で浅飲みがクセになってしまうと、思うように母乳を飲めなくなります。

一生懸命に吸っているのに母乳が出てこないのは赤ちゃんにとってもつらいこと。そのため、直接母乳を飲むのを嫌がるのです。

乳首の形状が吸いずらい

陥没乳頭や扁平乳頭といった乳首の形状も、赤ちゃんが吸い付きにくく、乳頭混乱の原因となります。

しかし、乳首の形状は生まれつきのことが多く、母乳育児に支障が出るのは、ある程度覚悟をしておく必要があります。

陥没・扁平乳頭でも、母乳マッサージをしたり、姿勢を工夫することで、スムーズに授乳できることもあります。乳首の形状に不安のある方は、一度母乳外来に相談しに行くことをオススメします。

母乳外来とは?母乳育児の味方「母乳外来」の費用と利用方法
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哺乳瓶で飲む方が楽

ユニセフとWHO(世界保健機関)は、母乳育児を成功させるために「母乳を飲んでいる赤ちゃんにゴムの乳首やおしゃぶりを与えないこと」という項目を含めた10か条の声明を出しています。

これは、楽に飲むことのできるゴムの乳首が、母乳育児に及ぼす影響を懸念してのこと。ゴムの乳首でミルクを飲むのは、おっぱいを吸う50分の1程度の力しか使わないとも言われています。

体力も筋力もない赤ちゃんが、楽に飲める哺乳瓶を好むのは当たり前です。母乳不足や体調不良などで、どうしても哺乳瓶に頼らなければならない時はありますが、できるだけ哺乳瓶の使用を避けることが、乳頭混乱を避ける1番の方法でもあります。

乳頭混乱の治し方

乳頭混乱の克服には根気が必要で、途中で挫折し、完全ミルクに切り替えたというママがいるのも事実です。赤ちゃんには個性があり、母乳を飲むのが下手な子もいます。ママが上手にフォローしながら、焦らずに改善していきましょう。

母乳を先に飲ませる

赤ちゃんに母乳を飲ませる母親のイラスト

混合育児の時は、必ず母乳を先に飲ませるようにしましょう。最初から、楽に飲める哺乳瓶のミルクでお腹がいっぱいになっては、とても母乳を飲む気にはなれません。

ただし、お腹が空き過ぎていると、反り返っておっぱいを嫌がる赤ちゃんもいます。そんな時は、少しだけミルクを飲ませ、落ち着かせてから母乳をあげると良いでしょう。

泣いている赤ちゃんには可哀想ですが、赤ちゃんが乳首を刺激して母乳が出やすくなれば、すんなり飲んでくれることもあります。できるだけ母乳にチャレンジし、足りない分をミルクで補うようにしましょう。

哺乳瓶の乳首(ニップル)を変える

哺乳瓶とセットになっていたからと、買ったままの乳首を使っていませんか?浅飲みで簡単にミルクが飲めてしまう哺乳瓶は、乳頭混乱を招いてしまいます。

哺乳瓶の乳首には、さまざまな種類があり、形状や穴の大きさが違います。乳首は、母乳を飲むときの口の形に近くなるものを選びましょう。
ピジョンなどの大手育児メーカーからは、赤ちゃんが乳頭混乱に陥らないように、おっぱいを飲む口の動きを研究した上で作られた製品も販売されています。

中には、哺乳瓶の乳首をいくつも交換して乳頭混乱を克服したというママもいます。哺乳瓶の乳首は慎重に選びましょう。

正しい授乳の仕方をマスターする

「母乳=吸うのが大変」、「哺乳瓶=楽に飲める」という意識を変えるために、正しい授乳方法で、赤ちゃんが楽に母乳を飲めるようにしましょう。

赤ちゃんが口を開いたタイミングで、乳輪が隠れるくらい深くくわえさせ、赤ちゃんの顎をママの胸にくっつけるようにします。

赤ちゃんの口は、アヒル口になるのが理想。しっかり口に含めていれば、唇が外向きになり、舌が乳首の下にぴったりくっつきます。下唇と乳首の間に舌が出ているのが一つの目安です。

その他、横抱きや縦抱き、フットボール抱きなど、授乳姿勢にもさまざまなスタイルがありますので、ママと赤ちゃんに合った方法を探してみましょう。

授乳姿勢をマスター!赤ちゃんもママも快適な基本の抱き方
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乳頭混乱を克服した先輩ママの対処法

乳首の形が原因でした

まこ(28歳)


出産前は完全母乳でいこうと簡単に考えていましたが、赤ちゃんが吸いづらい乳首だったためなかなかうまく吸ってくれず、母乳とミルクの混合授乳をしていました。

授乳時は毎回、直母でおっぱいをあげたあと、哺乳瓶でミルクをあげていましたが、赤ちゃんにとっては哺乳瓶の方が楽に吸えるので、産後3週間ごろからだんだんおっぱいを拒否するようになりました。このときは、自分自身が拒否されたように感じて、辛かったです。

「このままでは、おっぱいを吸ってくれなくなる」と思ったので、哺乳瓶の乳首を乳頭混乱防止用の吸いにくいものに変えました。また、授乳するときは、赤ちゃんが泣いても根気よく、おっぱいを先にあげ続けました。

すると乳首もだんだん吸いやすい形になってきて、赤ちゃんも上手に吸えるように!産後1か月半からは、完全母乳になりました。

辛かった乳頭混乱

まりりん(40代前半)


私の赤ちゃんが乳頭混乱を起こしたのは生後2ヶ月の頃でした。もともと母乳が出にくかったので、ミルクとの混合で育てていました。最初は母乳もミルクも抵抗なく飲んでくれていたのですが、少しずつ母乳を嫌がるようになりました。乳首を赤ちゃんの口元に持っていくと、嫌がって泣くのです。哺乳瓶のミルクを与えると喜んで飲んでいました。悲しくて仕方がなく、何とか乳頭混乱を克服したかったです。

ママの乳首の形に近い、哺乳瓶用乳首を使ってみることにしました。普通の哺乳瓶の乳首とくらべて、しっかり口を開けて母乳を飲む要領で吸わないと出てこない構造になっていたようです。

その哺乳瓶を吸わせながら、途中でサっと私の乳首に代えて、だんだん母乳メインにしていきました。そのうち、おっぱいを喜んで飲んでくれるようになり、本当に嬉しかったです。

哺乳瓶に入ったミルクを赤ちゃんに飲ませる母親

産後すぐが大事だと知らなかった!

ピカ(40歳)


出産した産婦人科では、授乳の練習をまったくさせてくれず、いただいた哺乳瓶でミルクをあげていました。初産だった私は、「哺乳瓶に慣れると後で大変…」ということに気づかず、入院中はずっとミルクをあげ続けました。

退院して、「母親から母乳あげないと飲まなくなるよ」と言われて、初めてがんばってあげてみましたが、哺乳瓶大好きになっていた息子は全くおっぱいには目もくれず嫌がって泣くだけでした

母乳は出ていたので、なんとかここから軌道修正したいと思い、哺乳瓶は硬くて出にくい乳首に替えました。そして、根気よくおっぱいをくわえさせました。
そんな日々がた1ヶ月くらい続くと、赤ちゃんは突然おっぱいに目覚めました。今度まったく哺乳瓶を飲まないという位おっぱいを飲み続けてくれました。

教科書通りではない順番で!

けろ(20代後半)


新生児の時に、母乳の出が悪くて赤ちゃんが母乳を飲みたがらなくなり、口にくわえてくれなくなりました。「吸わせ続けると、だんだん母乳が出てくるよ」と言われましたが、うちの子はくわえてすらくれないので、気持ち的に焦り、ネットで母乳を吸わせるための工夫を探す日々でした。

産院での指導は母乳を先に飲ませて、ミルクの順番でした。たぶん、これが一般的には正しいのだと思います。

ですが、私はもうそんな教科書通りの対処法じゃ効果がない!と、思い切って飲ませる順番を逆にしました。ミルクをある程度飲ませてから、母乳を与えるようにしたのです。

すると、赤ちゃんも気持ちに余裕ができたのか、ミルクを飲んだ後なら母乳も少しずつ加えてくれるようになりました。今ではおっぱい大好きです!

椅子に座り母乳を赤ちゃんに飲ませる母親のイラスト

成長とともに少しずつ改善

Sally(40代前半)


出産直後から、上手におっぱいに吸い付けず、ほとんど飲めていませんでした。哺乳瓶には吸い付けるのに、おっぱいには吸い付けません。味が嫌なのかと思い、搾乳した母乳を哺乳瓶で与えてみると、ちゃんと飲むので味が原因ではないこともわかりました。

乳房につける哺乳瓶の吸い口のようになっている乳房カバーも試してみましたが、やっぱり上手に吸えません。生後3週間目くらいに助産師さんに相談したところ、赤ちゃんの舌が少々短く、私の乳房が小さくて、吸えないということがわかりました。

諦めずに始め哺乳瓶で与え、うまく飲み始めたときにおっぱいへ移行する、など繰り返し行っていたら、赤ちゃんの吸引力もつき、舌も成長につれ長くなり、私の乳房も吸いやすい形になってきたのか、吸えるようになりました。

乳頭混乱はいつからいつまで続く?

乳頭混乱は、授乳スタイルが確立していない新生児期に起こりやすく、いつまで続くかは、母乳を与える頻度により大きく異なります。

搾乳した母乳を哺乳瓶で飲ませたのを機に生後3ヶ月で急に始まったというケースもあれば、新生児期に乳頭混乱が見られたものの、1ヶ月ほどで自然と良くなったというケースもあります。

乳頭混乱でストレスを感じた時には…

乳頭混乱は、ママの精神的負担が大きいものです。不安やストレスを強く感じる時には、母乳外来に相談してみましょう。母乳外来の対応はさまざまですが、正しい授乳方法の指導や、赤ちゃんが飲みやすいよう母乳マッサージをしてくれるところもあります。

多くの産婦人科が母乳育児を推奨していますが、決してミルクが母乳より劣るわけではありません。乳頭混乱によるイライラや落ち込みが長く続いては、赤ちゃんにも悪い影響を与えてしまいます。克服までには時間がかかることもありますので、割り切ってミルク育児に切り替えるのも一つの方法です。

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